日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

最後のランチ(7)

2013-12-05 22:56:51 | B級グルメ
赤坂での最終週は、上位五傑と異なる店を四軒訪ね歩いたと申しました。最終日に訪ねた韓国料理の「ヌルンジ」を除くと、残る店は三軒です。とりあえずこの三軒について綴ろうかと思います。まずは最終日の前日に訪ねた「オステルリースズキ」からです。
その響きから何となく想像できるように、この店は正統派のフランス料理店です。気軽に寄れるイタリアンと違い、フレンチというと敷居が高いように感じるのは私だけでしょうか。敷居が高いというのは、必ずしも予算のことではありません。背筋を伸ばして正しい作法で「お食事」をしなければならないという堅苦しさが一つ、野郎の一人客が浮いてくるような店の雰囲気が一つです。この店も昼だからこそどうにか入れる店で、夜に単身乗り込む度胸はありません。しかし、最後から二番目に選んだからには、この店もまた思い入れの深い店の一つなのです。

この店の特徴として、ただ上品なだけではなく、野郎でも十分腹が満たされるという点が挙げられます。フランス料理には欠かせないクリームとバターを控えめにして、素材の味を活かすことにより、重量感を引き出しているというのが店主の説明で、実際の味わいもまさに触れ込み通りです。
基本となる1575円のクイックランチは、肉と魚の中から選べる主菜にパン、デザート、お茶という、文字にすれば簡素なもので、数百円追加すれば別途前菜、スープなどを選ぶこともできます。しかし、この主菜というのが付け合わせを含めかなりの分量なので、特に追加注文する必要は感じません。
前菜もスープも要らないのは、デザートが充実しているからでもあります。デザートは10種の中から3種選べるビュッフェ形式をとっており、タルト、ガトーショコラといった焼き物に加え、ジュレにプリンにソルベなど幅広く、しかも一つ一つがこれまた腹にたまるのです。
分量のことばかり申しましたが、もちろん仕事ぶりについても一流の料理店と呼ぶにふさわしいものがあります。コック帽をかぶった店主は物腰柔らかで、接客も心温まるものがあり、適度に古びた小さな店内の居心地は上々です。職場からやや遠く、フランス料理特有の敷居の高さもあり、決して頻度は高くなかったものの、思い入れという点に関する限りは、最終週に訪ねた四軒の中でも頭一つ抜きん出ていたのがこの店でした。
残念ながら、新しい職場からはなおさら遠くなり、そう滅多なことでは足が向かなくなりそうです。しかし、これまで取り上げた店と同様、折に触れて再訪したい店の一つではあり、少し贅沢したいときにはこの店が候補の一つになるかもしれません。

新しい職場に勤めて三日が経ちはしたものの、昼時は既出の店ばかりを回っており、いまだ新規開拓をするには至っていません。前の職場にいた当時も、これはという店が確立するまでには二、三ヶ月を要したと記憶しています。赤坂と新橋のほぼ中間という無味乾燥なビジネス街に移ったため、店探しが難航する可能性も十分あるでしょう。しばらくは赤坂の店を併用しながらの昼時となりそうです。

オステルリースズキ
東京都港区赤坂5-4-17 前田ビルB1
03-3585-6080
1130AM-1400PM(LO)/1800PM-2200PM(LO)
日祝日定休
コメント (2)