四方山雑氣帳

日常の出来事や思考、氣付きなどを雑多(よもやま)に書き込むブログ。

ちょっぴり玄人裸足

2007年06月28日 | Weblog
今週の月曜日から我事務所のギャラリー空間で、
山嵜直子さんの作陶工房の生徒さんたちによる
作品展が行なわれています。


山嵜さんの作品はよく知っていますし、
我が家でも使わせていただいています。
(とても軽くて使いやすい)

しかし、大変申し訳ない失礼な言い方ですが・・・・・
「生徒さんの作ったものが鑑賞に堪えるのか?」
なんてちょっと思っていました。

それがなんと!皆さんすごい腕前!ただただ驚嘆、脱帽。

懺悔したい。(愚かな私をお許しください)

こんなに上手になれる(作れる)のには、生徒さんの作陶
にかける深い思いがあるからでしょうし、
山嵜さんの指導方法が優れているからだと思います。
(見たことないけど)

今回、生徒さんたちは作品を出展するにあたり、気恥ずかしさや
緊張がおありだったようです。
それを勇氣をもってジャンプした結果、ひとつハードルを越えられた
のではないでしょうか。

それに立ち合せていただき大変うれしく思っています。

連日、多くのお客様がお出で下さっています。
今度の日曜日、7月1日まで開催していますので、
是非、ご覧いただきたいと思います。

家は夏向き

2007年06月22日 | 建築・デザイン
梅雨に入ったというのにずっと晴れが続いて
建築工事にとっては助かりますが、
紫陽花などの植物にはちょっと一雨ほしいところ・・・・

今日は久しぶりの雨模様。
じっとりと汗ばむ湿度の高さ・・・・やっぱり梅雨だ・・・・

日本の家は地域と用途にもよりますが、基本は夏向きにできていました。
雨が多く湿度の高い、まさにこれからの季節に重きをおいて
作られてきました。(その分冬はすごく寒かった)

軒の出(大きな屋根)が深いので、雨が降っても建具は開放のまま。
床も60㎝くらい地面から上がっているので、風通しがよく、
カビなど発生することはありません。

母方の丹沢の田舎家(今はダムの下)もそういう作りの民家でした。
真夏の強い日差しに照らされた、軒の深い屋根が作り出す内部は薄暗く、
ひんやりしていた気がします。
軒先にはオレンジ色のとうもろこし(飼料用)が吊るされていて、
庭では莚(むしろ)に砂鉄を採るための川砂が干されているのも
記憶にあります。
建築の仕事をしている私には、当時のことは(小学4年まで)とてもよい
経験となっています。

さて、O邸も軒の出が深い家です。
強風で無い限り雨は吹き込まないでしょう。

現場は、内部の基礎工事も終わり、床組みに入っています。
床組みの大引き(おおびき)には、建物のバランスに合うように、
一般住宅でのサイズより一回り太い材を使用しています。
コンクリートの基礎に補強された床組みは、見ていてとても安心できます。

自分で改築の設計をしていて言うのもなんですが、出来上がったら
とても住みやすく、気持ちのよい住宅になることでしょう。

<追記>
明日は、たまりBar(4回目)です。
とても楽しいからと毎回来て下さる方(ファン)もいらっしゃいます。
お近くの方で、Jazzとおしゃべりのお好きな方、是非一度来てみて下さい。
大歓迎!お待ちしております。

縁の下の力持ち

2007年06月14日 | 建築・デザイン
O邸の建築工事が人気で、工事現場や完成後に
見てみたいという人(仲間)が結構います。
確かに滅多に見られるものではありませんので、
その気持ちはよ~くわかります。

現場に来ている職方でさえ、初めてみたときは驚嘆しています。
昨日も電気工事をいつもお願いしている会社の職人が、
驚きと感動を口にしていました。「お~!すげぇ~!」

取引のある材木屋でさえ、「今どきこの辺じゃお目にかかれないよ。」と
大黒柱や梁組に感心していました。

さて今、現場では新しい屋根に覆われた中で、内部の基礎工事を
行っています。(もともとの計画には無い工事です)

この建物が出来た時分には、鉄筋コンクリートの基礎を廻らし、
土台をのせて緊結する作り方ではありません。
基礎石、束石に直接柱などをのせ、貫(ぬき)という板材を柱間に通して
楔(くさび)で固定し、揺れに耐える貫工法で出来ています。

楔で固定された貫工法は、ねばりがあり一般的なスジ違い
(柱間に斜めにいれる補強)より、強かったという実験データが
あるそうです。

関東大震災を経験し、耐えてきたとはいえやはり心配です。

不要な部分を取り除き、屋根も瓦から軽くしたので、地震に対しては
有利になったのは確かですが、どうしても内部の柱が貫で固めてある
とはいえ独立しているのが気になる(不安)ので、
「今の時点でしか行なえないのでやらせてほしい。」とお願いし
補強させてもらうことにしたのです。

出来上がれば隠れて見えなくなってしまう部分です。
一般の人たちは目に見えるところ(仕上げ、形)にこだわります。

外部、内部の仕上げはいつでもやり直しが出来ますが、地盤と基礎、
構造体は簡単には直せません。
ここにお金をかければ長く住み続けられるよい建物ができます。

私は独立してから(10年以上も前から)そのように考え
仕事をしてきました。

もちろんプランニングやデザインがよいのは当たり前(自分にとっては)
ですが・・・・



水も漏らさぬいい男

2007年06月07日 | 建築・デザイン
只今、O邸は大屋根の葺き替え中です。
先週の雨でずれ込みましたが、それ以降は
良い天気にめぐまれて、順調です。

工事着工前は、130年前の母屋とその後時期を分けて
増築した平屋部分、2階建て部分のそれぞれに屋根が
架かっていました。
屋根と壁、屋根と屋根がぶつかっている所は、案の定、
雨が侵入し木材が腐っていました。
(雨仕舞いがきちんと考えられたら一人前)

前にも書きましたが、いらない部分(2階と1階の一部)を撤去して
一体とした形の屋根に架け変えました。
大きな屋根面です。
棟から一番長いところで9m以上あります。(巾45㎝の一枚もの)

大屋根の葺き方は「瓦棒葺き」です。
日本瓦を葺いたときのような縦のスジが特徴的で、
緩やかな水勾配に適した葺き方です。

材料となる鉄鈑は、ガルバリゥム鋼鈑といって鉄とアルミの合金です。
(メディアの影響で一般の人でも結構知っている)
ある年代以上の方は、鉄板というと亜鉛びきのトタンをイメージされますが、
現在の鋼鈑類は、ほとんどメンテナンスしなくても大丈夫なほど
しっかりしたものです。
我が家の屋根と外壁もこのガルバリゥム鋼鈑で出来ています。

この板金工事をしてくれている職人さんのTさんは、おじいさんの代から
鎌倉で板金職人として仕事をしています。
私よりすこし若い(30代後半)ですが、場所がらお寺の仕事も
多くやっているので、しっかりした技術をもっています。
お互いに先代からのお付き合いなので、よ~く気心がしれています。
納まりもあ~でもない、こ~でもないと最善の方法を検討します。

Tさんから最近聞いた話ですが、(いつも聞くようなこと)
最近ある現場で設計士の言う通りに施工して、また雨漏りしたそうです。
どんな風にしたのか聞いた感想は、
「それじゃ漏るね。」
どうして先生面して職人の意見に耳を貸さないのか!
困るのはお客さんだろうが!現場のせいにするな!
ちょっとは自分でも考えろ!
・・・・・・同業として恥ずかしい・・・・・・

信頼を得られない建築家(設計者)は、
職人たちに設計屋(格好ばかりのやつら)と呼ばれ侮られる。


さて、大工のAさん、板金職人Tさんはじめ多くの方々にいつも
助けていただいています。
自分のまわりに優秀な若い力(立派なおじさんか?)があって
うれしく思います。