【歯顔大笑】

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111.【二口女】

2012-04-09 | 
【二口女】(ふたくちおんな)

今回は昔から伝えられている日本の妖怪二口女についてです。 二口女は”妖怪のひとつで、姿かたちは人間の
女性に似ているが、後頭部に大きな「もうひとつの口」があるのが特徴。 人前では決して食事をせず、誰もい
ない時を見計らって一時に数人前の食事を平らげると言われる。”といわれています。



なんか怖そうな妖怪ですね。全国で二口女に関する似たような昔話があるのですが、代表的なものは次のような
ものです。

 ”昔、ある男が「飯を食わぬ女房がほしい」と思っていた。あるとき、美しい娘がやってきて「私は飯を食わぬ
から女房にしてくれ」と言う。喜んだ男、さっそく彼女を嫁に迎えたが、実はこの女房、髪を解くと頭のうえに大
きな口があって、男の留守に握り飯を作ってはその口で食べていた。それを知った男、恐ろしくなって女房に暇を
出したが、彼女は男を桶に押し込め山へ連れ去ろうとする。途中、なんとか脱出した男が菖蒲(しょうぶ)とよもぎ
の草叢に隠れると、追ってきた女房は「菖蒲とよもぎに触れると、体が腐ってしまうのだ」と退散する。以来、五月
の節句には菖蒲とよもぎを軒下にさすようになった。”

 こんな感じのもので主に”飯食わぬ女房”という昔話として伝わっています。日本の昔話は”鶴の恩返し”や”浦島
太郎”のように『やってはいけない!』ということを破った時に悲劇が起こるというパターンが多いです。これは人間
と妖怪は相容れないという事をあらわしているのではなく、妖怪が棲む自然界と人間の文化がうまく共存していく事へ
の戒めや教えを説いているのです。この二口女の話では菖蒲とよもぎが無病息災に効く信じられていた時代の”魔よけ
の教え”として作られたものだと思われます。



 ・・・・・実はこれ、東日本に多く伝わる話で、西日本ではまた違った展開なのです!桶に入れられ山へ連れられて
行くところまでは一緒なのですが、二口女は蜘蛛に姿を変えていたのです。命からがら帰ってきた男のもとに大晦日の夜、
また、その蜘蛛女房が襲いにやってくるのです。気づいた男が囲炉裏で焼き殺し、これでやっと二口女から逃れる事が
できました。『もう飯食わぬ女房などいらぬ。 普通に食う女房がええ。』と火に焼かれる蜘蛛を見ながら思ったのです。
 
 こちらは「夜出てくる蜘蛛は殺せ。」という言い伝えの由来、大晦日の夜の囲炉裏の火が神聖なものである、という
説のもとになっていると考えられています。

 
 みなさんは西の展開と東の展開とどちらがお好きですか?

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