漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

将棋界のハルマゲドン

2016年10月22日 | 事件
将棋界が揺れてます。

騒動の発端は、日本将棋連盟が、
連盟所属棋士の三浦弘行九段を、年内、「公式戦の出場停止処分」としたこと。

その理由としては、
「三浦九段は、公式戦の途中、席を離れることが多く、

そのとき、控室などで、
“スマートフォンを通じて将棋ソフトを使い”、
不正をしているのではと過去の対戦相手から疑問が指摘されていたことによる。

つまり、ソフトで“カンニング”していたのではないか、と云う疑い。

ただし、三浦九段はこれを否定、確たる証拠はない。

まぁ、詳しく知りたい方は新聞を読んで頂くとして、
そんなことより、

私のような一ファンとしてあるのは、
「ついに将棋ソフトもここまで来たか」という感慨なんです。

むかし、大ブームとなったファミコンに対応したソフトは、
「初心者の遊び相手」レベルでしたが、その後のソフトはどんどん腕を上げ、

やがて、アマチュア有段者でさえ舌を巻くほどの強さとなり、
最近では、プロのトップクラスとも、“互角の勝負をする”までになった。

そこまでなれば、
プロ棋士が勝負を戦う際の「相談相手」、参謀にも成れるわけで、

ひとり孤独に戦う棋士より、
参謀の意見を参考に指す棋士の方が有利になるのは間違いのない処。


つまり、今度の騒動は、

ソフトが強くなったればこそ、なのだが、
いずれこうなるであろうことは、私のような素人でも想像はついていた。

なにしろ、コンピューターの得意は「記憶と計算」、
将棋が強くなるためには、まさにソレこそが必要、なのだから、

人間が記憶や計算で、
コンピューターにかなわないとなった時点で、

今日あるは自明の理、だったわけだ。

処で、ソフトには、いくつかの発展段階があり、
まずは、遊び相手、さらにはプロレベル、と来て、もう一つ、究極の段階がある。

世間では、ソフトがプロの将棋指しより強い、となれば、
将棋のプロの存在価値はなくなる、と思う人もいるようだが、

わたしはそうは思わない。

マラソンのコースは、
走るより、タクシーに乗った方が速いが、

だからと云って、マラソン選手が不必要、とはならない。

同じように、
機械が上回ったからと云って、即・プロ失業とはならないだろうが、

では、人間の将棋指しが安泰か、と云えば、そうとも云えない。

このままの勢いで、ソフトが進歩すれば、
“将棋のハルマゲドン”が起こる可能性が高いからなんですね。

つまりそれ、ハルマゲドンとは、
将棋と云うゲームを極めた「必勝定跡」の完成のことでありまして、

これが出来てしまうと、以後は、

必勝定跡を暗記した方が勝つ、分けで、
そうなってはプロの将棋が「記憶力を競う」ことになってしまい、

勝負事としての妙味はなくなる。

それでは、現在のように、
大新聞社が大金を払って棋戦を主催する、と云うこともなくなるだろうし、

将棋人気が下がれば、ソフトも人気が下がる。

つまり、将棋関係者、誰もが不幸になる。

処が、人間と云うのは、おかしな生き物で、

それが分かっていても、
「将棋を極める」と云う魅力や功名心には勝てず、

ソフトの開発者が、
ハルマゲドン目指して突き進んでいるような気が、

私にはするのですが・・・・・、

ただ、ソフトの方も、
ここまでは、プロの差した将棋、何百万局かを記憶させ、

そのデーターを参考に刺せばよかったけど、
ここから、プロより強くなろうと思えば、

今までのようなキャッチアップでは、
追いつけても、追い越すのは簡単ではない。

追い越すためには、
新手を見つけて行かねばならぬわけですからね、

それは、ケッコウ大変だと思うから、
今までのようなスピードで強くなる分けには行かない。

必勝定跡と云っても、
そう簡単なものではない、とワタシは思うのですが、・・・


ハテ、この行く末は、如何と相成りましょうや。


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【ハルマゲドン】 Harmagedōn
《新約聖書「ヨハネ黙示録」16章から》
世界の最後の日に起こる善悪諸勢力の終局の決戦場。
転じて、世界の終わり。




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