日本人は長らく法華経を、僧侶は漢訳経典を音読で、在家の多くはその漢訳を読み下して読誦してきた。もともと法華経はサンスクリット語で書かれていた。いまはその写本のうちのネパール本・中央アジア本・カシミール本の写本が残る。原題は『サッダルマ・プンダリーカ・スートラ』、すなわち『白い蓮華のように正しい教えの経典』。それが漢訳・チベット語訳・ウイグル語訳などをへて、近代になると英訳・仏訳・日本語訳などとなってきた。漢訳は「六訳三存三欠」といわれるが、笠法護(じくほうご)や鳩摩羅什(クマーラジーヴァ)らの6種類の翻訳となり、さらにそのうちの3種だけが現存する。『妙法蓮華経』というのは鳩摩羅什の訳になる。
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