劇団☆新感線の吉原御免状を観て来た。
予習の為に隆慶一郎原作の「吉原御免状」を読み、
続編の「かくれさと苦界行」まで読んだ私としては、
この込み入った内容を、
2時間40分のお芝居で果たしてどの程度、客に理解させる事が出来るか少々不安だったが、
どうしてどうして。
脚本としてばっちり作り上げられ、練り込まれた物になっていて原作と遜色なく楽しめた。
中島さん、随分苦労されたんじゃないかな?
でも、中島さん自身大変な隆慶一郎ファンでもあり、
今までの作品の中にも明らかに隆慶一郎のエッセンスを含むストーリーの多かったいのうえ歌舞伎が、
いよいよ本領を発揮したと言えるこのお芝居。
新感線ファンはもちろん、隆慶一郎ファンも納得できる素晴らしい出来だったと思う。
さて、その舞台はと言えば、もうびっくりの連続。
かなりの場面転換があるのだが、
回り舞台を上手く使って、街道、切見世、茶屋、揚屋、お歯黒どぶ、柳生宗冬の座敷、屋根、風呂屋などなど、
数分おきの場面転換。
それはそれは大変な作業。
大道具のスタッフさん達が、力技でセットを押したり引いたりして転換させていた。
そのプロの仕事っぷりに脱帽。
加えて照明の見事さ。
部屋の中に居る設定の役者に、ぴったりと上からのサスが当たったのを見た瞬間、
あの複雑な舞台装置を縫って、正確に役者にライトを当ててくる照明スタッフの力量と、
芝居を演じ続けながら、段取り通りその位置に居る事が出来る役者の力量を感じた。
二つの力があわさってこその効果は、並じゃない。
そしてまた舞台を盛り上げる為の特殊効果の多さも、新感線の特徴だが、
本火、レーザー、白煙、スモーク、血糊・・・・
これらを安全に、且つ確実に舞台効果として舞台に乗っけられるスタッフの存在も大きい。
音響も素晴らしい。
殺陣に合わせて、「カキーン」だの「シャキーン」だの「ズバッ」だの、
半端ない数のSEが用意されているのだが、
その音を出すシステムのキーボードが、7、8台は並んでいると言う。
音を出すスタッフは、舞台を見ながら、それに合わせて相応しい音を出さなくてはいけない。
稽古を何度も観て、流れが大体つかめているとは言え、
役者が台詞を言うのと同じ位、間合いやリズムを掴んでいなくては
とても出来る仕事ではないと思う。
更に衣装。
今回は吉原の話なので、花魁やそれに続く新造や禿達の、豪奢で繊細な衣装が膨大に必要だ。
主役、松永誠一郎役の堤真一でさえ、(おそらく)4度の衣装換えをしている。
50人以上が登場するこの芝居の中で、一体何着の衣装が用意されたか、想像だに出来ない。
とまあ、スタッフの事ばかりを取り上げてきたが、
新感線の舞台は、そこに思いを巡らさずにはいられない程、全てが完璧に素晴らしい。
それをまとめる演出、いのうえさんの素晴らしさは言うまでもない。
今回の吉原御免状は、原作のイメージを壊さず、
それでいて新感線らしさも出さなくてはいけない、難しい作品だったと思う。
笑いは一切無し、と聞いていたが
実際にはくすっと笑わせるシーンも幾つかあった。
原作に忠実に従っている台詞でも、役者のイメージが大きすぎて
つい穿った見方をしてしまい、笑いの起こる場面もあった。
「大笑いして、観終わった後に何にも残らない芝居がしたい」が信条の新感線にしては
これはかなりの冒険だったと思う。
だけど、新しい新感線の始まりでもあった。
20代の劇団員がいなくなってしまった(らしい)新感線の、大人の舞台をこれからも観てみたい。
もちろん、おバカ路線も突っ走って欲しいが・・・。
予習の為に隆慶一郎原作の「吉原御免状」を読み、
続編の「かくれさと苦界行」まで読んだ私としては、
この込み入った内容を、
2時間40分のお芝居で果たしてどの程度、客に理解させる事が出来るか少々不安だったが、
どうしてどうして。
脚本としてばっちり作り上げられ、練り込まれた物になっていて原作と遜色なく楽しめた。
中島さん、随分苦労されたんじゃないかな?
でも、中島さん自身大変な隆慶一郎ファンでもあり、
今までの作品の中にも明らかに隆慶一郎のエッセンスを含むストーリーの多かったいのうえ歌舞伎が、
いよいよ本領を発揮したと言えるこのお芝居。
新感線ファンはもちろん、隆慶一郎ファンも納得できる素晴らしい出来だったと思う。
さて、その舞台はと言えば、もうびっくりの連続。
かなりの場面転換があるのだが、
回り舞台を上手く使って、街道、切見世、茶屋、揚屋、お歯黒どぶ、柳生宗冬の座敷、屋根、風呂屋などなど、
数分おきの場面転換。
それはそれは大変な作業。
大道具のスタッフさん達が、力技でセットを押したり引いたりして転換させていた。
そのプロの仕事っぷりに脱帽。
加えて照明の見事さ。
部屋の中に居る設定の役者に、ぴったりと上からのサスが当たったのを見た瞬間、
あの複雑な舞台装置を縫って、正確に役者にライトを当ててくる照明スタッフの力量と、
芝居を演じ続けながら、段取り通りその位置に居る事が出来る役者の力量を感じた。
二つの力があわさってこその効果は、並じゃない。
そしてまた舞台を盛り上げる為の特殊効果の多さも、新感線の特徴だが、
本火、レーザー、白煙、スモーク、血糊・・・・
これらを安全に、且つ確実に舞台効果として舞台に乗っけられるスタッフの存在も大きい。
音響も素晴らしい。
殺陣に合わせて、「カキーン」だの「シャキーン」だの「ズバッ」だの、
半端ない数のSEが用意されているのだが、
その音を出すシステムのキーボードが、7、8台は並んでいると言う。
音を出すスタッフは、舞台を見ながら、それに合わせて相応しい音を出さなくてはいけない。
稽古を何度も観て、流れが大体つかめているとは言え、
役者が台詞を言うのと同じ位、間合いやリズムを掴んでいなくては
とても出来る仕事ではないと思う。
更に衣装。
今回は吉原の話なので、花魁やそれに続く新造や禿達の、豪奢で繊細な衣装が膨大に必要だ。
主役、松永誠一郎役の堤真一でさえ、(おそらく)4度の衣装換えをしている。
50人以上が登場するこの芝居の中で、一体何着の衣装が用意されたか、想像だに出来ない。
とまあ、スタッフの事ばかりを取り上げてきたが、
新感線の舞台は、そこに思いを巡らさずにはいられない程、全てが完璧に素晴らしい。
それをまとめる演出、いのうえさんの素晴らしさは言うまでもない。
今回の吉原御免状は、原作のイメージを壊さず、
それでいて新感線らしさも出さなくてはいけない、難しい作品だったと思う。
笑いは一切無し、と聞いていたが
実際にはくすっと笑わせるシーンも幾つかあった。
原作に忠実に従っている台詞でも、役者のイメージが大きすぎて
つい穿った見方をしてしまい、笑いの起こる場面もあった。
「大笑いして、観終わった後に何にも残らない芝居がしたい」が信条の新感線にしては
これはかなりの冒険だったと思う。
だけど、新しい新感線の始まりでもあった。
20代の劇団員がいなくなってしまった(らしい)新感線の、大人の舞台をこれからも観てみたい。
もちろん、おバカ路線も突っ走って欲しいが・・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます