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ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【LとR】難波先生より

2013-09-08 12:48:56 | 難波紘二先生
【LとR】裏庭にこんな実が成っている。(添付4)
 長さ4cm、幅2.5cm位あり、果肉は硬いが甘く、中に長さ2cm、幅1cm位の扁平な種が1個ある。妻に名前を何度聞いてもすぐに忘れる。「それはスモモのことか?」と聞いたら、そうだと思うが自分でちゃんと調べてから書くように、といわれた。


 「植物図鑑」と「果樹図鑑」を調べて驚いた。アンズ、ウメ、オランダイチゴ、カリン、サクラ、スモモ、ナシ、リンゴこれらに共通する点は何だと思います?
 すべて「バラ目、バラ科」
 太田道灌のエピソードで有名な「実の成らない」ヤマブキもバラ科。


 で、家内に教わった「プルーン」という名前がどうして覚えられないのか。「果物図鑑」の説明には、「アメリカでは生果はプラム、乾果はプルーンといい、ヨーロッパも同様」とある。つまり生とドライ・フルーツの違いなのだ。
 これは英語ではそれぞれPlum, Pruneと綴る。Plumが「梅」であることは、中学英語で習う。しかし、乾したらLがRに変わるというのは信じられない。


 英語語源辞典で「Prune」を調べた。これはラテン語の「prunum(スモモ)」に由来し、さらにギリシア語のprounonから来たとある。(但しこの語は私が持っている「オックスフォード・ギリシア語=英語辞典」には見あたらない。)現代ギリシア語ではなんと「Damaskeno」(ダマスカスのもの)という。ラテン語辞典にもギリシア語辞典にも「plum」に相当する語がない。


「Plum」に相当するヨーロッパの主な言葉を調べると、以下のようになっており、フランス語は元のラテン語と同じだが、他は固有語らしく、違っている。かろうじてドイツ語が英語に類似しているが、元がラテン語としたらR→Lの変化がちょっと奇異である。(ドイツ語のpfがpに、auがuに、meがmに、英語で変化するのは珍しくない。)
 ドイツ語=Pflaume
 フランス語=Prune
 イタリア語=Cirela
 スペイン語=Susina


 ドイツ語→英語間でRがLに置換された例なら、助動詞werdenが英語でwillに変わった例を挙げることができる。問題はラテン語→ドイツ語間に類例があるかどうかだろう。(「ラテン語・ドイツ語辞書」がないと、これ以上調べられない。)


 5世紀にアングロ・サクソン人がブリテン島に侵入し、これに伴い「古ドイツ語」が元になり「古代英語」が形成されたから、Pflaumeに近いドイツ語から、のちに英語独特の表現としてplum(プラム)が生まれたと推測するほかない。
 17世紀になり「ノルマン征服」を受け、prune(プルーン)というフランス語が入った。
 そこで生のスモモを「プラム(plum)」と呼び、乾したスモモを「プルーン(prune)」と呼んで、区別するようになったのであろう。この関係は生きたブタをピッグ(pigあるいはhog=去勢雄ブタ)と呼び、肉になったらポーク(pork: 元のフランス語はporc)と呼ぶのと同じである。(日本語ではイカとスルメがこれに相当する。)


 で、日本人はRとLの区別をしないから、PlumとPruneが、「プラム」と「プルーン」になる。きわめてまぎらわしい。おまけにわが家の裏庭の樹は「シュガー・プルーン」という品種だそうだ。つつまり果実が甘いのだが、生でも「プルーン」というのだからやっかいだ。
 これだけ調べたら、少しは覚えられるか知らん…
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