きのうの続き。
「落語のリアルな表現」をいくつか紹介してみます。
まず、冒頭、
質屋の主人が、番頭を相手に我が商売を語る処、
~~~~~~~~~~~~~~~
「私は質屋と云う商売は
その日の生活に困るような人には、ぜひとも必要で、
無くてはならん、
随分と役に立つ、結構な商売じゃと思うてます。
決して悪い商売じゃとは思やせん、
思やせんが、
人間と云うものは、まことに身勝手なもんじゃでなぁ、
自分が大事にしているものを質に置いて、
ひょっと、これが出せなんだりするとやなぁ、
悪いのはおのれやで、
おのれのせいやねんけれども、
自分のことは棚に上げ、筋違いに質屋を怨む人がある。
こちらで気付かぬうちに、
他人さんの恨みを買うていると云うこともある、因果な商売じゃでナァ」。
~~~~~~~~~~~~~~~~
この話の時代設定は明治だが、
江戸時代に遡ろうと、
或いは、質屋をサラ金に置き換え、現代にしようと充分な説得力を持つ。
もうひとつ、
~~~~~~~~~~~~~~~~
まぁ、ウチの蔵に入っているような質草で、
「立派に構えた表通りの大店(おおだな)で、
カネの事など気にせず買いました」と、云うような品物は、まず少ない。
まずまず、担(かつ)ぎの呉服屋の品物がええ処か、
背中に大きな呂敷包みを背負うて、
裏長屋を一軒一軒回ってくる行商の呉服屋、
こう云う商売は、客と馴染みにならな話が始まらん、
売れても売れんでも、定期的に廻って、馴染みにならなアカンのじゃ。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「担ぎの呉服屋」とは、
大きな風呂敷に商品の衣類を詰め込み、背中に担いで売り歩く呉服屋。
大概は店を持たず、
裏長屋の一軒一軒でも、声を掛けながら売り歩く小商人。
このわずかな語りで、
昔の庶民のつましい暮らしぶりが写される。
付け加えれば、
今のように、安価で丈夫な衣類が溢れている時代と違い、
昔の庶民にとっては、着物は勿論、下着一枚でも、簡単には買えぬ時代だった。
「落語のリアルな表現」をいくつか紹介してみます。
まず、冒頭、
質屋の主人が、番頭を相手に我が商売を語る処、
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「私は質屋と云う商売は
その日の生活に困るような人には、ぜひとも必要で、
無くてはならん、
随分と役に立つ、結構な商売じゃと思うてます。
決して悪い商売じゃとは思やせん、
思やせんが、
人間と云うものは、まことに身勝手なもんじゃでなぁ、
自分が大事にしているものを質に置いて、
ひょっと、これが出せなんだりするとやなぁ、
悪いのはおのれやで、
おのれのせいやねんけれども、
自分のことは棚に上げ、筋違いに質屋を怨む人がある。
こちらで気付かぬうちに、
他人さんの恨みを買うていると云うこともある、因果な商売じゃでナァ」。
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この話の時代設定は明治だが、
江戸時代に遡ろうと、
或いは、質屋をサラ金に置き換え、現代にしようと充分な説得力を持つ。
もうひとつ、
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まぁ、ウチの蔵に入っているような質草で、
「立派に構えた表通りの大店(おおだな)で、
カネの事など気にせず買いました」と、云うような品物は、まず少ない。
まずまず、担(かつ)ぎの呉服屋の品物がええ処か、
背中に大きな呂敷包みを背負うて、
裏長屋を一軒一軒回ってくる行商の呉服屋、
こう云う商売は、客と馴染みにならな話が始まらん、
売れても売れんでも、定期的に廻って、馴染みにならなアカンのじゃ。
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「担ぎの呉服屋」とは、
大きな風呂敷に商品の衣類を詰め込み、背中に担いで売り歩く呉服屋。
大概は店を持たず、
裏長屋の一軒一軒でも、声を掛けながら売り歩く小商人。
このわずかな語りで、
昔の庶民のつましい暮らしぶりが写される。
付け加えれば、
今のように、安価で丈夫な衣類が溢れている時代と違い、
昔の庶民にとっては、着物は勿論、下着一枚でも、簡単には買えぬ時代だった。