ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【面白い新聞】難波先生より

2017-11-26 23:07:43 | 難波紘二先生
【面白い新聞】 
 新聞販売店主が集金と古紙回収に来てくれる。その際の立ち話で「産経は面白い」という点で意見が一致する。

 この前にも触れたが、一面に「夜明けのエッセー」という読者随筆が載っている。こんな新聞は他にないだろう。産経のHPを読みに行くと「産経WEST」の連載のようだが、記事そのものは無料では読めないようだ。
 11/22(水)のエッセーは広島県福山市在住の「早川邦夫(64)」という人が、白内障での手術体験と術後の目薬をさすのに、思わず口をあけてしまい、奥さんに「口じゃあなくて、目に入れるんよ」(広島弁と少しちがう)という話を書いていて、笑いつつ身につまされた。私の家内も片目の白内障を手術しているからだ。

 オウム真理教の麻原死刑囚の四女が父親と元教団幹部の母親を相続人から除外するように申し立てた件で、横浜家裁がこれを認めたことは「毎日」がちょっと報じただけだが、「産経」は社会面のトップ記事として、8段に渡り報じている。
 四女(28)は地下鉄サリン事件後に就学しており、ひどいいじめにあったという。子が親を虐待した場合「推定相続人」から除外する例はあるが、「子が親を排除する」のはきわめてまれだという。

 担当弁護士が滝本太郎氏と知り、さらに驚いた。同氏は麻原の空中浮揚がペテンであることを指摘し、滝本太郎・石井謙一郎「異議あり『奇跡の詩人』(同時代社、2002)では、NHKスペシャルが「奇跡の詩人、11歳脳障害児のメッセージ」として取り上げた、「脳が萎縮している少年が目線でキーボードを追い、母親がそれを読み上げると詩になっている」というトリックを見破った人だ。

 この本の巻末には、滝本氏がみずから膝を組んだまま、空中浮揚している写真がついている。これも仕掛けは単純で、跳び上がったところで膝を組み、小津安二郎監督の映画のように、ローアングルから写真撮影すればよいだけのことだ。
 今改めて、当時の「文藝春秋」8月号の記事を読むと、滝本氏は弁護士の他に「日本脱カルト研究会常任理事」という肩書を持っていることがわかった。
 
 「オウム事件」では医学部、工学部など難関理系の学生が多く信者にいて、世間を驚かせた。
「受験秀才」と「真の思考力」は必ずしも共存しないのである。

 私はオウムを初めからカルトだと思っていたから相手にしていなかったが、村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』(講談社文庫, 1984)の真似をして、地下鉄サリン事件を起こすとは思わなかった。春樹とちがい、龍の「社会批判力」はすごいと思う。「失われた十年」も彼の造語だ(村上龍「失われた10年を問う」NHK出版、2000)。もっとも後に「失われた二十年」になったが。

 「奇跡の詩人」では、少年の目線より早く母親の文字盤読み取りが行われるので、インチキだと直感した。目線があさっての方を向いていても、母親が文字盤を動かす。どうしてNHKの製作スタッフがこのトリックを見破れなかったのか不思議に思った。
 この「日木流奈」(当時11)という少年の行方は不明である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%87%E8%B7%A1%E3%81%AE%E8%A9%A9%E4%BA%BA

 ともあれ、「産経」の詳細な報道で、滝本太郎弁護士が健在だと知り、嬉しく思った。


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