日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 -八甲田-

2013-12-19 23:46:25 | 晩酌
このblogの記事数からも明らかなように、自分が最も足繁く通った土地といえばなんといっても東北地方です。頻度の違いこそあれ、東北各地をくまなく旅して分かったことがあります。一口に東北の酒といっても、土地によってかなりの濃淡があるということです。ここでいう濃淡とは味わいのことではなく、より直截には酒蔵の密度であったり、めぼしい酒の多寡と言い換えてもよいでしょう。
例えば福島では、正真正銘の酒どころである会津はともかくとして、中通りと浜通りの密度は格段に落ちます。同じく酒どころとして名高い秋田の場合、一部の大手蔵と都会に出回る有名な地酒以外の印象がほとんどありません。山形、宮城に関しては、その土地でなければ呑めない酒がいくつかある一方で、都会で呑める地酒も少なからずあり、ありがたみという点では一歩譲るものがあります。そして、東北一の地酒空白地帯と思うのが、東北六県はもとより全国43県の中で最も広い岩手です。
かような観点からすると、隠れた酒どころといえるのが青森ではないでしょうか。都会に出回る青森の酒といえば、田酒、豊盃、陸奥八仙の御三家と、あとは桃川あたりがせいぜいのところ、現地に足を運ぶと都会には出回らない逸品が少なからず埋もれていることが分かります。広い県土に満遍なく酒蔵が散らばり、しかもそれぞれが一家言を持つという点では、信州にも通じるよさが青森の酒にはあると思います。
本日酌むのもその種の酒の一つ、十和田の地酒「鳩正宗」の限定品「八甲田」です。青森ゆかりの酒造好適米「華吹雪」を六割に磨き、奥入瀬川の伏流水で仕込んだ純米酒は、冷やせば吟醸香を感じ、室温に慣らせば米の旨味を引き立たせた淡麗辛口の食中酒といった趣になります。

★八甲田 純米酒 華吹雪60
鳩正宗(青森県十和田市)
日本酒度 +3
酸度 1.5
アミノ酸度 1.5
酵母 協会酵母
仕込み水 奥入瀬川伏流水
杜氏 佐藤 企
青森県八戸市 八食センターにて購入
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