中田真秀(なかたまほ)のブログ

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縮約密度行列の変分法(IV): おそらく唯一の多項式程度の電子構造計算の方法

2010-06-18 10:12:44 | 日記
縮約密度行列の変分法は、おそらく唯一の多項式程度の電子構造計算の方法だろう。SCFは? 実はglobal minimumを得るのは多項式程度ではできない。

我々の方法は、一粒子基底の選び方に依存しない。つまり直交化したatomic orbitalを用いてもまったく同一の結果を得る。ここらへんはfullCIと同じである。

なぜ多項式程度のリソースで計算できるか。これは凸計画なので最適化としてはやりやすい。もう少しわかりやすく言えば、円を変分領域とし、線形関数を最小化するというのを考えよう。この場合は、円の端っこで最小値となる。

半正定値計画法は、行列を半正定値に保ちながら変分するというのではあるが、意外にも計算負荷が軽い。最小値は数学的に検証できる(primal or dual feasibility, gapなどから)。

Post Hartree-Fockはすべて難しい。Hatree-Fockの難しさを引きずっているからだ。DFTはいうにおよばず。

他に多項式程度のアルゴリズムで解ける、電子相関理論にはどんなものがあろうか。私は知らない。

縮約密度行列の変分法(III): 大域的な最小値がもとまり局所解が存在しない

2010-06-18 09:17:47 | 日記
縮約密度行列の変分法で、N-representability条件を、必要条件のみとし、それらが凸であれば、大域的な最小解(global optimum)が求まる。

この条件を満たすのは比較的簡単である。P, Q, G, T1, T2' などはすべて必要条件かつ、凸であることがすぐわかる。

このglobal optimumが求まる理由は、線形計画の双対定理を理解していればなんとなく解るかもしれない。PQGT1T2'などの必要上件を持ってくれば、半正定値計画問題となるが、これは双対定理、相補性定理などから、最小解では、gapがゼロとなる、ということからその大域性が解るのである。ただ、我々の定式化では、内点がないため必ずしも主双対内点法の枠組みの範囲に収まらず、計算上のgapが存在するかもしれないが、少なくともgapがゼロの場合は正しく、物理的にもgapはゼロであることがわかる。つまり安心してよいということである。

SCFのように、求まった解がglobalかsub optimalか、悩む必要はない。縮約密度行列の変分法ならば、主、双対のgapを見れば自ずと大域的な最小化と解る。

6月17日(木)のつぶやき

2010-06-18 01:55:36 | 日記
07:35 from web
O2+の8-CIが300Gのdiskを使ってコケてた。もうやる気なし。
07:44 from web
もうこの大きさだとfullCIは出来んなぁ。ここから先は超絶技巧? どうするかなぁ。CCSD(T)かなあ。DMRGかなぁ。いずれにせよ厳密な結果の限界が見えた。
07:48 from web
@BuchikoYossyTK お元気ですか?
07:59 from web
@shigetay いや~時間とHDDかけるのもいいですが、たった20軌道です。DMRGならもう少し大きくできると思いますが正しくもとまったかの判定は非常に困難であります。
08:00 from web
どなたか密度行列の研究やってくれないかなぁ...
08:20 from web
@shigetay 密度行列の研究やりません?
08:22 from web
今時のCASってどれくらいとるのが普通なんかな? 20軌道20電子ってできるの?
09:02 from web
@shigetay frozen coreずっとまえにやりました...さらっと
09:44 from web
@shigetay やってないですね~。
09:45 from web
@shigetay やっと最近18軌道できるようになりました。
17:56 from web
@anti_tank_rifle 聡明なところと、tweetがマニアックなことかな?
19:39 from web
gamessが手持ちのFreeBSD 8/amd64でうごいた。他のFreeBSD8/amd64では動くのだが...原因はkern.ipc.shmemが尽きていたことらしい。うーん、なかなかわからんのでpkg-messageにもいれとくか.
by NakataMaho on Twitter