映像からも多くの情報を得られる現代において、「読書」は必要なものなのか?なぜ活字を読む必要があるのか?
という疑問について、理論的に述べられている。
大学の先生が執筆されているが、決して専門家だけに向けられたものではなく、とても読みやすく分かりやすい。
本を読むことは情報を得るためのものではなく、想像力をはぐぐむことにも非常に大切であることをあらためて知った。
そして想像力をはぐぐむことは、生きていくために不可欠なことであることも、わかりやすく書かれている。
引用
・想像力は読書に役立つだけではなく、「いまこうすれば、先でこうなるだろう」とか、「自分から見ればこうだが、あっち側から見ればこうだろう」とか、「自分がこう言えば、相手はこう受け取って、こんなふうに行動するだろう」などど考えるための助けにもなります。
・自分が直面している問題の全体像を把握し、さまざまな可能性を考慮に入れて解決策を練るだとか、行動に移る前に段取りを考え、状況に応じて計画を変更していくとか、自分とはちがう立場からの物事を見直してみるといった能力は、十歳前後で急速に発達すると言われています。これらの能力の基礎となるのは、自分の頭のなかで進行していることを一段上から観察し、制御するモニター力で、そういう力のことを「メタ認知能力」と呼びます。
昔はたくさんの大人が子どもたちの周りにいて、その時々の生活文化を伝えることができていた。それゆえに、本が少ない時代であっても、子供たちはたくさんの知恵や知識を吸収することができた・・・という旨が本書で書かれていた。
「確かにそうだ」と妙に納得してしまった。情報が溢れすぎている現代よりもきっと、昔の子どもたちはたくさんの価値観に直に触れ、頭ではなく、気持ちでキャッチし、多くのことを体得できていたのだろうと思う。
それは時間がかかり、めんどくさくて、しんどいことかもしれなかったけれども、とても豊かなことだったのだろうと羨ましく思う。