【歯顔大笑】

歯を見せて大きく笑おう!

117.【齟齬】

2012-05-28 | 
【齟齬(そご)】

難しそうに見える漢字、読み方、そして意味・・・は予想もつかない、そんな感じではないですか?
実際に会話の中でお聞きになったことはありますか? また、新聞雑誌などの中に見つけたことは?

『両者は意思の疎通を欠き、計画に”ソゴ”を来たしています。。。』
これを聞いてパッと”ソゴ”に”齟齬”が出てくる方はかなり漢字をよくご存知の方ですね。

それでは、さっそく意味を・・・

辞書によると、
1、上下の歯がかみ合わない事
2、行き違う・計画等が、食い違う

とあります。 ですが、我々、歯科医が患者さんに『齟齬を来たしていますねぇ・・・』と言う事は
ありません。(実際に確認したわけではありませんが) だから1の意味はほぼ”語源”的なものと
考えていいと思います。    語源としては「齟」は、「咀」と同系で何度も歯をあわせることで、
「齬」は「互」などと同系で互いに入れ違うことであり、何度もかみ合わせてしっくりといかないこと
から転じて、物事が不整合であることを意味するようになったようです。

っということで、実際は2の”行き違う・計画等が、食い違う”というのがこの言葉の意味だと考えて
いいと思います。

堅苦しい政治、経済、外交などにおいては使われることもあるとは思いますが、私たちが日常生活の
中で使うことはめったにないでしょう。普通に『両者は意思の疎通を欠き、計画が食違っている』と
言う方がいいですね。。。。周りの人と”齟齬”が生じますもんね。


116.【鬼の一口】

2012-05-21 | 
【鬼の一口】

みなさんはこの言葉ご存知ですか? 私は知りませんでした。 でも、なんとなく想像できそうな感じは
しますね。 それでは、意味を・・・。

鬼が一口で人を食うように、
 1.物事の処理の仕方が激しくすばやいたとえ。
 2.たいへん危険な目にあうことのたとえ。

どうですか、大体想像通りの意味でしたか? 実はこの言葉、昨日や今日にパッと出た言葉ではないのです。
代表的な話はなんと平安時代にまでさかのぼるほどの古さのものなのです! ちょっとその話をご紹介します。

”平安時代初期の歌物語『伊勢物語』第6段の「芥川の段」がある。ある男が何年も女のもとへ通い続けていたが、
身分の違いからなかなか結ばれることができなかった。ある時、男はついにその女を盗み出したが、逃走の途中で
夜が更けた上に雷雨に見舞われたために、戸締りのない蔵を見つけて女を中へ入れ、自分は弓矢を手にして蔵の前
で番をして、夜明けを待った。やがて夜が明けて蔵の中を覗き見ると、女の姿はどこにもなかった。女はその蔵の
中に住んでいた鬼に一口で食い殺され、死に際に上げた悲鳴も雷鳴にかき消されてしまったのである。。。





他にも平安初期の説話集『日本霊異記』には、男女が一夜の契りを結ぶが、実はその男が鬼で女を食べてしまう話、
平安末期の説話集『今昔物語集』には夜道を歩いていた女たちの1人を男が突然連れ去り、その男が実は鬼で女を
一口で食べてしまうという話がある。”

平安時代の書物にこんなものが載っているんですね。このような"鬼の一口"の話がたくさん生まれた時代は世の中が
不安定で戦、災害、飢饉等が起きた時代です。その時には多くの人が亡くなったり、行方不明になったりするため、
これを鬼などの架空の化け物の仕業と考えるようにしたのでしょうね。

"鬼の一口"、こんな隠れた話があったんです、おもしろいです。 機会があればぜひ使ってみてください!


115.【【口を結べ。口を開いている・・・】

2012-05-14 | 
【『口を結べ。口を開いている様な人間は心に締りがない。』】

この言葉聞いたことありますか? とてもピシッとして感じがしていいですね。 これは、
あの乃木大将が学習院院長の時に、学習院初等学科学生に与えた訓示の一番最初に出てくる
言葉です。 意味は読んで字の如し、そのままの意味です。

最近は口をぽかーんと半開きの若者が増えているといわれていますが、このような言葉が
あったということはやはり昔からぽかーんとしている子供が多かったのかもしれませんね。

すこし、”心に締りがない”から離れて、口をぽか~んとして口で息をすることを考えて
みましょう。

哺乳類の中で必要でないのに口呼吸するのは人間だけだそうです。この口呼吸ができたことが
複雑な発音や言語を話せるようになった要因なのですが、決していいことだけではないのです。
簡単に言うと、口は食べるところ、鼻は呼吸をするところ、だからです。鼻にはフィルター機能
があり、息を吸う時に塵や雑菌などを体内に入れず、特にウィルスは湿気に弱いので鼻の適度な
湿気でストップがかけられるのです。それなのに、締まりなく口呼吸を行っていると、口の中は
乾燥し、喉へ直接ウィルスが入り込むようなことが起こってきます。
口を閉めておくには口の周りの筋肉がしっかりとしていなければならず、口の周りの筋肉がしっ
かりしていれば言葉も明瞭、表情も豊かになりぼ~っとした感じはすくなくなります。
最近よく話題になる”睡眠時無呼吸症候群”も普段の口呼吸が症状を悪化させる一因になる事も
わかっています。

ここでまた、ちょっと違った視点で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第100回目の”貧しい口元”(http://blog.goo.ne.jp/mushiba0/e/c372a4ff82c10677fcc3d0b61cc4a0ec)
でも書きましたが、”顔立ちの美醜とはまったく無関係に口元にその人の本性が出る。「目は心の
窓」だとすれば「口は心の玄関」である。”とあります。つまり、乃木大将の書かれていることも
同じで、心がけを変え習慣として身につければ”締まりのある人間”になれるということなのですね。

『口を結べ。口を開いている様な人間は心に締りがない。』
本当にすばらしい言葉だと思います。最後にこの言葉の入っている学習院初等学科学生に与えた訓示
の全部14か条を書いておきます。


1.口を結べ。口を開いて居るような人間は心に締りがない
2.眼の注ぎ方に注意せよ。始終キョロキョロしているのは、心の定まらない証拠である
3.敬礼の時は先方をよく注視せよ
4.自分の家の紋所、家柄、先祖の事はよく聞いて忘れぬ様にして置け。先祖の祭は大切
 であるぞ
5.男子は男らしくしなくてはいかん。弁当の風呂敷でも、赤いのや美しい模様のあるの
 を喜ぶ様では駄目だ
6.決して贅沢するな。贅沢ほど人を馬鹿にするものはない
7.人力車には成るべく乗るな。家で人力車をよこしても乗らないで帰る様にせよ
8.寒中水で顔を洗うものは幾人あるか。湯で洗う様ではいかぬ
9.寒い時は暑いと思い、暑い時は寒いと思え
10.破れた着物を其の儘着て居るのは恥だが、そこを継ぎをして縫って着るのは決して恥
 ではない。いや恥どころではない。
11.恥を知れ。道に外れた事をして恥を知らないものは禽獣に劣る
12.健康の時は無理の出来る様に体を鍛錬せよ。けれども一旦病気になったら医者の云う
 事をよく聞け
13.洋服や靴は大きく作れ。格好などかまうな
14.学習院の学生は成るだけ陸海軍人になれとは、陛下の御沙汰であるから、体の丈夫な
 ものは成るべく軍人にならなければならぬ。けれども生まれつき体の弱い者もあり、
 又種々の事情でなれぬ者もあろう。是も仕方がないが、何になるにも御国のために役に
 立つ人にならなければならない。国のために役に立たない者、あるいは国の害になる様
 な人間は死んで仕舞った方がよいのである。