【歯顔大笑】

歯を見せて大きく笑おう!

133.【口開け】

2012-09-24 | 
【口開け】(くちあけ)

この言葉、簡単で字は馴染みがあり、意味も”口を開けること”と簡単です。ですが、他にも使い方として
おもしろいものがあるのでご紹介します。

意味は 

  1 閉じてある物の口をあけること。封を切ること。
  2 物事の初め。最初。かわきり。 「興行の-の日」
  3 共有の山林や漁場の解禁。
  4 能の形式の一。狂言方の台詞で一曲を始めるもの。狂言口開け。
  5 上方の歌舞伎で,続き狂言の序幕の称。

等です。4、5では能や歌舞伎とありますが落語、講談などにもよく使われる言葉として紹介されています。

同義語としては
”のっけ ・ 出はな ・ 初っ端(ぱな) ・ はな(から) ・ とっつき ・ 発端 ・ 手初め ・
言い出しっぺ ・ 火付け役 ・ 仕掛け人”     等です。   わかりやすいですね。


通常は 
 『本日は”口開け”なのでご自由に・・・』
 『連休の”口開け”は映画でも・・・』
というふうに使いますが、歌舞伎、狂言、能、落語等の風俗芸能によく使われた流れからか、現在ではクラブ
やバー等水商売のお店でよく使われています。お客さんが新しいボトルを入れた際のふたを開ける時のことを
いい、また、その日、一番最初に来店したお客さんの事をあらわす事もあります。

次は神様、仏様のお話で  ”念仏の口開け” という言葉があります。
お正月の神様(歳神様)は、死を連想するということで念仏を嫌う(?)とされ、12月16日にその年最後
の念仏(念仏の口止め)を唱えます。そして、新年初めての念仏は正月16日までは唱えないという習わしが
あり、この1月16日の事を ”念仏の口開け” といいます。
(お盆は先祖を祀り仏教的な色が強く、お正月は神道色が強いので、この時期はあえて仏教的な行事を控える
 ためのものではないかと考えられています。)


簡単な言葉ですが、毎日の生活で実際に使う事はあまりありません。ですが、これくらいの意味を知って
いると、話題の一つとして使えるかもしれませんね!


132.【口癖】

2012-09-18 | 
【口癖】

”習慣のようになっている言葉遣い。たびたび話す話やよく使う言葉。” これが口癖の定義です。
”無くて七癖”といいますが、人にはそれぞれ何らかの癖があり、特に口癖は知らない間についつい口から
出てしまうもので、聞く側からすると耳に障るものも多いです。

日常的によく耳にする口癖には
「要は」「要するに」「早い話が」「微妙に」「つまり」「逆に」「逆に言うと」「変な話」「っていうか」等が
ありますが、『要は』と言ってその後の説明が全くすっきり要約されてなかったり、『早い話が』の後の話
が少しもすっきりまとまっておらず『ゆっくりな話』だという事はよくあります。

最近では 「口癖のなかには他人に不快感を与えたり、やる気をそいだりするものがある」 ということで、
接客やビジネスマナー等のセミナーもたくさん開かれています。 また、自分の口から出る口癖で自分に
暗示をかけたり、考え方が内向きになるので、言い方を変え積極的かつ前向きに生きようという自己啓発タイ
プのものもあります。こうなってくると、単なる口癖というよりも、根本的な”生き方から”考えて行かない
とならないので、ちょっと難しい問題になってきますね。

それでは、少し、気楽に有名人の口癖にふれてみましょう。
織田信長   「・・・で、あるか」
 信長はとてもせっかちだったので、家臣の者が何か報告する時にもYesなのかNoなのか、すでに知っている
 事なのかを、報告を繰り返して言うことなく「・・・で、あるか」と言って、その後に答えていました。
 *これは思考過程の句読点のようなものなので、口癖と言えるかどうかは微妙ですね。

モーツアルト 「ぼくのこと好き?ほんとうに好き?」
 モーツアルトは、恋愛相手の女性に何度もこう言って確かめないと不安だったようで、これは彼が幼少の
 頃からかの口癖でした。
田中角栄   「確かな情報が、決断を支えるんだ」
 本当にもっともなことです! でも、「ま~、そのぉ~」ではないのですねぇ~!  
 (日本文芸社「田中角栄の実践心理術」より)
ジョン・レノン「『okagesamade(オカゲサマデ)』という言葉が世界のなかでもっとも美しい」
  日本では、人は神仏・自然・あらゆる人々とのかかわりの”おかげ(さま)で”生きている、と考えている
  事を知ったジョンはこの”おかげさまで”という言葉を非常に好みました。
 *この3つは”口癖のように言っていた言葉”という方がいいかもしれません。

政治家
 「シュクシュクと・・・」。
  苦しい場面の政治家、不祥事を起こした組織の関係者が神妙な顔つきで受け答えする場面でよく耳に
  します。漢字では「粛々」と書きますが、すっかりあまり重みのない言葉になってしまいましたね。


 
  ”口癖”と言っても、”口癖のようにいっている言葉”まで入ってくると、名言や格言まで入ってくるような
感じがしますね。私の中では最初に書いたような「要は」「要するに」「早い話が」「微妙に」「つまり」「逆に」
「逆に言うと」「変な話」「っていうか」等、本人が無意識のうちに繰り返し、繰り返し使ってしまうものが口癖
だと思ってきました。。。。いずれにしても、他人の耳にさわるような口癖は避けたいものですね。


131.【口から出る音】

2012-09-10 | 
【口から出る音】

日本では口に関するマナーはかなり緩め、甘めです。 テーブルマナー、所作等はよく紹介されますが、
口から出る音に関するマナーはあまり厳しく言われる事はありません。

口から出る音に関して考えてみましょう。
1 日常的には・・・
   -1話すときに唇や舌を使って音をだす              ”ニチャ””ペチャ”など。
   -2歯の間から息を吸ったり出したりして音を立てる        ”スゥー””シィー”
2 食事の時・・・
   -1食べている時に出す音                    ”クチャクチャ””ペチャペチャ”
   -2水分をとった後に出す音                   ”プハァー””ハァー”
   -3スープや麺類を食べる時に出す音               ”ズルズル””ツルツル””シュー”
3 癖になってしまうもの・・・ 舌打ち               ”チッ”
4 我慢しようと思えばできるもの・・・ ゲップ           ”ゲブッ”
5 我慢しきれないもの・・・ しゃっくり              ”ヒック”

これらは日本人と外国人とでは感じる不快度に大きな差があります。日本人にとっても2-1の音は
マナー違反だと教えられますが、それでも”クチャクチャ”音を出す人はたくさんいます。また、4の
ゲップはさすがにおおっぴらにする人いませんが、その他のものに関してはかなり大目に見られている
ように感じます。 
特に、高齢になってくると・・・
歯の隙間が開いてくる → 物が詰まる → スゥー、シィーと吸って取ろうとする。
口が乾燥する → 湿らそうと口をモゾモゾさせて話す → ニチャ、ペチャ音がする。
・・・・・・こういう悪循環は昔から気にしないことから起きるものでもあり、気にしないからあえて
なおす必要もないということになります。

一方、口まわりの音にとても敏感な欧米人は無意識で発せられる音でも下品、マナーに反すると思います。
歯のきしむ音や唇がこすれて生まれる”チャ”や”サッ”という音でさへも気にするので、できるだけ抑え
ようとし、人前でその音が出た時は非礼を詫びることが当然のマナーとされています。

・・・・・・・・これだけを見ると、欧米人はマナーがよくて、日本人は悪いと思いそうですが、そうでは
ないのです。欧米人は人前で平気で”ズーーッ、ズーーッ”と鼻をかみ、食事中でもする人は結構います。
日本人はこのような事はあまりしません。 つまり、”音”に関しては明らかに”気持ちが悪い”と感じる
ものと”習慣的”なものがあるのです。
 例えば、日本では麺類やお茶漬けなどを食べる時は”ズルズルゥー””サラサラ”っと音を立てることは
”おいしく食べる(食べている)”事を感じるものでもあり、習慣であり、音を立てずに食べるととても味気
なくおいしさも半減するように感じます。
しかし、欧米人は絶対音を立てません。 私のアメリカ人の友人もお茶漬けが大好きですが、まったく音を
立てずに食べ、『本当に好きなの?おいしいの?』と聞いたことがあるくらいです。もちろんパスタもそう、
スープはもちろん、そして、極めつけはアメリカで売っているカップ麺は”ズルズル”しないように短くカット
してあります。
 また、中国ではわざと”クチャクチャ”音をたてる事で、相手に「おいしい」事を伝えるという習慣も
あるそうです。 これらはすべて”習慣的”な違いから来るものですね。


 ”気持ち悪い””習慣的”なものにかかわらず、接する人が嫌がるような音は、自分や自分の家族、
地域で許されるものであっても、ちょっと控えるくらいの気遣いを持ちたいですね。

130.【お歯黒べったり】

2012-09-03 | 
【お歯黒べったり】

みなさん、この”お歯黒べったり”ってご存知ですか? お歯黒自体も今は全く見る事もないので、”お歯黒
べったり”と言われたら、お歯黒を塗りすぎたくらいにしか想像できないかもしれませんね。実はこれ暑い夏
にヒヤッと一瞬の涼しさを味わわせてくれる(?)妖怪の一つなのです。

まずは簡単にお歯黒について
江戸時代に既婚女性が行なった化粧の一種で、鉄片を酒・茶・酢で酸化させた液で歯を黒く染めるもの。
ここ”歯願大笑”でも少し書きました。 (お歯黒・・・サイドストーリー


それでは、もう少し”お歯黒べったり”について・・・
歯黒べったりとも言い、妖怪の一種。目も鼻も無い顔に、お歯黒を付けた大きな口だけがある女の妖怪。
人を驚かせるだけで、危害を加えることはないそうです。


さらに詳しく・・・

”江戸時代後期の画家竹原春泉作の『絵本百物語(別名『桃山人夜話』)』に姿が描かれている。詞書には、
「ある人が古い社の前を通ったとき、美しげな女が伏し拝んでいるので、戯れに声を掛けて過ぎようとし
たところ、その女が振り向いた。顔を見ると目も鼻も無く、大きな口でけらけらと笑った。二度と見たく
ないほど恐ろしかった」という意味のことが記されている。また、「東国では『のっぺらぼう』とも言い、
多くは狐狸の化け損なったもの」ともある。

『絵本百物語』のお歯黒べったりは角隠しを着け、美しい着物を着た姿で描かれているので、結婚前に死ん
だ女性の亡霊とも言われるが、角隠しは、もともと浄土真宗信者の女性が寺参りに際して着用する物であっ
たから断定はできない。また、のっぺらぼうは小泉八雲の短編『むじな』にあるように、ムジナ・キツネ・
タヌキなどが人を驚かせるために化けたものであるとも言い伝えられるので、お歯黒べったりもその類とも
考えられる。”  Wikipediaより



考えてみると、お歯黒は一時の流行であり、廃(す)たれてしまうとそれ自体が奇異なものに感じてしまい
ます。だから、今の次代で考えると美白、ガングロ、染髪、脱色、刺青等も何十年、何百年経って、写真
や絵を見ると妖怪やお化けのように思われるかもしれませんね。