南のまち、と森の端

南九州の一隅からちょっとした日常の出来事や思いを綴ります。

「仲矢勝好と宮崎交通制作室の仕事」展

2024-10-15 17:25:52 | 芸術文化

「仲矢勝好と宮崎交通制作室の仕事」という展覧会を鑑賞しました。(11月10日まで宮崎県高鍋町美術館。主催・同美術館、同町、同町教委)
仲矢さん(1927-1992年)は新婚旅行ブームで賑わった宮崎交通で長く広告デザイン、イベントポスターなどを制作、宮交シティに大きな壁画「ガリヴァー旅行記」を描いたアーティストとして広く親しまれています。一方でアトリエでの油絵制作を積極的に続けてきた人。
会場には「能」のシリーズなど大作を中心にしゃれた感じの小品まで多彩に展示されています。特に大作は幻想的な仲矢さんの世界が緻密に描かれ格調を漂わせています。また、回廊には宮交制作室で作られたポスターやバス広告、図案など多くの作品が展示されてます。いまだに色あせていないしゃれた感じの作品は魅力。
一貫して宮崎に関わり、エネルギッシュに時代を駆け抜けた一人の作家の全貌は見応えがあります。

仲矢勝好と宮崎交通制作室の仕事会場

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坂本正直さんの展覧会

2024-10-03 16:00:17 | 芸術文化

「平和への祈り 描かれた加害―坂本正直が向き合った戦争体験」という展覧会が、宮崎市船塚の宮崎県立美術館の県民ギャラリー2で開かれています。

坂本正直さん(1914~2011)は一兵士として大陸に渡った戦争の体験を中心に描き97歳で亡くなった画家です。会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは月光に輝く「クリークの月 馬」。兵士を思わせる馬の顔が小さく並び、また、馬が輸送船の船底に乗せられる姿を描いた「輸送船に乗せられて」など戦争の悲惨さにつながる精神性の高い大作が展示されています。さらに「競馬場の杉」ほか小品も並び、厳粛な雰囲気の会場になっています。

10月6日まで。5日午後1時から3時まで中村江里さん(歴史学者)、所薫子さん(坂本正直さん長女)によるトークイベントもあります。いずれも入場無料。

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久方ぶり展覧会を観に高鍋へ

2024-02-20 20:42:11 | 芸術文化

もう1年以上も行っていない高鍋町美術館に足を運びました。今回は実妹と一緒にバスと電車で行き、帰りには高鍋温泉めいりんの湯で食事とお湯につかり小旅行の風情。沿道にはコブシの花が咲いていたり、もう春の雰囲気でした。

「河野扶(たすく) 向うからやってくるもの-作意を捨てて」(3月3日まで)。河野氏(1913-2002年)は宮崎県の出身ながら東京を拠点にしていたため、九州に作品は多くは残っていない、と言われていて、今回九州初の回顧展開催となりました。現在の東京大学理学部を卒業後、民間企業や高校教諭を務めたのち渡欧、画業に専念しました。遺族や、作品が多く残っている長野県東御市の梅野記念絵画館の協力を得て今回の展覧会が実現しました。
具象から出発し、のちに抽象絵画を描き、70歳のころからは独特な画風を深めていきました。絵の具を厚く塗り、削ってはまた塗る技法。そこには作意を捨て、自然に湧き出てくる美しさを定着させる河野独自の世界を形成されてゆきます。彩色古墳の渋い赤に似た色彩など日本的な体質も感じさせ、しっとりと深い。それでいてどこか洗練されていて大変興味深いものがあります。56点を展示。会期中2月23日には東御市梅野記念絵画館館長の大竹永明氏による講演会(午後2時から)も開かれます。

河野扶展のポスター

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やっと行けた宮崎国際音楽祭

2023-05-10 16:49:06 | 芸術文化

今年の音楽祭―第28回宮崎国際音楽祭は5月14日まで宮崎市のメディキット県民文化センターをメイン会場に開かれています。もう28年。アイザック・スターンを中心に開かれた初期のころを思うと懐かしさがこみ上げてきます。この宮崎で音楽祭が続けられてきたこと自体すばらしいことと思います。
さて今年は、と固定席のマイシートを購入しようと張り切っていたのですが、あいにくの入院。そして維持透析スタートと重なり半ば諦めていましたがせめて1公演ぐらいは、と足を運ぶことにしました。ピンカス・ズーカーマン、ライナー・キュッヒルさんらの室内楽やコンサート形式のオペラなど15、6のコンサートがあるなかで選んだのがバッハの無伴奏パルティータ2、3番やブラームスの弦楽6重奏曲1番が演奏される「諏訪内晶子室内楽スペシャル」(5月6日)。諏訪内さんがこの音楽祭に出演するのはもう何回目でしょうか。今回は以前にも増してヴァイオリンの響きが良かったというのが印象的でした。格調のある、気合いが伝わる演奏ぶりにやはり生ならではのものを感じ、聴きほれていました。
この音楽祭がいつまでも続きますように。帰りのバスのなかでつぶやいたものでした。

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黒木清次文学碑祭り

2022-11-21 16:41:21 | 芸術文化

以前このブログでも紹介したことのある「黒木清次文学碑祭り」(小林市文化連盟主催)が20日、宮崎県小林市須木の文学碑前広場で開かれ、出席してきました。
黒木さんは多くの小説、詩作品を発表、同人誌「龍舌蘭」を主宰するなど宮崎県の文学界を牽引してきた人。小林市須木出身の先輩文学者を顕彰しようと毎年のように開かれてきた行事です。
同日は市内外から6、70人が出席。詩作品「朝の鶴」が刻まれた文学碑の前で式があり、挨拶や献花、「朝の鶴」の朗読、フルートと電子ピアノ演奏などと続きました。また、市内小中学生を対象にあらかじめ詩作品の募集が行われ、同日は入賞、入選作品の表彰、子どもたちの朗読も行われました。
宮崎県内でも貴重な文化行事ですが、この日の式の中で、「式典は今回が最後になる」という話があり、残念に思います。子どもたちの詩作品募集は続けていきたいそうですが、郷土の優れた文学者を今後も顕彰していく方法をなんとか見いだしていってほしいと希望します。これまでの文化連盟、市教委など関係者の地道の努力に感謝しつつ。

黒木清次文学碑祭り式典(献花)

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