【歯顔大笑】

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107.【口開けて腸見する柘榴かな】

2012-03-12 | 
【口開けて腸見する柘榴かな】
(くちあけてはらわたみするざくろかな)

この句、あまり耳にするものではありませんが存知ですか?
これは新渡戸稲造の“武士道”の克己という章に出てくる句
で、秋が深まり木になるザクロが熟して口を開き、中身を見
せている様子をとてもうまく表しています。。。

しかし、“武士道” にこの句が出てくるという事はザクロの
熟した様子をあらわす事を意とした事ではない事は明らかです。

では、一体どういう意味で書かれていたのでしょう・・・

武士たるもの、ザクロのように、口を開いて自分のはらわたを
見せるようなこと、つまり言葉や表情に出して感情をあらわす
ことを戒めるべきであるという意味なのです。

人に勝ち、己に勝つためには・・・
武士は感情をあらわす事は男らしくないと考え、立派な人を評す
る時「喜怒を色に現さず」とし、感情を抑制する事が良い事であ
ると考えていました。感情を顔に出すこと、多くを語って思想や
感情を述べる事は誠意に欠けると考えていたのです。

これを知ると“口開けて腸見する柘榴かな” の深さがよくわか
りますね。 それにしても、現代の日本人、ましてや外国人には
到底理解のできない感覚かもしれないですね。

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