社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「重度要介護高齢者の在宅サービスの利用実態と利用要因-長期在宅者と施設入所者の比較-」

2010-09-07 21:25:32 | 社会福祉学
石附敬、和気純子:『社会福祉学』第51巻第2号 2010

3年以上の在宅介護を受けている人と、過去3カ月以内に施設に入所した人について、在宅時のサービス利用状態と利用要因の分析を行っている(郵送及び事前ヒヤリングは、担当ケアマネージャーに行っている)。
何が原因となって施設入所に至るのか、在宅での長期療養を可能としている要因は何か等について、報告している。
現場で多くの利用者と対面している人にとっては、「それはそうだ」と納得のいく…けれども少し物足りない報告になっている印象を受けた。

引用
・長期在宅重度者のサービス利用について
⇒主介護者の年齢が65歳以上である場合に過少利用されている、介護者が勤めに出ている場合と介護支援専門員の経験年数が長い場合に利用率が高い。

・施設入所重度者群は長期在宅重度者群と比べ、年齢が高く、認知症者の割合が高く、家庭内の支援体制が弱いという特徴があった。


調査によって明らかになった両者の違いは、現場の人たちが実感していることを数値で表し、根拠をもって明示している…そんな印象を受けた。
長い期間、そして膨大なデータの分析を重ね、この結果につながったのだと思う。決して目新しいとは言い難いが、社会福祉学は他の学問と比較し、実態を科学的に分析するという作業が遅れをとっている。
こういう地道な作業が、社会福祉学そして社会福祉援助の積み重ねになっていくのだと感じた。


コメント
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