南のまち、と森の端

南九州の一隅からちょっとした日常の出来事や思いを綴ります。

「小さな空」と「落葉松」

2023-12-26 13:35:34 | 地域

いま机の上にCDが2枚あります。メゾソプラノの歌手・波多野睦美さんの「アルフォンシーナと海」と「美しい日本の歌」。波多野さんは古典歌曲から現代歌曲まで幅広く歌ってCDもたくさん出しているなかで、私にとって魅力的な1枚。つのだたかしさんのギター、リュートとともに美しくやさしく繊細に歌い上げ、心を癒やしてくれるようです。「アルフォンシーナと海」に収められた15曲の中に戦後日本を代表する作曲家・武満徹さんの曲が2曲あり、「ちいさな空」はその1曲です。武満さん自身の作詞。
「青空みたら/綿のような雲が/悲しみのせて飛んでいった/いたずらが過ぎて/叱られて泣いた/こどもの頃を憶(おも)いだした」
この曲が「ノヴェンバー・ステップ」を作曲したあの武満作品?と思わせるような、親しみやすく、温かで美しく、そして心に響きます。

「落葉松」は小林秀雄さん作曲。合唱コンサートで何回も聴く曲ですが、ソプラノなどソロで歌うこの曲をYouTubeなどで聴くうちに心から離れなくなりました。
「落葉松の秋の雨に/わたしの手が濡れる/落葉松の夜の雨に/わたしの心が濡れる」
野上彰さん作詞。YouTubeではいろいろな方が歌っていますが、ソロでは波多野さんや森麻季さん、川口聖加さん、珍しいところでは藤木大地さんの歌などが好きです。
波多野さんのCDのビアノは野平一郎さん。なんとやさしく美しく静かな曲なんでしょう。深さも感じます。日本の歌曲にこんなにもひかれ、癒やされるなんて自分自身で思ってもみなかったことでした。

音楽は私にとってとても大切な存在になっています。2曲とも詩はシンプルなようで奥が深く、素晴らしいという言葉では尽くせないような気がします。その心の基にあるのはシューベルトやブラームスの歌曲・室内楽にみる叙情にも通じると思っていますが、それをさらにそぎ落としたピュアな心のような気がします。汚れた心をリセットしてくれるようなこれらの曲と出会えて幸せを感じるし、なくてはならないものになっています。

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「We wish you a merry christmas‥」

2023-12-23 20:59:06 | 日記

今年は3月に宮崎県立病院でほぼ一か月の入院のあと人工透析の導入、4月から透析施設のある地域の医院で継続的に透析生活を送っていて、人生でも大きな転換点になったと言える年でした。
当初は精神的に落ち込んだり、何もかも初めてでまごついたりでなかなかなじめないでいましたが、先生はじめスタッフの方々の手助けでなんとかペースがつかめてきたようです。それでも週3回4時間の透析は相当に長く、途中血圧が急に下がって気分が悪くなったり、足がつったりして看護師さんに迷惑をかける日がたびたびあります。終了後のだるさなど予想以上にきつい感じですが、これからも何とかスムースに治療が受けられたらと思っています。
この4時間をベッドの上でどう過ごすか、が問題ですが、私は約2時間をNHKラジオFMの「クラシックカフェ」、後半をアマゾンの朗読アプリ・オーディブルで文学作品の朗読を利用、いま夏目漱石をあらためて聴いています。
ところで、ベッドの脇にはダイアライザーという透析の装置などの機械がありますが、透析終了と同時にメロディーが流れます。ひとつはだれでも口ずさむことができそうなクリスマスソング。「夏なのになぜクリスマス?」と思ったのですが、クリスマスの定番曲なのに、なじみのある曲なのに、題名がどうしても思い出せないのです。そしてもう1曲はアメリカの有名な曲なのにこれもなかなか分からずにいたところ、最近になって相次いで曲名が判明して胸のつかえが降りました。私にとってはささやかな喜びのひとつでした。
一つはイギリス発祥のクリスマスソングで「We wish you a merry christmas and happy new year」。もう1曲はフォスター作曲「夢みる人」。クリスマスソングの方はYouTubeで、フォスターは偶然TVのCMで知りました。テンポがだいぶ違うので気づかずにいたのでした。スタッフの反応がほぼなかったのはちょっぴり残念だったものの、皆さんにとっては、多くの患者一人ひとりの命を預かる真剣勝負の場、チャイムどころではないのでしょう。
今年は何とか無事に過ごせそうです。今後はさらにスタッフの皆さんや患者間のコミュニケーションに恥ずかしがらずに努め、透析生活が無事にスムースにいくように、と願っています。来年以降もよろしくお願いします。

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