【STAP騒動・報道検証3】
香港のKaHo Lee(李嘉豪)教授が「STAP細胞は再現性がない」というネガティブ論文を「英科学誌」に掲載したと「読売:ワシントン=中島達雄」で報じている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140509-OYT1T50100.html
こういう時は雑誌名をちゃんと書くべきだ。ワシントン特派員というと、各社とも政治部の記者が派遣されている場合が多い。専門外だからWPかNYTの記事を資料に使ったのかもしれない。それなら「盗用」だ。
読売については、1/29理研発表後に、2/3メルマガでこう書いた。
<一般論として述べると、科学研究は他者による「再現性の追試」があって初めて事実として認定されるべきだ。2/1「読売」社説は、すでに事実として認定した上で、「メカニズムの解明を」と呼びかけているがいかがなものか…。>
ナベツネによる「政治部支配型」の新聞だから仕方がないか…
3/6「産経」は「小保方さん再現成功、理研、STAP細胞作成法公開」と報じたが、誤報訂正は出されていない。無署名記事だからもとより信用していないが、これだから「マスゴミ」といわれるのだろう。
問題の「英科学誌」のGoogle検索にかかったが、どういうわけかアップルのブラウザSafariにURLが表示されなくなった。GoogleのChromeだと表示されるが、これは経験不足だ。
さんざ探して、英ノッチンガム大の電子雑誌「F1000 Research」5/9/2014付に載っているのを見つけた。Nature誌に掲載を拒否されたものだという。
http://www.ipscell.com/2014/03/nature-rejects-publication-of-paper-reporting-that-stap-does-not-work/
Mei Kuen Tang1, Lok Man Lo1, Wen Ting Shi1, Yao Yao1, Henry Siu Sum Lee2, Kenneth Ka Ho Lee1 - See more at: http://f1000research.com/articles/3-102/v1#sthash.JqQkODds.dpuf
<Transient acid treatment cannot induce neonatal somatic cells to become pluripotent stem cells >(一過性酸処理では新生児体細胞を多能性幹細胞に誘導できない)
http://f1000research.com/articles/3-102/v1
この論文の「要約」は、
<Currently, there are genetic- and chemical-based methods for producing pluripotent stem cells from somatic cells, but all of them are extremely inefficient. However, a simple and efficient technique has recently been reported by Obokata et al (2014a, b) that creates pluripotent stem cells through acid-based treatment of somatic cells. These cells were named stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP) stem cells. This would be a major game changer in regenerative medicine if the results could be independently replicated. Hence, we isolated CD45+ splenocytes from five-day-old Oct4-GFP mice and treated the cells with acidified (pH 5.7) Hank’s Balanced Salt Solution (HBSS) for 25 min, using the methods described by Obokata et al 2014c. However, we found that this method did not induce the splenocytes to express the stem cell marker Oct4-GFP when observed under a confocal microscope three to six days after acid treatment. qPCR analysis also confirmed that acid treatment did not induce the splenocytes to express the stemness markers Oct4, Sox2 and Nanog. In addition, we obtained similar results from acid-treated Oct4-GFP lung fibroblasts. In summary, we have not been able to produce STAP stem cells from neonatal splenocytes or lung fibroblasts using the acid-based treatment reported by Obokata et al (2014a, b, c). - See more at:
http://f1000research.com/articles/3-102/v1#sthash.JqQkODds.dpuf >
(現在、体細胞から多潜能幹細胞を誘導するのに、遺伝子を導入する、薬品を用いるという方法があるが、いずれも非常に効率が悪い。だが、体細胞の酸処理により多潜能幹細胞を作り出す、シンプルで効果的な手法が、小保方ら(2014)により最近「STAP幹細胞」として報告された。もし結果が別の研究者により再現されれば、再生医学における大変革となるだろう。
そこで「小保方法」(2014c)に従い、生後5日のOct4-GFPマウス脾臓からCD45+細胞を抽出し、酸性(pH5.7)のハンクス・バランス塩溶液(HBSS)中で25分間処理した。しかしながらこの方法では、酸処理後3~6日後に共焦点顕微鏡で観察しても、脾臓細胞が幹細胞マーカーであるOct4-GFPを発現するのは認められなかった。qPCR(定量PCR)解析により酸処理では脾細胞が幹細胞マーカーであるOct4, Sox2及びNanogを発現しないことが確証された。Oct4-GFPマウスの肺線維芽細胞を酸処理実験しても、同様の結果がえられた。
以上をまとめると、著者らは小保方らにより報告された酸処理を基盤とする方法を用いて、新生児マウス脾臓細胞と肺線維芽細胞からSTAP幹細胞を作製することは出来なかった。)となっている。
実験方法と結果のデータは省く。
「考察」は以下のようになっている。
<Discussion
Currently, there is a trend to simplify iPS cell production by minimizing genetic manipulation and incorporating the use of small chemical molecules for somatic cell reprogramming (Shi et al., 2008; Zhu et al., 2010). In this context, it has been reported that mouse iPS cells could be generated using a cocktail of seven chemical molecules without any genetic manipulation, with an efficiency of around 0.2% (Hou et al., 2013).
(現在、iPS細胞の生産を遺伝子操作の最小化と低分子化学分子を用いることで体細胞のリプログラミングを図ろうというトレンドがある。この流れで、マウスのiPS細胞が遺伝子操作なしで、7種の化学分子のカクテルにより、約0.2%の効率で生産できると報告された。)
These important developments were recently superseded by claims that hydrochloric acid treatment alone can chemically reprogram fibroblasts to become induced pluripotent stem cells (Obokata et al., 2014a;Obokata et al., 2014b). The authors claimed that chemically stressing CD45+ splenocytes (isolated from Oct4-GFP neonates) to the point of death so that approximately 25% of the cells survive will activate the Oct4-GFP transgene in over 50% of surviving cells. They called these cells “STAP cells” which, when injected into host blastocysts, could participate in the development of all tissues and organs, including the placenta. The STAP chimeric mice produced were reported to be healthy, and the STAP-derived germ cells were demonstrated to be involved in germline transmission (Obokata et al., 2014a; Obokata et al., 2014b). These are astonishing findings.
(これらの重要な新展開は最近の塩酸処理だけで線維芽細胞を化学的にリプログラムし、多潜能幹細胞に誘導できるとする小保方らの主張により、押さえ込まれてしまった。この作り出されたSTAPキメラマウスは健康であり、STAP由来の胚細胞は胚細胞レベルで伝達されると証明されたという。これらは驚異的な発見である。)
Nevertheless, we have tried to replicate the first stages of Obokata’s findings using CD45+ splenocytes isolated from Oct4-GFP neonates, but could not activate the expression of the Oct4-GFP transgene. This is despite using their most updated protocol for producing STAP cells, which was reported in Protocol Exchange (Obokata et al., 2014c). We also tried using Oct4-GFP lung fibroblasts instead of splenocytes, but again we failed to detect Oct4-GFP expression after acid-treatment. Occasionally, there were cells that appeared GFP positive, but we later determined them to be autofluorescence from apoptotic cells.
(にもかかわらず、著者らは小保方の報告の第1段階を追試した。しかしOct-GFP遺伝子の発現をも認めることはできなかった。これはProtocol Exchangeに報告された最新の方法(2014c)を用いても同様だった。肺の線維芽細胞を用いた実験でも同様であった。ときおり、GFP+と思われる細胞があったが、後にそれらはアポトーシスにおちいりつつある細胞が発する自家蛍光だと確認できた。)
We made sure that the pH was exactly maintained at pH 5.7 during the experiments by measuring the pH before and after cell treatment. This is because the Protocol Exchange protocol placed a lot of emphasis on maintaining an optimal pH during the acid treatment of the cells. We found that there was a pH 0.1 increase after the acid buffer was added to treat the cells – so our starting pH was actually 5.6 to compensate. At the end of acid bath stimulation, we also measured the pH of the buffer to confirm that it was still pH 5.7. Therefore, our inability to produce STAP cells could not be attributed to changes in the pH during the cell stimulus procedures.
(小保方のNature ProtocolがpH維持の重要性に触れていたので、緩衝液のpHが細胞を加え、酸性浴終了後にもpH5.7維持されているように工夫を加えた。だからSTAP細胞の作製に成功しなかったのは、pHのせいとは考えられない。)
Another possibility why we could not replicate Obokata’s results might be the difference in the strains of Oct4-GFP transgenic mice used. We acquired our transgenic mice from The Jackson Laboratory (CBA-Tg (Pou5f1-EGFP) 2Mnn/j) while Obokata used transgenic mice generated by Ohbo et al., 2003. Their transgenic mice were developed from a C57BL.6J background, and carry the EGFP cDNA under the control of an Oct4 18-kb genomic fragment (consisting of a minimal promoter and proximal and distal enhancer). Perhaps the transgene in these mice is more easily activated than in our Jackson Laboratory mice. This could potentially explain why Obokata’s transgenic splenocytes, but not our transgenic splenocytes, expressed the EGFP reporter following acid bath treatment.
(小保方らの結果を再現できなかったことの別の可能性として、用いられたOct4-GFPトランスジェニックマウスの系統の違いが考えられる。著者らはジャクソン研究所のマウスを用いたが、小保方らはOhboら(2003)が作製したものを用いている。それはC57BL.6J由来である。恐らく小保方が用いたマウスはジャクソン研究所のものより、トランス遺伝子を発現しやすい可能性がある。(中略)これが小保方らのトランスジェニックな脾細胞が、酸性浴後にEGFPレポーターを発現しやすいことの説明になるかも知れない。)
Nevertheless, in the context of generating STAP stem cells, it is not the expression of the transgene that is important but rather the expression of the endogenous Oct4 gene - and related endogenous stemness genes, Sox2 and Nanog. Expression of these genes could not be demonstrated using qPCR analysis following splenocyte acid treatment and culture.
(にもかかわらず、STAP幹細胞を創出するという点ではトランス遺伝子の発現が重要なのではなく、内在性のOct4及び関連する幹細胞遺伝子Sox2, Nanogの発現が重要なのである。脾臓細胞を酸処理後に培養しても、qPCR解析によりこれらの遺伝子発現は認められなかった。)
In conclusion, we have not been able to replicate Obokata et al.’s findings to produce STAP stem cells from somatic cells. It appears that the method for producing STAP stem cells is not as simple and straight forward as has been reported. >
(結論的に、小保方らの体細胞からSTAP幹細胞を作製できるという所見を、再現することはできなかった。STAP幹細胞を作製する方法は報告されたように、簡単でも単純でもないように思われる。)
科学の世界は「知的好奇心と知的正直さ(誠実さ)」が支えている。米ORIのOはオフィス、Rは研究、Iはインテグリティの略であり「研究公正局」と訳されている。
Integrityとは「正直、誠実、公正、公明正大」を意味する。Man of Integrityといえば、絶対に信頼できる人物をいう。
科学論文は掲載されたものが正しいことを前提にしているから、「追試できない」とするネガティブ報告は通常掲載しない。ネイチャーは小保方論文の撤回前なので、このリー論文を却下したのであろう。これが電子雑誌「F1000 Research」に掲載されたのはSTAP騒動に巻き込まれて多くの研究者が、お金と時間と労力を無駄に消費する事態を避けたいとする世界の科学者の良心がはたらいたものと考える。
このリー論文が興味深いのは「小保方法は再現不能」と報告しているだけでなく、実験中に認められた蛍光を発する細胞はアポトーシス(細胞死)におちいりつつある細胞が発する自家蛍光である単独の記者会見で「STAP現象が存在する」証拠として、自動焦点顕微鏡撮影による「動画の存在」を挙げた。
私もアップされている動画を見たが、蛍光を発する細胞は動かないが、画面をさかんに動き回る大型の細胞(大食細胞=マクロファージ)がいて、それが蛍光細胞を食べているのが目立った。つまりあの動画はリー教授が突きとめたように、死にかけた細胞が発する蛍光を勘違いしただけなのだ、という根拠がこの論文で提出されたと考える。
5/9のメルマガで、理研調査委の「不服申立」却下の理由書について、
<論文1には、
1.酸処理の実験を行ったと書きながら、実際には機械的ストレス条件で得られたデータを使用、
2.脾臓細胞からのデータであるとしながら、実際には骨髄細胞で得られたデータを使用、
3.生後1週のマウスを使用したと書きながら、実際には生後3~4週齢の離乳後マウスを使用している、
と指摘している。>と述べた。
また、<ネイチャー論文1では、「生後1週以内のマウスの脾臓細胞を取りだし、CD45陽性のものを選別し、pH5.7の塩酸でストレスを与え培養したら胚細胞遺伝子が活性化し、蛍光を発するようになりSATP細胞ができた」というのが、論文の第1段階をなしていた。
これが全部ウソだったというのだから、「STAP細胞がある」わけがない。つまりすべては小保方の妄想ないし虚構だったというわけだ。笹井氏は「STAP現象は有力な仮説」と会見で述べたが、科学者なら「空想」、「アイデア」、「作業仮説」、「仮説」:「試論」、「仮設」、「学説」のきちんとした区別をつけるべきだ。
「成熟マウス骨髄からCD45+細胞を取りだし、50ミクロンのピペット操作をしたにすぎない」細胞が、「蛍光を発した動画を確認した」というが、骨髄にはCD45+の大食細胞がいくらでもいる。あの動画は、死にかけて自家蛍光を発している血液細胞を、大食細胞が食べている画像とすれば、すべてが符合する。>とも書いた。
上記1~3の事実はネイチャー第1論文に書かれた内容とまったく異なっており、リー教授が知ったら激怒するだろう。彼が引用している「Ohboが報告したトランスジェニックマウス」というのは、慶応大医学部(当時)の大保和之(現横浜市立大医学部教授)のことだ。マウスの作成法も書いてある。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12781694
大保らが作成し、小保方が用いたOct4-GFP遺伝子組み込みマウスが、特殊な系統のものであるとすると、話は少し変わってくる。もう少し情報を追いたい。つまり、たまたま体細胞が初期化しやすい特殊なマウスがありえるのか、という問題だ。
「Nature」5/8付電子版はD.シラノフスキ記者による「日本の幹細胞論争の最中に、続々と科学者批判:調査委員会の委員が自分の研究論文不正を告発される」という記事を載せ、4月1日の調査委員会の結論、小保方の不服申し立て、山中伸弥にまで飛び火したことなどを詳しく報じている。
http://www.nature.com/news/accusations-pile-up-amid-japan-s-stem-cell-controversy-1.15163
医科研上昌広先生の発言を載せているから、日本に来ているのか…
シラノフスキ記者のこの記事からは、小保方を擁護するような印象を受ける。
「ノフラー博士」5/8付のブログは、別の視点でこの問題を扱っていて興味深い。
http://www.ipscell.com/2014/05/perspectives-on-lee-lab-f1000-paper-that-stap-cell-method-does-not-work/
リーの再現実験の失敗にふれて、「いつの日か誰かが何らかのかたちで成功するかもしれないが、残念ながら、日毎に強さを増している、より簡潔で可能性のある説明法は、STAP細胞は存在しないというものだ」と述べている。これが「オッカムの剃刀」であり、科学を宗教から分かつ原理である。
またSTAP細胞を皮肉った2コマ・マンガの投稿を紹介している。
左は明らかに小保方で、右は眼鏡をかけた旧日本兵に似た笹井氏。
女「STAPは上手くいかない!」
男「俺はストレスで胃酸が逆流しそうだ」
胃酸逆流で膨れ上がった男を見て、
女「上手く行った!」
「STAP」の意味についてこういうジョークがあるとも書いている。
1. Stressful Time After Paper (ストレス一杯の論文後の時間)
2.Stress-Triggering, Aggravating Publications (ストレスを引き起こし、悪化させる論文)
3.Stop Talking About these Papers (これらの論文を話題にするのを止めよう)
海外ではここまでお笑いネタにされていることを、お互いにもっと認識する必要がある。
ここで彼は「1月の終りに、小保方のネイチャー論文に疑問を呈した最初の科学者は自分である」と述べている。これはPubPeerでのノフラー博士の記名発言を指している。
https://pubpeer.com/publications/24476887
それは事実で、1/29付PubPeerでの最初の記入は彼によるものだ。
彼はここで6つの基本的疑問を呈している。
1.Will it be reproducible by other labs?(他の研究室で再現できるか?)
2. Will it work in human cells?(ヒトの細胞で実現できるか?)
3. Will it work in adult cells?(成体細胞で実現できるか?)
4. What are the molecular mechanisms?(分子的なメカニズムはどうか?)
5. Do these cells possess significant rates of mutations or epi-mutations, the latter being abnormalities in the epigenome?(これらの細胞は優位の比率で突然変異もしくはエピ突然変異を持つか?後者なら核外遺伝子に異常があるのか?)
6. Are these cells tumorigenic (besides forming teratoma)?(これらの細胞はテラトーマ以外に腫瘍原性をもつのか?)
論文発表以来、3ヶ月が過ぎたのに理研CDCは第1の疑問にすら答えることが出来ないでいる。これを見ると、やはり実名での発現が、ネットで集合知が建設的な方向に作用するのに必要だと思う。
小保方論文2に対する疑問はPubPeerでは2/13に初めて提起されている(知るかぎりすべて匿名)。
https://pubpeer.com/publications/1F3D9CBBB6A8F1953284B66EEA7887
日本で「STAP細胞の懐疑点」No.1スレッドが2Chに立ったのが2/9だから、ノフラー博士に1週間以上も遅れている。その頃は、こういう素朴な礼賛論もあった。
<13 :名無しゲノムのクローンさん:2014/02/10(月) 10:08:07.50
学界ではすでにiPS細胞もMUSE細胞もまたそれ以外のやり方で、たまたま細胞が変化した現象もすべて「STAP細胞」という大きな枠組みの一部ではないかという意見が出ている。
つまり小保方さんがたどりついた「外的刺激によって、細胞は万能細胞に変化しうる」という現象がそれ以外すべての万能細胞生成の方法のもっとも一般的な原理だということになる。
これがSTAP細胞という概念の画期的な意義だ。つまりiPS細胞もSTAP細胞のごく一部にすぎないということだ。
細胞生物学を専攻すれば、いかにその発想の転換がすごかったかわかる。間違いなくノーベル賞はとるだろう。でもその程度で終わらず、もっとすごい実績を上げてくれることを期待している。小保方さんの若さならキュリー夫人みたいにノーベル賞二つもらう可能性もある。
小保方論文は現段階でも十分ノーベル賞。生物学医学の常識、それこそ数百年の歴史がひっくり返った。
まあ小保方さんはこれだけじゃ終わらんだろうがね。とにかくノーベル賞は確定だね。>
というような手放しの礼賛論だった。(この人は今どう考えているのだろう?)
2/16にNo.2スレッドが立って流れが変わった。
2 :名無しゲノムのクローンさん:2014/02/16(日) 18:07:38.89
807 :TCR:2014/02/16(日) 13:41:26.51
何度もすまないが。>>789を読んで気になるのは、やはりT細胞受容体(TCR)遺伝子だよ。
生物や医学を知る者はすぐにわかると思うが、リンパ球を扱うという場合、 B細胞なら抗体、T細胞ならTCRの遺伝子組換えが起こっていたはずであり、 それを未分化の状態に戻しても、組換え前の遺伝子(染色体)の配列に戻ることは絶対ない と考えられる。(組換え時にDNAが切り出されて捨てられる。)
もしこれらの細胞が本当にSTAP細胞化したというのなら、 一種類の抗体かTCRだけを発現するtgマウスと 似た状態になるのでないの?。
今回の仕事が本当だという人、おぼちゃんを信用している人はまず、 この点についてコメント求む。
ちょっと忙しいのでNature読むひまがない。
「毎日」が<理研、STAP細胞論文調査、「不自然な画像」と指摘>と報じたのが2/15。「インターネット上で不自然な画像データが使われている」と指摘があったと書いている。これが知るかぎり日本メディアでの疑惑報道の始まりだろう。
今では、「国内外の研究機関からラブコールを受けているといい、“海外逃亡”する展開もありそうだ。」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140509/dms1405091509013-n1.htm
と書かれるほどに、様変わりしてしまった。
別にノフラー博士の先取権に異議を唱える気はないが、私は2/3付メルマガ(「武田ブログ」掲載は2/4)でこう書いた。
<ただ疑問は残る。
一旦免疫遺伝子を再構成した細胞は、幹細胞になってもその遺伝子を引き継ぐので、もう余分な胚型TCR遺伝子がないはずだ。そうするとこの細胞から作ったクローンマウスは「重症複合免疫不全症(SCID)」を発症するはずだが、そのへんはどうなっているのか。>
http://blog.goo.ne.jp/motosuke_t/e/d7bb0e2bd291f629b25ea947fcdc72e9
TCR遺伝子の問題を最初に指摘したのは、ひょっとすると私だったのかもしれない。
ともかくこの事件の報道はネットから始まり、ネットで進展し、既成メディアが完全に後追いしたのが大きな特徴だと思う。そのことは「TBS報道特集」でも述べた。
さてそうなると、今後の予想もやはりネットが確からしいと思われる。
ノフラー博士はブログでこう述べている。
http://www.ipscell.com/2014/05/perspectives-on-lee-lab-f1000-paper-that-stap-cell-method-does-not-work/
<Since that time grave doubts about those papers and about STAP cells. Remarkably, the Nature papers, which contain plagiarism, image manipulation, image reuse, and other problems, remain as of today still published in unchanged form. However, there is little doubt that there are profoundly compromised and I believe it is really only a question of when, not if, Nature will editorially retract them.>
(あれ以来、これらの小保方論文とSTAP細胞に深刻な疑惑が生じた・驚くべきことに、ネイチャー論文は盗用、画像操作、画像使い回し、その他の問題を含んでいるのに、現時点では何ら修正なく掲載されている。だがしかし、そこには深い妥協があり、ネイチャーが編集権に基づき論文を撤回するのは、イフではなくイツの問題だと私は信じている。)
5/9「毎日」も「ネイチャーが近く結論を出す」と報じていた。
http://mainichi.jp/select/news/20140509k0000e040186000c.html
今回は日本の報道を検証できなかった。
香港のKaHo Lee(李嘉豪)教授が「STAP細胞は再現性がない」というネガティブ論文を「英科学誌」に掲載したと「読売:ワシントン=中島達雄」で報じている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140509-OYT1T50100.html
こういう時は雑誌名をちゃんと書くべきだ。ワシントン特派員というと、各社とも政治部の記者が派遣されている場合が多い。専門外だからWPかNYTの記事を資料に使ったのかもしれない。それなら「盗用」だ。
読売については、1/29理研発表後に、2/3メルマガでこう書いた。
<一般論として述べると、科学研究は他者による「再現性の追試」があって初めて事実として認定されるべきだ。2/1「読売」社説は、すでに事実として認定した上で、「メカニズムの解明を」と呼びかけているがいかがなものか…。>
ナベツネによる「政治部支配型」の新聞だから仕方がないか…
3/6「産経」は「小保方さん再現成功、理研、STAP細胞作成法公開」と報じたが、誤報訂正は出されていない。無署名記事だからもとより信用していないが、これだから「マスゴミ」といわれるのだろう。
問題の「英科学誌」のGoogle検索にかかったが、どういうわけかアップルのブラウザSafariにURLが表示されなくなった。GoogleのChromeだと表示されるが、これは経験不足だ。
さんざ探して、英ノッチンガム大の電子雑誌「F1000 Research」5/9/2014付に載っているのを見つけた。Nature誌に掲載を拒否されたものだという。
http://www.ipscell.com/2014/03/nature-rejects-publication-of-paper-reporting-that-stap-does-not-work/
Mei Kuen Tang1, Lok Man Lo1, Wen Ting Shi1, Yao Yao1, Henry Siu Sum Lee2, Kenneth Ka Ho Lee1 - See more at: http://f1000research.com/articles/3-102/v1#sthash.JqQkODds.dpuf
<Transient acid treatment cannot induce neonatal somatic cells to become pluripotent stem cells >(一過性酸処理では新生児体細胞を多能性幹細胞に誘導できない)
http://f1000research.com/articles/3-102/v1
この論文の「要約」は、
<Currently, there are genetic- and chemical-based methods for producing pluripotent stem cells from somatic cells, but all of them are extremely inefficient. However, a simple and efficient technique has recently been reported by Obokata et al (2014a, b) that creates pluripotent stem cells through acid-based treatment of somatic cells. These cells were named stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP) stem cells. This would be a major game changer in regenerative medicine if the results could be independently replicated. Hence, we isolated CD45+ splenocytes from five-day-old Oct4-GFP mice and treated the cells with acidified (pH 5.7) Hank’s Balanced Salt Solution (HBSS) for 25 min, using the methods described by Obokata et al 2014c. However, we found that this method did not induce the splenocytes to express the stem cell marker Oct4-GFP when observed under a confocal microscope three to six days after acid treatment. qPCR analysis also confirmed that acid treatment did not induce the splenocytes to express the stemness markers Oct4, Sox2 and Nanog. In addition, we obtained similar results from acid-treated Oct4-GFP lung fibroblasts. In summary, we have not been able to produce STAP stem cells from neonatal splenocytes or lung fibroblasts using the acid-based treatment reported by Obokata et al (2014a, b, c). - See more at:
http://f1000research.com/articles/3-102/v1#sthash.JqQkODds.dpuf >
(現在、体細胞から多潜能幹細胞を誘導するのに、遺伝子を導入する、薬品を用いるという方法があるが、いずれも非常に効率が悪い。だが、体細胞の酸処理により多潜能幹細胞を作り出す、シンプルで効果的な手法が、小保方ら(2014)により最近「STAP幹細胞」として報告された。もし結果が別の研究者により再現されれば、再生医学における大変革となるだろう。
そこで「小保方法」(2014c)に従い、生後5日のOct4-GFPマウス脾臓からCD45+細胞を抽出し、酸性(pH5.7)のハンクス・バランス塩溶液(HBSS)中で25分間処理した。しかしながらこの方法では、酸処理後3~6日後に共焦点顕微鏡で観察しても、脾臓細胞が幹細胞マーカーであるOct4-GFPを発現するのは認められなかった。qPCR(定量PCR)解析により酸処理では脾細胞が幹細胞マーカーであるOct4, Sox2及びNanogを発現しないことが確証された。Oct4-GFPマウスの肺線維芽細胞を酸処理実験しても、同様の結果がえられた。
以上をまとめると、著者らは小保方らにより報告された酸処理を基盤とする方法を用いて、新生児マウス脾臓細胞と肺線維芽細胞からSTAP幹細胞を作製することは出来なかった。)となっている。
実験方法と結果のデータは省く。
「考察」は以下のようになっている。
<Discussion
Currently, there is a trend to simplify iPS cell production by minimizing genetic manipulation and incorporating the use of small chemical molecules for somatic cell reprogramming (Shi et al., 2008; Zhu et al., 2010). In this context, it has been reported that mouse iPS cells could be generated using a cocktail of seven chemical molecules without any genetic manipulation, with an efficiency of around 0.2% (Hou et al., 2013).
(現在、iPS細胞の生産を遺伝子操作の最小化と低分子化学分子を用いることで体細胞のリプログラミングを図ろうというトレンドがある。この流れで、マウスのiPS細胞が遺伝子操作なしで、7種の化学分子のカクテルにより、約0.2%の効率で生産できると報告された。)
These important developments were recently superseded by claims that hydrochloric acid treatment alone can chemically reprogram fibroblasts to become induced pluripotent stem cells (Obokata et al., 2014a;Obokata et al., 2014b). The authors claimed that chemically stressing CD45+ splenocytes (isolated from Oct4-GFP neonates) to the point of death so that approximately 25% of the cells survive will activate the Oct4-GFP transgene in over 50% of surviving cells. They called these cells “STAP cells” which, when injected into host blastocysts, could participate in the development of all tissues and organs, including the placenta. The STAP chimeric mice produced were reported to be healthy, and the STAP-derived germ cells were demonstrated to be involved in germline transmission (Obokata et al., 2014a; Obokata et al., 2014b). These are astonishing findings.
(これらの重要な新展開は最近の塩酸処理だけで線維芽細胞を化学的にリプログラムし、多潜能幹細胞に誘導できるとする小保方らの主張により、押さえ込まれてしまった。この作り出されたSTAPキメラマウスは健康であり、STAP由来の胚細胞は胚細胞レベルで伝達されると証明されたという。これらは驚異的な発見である。)
Nevertheless, we have tried to replicate the first stages of Obokata’s findings using CD45+ splenocytes isolated from Oct4-GFP neonates, but could not activate the expression of the Oct4-GFP transgene. This is despite using their most updated protocol for producing STAP cells, which was reported in Protocol Exchange (Obokata et al., 2014c). We also tried using Oct4-GFP lung fibroblasts instead of splenocytes, but again we failed to detect Oct4-GFP expression after acid-treatment. Occasionally, there were cells that appeared GFP positive, but we later determined them to be autofluorescence from apoptotic cells.
(にもかかわらず、著者らは小保方の報告の第1段階を追試した。しかしOct-GFP遺伝子の発現をも認めることはできなかった。これはProtocol Exchangeに報告された最新の方法(2014c)を用いても同様だった。肺の線維芽細胞を用いた実験でも同様であった。ときおり、GFP+と思われる細胞があったが、後にそれらはアポトーシスにおちいりつつある細胞が発する自家蛍光だと確認できた。)
We made sure that the pH was exactly maintained at pH 5.7 during the experiments by measuring the pH before and after cell treatment. This is because the Protocol Exchange protocol placed a lot of emphasis on maintaining an optimal pH during the acid treatment of the cells. We found that there was a pH 0.1 increase after the acid buffer was added to treat the cells – so our starting pH was actually 5.6 to compensate. At the end of acid bath stimulation, we also measured the pH of the buffer to confirm that it was still pH 5.7. Therefore, our inability to produce STAP cells could not be attributed to changes in the pH during the cell stimulus procedures.
(小保方のNature ProtocolがpH維持の重要性に触れていたので、緩衝液のpHが細胞を加え、酸性浴終了後にもpH5.7維持されているように工夫を加えた。だからSTAP細胞の作製に成功しなかったのは、pHのせいとは考えられない。)
Another possibility why we could not replicate Obokata’s results might be the difference in the strains of Oct4-GFP transgenic mice used. We acquired our transgenic mice from The Jackson Laboratory (CBA-Tg (Pou5f1-EGFP) 2Mnn/j) while Obokata used transgenic mice generated by Ohbo et al., 2003. Their transgenic mice were developed from a C57BL.6J background, and carry the EGFP cDNA under the control of an Oct4 18-kb genomic fragment (consisting of a minimal promoter and proximal and distal enhancer). Perhaps the transgene in these mice is more easily activated than in our Jackson Laboratory mice. This could potentially explain why Obokata’s transgenic splenocytes, but not our transgenic splenocytes, expressed the EGFP reporter following acid bath treatment.
(小保方らの結果を再現できなかったことの別の可能性として、用いられたOct4-GFPトランスジェニックマウスの系統の違いが考えられる。著者らはジャクソン研究所のマウスを用いたが、小保方らはOhboら(2003)が作製したものを用いている。それはC57BL.6J由来である。恐らく小保方が用いたマウスはジャクソン研究所のものより、トランス遺伝子を発現しやすい可能性がある。(中略)これが小保方らのトランスジェニックな脾細胞が、酸性浴後にEGFPレポーターを発現しやすいことの説明になるかも知れない。)
Nevertheless, in the context of generating STAP stem cells, it is not the expression of the transgene that is important but rather the expression of the endogenous Oct4 gene - and related endogenous stemness genes, Sox2 and Nanog. Expression of these genes could not be demonstrated using qPCR analysis following splenocyte acid treatment and culture.
(にもかかわらず、STAP幹細胞を創出するという点ではトランス遺伝子の発現が重要なのではなく、内在性のOct4及び関連する幹細胞遺伝子Sox2, Nanogの発現が重要なのである。脾臓細胞を酸処理後に培養しても、qPCR解析によりこれらの遺伝子発現は認められなかった。)
In conclusion, we have not been able to replicate Obokata et al.’s findings to produce STAP stem cells from somatic cells. It appears that the method for producing STAP stem cells is not as simple and straight forward as has been reported. >
(結論的に、小保方らの体細胞からSTAP幹細胞を作製できるという所見を、再現することはできなかった。STAP幹細胞を作製する方法は報告されたように、簡単でも単純でもないように思われる。)
科学の世界は「知的好奇心と知的正直さ(誠実さ)」が支えている。米ORIのOはオフィス、Rは研究、Iはインテグリティの略であり「研究公正局」と訳されている。
Integrityとは「正直、誠実、公正、公明正大」を意味する。Man of Integrityといえば、絶対に信頼できる人物をいう。
科学論文は掲載されたものが正しいことを前提にしているから、「追試できない」とするネガティブ報告は通常掲載しない。ネイチャーは小保方論文の撤回前なので、このリー論文を却下したのであろう。これが電子雑誌「F1000 Research」に掲載されたのはSTAP騒動に巻き込まれて多くの研究者が、お金と時間と労力を無駄に消費する事態を避けたいとする世界の科学者の良心がはたらいたものと考える。
このリー論文が興味深いのは「小保方法は再現不能」と報告しているだけでなく、実験中に認められた蛍光を発する細胞はアポトーシス(細胞死)におちいりつつある細胞が発する自家蛍光である単独の記者会見で「STAP現象が存在する」証拠として、自動焦点顕微鏡撮影による「動画の存在」を挙げた。
私もアップされている動画を見たが、蛍光を発する細胞は動かないが、画面をさかんに動き回る大型の細胞(大食細胞=マクロファージ)がいて、それが蛍光細胞を食べているのが目立った。つまりあの動画はリー教授が突きとめたように、死にかけた細胞が発する蛍光を勘違いしただけなのだ、という根拠がこの論文で提出されたと考える。
5/9のメルマガで、理研調査委の「不服申立」却下の理由書について、
<論文1には、
1.酸処理の実験を行ったと書きながら、実際には機械的ストレス条件で得られたデータを使用、
2.脾臓細胞からのデータであるとしながら、実際には骨髄細胞で得られたデータを使用、
3.生後1週のマウスを使用したと書きながら、実際には生後3~4週齢の離乳後マウスを使用している、
と指摘している。>と述べた。
また、<ネイチャー論文1では、「生後1週以内のマウスの脾臓細胞を取りだし、CD45陽性のものを選別し、pH5.7の塩酸でストレスを与え培養したら胚細胞遺伝子が活性化し、蛍光を発するようになりSATP細胞ができた」というのが、論文の第1段階をなしていた。
これが全部ウソだったというのだから、「STAP細胞がある」わけがない。つまりすべては小保方の妄想ないし虚構だったというわけだ。笹井氏は「STAP現象は有力な仮説」と会見で述べたが、科学者なら「空想」、「アイデア」、「作業仮説」、「仮説」:「試論」、「仮設」、「学説」のきちんとした区別をつけるべきだ。
「成熟マウス骨髄からCD45+細胞を取りだし、50ミクロンのピペット操作をしたにすぎない」細胞が、「蛍光を発した動画を確認した」というが、骨髄にはCD45+の大食細胞がいくらでもいる。あの動画は、死にかけて自家蛍光を発している血液細胞を、大食細胞が食べている画像とすれば、すべてが符合する。>とも書いた。
上記1~3の事実はネイチャー第1論文に書かれた内容とまったく異なっており、リー教授が知ったら激怒するだろう。彼が引用している「Ohboが報告したトランスジェニックマウス」というのは、慶応大医学部(当時)の大保和之(現横浜市立大医学部教授)のことだ。マウスの作成法も書いてある。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12781694
大保らが作成し、小保方が用いたOct4-GFP遺伝子組み込みマウスが、特殊な系統のものであるとすると、話は少し変わってくる。もう少し情報を追いたい。つまり、たまたま体細胞が初期化しやすい特殊なマウスがありえるのか、という問題だ。
「Nature」5/8付電子版はD.シラノフスキ記者による「日本の幹細胞論争の最中に、続々と科学者批判:調査委員会の委員が自分の研究論文不正を告発される」という記事を載せ、4月1日の調査委員会の結論、小保方の不服申し立て、山中伸弥にまで飛び火したことなどを詳しく報じている。
http://www.nature.com/news/accusations-pile-up-amid-japan-s-stem-cell-controversy-1.15163
医科研上昌広先生の発言を載せているから、日本に来ているのか…
シラノフスキ記者のこの記事からは、小保方を擁護するような印象を受ける。
「ノフラー博士」5/8付のブログは、別の視点でこの問題を扱っていて興味深い。
http://www.ipscell.com/2014/05/perspectives-on-lee-lab-f1000-paper-that-stap-cell-method-does-not-work/
リーの再現実験の失敗にふれて、「いつの日か誰かが何らかのかたちで成功するかもしれないが、残念ながら、日毎に強さを増している、より簡潔で可能性のある説明法は、STAP細胞は存在しないというものだ」と述べている。これが「オッカムの剃刀」であり、科学を宗教から分かつ原理である。
またSTAP細胞を皮肉った2コマ・マンガの投稿を紹介している。
左は明らかに小保方で、右は眼鏡をかけた旧日本兵に似た笹井氏。
女「STAPは上手くいかない!」
男「俺はストレスで胃酸が逆流しそうだ」
胃酸逆流で膨れ上がった男を見て、
女「上手く行った!」
「STAP」の意味についてこういうジョークがあるとも書いている。
1. Stressful Time After Paper (ストレス一杯の論文後の時間)
2.Stress-Triggering, Aggravating Publications (ストレスを引き起こし、悪化させる論文)
3.Stop Talking About these Papers (これらの論文を話題にするのを止めよう)
海外ではここまでお笑いネタにされていることを、お互いにもっと認識する必要がある。
ここで彼は「1月の終りに、小保方のネイチャー論文に疑問を呈した最初の科学者は自分である」と述べている。これはPubPeerでのノフラー博士の記名発言を指している。
https://pubpeer.com/publications/24476887
それは事実で、1/29付PubPeerでの最初の記入は彼によるものだ。
彼はここで6つの基本的疑問を呈している。
1.Will it be reproducible by other labs?(他の研究室で再現できるか?)
2. Will it work in human cells?(ヒトの細胞で実現できるか?)
3. Will it work in adult cells?(成体細胞で実現できるか?)
4. What are the molecular mechanisms?(分子的なメカニズムはどうか?)
5. Do these cells possess significant rates of mutations or epi-mutations, the latter being abnormalities in the epigenome?(これらの細胞は優位の比率で突然変異もしくはエピ突然変異を持つか?後者なら核外遺伝子に異常があるのか?)
6. Are these cells tumorigenic (besides forming teratoma)?(これらの細胞はテラトーマ以外に腫瘍原性をもつのか?)
論文発表以来、3ヶ月が過ぎたのに理研CDCは第1の疑問にすら答えることが出来ないでいる。これを見ると、やはり実名での発現が、ネットで集合知が建設的な方向に作用するのに必要だと思う。
小保方論文2に対する疑問はPubPeerでは2/13に初めて提起されている(知るかぎりすべて匿名)。
https://pubpeer.com/publications/1F3D9CBBB6A8F1953284B66EEA7887
日本で「STAP細胞の懐疑点」No.1スレッドが2Chに立ったのが2/9だから、ノフラー博士に1週間以上も遅れている。その頃は、こういう素朴な礼賛論もあった。
<13 :名無しゲノムのクローンさん:2014/02/10(月) 10:08:07.50
学界ではすでにiPS細胞もMUSE細胞もまたそれ以外のやり方で、たまたま細胞が変化した現象もすべて「STAP細胞」という大きな枠組みの一部ではないかという意見が出ている。
つまり小保方さんがたどりついた「外的刺激によって、細胞は万能細胞に変化しうる」という現象がそれ以外すべての万能細胞生成の方法のもっとも一般的な原理だということになる。
これがSTAP細胞という概念の画期的な意義だ。つまりiPS細胞もSTAP細胞のごく一部にすぎないということだ。
細胞生物学を専攻すれば、いかにその発想の転換がすごかったかわかる。間違いなくノーベル賞はとるだろう。でもその程度で終わらず、もっとすごい実績を上げてくれることを期待している。小保方さんの若さならキュリー夫人みたいにノーベル賞二つもらう可能性もある。
小保方論文は現段階でも十分ノーベル賞。生物学医学の常識、それこそ数百年の歴史がひっくり返った。
まあ小保方さんはこれだけじゃ終わらんだろうがね。とにかくノーベル賞は確定だね。>
というような手放しの礼賛論だった。(この人は今どう考えているのだろう?)
2/16にNo.2スレッドが立って流れが変わった。
2 :名無しゲノムのクローンさん:2014/02/16(日) 18:07:38.89
807 :TCR:2014/02/16(日) 13:41:26.51
何度もすまないが。>>789を読んで気になるのは、やはりT細胞受容体(TCR)遺伝子だよ。
生物や医学を知る者はすぐにわかると思うが、リンパ球を扱うという場合、 B細胞なら抗体、T細胞ならTCRの遺伝子組換えが起こっていたはずであり、 それを未分化の状態に戻しても、組換え前の遺伝子(染色体)の配列に戻ることは絶対ない と考えられる。(組換え時にDNAが切り出されて捨てられる。)
もしこれらの細胞が本当にSTAP細胞化したというのなら、 一種類の抗体かTCRだけを発現するtgマウスと 似た状態になるのでないの?。
今回の仕事が本当だという人、おぼちゃんを信用している人はまず、 この点についてコメント求む。
ちょっと忙しいのでNature読むひまがない。
「毎日」が<理研、STAP細胞論文調査、「不自然な画像」と指摘>と報じたのが2/15。「インターネット上で不自然な画像データが使われている」と指摘があったと書いている。これが知るかぎり日本メディアでの疑惑報道の始まりだろう。
今では、「国内外の研究機関からラブコールを受けているといい、“海外逃亡”する展開もありそうだ。」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140509/dms1405091509013-n1.htm
と書かれるほどに、様変わりしてしまった。
別にノフラー博士の先取権に異議を唱える気はないが、私は2/3付メルマガ(「武田ブログ」掲載は2/4)でこう書いた。
<ただ疑問は残る。
一旦免疫遺伝子を再構成した細胞は、幹細胞になってもその遺伝子を引き継ぐので、もう余分な胚型TCR遺伝子がないはずだ。そうするとこの細胞から作ったクローンマウスは「重症複合免疫不全症(SCID)」を発症するはずだが、そのへんはどうなっているのか。>
http://blog.goo.ne.jp/motosuke_t/e/d7bb0e2bd291f629b25ea947fcdc72e9
TCR遺伝子の問題を最初に指摘したのは、ひょっとすると私だったのかもしれない。
ともかくこの事件の報道はネットから始まり、ネットで進展し、既成メディアが完全に後追いしたのが大きな特徴だと思う。そのことは「TBS報道特集」でも述べた。
さてそうなると、今後の予想もやはりネットが確からしいと思われる。
ノフラー博士はブログでこう述べている。
http://www.ipscell.com/2014/05/perspectives-on-lee-lab-f1000-paper-that-stap-cell-method-does-not-work/
<Since that time grave doubts about those papers and about STAP cells. Remarkably, the Nature papers, which contain plagiarism, image manipulation, image reuse, and other problems, remain as of today still published in unchanged form. However, there is little doubt that there are profoundly compromised and I believe it is really only a question of when, not if, Nature will editorially retract them.>
(あれ以来、これらの小保方論文とSTAP細胞に深刻な疑惑が生じた・驚くべきことに、ネイチャー論文は盗用、画像操作、画像使い回し、その他の問題を含んでいるのに、現時点では何ら修正なく掲載されている。だがしかし、そこには深い妥協があり、ネイチャーが編集権に基づき論文を撤回するのは、イフではなくイツの問題だと私は信じている。)
5/9「毎日」も「ネイチャーが近く結論を出す」と報じていた。
http://mainichi.jp/select/news/20140509k0000e040186000c.html
今回は日本の報道を検証できなかった。
お教え下さい。f1000リサーチがとんでも雑誌の理由を伺いたいです。疑問に思ったことは直接調べてみたいので。たしか、東電の原発事故のとき、おなまえを拝見したかたが科振研の幹部におられますね。原発産業のトップが独法のトップにいることのほうが問題だと思われますが。
聞きにきて下さい。
>「F1000 Research」に掲載されたのはSTAP騒動に巻き込まれて多くの研究者が、お金と時間と労力を無駄に消費する事態を避けたいとする世界の科学者の良心---
JSTのリンクを貼ります。
http://johokanri.jp/stiupdates/northamerica/2013/01/008104.html
>ネイチャーは小保方論文の撤回前なので、このリー論文を却下したのであろう。
この程度の実験手続きでNatureに載る筈がないです。この程度の実験系ではJCI, JCB, JBC, ECRでもぜんぜん無理だと思います。
要するに(山中先生を含む)外部ではなかなか再現出来ない,という事です。丹羽先生が再現出来なければ、幻のStapで納得できますが、外部では難しいと言う事です。細胞死に近い(apotosing)なので、直蛍光うんうん、は大隅先生(東北大学)のご意見ですので、引用が必要かと。
Oct4-eGGP TGマウスについてはsublineとSPF環境などによってもかなり影響を受けるので、理研が責任をもって検証すべき事案です。7月の丹羽先生報告を待ちたいと思います。
STAP論文での研究不正の件、理研の下す処分はどのようになるのでしょうか。
実行者として認定された筆頭著者には相応のものがあるべきと考えます。しかし、当該論文や実験ノートなどご本人に研究能力がないことを証明する多くの証拠があり、これは処分を軽い方向に押す強力な情状(責任能力希薄)に当たると想像されます。
一方、当該論文の責任著者である笹井さんやプロトコルの責任著者である丹羽さんは実績のあるプロの研究者でいらっしゃるようですので、筆頭著者のような斟酌すべき情状はないと思われます。仮に実態が論文を通すために名前を貸しただけであっても、それ自身(ギフトオーサーになること)が研究不正とされるようです。当然ながら、当該論文を世に出して世界の研究者を欺き、所属研究機関の信頼を著しく毀損した責任は筆頭著者より重たいと思われます。従って、処分も筆頭著者と少なくとも同等もしくはそれ以上が妥当と考えます。 (理研の会見では、プロトコルの責任著者である丹羽さんは処分の対象ではないような話をされていました。さらには、検証実験のリーダーであると報道されています。”こうすれば出来る”手順書であるプロトコルの責任著者が、”最初からやり直す”と仰るのは研究社会を愚弄されているようにしか思えません。報道にはそのような批判が見当たらないのが不思議です。)
筆頭著者だけを犯人として事態の鎮静化を目指すトカゲのしっぽ切りが行われているとの理研への非難が見受けられます。しかし、論文に直接的な責任のある共著者や、広報や人事を含めた研究管理の責任を問われる理研上層部への処分を見てからでも遅くはないと思います。 理研が全うな自浄能力のある組織であれば、笹井さんや丹羽さんを筆頭著者より軽い処分にすることはあり得ないと考えます。
難波様のお考えをお聞かせ頂ければ幸いです。