【歯顔大笑】

歯を見せて大きく笑おう!

80.【口火を切る】

2011-08-29 | 
【口火を切る】

■口火を切る
よく聞く言葉なので、みなさん意味までよくご存知だと思いますが
あらためて書いてみたいと思います。

【意味】一番始めに行動して、物事の起こるきっかけや原因を作ること。

では、”口火”とはなんなんでしょう?”切る”ってどういう意味なん
でしょう? わかりますか?

”口火”とは
元来は火縄銃や爆薬などに点火する時に使う火の事を指します。
”切る”とは
石と金属を打ち合わせたり、木と木をこすり合わせたりして発火させる
事をいい、この慣用句が生まれた当時は火打ち石を使って種火を灯す事
を「切る」といっていました。

この事から”口火を切る”とは火縄銃の点火に使う火をおこす、つまり
物事が起きるきっかけを作るという意味に転じたものなのです。


・・・余談になりますが、この言葉の類義語として”火蓋(ぶた)を切る”
という言葉があります。。。


■火蓋を切る
意味的にはよく似ていて”競技や戦いが始まること”で、こちらは火縄銃
そのものの部位、操作を表します。

”火ぶた”とは
「火蓋」と書き火縄銃のパーツの1つで火皿を覆うふたで、簡単に言うと
銃を使用しない時の安全装置のようなものです。

そして、この言葉での
”切る”の意味は 開く、外す という事を表し、弾を撃つためには火蓋
を開き、火縄の火を火薬に点火するところから、戦いを始めることを「火
蓋を切る」と言うようになりました。


よく”火ぶたが切って落とされた“と言われますが、これは誤りで類語の
「幕を切って落とす」と混ぜこぜになっているのです。。


■幕を切って落とす
歌舞伎で開演のとき、舞台の幕の上部を外して一気に落とすところから、
物事を華々しく始めるという意味です。


「幕」を使う場合は「幕を切る」または「幕を切って落とす」ですが、
「火ぶた」の場合は「切る」だけで「落とす」はつきません。上で書いた
火縄銃を想像すると”使用しない時の安全装置”である火蓋を「切って落
とし」てしまう事がない事は容易に想像がつきますね。


■口火を切る
■火蓋を切る
■幕を切って落とす

それぞれ違いがあっておもしろいですね!

79.【猪口(ちょこ)】

2011-08-22 | 
【猪口】ちょこ・ちょく

”猪に口”と書いてなんて読むか・・・お酒を飲まれる方なら間違いなく
ご存知ですね。 そう、”おちょこ”の”ちょこ”です。 しかし、元々
は”ちょく”が正しく、いつの間にか転じて”ちょこ”となったようです。

「ちょく」の語源はよくわかっていませんが、「ちょくちょく」というよ
うな、ちょっとしたものを表す「ちょく」や、真っ直ぐ素直な飾り気の無
い様を表して「直 ちょく」からきていると考えられています。

おちょこ(お猪口)
一般的には、お猪口の語源は「鐘(しょう)」(金属で作られた杯や酒壷等)
の福建音や朝鮮音などの「チョング・チョンク(chong)」という言葉の音に
元々日本語にあったよく似た意味の”猪口”を合わせたという説が多いです。
”猪口”は会席料理などの品目の一つ(向付(むこうづけ)の別名)、又は
その容器で酢の物などの料理を盛り付ける為に使われていました。それが
江戸時代中頃から日本酒を飲むときや、蕎麦を汁につけるときに用いる陶製
の小さな器を表すようになりました。

へなちょこ(埴猪口)
「埴(へな)」は「粘土」、「猪口」はお酒を飲む時のおちょこですが、
語源は、明治時代の新聞記者が料亭で酒宴をした時に、使ったお猪口が埴で
作られた粗末なものだったため、「へなちょこ」と呼んだとする説が多く語
られています。
もう一つの説は「へな」は腰砕けの状態を表す「へなへな」の「へな」で、
「ちょこ」は「ちょこまか」など目立たない小さな動作を表す「ちょこ」と
考えられ、そこに当て字として「埴」と「猪口」が用いられたというものです。

ちょこざい(猪口才)
意味は小生意気なこと、こざかしいこと、また、そのような人の事をいいます。
「ちょこ」は「ちょこちょこ」「ちょこまか」など、目立たない小さな動作を
表す「ちょこ」、「ざい」は漢字で「才」と書き「才能」の意味です。つまり、
猪口才は「ちょっとした才能」が元々の意味で、そこから「利口ぶって生意気」
という意味になり、小生意気な人や小賢しい人に対し「猪口才な」と言うよう
になりました。


どうですか、読み方、意味、由来などどれをとってもおもしろいですね、猪口!
最後に・・・昔はチョコレートの事を ”猪口冷糖”と書いていた会社もあった
ようです。 いやぁ~、ほんとにおもしろい!

78.【口から高野】

2011-08-08 | 
【口から高野】

本当に日本語にはいろいろな言葉、表現があります。みなさん、
この言葉はご存知ですか? 聞くと、『な~~んや、そうなんか!』
っとなるのですが、あまり聞く事はないような気がします。

直接的な意味としては《うっかりした言葉がもとで、出家して高野山
へ行かなければならなくなる》という事です。つまり、以前にここでも
紹介した事のある「口は禍の元(門)」や「口は虎、舌は剣」と同じ
意味なのです。

もう一つ類語として ”蛙は口から飲まるる”というものがあります。
これは”蛙は口ゆえ蛇に呑まるる”とも言われ、蛙は鳴く事によって
ヘビに居所が知れ呑まれてしまうるという意味から余計な口をきいて
身を滅ぼすという意味になります。


”口から高野”の余談になりますが、隠語で”高野山”と呼ばれるもの
があります。ご存知ですか? 高野山で出家する人は頭を剃らなくては
なりません。髪を落として(切って)お坊さんになることと、紙を落と
すことをかけて”トイレ””便所”の事を高野山と呼ぶようになりまし
た。お寺と言えば、高野山ということだったんでしょうね。


77.【”笑”という漢字】

2011-08-01 | その他
【”笑”という漢字】

”笑”という漢字はなぜか見るだけでも、自然と微笑んでしまうよう
な感じになりますね。今回はこの字についてご紹介したいと思います。

意味は・・・
1 わらう。わらい。「笑声・苦笑・談笑・爆笑・微笑・冷笑」
2 わらわせる。おかしい。「笑話」
3 謙遜(けんそん)を表す語。「笑納・笑覧」
大体こんな感じですが、意味はみなさんよくご存知でご紹介したいのは
その成り立ちなのです。

 
 ”笑”=”竹”+”夭” ?

まずは”夭” という文字はもともと若い巫女(みこ)さんが手をあげて舞
い踊る姿なのです。そう思って見ると「夭」の古代文字を見ると、リズムに
合わせて踊る人に見えてきますよね。



そして次は”竹”です。どうしてここで”竹”が出てくるのか。人が笑う
事に”竹”とどんな関係があるのか興味ありますよね!
・・・ですが、残念ながらこの”竹”はあの木の”竹”ではなく、両手を
あげて踊る巫女さんの両方の手を表しているのです!



(こんなふうに”手”をあげて舞う様子です!)

つまり、”笑”という文字は、巫女が両手をあげて、身をくねらせて舞う
象形文字だということです。私たちは農耕民族で古代から神と交信をして
きました。例えば、雨よ降れ、晴れになれ、豊作を・・・と。生命の源を
支えてくれる天の恵みに対して、巫女が舞い、神を楽しませようとする動
作を”笑”といったのです。



最後に余談になりますが・・・

花が開くことを、「咲く」といいます。「咲」の文字の部首部分は、人が
両手をあげ、笑い興ずる姿、つまり”笑”と同じもので「咲」という文字の
古い用例は存在せず、もとの字は”笑”で、意味も笑うという意味でした。

「咲く」という文字を、花が咲くことに充てるようになったゆわれは、花の
開くその様子を人の口元のほころびる様子に例えたからと言われています。

いやぁ~~~~、やっぱり、漢字にはいろいろ意味があり、人、神、自然等
が交じりあって成り立ち、深いものがありますね!