こんにちは、柳澤です。
あれはもう、約10年前・・・
入段当時、17歳の僕には、悩みがありました。
それは、指導碁です。
3子、4子、はいいのですが、
6子以上の置碁になると、何をどうしていいかわからなかったのです。
どうしても、打ち込んで打ち込んで、打ち込む手を連発することになります。
当たり前ですが、互先の感覚ならかなり苦しいところに、打ち込んでいかざるを得ないのです。
かと言って、何もせず本手を積み重ねていくと、大差の黒勝ちで終わります。
(ただ、この時の僕は「本手」の意味をはき違えていました。後述します)
まだ全然碁の幅がなかった僕にとっては、どうしても、
どこかで勝負手のような手を打たざるを得ず、それがツラかったのです。
念のため申し上げると、あくまでも「正しい手」の範囲内で、ギリギリ踏み込んだ手です。
(下手をカクランしようとしたり、いわゆる「だまし」にいくのは問題外です。それは「指導碁」ではありません)
つまり、互先と同じ感覚で、相手も正しく応対してくることを想定した踏み込みです。
「この相手なら、ここに打っても大丈夫だろう」
という考えで打つのがイヤだったのです。
もちろん黒の手から理から外れたときは、
「それは正しい理から外れていますよー」
ということを示すために、キチンと咎めます。
こちらから、理のない手を打つわけにはいかない。
しかし、多少は無理気味な手も打たないと、大差の黒勝ちで終わる。
指導碁は勝ち負けを争うものではないとはいえ、
それは、受けられる方にとって勉強になるのだろうか・・・
このジレンマを自分の中で消化できずにいました。
そんな頃、羽根直樹先生と、仕事をご一緒する機会がありました。
となりで指導碁を打ちました。
羽根先生の指導碁は優しく、
むろん、無理な手は決して打ちません。
しかし、かといって変に緩めるわけでもなく、
流れるように、正しい手を正しく積み重ねる、そんな感じです。
羽根先生ほどの一流棋士は、どのように考えて指導碁を打っているのだろうか・・・
この機会に、思い切って聞いてみました。
「指導碁は、どのように打てばいいのでしょうか?」
すると、羽根先生はニコッと笑って、言いました。
その言葉を聞いた瞬間・・・
僕の脳に、電流走る。
(つづく)
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