技術士(総合技術監理・機械部門)のブログ

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視覚の盲点

2006-03-19 14:58:32 | 脳科学の記事類
左目(右目はつむる)で右側の円を見ながら,その距離を調整すると
左の円が消える距離がある.
これが盲点であり,目の構造上,視神経が脳へつながっている部分である.

さて,では我々は通常,この盲点を感じることは無い
ひとつは,左右の目による補完
もうひとつは,視覚ニューロンによる補完であるという

左右の目が補完しあうのは合点がいくが,視覚ニューロンが補完してしまうというのはすごい.
これは,脳に障害を受けた患者で,盲点が大きくなってしまった人にも起きるという.通常の盲点よりも見えない部分が大きい人で,常に見えないところがある人が,この例題の左の円のかわりに,鉛直方向にはしる直線があるとすると,それが次第につながるということが報告されている.

ところが,連続したシンボルの場合で,その部分が欠けている場合には補完されない.

これは何を意味するか.つまり,テキスチャと呼ばれる背景にあるような単純な模様の場合には,視覚ニューロンが補完してしまうのだが,シンボルレベルになると,脳のシンボルとして認識する回路が働き,欠けた部分をそのシンボルとして補完することはしないわけである.

しかし,この補完する機能が人間にはそもそも備わっているというのが,おもしろいと思う.

さらに,シンボルとして認識する高次の脳機能から,視覚ニューロンの一次処理レベルまで逆に伝達することもある.例えば,我々が何かを想像する場合である.思い出した象のイメージなどである.また,視覚ニューロンに網膜から一部信号が入ってこない患者の場合,上位からの信号とのミスマッチにより,幻覚を見てしまうことがあるという.

幻覚は,そのようなミスマッチからくるのか?
そうすると,子供のころ幽霊を見た
というのは幻覚で,上記回路が整備されてきた大人になると見えなくなるのか?

ちょっと夢がないが,そんな気がする.

でも,大人でも幽霊が見えるというTVの人たちは果して回路がおかしいのか
それともバーティミアスの第7の目をもっているのだろうか

まるの認識課題

2006-03-18 16:07:58 | 脳科学の記事類
脳の視覚システムは非常に複雑であるが,障害を持った患者の症例から,その機能に関しての様々な知見が得られている.
網膜に映し出された画像は,神経信号として脳の視覚一次野に入り,2つに分かれる.一つは反射などの古い(動物に見られるという意味)皮質に行く.もう一つはさらに2つにわかれ,物自体が何であるかを判別する領域と,空間的にどうなっているかを判断する領域にいくらしい.
その中で,我々の古い皮質にいく信号は,実は無意識に制御されているらしい.その証拠がこの図である.
ご推察のとおり,左右の大小の「まる」に囲まれた中央の「まる」は実は大きさは等しい.しかし,錯覚(錯視)により左の方が右より小さく見える.というか見えると認識する.上記空間的認識の領域ではこうなる.背景との関連やその他の高度な判断によりそう認識されてしまうという説明だ.(複雑な仕組みであり,謎も多い部分で私もよくわかっていないので省略)
ところが,このような錯覚が生じるおなじようなものを実際に用意する.例えば円筒の白いもので良い.そして,左右の中央にあるものを掴ませる.
これをビデオカメラで撮影して,分析すると,人間は左右どちらのものを掴む時の指の開き具合は同じになるという.
つまり,運動を制御している部分は,ロボットのように視覚情報からの正確な寸法がわかって運動制御しているということである,
さらに被験者はこれを認識していないと言う.無意識のロボット機能を人間は持っているのである.

例えば下記ラマチャンドラン著の4章に詳しい.


脳のなかの幽霊

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2003UB313

2006-03-17 20:49:01 | 雑感
2003UB313ってなんだかわかりますか
NASAのサイト
その直径は3100km
冥王星は2100kmで月が3474kmだから月より小さく冥王星より大きい.
木星のタイタンは5150kmで

その惑星は太陽系に属するのかという議論がある それもそのはず,海王星より遠くにある.

まあ,どちらでも良いけれど,太陽系ですら,最近判明したことがあるとは
まだまだ,宇宙って壮大でなぞが多い

そういえば,子供の頃は冥王星の方が遠方であったのだけれども
いつのまにか海王星の方が遠くを飛んでいるらしい

脳も宇宙くらい複雑で深淵であることも付け加えておこう

サラの問題

2006-03-14 21:48:55 | 脳科学の記事類
カテゴリーは心理学ですが
どっちかというと哲学の問題です.

サラは2XXX年,宇宙ステーションが異星人からの攻撃をうけ,脱出の選択を迫られていた.脱出には空間移送装置を使うしか無い.この装置は,分子レベルまで移送物質をスキャンし,電磁波により移送先に,それと同じ構成のものを再生する装置である.
さて,移送された地球での,化学的に同じ物質で再構成されたサラは,果たしてサラ自身であると言えるのか.

これと同じ装置では,サラのコピーも作ることができる.物質的に全く同一のサラは,サラの意識はどうなるのであろうか.唯一無二の自分はどうなるのか.哲学的ゾンビではないのか.

移送装置にスキャンされて消滅したのは何者なのか

この思考実験は大変むずかしい
みなさんはどう思いましたか

ニューロ

2006-03-13 22:27:27 | 脳科学の記事類
まるの認識には,ニューラルネットによる学習で単純にできるかどうか試したいと思います.「まる」「しかく」「さんかく」を学習して,それぞれを判断できるようなシステムを考えます.
図にあるように,入力層に四角っぽい図が入力されると,四角の出力層が発火するように学習するわけである.
学習には,教師信号を利用する.つまり,教師として正確な信号を与えて,それを学習する.通常バックプロパゲーションという手法を使う.
簡単にいえば,逆方向 つまり 出力層から入力層に向かって,正解になるようにニューロン間の結びつきを調整する.
これにより,学習する=結びつきを調整する.調整し終わったシステムに対して任意の信号を与えてその性能を評価するのである.