ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【旺文社】難波先生より

2015-03-03 17:07:20 | 難波紘二先生
【旺文社】
 この前、旺文社文庫について書いたが、これは1960年創刊1987年廃刊だそうだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%BA%E6%96%87%E7%A4%BE#.E5.B9.B3.E6.88.90.E5.88.9D.E6.9C.9F.E3.80.81.E5.80.92.E7.94.A3.E5.AF.B8.E5.89.8D.E3.81.AB.E9.99.A5.E3.82.8B
 創刊の辞に
 <読むに価値あるものを、でき得るだけ楽しく、消化しやすく、読みやすく提供することは出版社の義務である。
 出版道義を強く信奉せんとしているわが社は、この目的にひたむきに献身するものである。
 あえてわが社の志を理解されご支援あらんことを、
  旺文社社長 赤尾好夫 >
と書いてある。「編集顧問」にも、小田切進、茅誠司、竹内均、外山滋比古、林健太郎、森戸辰男が名を連ねており、刊行の辞にある「出版社の義務」を誠実に履行しようとしたことがわかる。竹内均は東大の地球物理学者で、後に雑誌「ニュートン」を創刊した。茅誠司は物理学者で当時の東大総長、森戸辰男は広島大学長だった。林健太郎は歴史学者で、東大紛争の時の文学部長で全共闘の「大衆団交」で徹夜の缶詰にされても、一歩も引かなかった硬骨漢だ。小田切進は文芸評論家で「近代文学館」の館長だったと思う。外山は、名随筆家で読書家として知られていた。
 外山滋比古・編『佐々木邦 心の歴史』(みすず書房、2002)は、単なる昭和初期のユーモア小説作家として忘れられていた、英文学者佐々木邦をよくぞ掘り出してくれたと思う名著である。私は中学生の頃、佐々木邦『地に爪痕を残す者』という小説を改造社の円本で読んで、それこそ魂が揺すぶられるような感動を覚えた記憶がある。『地に…』と基調低音は同じだが、彼にこういう作品(『心の歴史』)があることは、外山の尽力がなければ、世にそれと気づかれなかっただろう。
 ともかく往時の旺文社は文庫の創刊に際して、すごい顧問を揃えていたものだとわかる。
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