すでに、
ビデオの結果は分かっているのに、
それでも興奮しましたね、きのうのW杯ラグビー。
ことに、最後の10分、
同点で、日本のゴール前まで攻め込んでいた南アが、
ペナルティを得たのに、
トライを狙わず、PKを選択したとき、
スタンドを埋めたイギリス人観客は大ブーイング、
「なぜ、トライを狙わぬ」と。
その数分後、
今度は南アの反則で、日本がペナルティを得たとき、
PKを蹴れば同点で引き分けが確実なのに、
勝利を目指して、トライを狙うと分かった時のスタンドのどよめきよう。
ラグビーの本場の観客の声援が、
同情ではなく、確実に日本チームに来ていることが伝わり、
テレビ桟敷のこちらまで、胴が震える思いでした。
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世界のメディアも驚きをもって日本代表の大金星を伝えた。
AP通信は「ラグビーW杯史上最大の衝撃」と報じ、
英メディアのPAスポーツは
「スポーツ史上、最も素晴らしい大番狂わせのひとつ。
だからこそ、われわれはスポーツを愛するのだ」。
ニュースサイトのブリーチャーリポートは
「試合前の賭け率は日本勝利が900倍。
南アフリカが43点差で勝利と予想されていた」と紹介した。
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“世界の驚き”は、
いかに日本ラグビーが舐められていたかの証左でもあります。
思い返せば、
ラグビー人気の凋落の主因はこの「W杯の始まり」にこそあります。
W杯における
日本ラグビーの歴史は、打ち続く惨敗の歴史でもあったのです。
サッカーのW杯の成功を見て、
国際ラグビー評議会(略称IRB)の始めたラグビーW杯は、
ラグビー強国の間でこそ盛り上がったが、
日本のような体力的に劣る国では、
逆に「力の差を見せ付けられ」衰退する、と云う副作用が出た。
あまりにひどい負けようは、
日本国内では英雄的だった選手たちによるものだったけに、
しぜん、観客は失望して、ラグビーから遠ざかる。
ファンの減少はテレビ中継を減らし、
ラグビー人気の下降は、ラグビーをやりたいと思う少年たちをも減らす。
ラグビー人口の減少は、
選手層とファン層を薄くしそれがまた人気を落とし、
テレビ中継もさらに減ると云う悪循環。
それを打破するためには、
IRBによる国籍条項の緩和は止むを得ぬ策だったのでしょう。
ただ、これでラグビー人気復活、
W杯で決勝リーグへ、・・・と思うほど、この世界は甘くない。
また、カタカナ名前の並ぶ、
“ジャパン”が、オールドラグビーファンにとって違和感を伴うのも確か。
しかし、今はそんなことは言いますまい、
とりあえずは、
素晴らしい試合内容での勝利を喜んでおきましょう。