漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

デイブック島の農業政策

2012年11月06日 | 政治・経済・こぼれ話

南太平洋に浮かぶデイブック島は、
人口十万人、小さな島ですが風光明媚で平和な島です。

この島の主要産業は、
五〇年程前に発見され、今ではこの島の経済を支えている銀鉱山と、

昔からの伝統的な農業によるコメの栽培です。

近年は銀鉱山の経営が順調で島の経済は豊かですが、
現金収入を得た鉱山労働者は、

輸入した小麦で焼いたパンを食べるようになり、

熱心だが、小規模な農家が多くて、
効率の悪い生産を続けるコメの消費量が落ち込んでいます。

ただ、農業はこの国の伝統であり、
農民たちの組織力は選挙の時に大きな力を発揮するので、

島の政府は、選挙の時の農民票を目当てにコメ農家の保護に熱心です。

昨年の予算でも、
コメ余りのため低迷を続けるコメ相場を活性化しようと、

銀の輸出で得た税金から、
コメから小麦への「転作奨励金」を「三億円」も出したぐらいです。

処が慣れない麦作りとあって農民の意欲は薄く、
収穫も芳しくなく、これだけのカネをかけても、今年の小麦の生産は六百トン。

これには鉱山で働く人々から、

「俺たちの税金を使って、
 何と云う馬鹿なことをするんだ」と、怒りの声が上がっています。

なにしろ、この国が今輸入している小麦は、
奨励金の三億円も出す気なら、その十倍の六千トンは買えるのですからネ。

島民の一部にしか過ぎない農民に、
こんな大金をバラ撒いていては、

マジメに税金を払っている労働者が怒るのもムリはありません。

なにしろ、肝心の農民たちでさえ、
「あのカネをそのまま現金で分けてくれたらいいのに」と、陰で言っているぐらいですから。

ただ、この平和なデイブック島も、二・三年まえから、
近くの大陸にあるセンターカントリー国から、軍事的な圧力が掛かっており、

その狙いはどうやら、デイブック島の地下資源らしいと、

“DAY・BOOK”人たちはウワサしていて、
今の処、転作奨励金より、そちらの方が気になっているようですが。







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