社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「自死という生き方 覚悟して逝った哲学者」 須原一秀(2009)双葉新書

2010-05-04 03:50:06 | 哲学
「平常心で死を受け入れるということは本当に可能か?-それはどのようにして可能か?」ということを身を持って研究し、その結果として残された書物である。

一時期ブームを巻き起こした「完全自殺マニュアル」とは異なり、常に冷静にそして客観的に、自身の死を迎える日々までを綴り、その心境(心構え?)を報告している。

「自死」は良いことは悪いことか?という二者択一の視点ではなく、「死を受け入れるということは、どういうことか?」という視点から読むと、理解しやすい点が多い。

キューブラー・ロスの死の受容は、ガンなどの告知を受けて、その後に経過する受容的な精神の展開過程であると位置づけ、自身については「死の能動的・積極的受容」と位置づけている。

引用「死の能動的ないし積極的受容の理論を5段階説で提案する」
①「人生の全体の高」と「自分自身の高」についてのおおよその納得
②死についての体感としての知識
③「自分の死」に対しての主体性の確立
④キッカケ待ちとその意味づけ
⑤能動的行動


まず思ったのは、残された家族の感情について。生もしくは死は、果たして自身一人のものなのか?という疑問が終始あった。
最後の章に、息子さんが書かれた「思い」がある。戸惑い、悲しむことにはかわりないが、「父らしい生き方」であったと、綴っている。
きっと「普通の」もしかしたら「普通以上に」、家族としての対話や各々の価値観に深い理解を示しあっていた家族であったのだろうと思う。

自死の賛否にとどまらず、「死」を捉える「珍しい視点」と私は受け取った。

自死という生き方―覚悟して逝った哲学者
須原 一秀
双葉社

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