江戸時代の噂話を集めた記録にあるはなし。
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ある人、名人と名の高い彫金師に、
刀の鍔(つば)を注文して、
「”よき酒”を彫りそうろうように」と申し付けそうろう処、
「安き事なり」と請けそうろうて、
後日、麻殻(あさがら)の図を彫りて渡しそうろう由。
仔細は、
「よき酒は、浅くからくこれ有りそうろゆえ」”麻のカラ”彫りそうろう由。
これを聞いた人、
「悪しき酒を」と注文せし処、”すあま”を彫りそうろう由。
悪酒は、酸くあまくこれ有りそうろう故なり。
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【素甘】 すあま
蒸した上新粉に砂糖をまぜて作る和菓子。
元は州浜(すはま)、紋所にもあるデザイン。