日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

さくらさく 2013(14)

2013-03-30 23:33:01 | 旅日記
土日の二日で花吹雪を眺めて有終の美を飾るつもりが、日がな一日どんより曇った空でせっかくの桜も絵にならず、天候面では期待はずれの一日でした。しかし出色だったものが二つあります。一つは英国大使館の玄関の向かいに三本並んだ紅枝垂の大木です。ソメイヨシノに少し遅れて咲くこの紅枝垂は今まさに見頃を迎えており、散りゆくソメイヨシノと満開の紅枝垂との取り合わせが実に見事で、晴れればどれほどだったかと想像したくなります。昼間から街灯がつくほどの曇り空では、申し訳程度に撮影するのが関の山とはいえ、ベンチに腰を下ろして小一時間眺めていても飽きることはありませんでした。雨さえ降らなければ、明日も必須の立ち寄り場所になるでしょう。
そして、何より秀逸だったのが靖国神社の夜桜です。花見客があらかた引けた散り際に、この場所で名残の酒を酌んだら最高だろうと値踏みして乗り込んだところが、果たして見物客の姿はざっと半分以下まで減り、桜越しに大鳥居を見上げる特等席を首尾よく確保。おでんやら煮込みやら露店の肴をつついて、持ち込んだ四合瓶をちびりちびりと空けながらの晩酌となりました。半月以上にわたった今年の花見を振り返りつつ、一人しみじみ酒を酌めば、はらはらと舞い降りる花びらが何とも風流です。これなら毎年の恒例行事とするにもやぶさかではなくなってきます。こちらも明日再訪になりそうな悪寒

それにしても予想外だったのは気温です。二日続いた汗ばむ陽気が一転、人並み外れた暑がりの自分が、あまりの寒さに思わず上着を取りに戻ってしまいました。明日も天気は似たり寄ったりとのことなので、桜の寿命はまたしても延びるのでしょう。さすがに見頃は過ぎた感があるものの、早咲きの木でも若葉より花が断然勝っており、遅咲きの木なら遠目にはまだまだ映えます。最初の花が開いて半月以上、必ずしも天候に恵まれたとはいえない今年の桜ですが、そのおかげで長く楽しめたのですから、これはこれで悪くなかったのかもしれません。
三月の前半という前代未聞の早さで開花したときには、四月を待たずに葉桜とばかり思っていたところが、土壇場での驚異的な粘り腰によって、四月になってもわずかに花が残るのは確実でしょう。加えて遅咲きの枝垂桜が見頃を迎え、これに続いて八重桜も咲き始めています。近所での花見は今週末で締めくくるつもりでいたはずが、これなら来週末も近所で花見をするにやぶさかではなくなってきました。往生際の悪い性分だけに、少なくとも四月の声を聞くまでは定点観測を続けることになりそうです。
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