日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

訪ね訪ねて麻布まで(11)

2011-07-29 00:08:12 | 居酒屋
ボスと別れて三軒目へ移行します。三軒のはしごならさほど珍しくないとはいえ、それが中一日となると記憶にありません。トリを飾るのは麻布十番での中でもとりわけ敬愛してやまない鳥居坂下の「こま」です。
気の利いた三点盛りのお通しとともに白穂乃香を空け、土鍋で仕立てたすじ煮込みと季節の野菜をいただくというおきまりの流れは、なじみの店ならではの楽しみです。何種類もの味噌を合わせたであろうとろみのある濃厚な煮込みは、自分の中では「東京三大煮込み」にも勝る味わいで、大阪なすを使った焼きなすも季節感にあふれています。腹具合からして、あと一合徳利を空ければそれ以上の飲み食いはできないものの、この店で締めくくれるというところに価値があります。丁寧な仕事を加え、何の変哲もない居酒屋の品書きを心躍る名品に仕立て上げる職人芸、ともすれば無愛想に見えながらも、酒と料理の進み具合を見計らい絶妙な間で次を差し出す心憎さなど、目に見えない居酒屋の楽しみというものをここまで感じさせてくれる店はそう多くありません。気づけば10ヶ月もの間が開いてしまったとはいえ、できることなら四季に一度は訪ねたいと思う名店の一つです。

三軒目は独酌かというとさにあらず。意表を突いて、今の職場に移って以来初めてとなる差し呑みです。つい先だって、同僚との間に埋めようのない隔たりを感じたはずが、一日置いて差し呑みなどをしてしまうのですから、人間関係はどう転ぶか分かりません。いずれにしても、三年という時間をかけて、同僚たちとの距離を少しずつ縮めつつあるのは事実のようです。いつの日か分かり合える日が来るのでしょうかね…

こま
東京都港区麻布十番1-5-10 第二石原ビル1F
03-3405-4849
1800PM-130PM(LO)日曜・月曜日の祝日定休
コメント