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名古屋棋士会

名古屋発!日ごろの出来事や囲碁のこと、身内話など、素顔のままに棋士仲間でつづるブログです。

とある火曜日の研究会

2013-06-11 19:49:56 | 柳澤理志

こんにちは、柳澤です。

今日は、彦坂直人九段が中心の研究会が行われています。

若手棋士や院生たちが、一人ずつ自分の最近打った碁を並べて、

彦坂九段に講評してもらいます。

 

この研究会は、最初2,3人でやっていました。

今では、彦坂九段の快刀乱麻を断つ講評を慕い、

若手や院生がずいぶん集まるようになりました。

 

今、並べているのは鶴田二段。

正面にいるのが彦坂九段、志田六段、中野九段。

基本、彦坂九段の講評がメインですが、もちろん他の棋士も参戦します。

 

彦坂九段と全く異なる囲碁観を持つのが、中野九段。

 

中野九段 「こうしたらどうですか?」

彦坂九段 「イヤ、それはないだろ」

中野九段 「ええー?そうですかぁ?」

 

みたいに真っ向からぶつかることが、しょっちゅうあります。

 

中野九段、自説を述べる

      ↓

彦坂九段に一刀両断される

      ↓

中野九段、図を作って粘る

      ↓

また彦坂九段に言葉で一蹴される

      ↓

両先生のやりとりがあまりに面白いので、若手が吹き出す

 

この流れが何回繰り返されたかわかりません。

 

部分的な手どころでは、読みの強い伊田四段。

 

伊田四段 「そこはツケコシでわかりやすく取れてるんじゃないですか?」

彦坂九段 「おお、なるほど。・・・というかお前、そんなところからしゃべってないで、近くに来いよ」

伊田四段 「あ・・・」 (とニコニコして、行かない)

 

難しい局面で、信頼されている志田六段。 

 

彦坂九段 「これは難しいな。どうだ、志田?」

志田六段 「・・・・・・・・・」

彦坂九段 「お前も、たまには何か教えてくれよ(笑)」

志田六段 「・・・・・・・・・」

 

このように、それぞれが持ち味を発揮しつつ、検討が進みます。

 

彦坂九段は、遠目には近寄りがたい雰囲気ですが、

実際はめちゃめちゃ優しい先生です。

 

そのあたりのエピソードも、

また次回お話したいと思います。 

 

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昨日の続き

2013-06-07 23:40:09 | 柳澤理志

個人的に注目した二局は・・・

 

中野VS志田 中野九段の白番中押し勝ち

小県VSビャン 小県九段の白番中押し勝ち

 

いずれも、大先輩が若手を退けました。

 

志田六段は、形勢が悪くなっても表情が全然変わりません。

知ってはいたけど、本当に淡々と打つなー、

と思いつつ観戦しました。

 

 

さて・・・・・・

 

 

おやすみなさい。

 

 

 

 PS このブログをお読みの皆様、

    何かご質問やご要望などあれば、ぜひ書き込んでください。

    (棋士のこんな姿が見たい、この碁を解説して欲しい、など)

    ブログを書く上での参考にさせて頂きたいと思います。

 

PPS  先週の記事にコメントしてくださった皆様、ありがとうございました。

     ホメられて伸びます。

 

 

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お昼休みは静かにウォッチング

2013-06-06 12:28:06 | 柳澤理志

こんにちは、柳澤です。

先週に引き続き、プロ棋士の対局の模様をお伝えしたいと思います。

 

午前10時から始まった対局は、

11時45分~12時30分の間、昼休憩となります。

食事など自由に行って来れます。

 

個人的には、手合い日はあんまり食べられないので、

もっぱら散歩します。

 

中部総本部最高の部屋、「祥雲の間」。

中根直行八段VS瀬戸大樹七段の王座戦本戦が行われています。

ここは「和光の間」。

いろんな小道具が散乱していますね。

こちらは大広間。

休憩中の数人の棋士たちが盤面を見て廻っていました。

 

僕がカメラを構えたことに気付くと、

みなさん、厳かにフレームアウトなされました。

 

個人的に注目の一戦。

中野寛也九段VS志田達哉六段 (志田の先番)

右側のクッションとかリュックとかが置いてある方が中野九段です。

個人的に注目の一戦 Ⅱ

小県真樹九段VSビャンウォンケイ初段 (ビャン初段の先番)

漢字が一文字たりとも変換できない、ビャン新初段の初手合い。

 

この時間帯は、まだ差し手争い。

休憩のときに手番の人の方が、たくさん考えられて有利じゃないか、

と思われるかもしれません。

 

しかし、あんまり根を詰めすぎると

逆に悪手を打ちかねないような局面なので、

大多数の棋士はそれほど気にしません。

 

でも中には、全く休むことなく、延々と碁盤の前で考慮にふける棋士もいました。

 

それもどうか?ということで、

今では、着座することが許されているのは

再開5分前から、となっています。

 

さて、 そろそろ対局が再開されます。

 

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とある木曜日の光景

2013-05-31 12:20:36 | 柳澤理志

プロ棋士が対局後、ほぼ100%やること、それは・・・

 

検討。(感想戦ともいいます)

 

木曜日は、棋士の対局日。

朝10時に始まった対局も、18時頃には大体終わってきます。

 

この時間帯の棋士たちの様子に、スポットライトを当ててみました。

 

日本棋院中部総本部2Fロビーでは、その日最も注目の対局が観戦できる、モニターが設置されています。

この日(5月30日)は、羽根直樹九段VS清成哲也九段の王座戦本戦。

すでに対局は終了し、検討の模様が映し出されています。

ちなみに、無音です。

 

対局は3Fで行われています。

生で見たいと思っても、関係者以外は入れません。

 

僕は、まんざら関係がないこともないので、対局室に突入してみました。

真剣な検討が続いています。

 

日本棋院中部総本部1Fには、囲碁カフェ&レストラン 「UN-CHAIN(アンチェイン)」があります。

木曜日は、対局の終わった棋士が来ることが多いです。

 

対局の終わった棋士たちが検討してました。

左から、山本賢太郎五段、大澤健朗二段、下島陽平八段です。

大澤二段は、UN-CHAINのオーナーでもあります。

 

それにしてもこの男達、

「見た目が棋士っぽくない棋士選手権」

があれば、確実に上位を独占するでしょう。

 

結果は、このような紙に勝者が記帳します。

羽根VS清成戦は個室でしたが、多くの対局は大広間で行われます。

 

大広間で、最後に残っていた一局が終局しました。

中野寛也九段VS鶴田和志二段

激戦の熱が冷めやらぬまま、布石から振り返って検討しています。

結果はどうだったのでしょう?

 

再びUN-CHAINに戻ると、棋士が増えてる!

そして爽やか棋士下島陽平の、ゴリラっぽい瞬間を捉えてしまいました。

 

宮川史彦七段と伊藤庸二九段が検討の中心になっています。

文明の利器、アイパッドで検討。

 

そうこうしていると、鶴田二段が検討を終えて降りてきて、

「中野先生にどうやったら勝てるのでしょうか・・・」

とつぶやく。

 

彼は今年、中野九段と二回手合いで当たって、二回とも・・・・・・・だそうです。

 

ちなみに彼の今年の成績は九勝二敗。

 

全対局が終了した大広間。

プロ棋士たちが己の存在を懸けて戦った熱気が、まだ残っています。

 

先日の記事で重野二段が

「熱気ムンムン」

形容していましたが、大げさではありません。

 

入った瞬間に、明らかに空気が異質です。

揮発した血と汗と涙が飛散している感じがします。

  

未だ、その生態の大部分が謎とされているプロ棋士。

 

プロ棋士は、複数集まると碁の検討を行うという習性があります。

「勉強しなきゃ」 と思ってやってるわけではなく、習性なのです。

 

大勢で検討し始めると、終わらなくなります。

時に、飯を食うのも忘れて延々と検討し続けます。

 

誰かが「飯食いに行こうよ」と言っても、

大体シカトされて検討が続きます。

 

空腹にたまりかね、無理矢理ザーッと石を片付けても、

みんな頭の中でイメージできるので、平然と検討を続けます。

 

だったら飯食いながらでもできるじゃん・・・・・・

 

それが、プロ棋士です。

 

突然このようなリポートをしてみましたが、

いかがだったでしょうか?

 

以上、柳澤でした。

 

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