社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅療養支援のための緩和ケアのあり方」藤田敦子など(2006)

2009-11-16 15:13:12 | その他
『東京大学医療政策人材養成講座2期生 研究報告書』

わが国において、緩和ケアを普及させるには何が必要か?について、アンケート調査ならびにヒヤリング調査を実施。その結果と諸外国の動向を紹介している。
分量は多めだが、文章が読みやすく、内容も理解しやすい。
医療従事者のみならず、一般市民のアンケート調査も実施しているため、生の声を感じることができた。

引用
・アンケート結果から、その人の立場によって「緩和ケア」の認識に違いがあることが分かった。まずはこの認識の統一をしていくことが必要である。
・緩和ケア普及のために、ホスピス・緩和ケア担当者へのヒヤリングを行った結果、緩和ケアを病棟中心ではなく、在宅療養を中心に提供体制を作っていくことが大切だと分かった。
・オーストラリアで築かれた「緩和ケアの三角」・・・患者が一般病院、緩和ケア施設、あるいは自宅で自分の望む所を利用でき、生活の場とすることができるようにすること、また、三つのどの施設でも一定以上の緩和ケアが受けられるシステムにすること。そして緩和ケアの主体となる患者が主体的な意志決定と参画がなされること。


調査結果を読み、当然のことながら、在宅での緩和ケアを普及させるには、病棟の力が不可欠であることを実感した。
それは、入院患者に「在宅療養」を適切にイメージさせることから、退院後もレスパイトも含め後方支援病院としての機能を果たすことなど、幅広い。
現状として、機能別の医療機関の整備が進んでいるわが国においては、診断がついた病院でのレスパイト入院は不可能に近い。
切れ目のないケアを提供するには、スタッフの「連携力」のみならず、ハードな面での改変も必要だろう。
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