名古屋棋士会

名古屋発!日ごろの出来事や囲碁のこと、身内話など、素顔のままに棋士仲間でつづるブログです。

中部ごちそう列伝

2013-06-26 18:08:38 | 柳澤理志

こんにちは、柳澤です。

前回研究会の様子をアップしましたが、

今回は「研究会=ごちそう」という話をします。 

 

棋士が碁を打ったり研究会をしたりすると、長時間になります。

なので大抵の場合、みんなで一緒にメシを食うことになります。

 

昼から集まって、対局したり検討したり。

その後、夕飯を一緒に食べて(または飲んで)解散。

 

そして、一緒にメシを食うと、必ず先輩がおごってくれます。

そういうお笑い芸人みたいな文化があります。

 

常に出すか出されるか。

割り勘という概念が欠落しています。

 

いままでにおごってもらった額を総計すると、恐ろしい金額になります。

恐ろしいから計算しません。

 

先輩の話を聞くと、またその先輩にものすごくごちそうになってたり・・・

この業界に連綿と続く伝統です。

 

メチャメチャおごって頂いている先輩をあげていくと、

枚挙に暇がありません。

(いつもありがとうございます!)

 

暇がなさすぎますが、今回は、中部総本部を代表する

大先生たちとのエピソードを書いてみたいと思います。

 

 

あれは中1の夏。

初めて羽根泰正先生主宰の研究会に参加させて頂きました。

通称「羽根研」は、羽根先生のご自宅で行われていて、今現在も続いています。

 

羽根泰正先生といえば、中1の僕にとっては

歴史上の偉人とあまり変わらないビッグネーム。

初めて、「羽根」の表札を見たときの感動を、今でも覚えています。

 

羽根研では、一局を持時間なしでじっくり打ち、しっかり検討します。

早く終わったら、他に空いた人と組み合わせて早碁を打っていきます。

 

もちろん、直樹先生もおられます。

タイトル戦中でもおられます。

 

淡々と院生たちを三面打ちとかして、

その日の夜にタイトル戦に旅立たれたりしていました。

 

ひとしきり碁を打ち、羽根先生の講評などが終わると、

「じゃあ、ご飯食べに行こうか」

と、若手や院生たちを、馴染みのご飯屋さんに連れて行ってくれます。

大所帯の羽根ファミリーも一緒なので、総勢30人近くになります。

 

はじめは恐縮して、一番安いものを頼んでいました。

でも、だんだん遠慮がなくなって

しまいには、うな重の大盛りとか頼んだりしました。

(大先生たちは後輩が遠慮することを喜びません)

 

 

今は副理事長となられ、大変お忙しいので無くなってしまいましたが、

山城先生のご自宅でも研究会がありました。

 

山研は、最新の棋譜の検討か、早碁を打つかどっちかでした。

僕は、どちらかというと棋譜の検討の時間が好きでした。

 

研究会が終わると、

「メシ食ってく?」

と、言って頂きます。

 

メシ食っ・・・あたりで

「ハイッ!!!!」

と返答して、山城家の食卓の末席に紛れ込みます。

 

山城先生の奥様は、料理上手で有名です。

「これ、お金取れるよ!」

「店出した方がいいんじゃない?」

というセリフを、たぶん一万回は言われています。

 

そんなワケで、山城先生の「メシ食ってく?」を、

いつも心待ちにしていたのでした。

 

そして、少食な山城家に代わって、次々と大皿を平らげたりしました。

(大先生たちは後輩が・・・以下略)

 

 

あるとき、彦坂先生に

「お前、ヒマだったら電話して来いよ」

と言っていただきました。

 

翌日、さっそく電話すると、

「おう、俺も空いてるから、ウチに来い」

と言っていただき、他の若手も誘ってお邪魔しました。

(前回記事にした、彦坂研究会とはまた別の日です。)

 

インターホンを押すと、彦坂先生の

菩薩のような奥様と、2匹のワンコが迎えてくれます。

 

彦坂先生に碁を打ってもらったり、

自分の碁を並べて講評してもらったりしている間、

奥様がひっきりなしにカットフルーツやシュークリームなどの

おやつを運んできてくださいます。

 

日の暮れる頃になると、先生は

「そろそろメシにするか」

とおっしゃられ、焼肉をごちそうになりました。

 

そして、近所のミスドに寄って、

「これでも持って帰れ」

と、なぜかお土産まで持たせてもらいました。

 

碁を教えてもらい、ご馳走を食べさせてもらい、お土産をもらう。

 

いいのか?

これでいいのか?

普通、こっちが何か持っていかなきゃいけないんじゃないのか?

 

と、自問自答しながらドーナツを食べました。

 

 

中部生え抜きの若手で、

この先生方の薫陶を受けていない棋士はいません。

 

薫陶というか、もはや物理的に育まれております。

 

本当に感謝に堪えません。

 

 

棋院で羽根泰正先生にお会いしたので、写真を撮らせて頂きました。

 年を重ねるほどに、羽根先生の偉大さを感じる、今日この頃です。

  

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とある火曜日の研究会

2013-06-11 19:49:56 | 柳澤理志

こんにちは、柳澤です。

今日は、彦坂直人九段が中心の研究会が行われています。

若手棋士や院生たちが、一人ずつ自分の最近打った碁を並べて、

彦坂九段に講評してもらいます。

 

この研究会は、最初2,3人でやっていました。

今では、彦坂九段の快刀乱麻を断つ講評を慕い、

若手や院生がずいぶん集まるようになりました。

 

今、並べているのは鶴田二段。

正面にいるのが彦坂九段、志田六段、中野九段。

基本、彦坂九段の講評がメインですが、もちろん他の棋士も参戦します。

 

彦坂九段と全く異なる囲碁観を持つのが、中野九段。

 

中野九段 「こうしたらどうですか?」

彦坂九段 「イヤ、それはないだろ」

中野九段 「ええー?そうですかぁ?」

 

みたいに真っ向からぶつかることが、しょっちゅうあります。

 

中野九段、自説を述べる

      ↓

彦坂九段に一刀両断される

      ↓

中野九段、図を作って粘る

      ↓

また彦坂九段に言葉で一蹴される

      ↓

両先生のやりとりがあまりに面白いので、若手が吹き出す

 

この流れが何回繰り返されたかわかりません。

 

部分的な手どころでは、読みの強い伊田四段。

 

伊田四段 「そこはツケコシでわかりやすく取れてるんじゃないですか?」

彦坂九段 「おお、なるほど。・・・というかお前、そんなところからしゃべってないで、近くに来いよ」

伊田四段 「あ・・・」 (とニコニコして、行かない)

 

難しい局面で、信頼されている志田六段。 

 

彦坂九段 「これは難しいな。どうだ、志田?」

志田六段 「・・・・・・・・・」

彦坂九段 「お前も、たまには何か教えてくれよ(笑)」

志田六段 「・・・・・・・・・」

 

このように、それぞれが持ち味を発揮しつつ、検討が進みます。

 

彦坂九段は、遠目には近寄りがたい雰囲気ですが、

実際はめちゃめちゃ優しい先生です。

 

そのあたりのエピソードも、

また次回お話したいと思います。 

 

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昨日の続き

2013-06-07 23:40:09 | 柳澤理志

個人的に注目した二局は・・・

 

中野VS志田 中野九段の白番中押し勝ち

小県VSビャン 小県九段の白番中押し勝ち

 

いずれも、大先輩が若手を退けました。

 

志田六段は、形勢が悪くなっても表情が全然変わりません。

知ってはいたけど、本当に淡々と打つなー、

と思いつつ観戦しました。

 

 

さて・・・・・・

 

 

おやすみなさい。

 

 

 

 PS このブログをお読みの皆様、

    何かご質問やご要望などあれば、ぜひ書き込んでください。

    (棋士のこんな姿が見たい、この碁を解説して欲しい、など)

    ブログを書く上での参考にさせて頂きたいと思います。

 

PPS  先週の記事にコメントしてくださった皆様、ありがとうございました。

     ホメられて伸びます。

 

 

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お昼休みは静かにウォッチング

2013-06-06 12:28:06 | 柳澤理志

こんにちは、柳澤です。

先週に引き続き、プロ棋士の対局の模様をお伝えしたいと思います。

 

午前10時から始まった対局は、

11時45分~12時30分の間、昼休憩となります。

食事など自由に行って来れます。

 

個人的には、手合い日はあんまり食べられないので、

もっぱら散歩します。

 

中部総本部最高の部屋、「祥雲の間」。

中根直行八段VS瀬戸大樹七段の王座戦本戦が行われています。

ここは「和光の間」。

いろんな小道具が散乱していますね。

こちらは大広間。

休憩中の数人の棋士たちが盤面を見て廻っていました。

 

僕がカメラを構えたことに気付くと、

みなさん、厳かにフレームアウトなされました。

 

個人的に注目の一戦。

中野寛也九段VS志田達哉六段 (志田の先番)

右側のクッションとかリュックとかが置いてある方が中野九段です。

個人的に注目の一戦 Ⅱ

小県真樹九段VSビャンウォンケイ初段 (ビャン初段の先番)

漢字が一文字たりとも変換できない、ビャン新初段の初手合い。

 

この時間帯は、まだ差し手争い。

休憩のときに手番の人の方が、たくさん考えられて有利じゃないか、

と思われるかもしれません。

 

しかし、あんまり根を詰めすぎると

逆に悪手を打ちかねないような局面なので、

大多数の棋士はそれほど気にしません。

 

でも中には、全く休むことなく、延々と碁盤の前で考慮にふける棋士もいました。

 

それもどうか?ということで、

今では、着座することが許されているのは

再開5分前から、となっています。

 

さて、 そろそろ対局が再開されます。

 

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