【歯顔大笑】

歯を見せて大きく笑おう!

84.【口耳四寸の学】

2011-09-26 | 
【口耳四寸の学(こうじよんすんのがく)】

みなさん、この言葉聞いた事ありますか? 
意味もこれにまつわる話も深く、そしてためになるのでご紹介します!

まずは意味から・・・

口と耳との距離は約四寸、12センチほどです。人から聞いて
耳から入った知識をそのまま知ったかぶりして口からすぐ出し
て話す事。つまり受け売りで身についていない様子をいいます。

出典は「荀子-勧学」なのですが・・・

【荀子】(勧学篇)より

 小人の学や 耳に入りて口に出て 口耳の間は 則ち四寸のみ
 曷(なんぞ) 以て七尺の躯を美にするに足らんや

【口語訳】

 小人は耳から学んだ学問をすぐに口に出してしまう  口と耳
 までの距離はわずかに四寸 これでは七尺の身体全体に行き渡
 らせることはできまい

これだけでも、耳から聞いて学んだ事をしっかり咀嚼、理解せず人
にペラペラと話してしまう事(よくあることだと思いませんか!?)
の浅はかさを感じますが、これだけではない深い部分があるのです。


この前文として・・・

”君子の学は、耳から入って、心まで辿りつく。
 体の隅々に行き渡り、立ち振る舞いに現われる。
 つまり、僅かな言葉が、全ての行為の規範となる。”

その後文として・・・

”小人は、語って、伝えようとする。
君子なら、黙って、伝えようとする。
魅せることが出来るのは、後者である。


つまり・・・

学ぶとはしっかりと理解し自分のものにする事で、さらに慎ましやか
にしていても周りに自然に知られることとなり、よい影響を及ぼす人
こそ本物であるっという事です。


どうですか?”口耳四寸の学”、この言葉にはこう学び、こういう人
になろうという意味の背景を知って覚えれば、”口耳四寸の学”に
ならなくてすみますね!

83.【合口】

2011-09-20 | 
【合口(あいくち)】

この言葉、聞いた事ありますか? 使った事ありますか? どんな
時に使いましたか? 実は結構、奥が深い言葉なのでご紹介します。

まず”あいくち”と入力して変換をすると”合口”の他に”匕首”と
出てきます。『えーーっ!』とびっくりしてしまう変換ですが、実は
どちらも”あいくち”と読むのです。

意味は・・・

よく使われるのは勝負、特に相撲で相手との調子、具合、相性の良し
悪しをあらわします。他に、
・器物の蓋(ふた)と身の合わせ目。
・石積みで、石と石との接する面の表面に近い部分。合端(あいば)。
・互いによく話が合うこと。また、そのような間柄。
等があります。

これらの元になったのは・・・

実は“鍔(ツバ)のない短刀”を”あいくち”というところから来て
いるのです。通常、頭に浮かべる刀は鞘(さや)に収めた時も鍔が間に
あって飛び出した状態になっていますが、”あいくち”は鍔がなく鞘に
納めるとスッと一本の筒状になります。この鍔がなくスッキリと鞘口と
柄口が合わさっている様子から他の”合わせ目”的な意味に派生したも
のと思われます。



ちなみに・・・

江戸時代、原則として武士層以外の帯刀は禁じられたため、懐に隠せる
合口はヤクザ者に重宝されたのです。今はドスという俗称でよく耳に
するようになっています。

ところで、最初に書いた”あいくち”で変換される”匕首”は、中国の
短刀でその形状、定義も合口とは厳密には異なります。しかし、混同さ
れ現在ではどちらの表記でも”あいくち”で意味が通るようになりました。


どうですか、興味深くなかったですか? 私は剣道をやっていますが、
”合口”が鍔のない短刀であるという事も知らなかったので勉強になり
ました!

82.【口説く】

2011-09-12 | 
【口説く(くどく)】

この言葉はよく耳にするし、絶対にみなさんご存知ですね。
意味はもちろんですが、今回は語源的なものまで知っておら
れる方も多いかもしれません・・・。

【意味】
1.納得させようとしきりに説得したり懇願したりすること。
 自分の思いどおりにしようとし、いろいろに言うこと。
 (例)「父親を口説いて車を買わせる」
2.異性に対して、自分の意に従わせようと、しきりに言葉で
 迫ったり言い寄ること。
 (例)「女を口説く」
3.くどくど繰り返して言うこと。しきりに嘆きの言葉を言うこと。

通常、“口説く”の意味は1、2を思い浮かべると思いますが
3の”くどくど繰り返して言うこと、しきりに嘆きの言葉を言う
こと”、これを思い浮かべる方は少ないと思います。

実は・・・・・

“口説く”はその漢字が1、2の意味とぴったり合っているので、
「口で説く」が語源だと思われている方も多いと思います。しかし、
実際の語源は3にある“くどくど繰り返して・・・”の”くどくど”
または形容詞”くどい”の動詞化で、当て字として“口説く”と
いう漢字になったのです!

”くどく”という言葉は平安時代からみられた言葉ですが、この頃は
まだ、“くどくどしつこく言う”や“祈願する“という意味で用いら
れ、異性に対する求愛の意味で用いられるようになったのは室町時代
からだと言われています。


どうですか・・・

“口説く”、普段よく耳にしたり使ったりしますが、歴史も長く、
おもしろい語源を持った言葉ですね。男性のみなさん、女性を
“口説く”時に使ってみたらうけるかもしれませんよ!

81.【口コミ】

2011-09-05 | 
【口コミ】

みなさん、もちろん、この“口コミ”という言葉ご存知ですよね。

意味は・・・

うわさ・評判などを口伝えに広めること。例:「―で売れる」

では、語源についてですが、みなさんわかりますか? 
日本語としてどれくらい前から使われていたかご存知ですか?

この言葉、意外と歴史が浅いんです! 私は自分の中で“口込み”
という日本語、漢字で昔々からある言葉だと思っていたのです。

・・・調べてみると

なんと、1960年代に生まれた言葉でまだ50年ほどの歴史しか
ない言葉だったのです。“口コミ”の“コミ”は私が思っていた
“込み”ではなく“コミュニケーション”の“コミ”でした。
一説にはマスコミ(マス・コミュニケーション)という社会集団へ
の大衆伝達との対比として、小さな口から口への伝達という意味で
口コミ(口・コミュニケーション)という言葉が生まれたと言われ
ています。  また、もう一つは当時テレビやラジオを通じて口で
語って情報を伝える事を“口コミ”、活字によるものを”手コミ”
という対比から使われ出されたというものです。

聞いてしまえば『あ~、そうか』『そうやったんか。』っという
程度のものですが、比較的新しく日本語と英語が交じった造語だった
って事、私はおもしろく感じました。

最近はネットの発達などでブログや掲示板などを通して個人が大衆
への発言ができるようになり、ここから発信される意見や感想も
“口コミ”と呼ばれるようになってきました。特にネットで買い物
をする時には既に買った人たちの“感想”が“口コミ”として紹介
され、それらを参考にして買物をする人が増えているようです。

言葉は生活スタイルとともに生まれ、その変化とともに意味も少し
ずつ変わっていくものなんですね。