漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

紅い少年兵たち

2010年12月30日 | Weblog

朝刊のテレビ欄で、
「民衆が語る中国激動の時代」と云う文字を見つけ、「ああ、あれだな」と直ぐ気付いた。

それは、文化大革命の時代、
積極的に行動したり、虐げられたりした人々などの生々しい証言を集めた番組。

彼らは、うかつに物を云えば自身や家族にとって生命の危険もあると考え、
最近まで口をつぐんでいた当事者たち。

今は老人となった彼らも、
自分たちの証言を歴史に残したいと考え取材に応じている。

中国で「文化大革命の嵐」が吹き荒れたのは、もう五十年近くも前、
日本では昭和四十年代、
「東京オリンピック開催から高度成長へまっしぐら」と云う時代。

当時の中国は鎖国状態、
日本を含む西側諸国とは国交がなく、情報も閉ざされていた。

ちょうど、今の北朝鮮のような状態だった。

従って、
中国でなにやら大事件が起こっているらしいとだけは分かるるが、
そのくわしい内容については分からズ、
中国政府の公式発表などが断片的に流れてくる程度だった。

辞書によると、
   
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【文化大革命】ぶんか‐だいかくめい

1966~1969年に中華人民共和国で、大衆を動員して行われた政治闘争。
毛沢東自身が主導し、
直接紅衛兵を動員して、
既成の一切の価値を変革すると唱したが、
劉少奇を代表とする党・政府機関および学界の実権派からの奪権闘争でもあった。

多くの知識人が投獄・殺害され、文闘は武闘に発展、
一般にも多くの死者を出してその後の中国社会に深刻な傷を残した。

1980年代以降「重大な歴史的誤り」として全面否定。

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今の若い人には分かりにくいと思うが、
要するに、
ある程度の民主化を許容し経済の活性化を図ろうとする進歩派と、
毛沢東を戴く共産主義をつらぬこうとする保守派との権力闘争だった。

その尖兵として「紅衛兵」と云うまだ十代の青年たちが動員されたのだった。

今では、当の中国でさえ、
「重大な歴史的誤り」として否定されているが、

当時の紅衛兵は「正義を行う義兵」として、
日本でも「正義の味方」のように報道されていた。

私は以前、古本屋で見つけた、
名優伊藤雄之助の随筆集を読んだ時、
その中の一編に「紅衛兵を礼賛」し、「日本の若者を嘆く」文章を見つけた。

今となっては、
これを、愚論と冷笑するのは簡単だが、
あの当時は、
日本の名だたる大新聞を始め文化人や大学教授はみな同じような意見だったのである。

ただ、皆、そんな事は無かったかのように口をつぐんでいるだけ、
私はこの番組によって「文化大革命のなんたるか」を「身近なもの」として理解できた。

同時代に起きた事件だけに、
その報道のされ方や人々の受け取り方など、社会の構造を知る上でも有意義だった。

もう一度、見たいが、一挙四回分だと長いからナァ・・・。





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