北海道の地区大会が終幕を迎え、今週はこれと並ぶ全国屈指の濃密さを誇る鹿児島大会を追いかけます。前年のおさらいになりますが、鹿児島大会の見所は、北海道にも勝る県域の広大さにあります。全国一広い都道府県が北海道というのは小学生でも分かる事実で、次点の岩手に5倍以上の大差をつけての圧倒的な1位です。これに対する鹿児島は、九州一広いとはいえ全都道府県の中では10番目で、面積だけをとらえれば、とりたてて大きい県というわけではありません。しかし、離島の多さとその分布の広さは他県の比ではなく、鹿児島市街から県内最南端の与論島への直線距離は実に550kmにも及びます。にわかには信じがたいことですが、これは約450ｋｍに過ぎない函館から根室や稚内までの直線距離よりもはるかに長いのです。函館から択捉島の果てまでは750kmありますが、それはまあそれとして…
かくも広大な県土に散らばる離島のうち、奄美大島の5校を筆頭に、種子島2校、屋久島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島から各1校の総勢13校が、今年も県大会に挑んでいます。読んで字のごとしの校名が多くを占める中、今年もさりげなく現れて消えたのが古仁屋でした。
一昨年の秋、那覇から鹿児島行きのフェリーで奄美大島まで移動したときの体験は鮮烈でした。沖縄の島影を望みつつ、朝方の出航から五時間かけて鹿児島最南端の与論島に到達した後、二時間ほどの間隔で沖永良部島、徳之島と寄港して、奄美大島で下船したのは夜も更けゆく10時近くのことです。鹿児島から沖縄まで空路なら一時間少々で移動できるこの時代に、丸々一日かけて船で旅する物好きがどれだけいるかという先入観に反して、港に着くたび小一時間停泊し、少なからぬ乗客とコンテナを積み卸ししながら進む航海は、現代の日本にこんな旅があったのかと驚かせるに十分なものでした。翌日走った奄美大島の海岸は、切り立ったリアス式の海岸線と鏡のように凪いだ水面が印象深く、中でもとりわけ秀逸だったのが島内最南端の古仁屋の町です。町外れの高台からは対岸の加計呂麻島が一望でき、午後の日差しに輝く大島海峡を小さなフェリーが渡る様子は、沖縄の海と全く違う趣を漂わせていました。そんな絶景に行き足は自ずと鈍り、結局島内の南東側を走っただけで日が暮れて、わずか一日の滞在時間しか用意しなかったことを大いに後悔したものです。
この旅で再認識したことが二つあります。一つは船旅の贅沢さです。豪華客船でも何でもない、雑魚寝の二等船室が中心の定期航路に過ぎません。しかし、船室に寝転び、時にはデッキで風を受けつつ、どこまでも続く大海原をのんびり航海するという贅沢は、他のどんな交通機関をもってしても味わうことができません。そしてもう一つ認識させられたのは、日本列島には自分の知らない場所が多すぎるということです。沖縄を除けば、自分が南西諸島で訪ねたのは奄美大島だけで、北海道全体をも覆い尽くすほど広大な海にどんな島々が散らばっているのかについて、自分はごく一端を知るに過ぎません。そんな未知の世界が広がる南西諸島を股にかけた壮大な戦いこそが、このblogにおける鹿児島大会の楽しみなのです。
ただし、海を渡って島から島へと旅をするなどという贅沢は、そう滅多にできるものではありません。あの旅以来、飛行機などという無粋な乗り物で一またぎするのを常々もったいなく思いながらも、結局時間の制約に負けて、たかが三日ばかりの日取りで沖縄へ直行直帰しているのが最近の通例です。鹿児島から沖縄まで、それぞれの島をこの足で踏みつつ旅をするなら、今度は半月の正月休みを全て船旅に注ぎ込み、それを何年も繰り返すしかありません。年末の二日に三が日のみという現実の渋さからすると、こちらも「理想のハッピーリタイア」という仮想の世界の出来事にならざるを得ないのかもしれません。北海道の大地と同様、鹿児島の海を心行くまで駆けめぐるのは、おそらく究極の理想として残り続けるのでしょう。実現する日は果たして来るのでしょうか…
今日の鹿児島大会は雨で全試合中止となったため、全国で一試合も開催がないという空白の一日になりました。このblogの高校野球ネタも明日は必然的に小休止となります。空いた時間は久方ぶりに酒場にでも繰り出そうかと思っています。こちらはこちらで楽しみです(ニヤリ)
★鹿児島大会
・1回戦(7/2)
出水工3-4x川薩清修館
指宿2-0川内商工
財部5-2古仁屋
吹上1-8x鶴丸
ラ・サール0-10x鹿児島情報
・1回戦(7/3)
尚志館2-0鹿児島東
徳之島2-0有明
鹿児島3-0頴娃
大島0-7伊集院
志學館0-10x武岡台
串良商0-2薩摩中央
・1回戦(7/4)
川内9-6枕崎
隼人工0-8出水中央
錦江湾0-3喜界
指宿商0-2屋久島
松陽4-3種子島
垂水0-10x鹿児島商
かくも広大な県土に散らばる離島のうち、奄美大島の5校を筆頭に、種子島2校、屋久島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島から各1校の総勢13校が、今年も県大会に挑んでいます。読んで字のごとしの校名が多くを占める中、今年もさりげなく現れて消えたのが古仁屋でした。
一昨年の秋、那覇から鹿児島行きのフェリーで奄美大島まで移動したときの体験は鮮烈でした。沖縄の島影を望みつつ、朝方の出航から五時間かけて鹿児島最南端の与論島に到達した後、二時間ほどの間隔で沖永良部島、徳之島と寄港して、奄美大島で下船したのは夜も更けゆく10時近くのことです。鹿児島から沖縄まで空路なら一時間少々で移動できるこの時代に、丸々一日かけて船で旅する物好きがどれだけいるかという先入観に反して、港に着くたび小一時間停泊し、少なからぬ乗客とコンテナを積み卸ししながら進む航海は、現代の日本にこんな旅があったのかと驚かせるに十分なものでした。翌日走った奄美大島の海岸は、切り立ったリアス式の海岸線と鏡のように凪いだ水面が印象深く、中でもとりわけ秀逸だったのが島内最南端の古仁屋の町です。町外れの高台からは対岸の加計呂麻島が一望でき、午後の日差しに輝く大島海峡を小さなフェリーが渡る様子は、沖縄の海と全く違う趣を漂わせていました。そんな絶景に行き足は自ずと鈍り、結局島内の南東側を走っただけで日が暮れて、わずか一日の滞在時間しか用意しなかったことを大いに後悔したものです。
この旅で再認識したことが二つあります。一つは船旅の贅沢さです。豪華客船でも何でもない、雑魚寝の二等船室が中心の定期航路に過ぎません。しかし、船室に寝転び、時にはデッキで風を受けつつ、どこまでも続く大海原をのんびり航海するという贅沢は、他のどんな交通機関をもってしても味わうことができません。そしてもう一つ認識させられたのは、日本列島には自分の知らない場所が多すぎるということです。沖縄を除けば、自分が南西諸島で訪ねたのは奄美大島だけで、北海道全体をも覆い尽くすほど広大な海にどんな島々が散らばっているのかについて、自分はごく一端を知るに過ぎません。そんな未知の世界が広がる南西諸島を股にかけた壮大な戦いこそが、このblogにおける鹿児島大会の楽しみなのです。
ただし、海を渡って島から島へと旅をするなどという贅沢は、そう滅多にできるものではありません。あの旅以来、飛行機などという無粋な乗り物で一またぎするのを常々もったいなく思いながらも、結局時間の制約に負けて、たかが三日ばかりの日取りで沖縄へ直行直帰しているのが最近の通例です。鹿児島から沖縄まで、それぞれの島をこの足で踏みつつ旅をするなら、今度は半月の正月休みを全て船旅に注ぎ込み、それを何年も繰り返すしかありません。年末の二日に三が日のみという現実の渋さからすると、こちらも「理想のハッピーリタイア」という仮想の世界の出来事にならざるを得ないのかもしれません。北海道の大地と同様、鹿児島の海を心行くまで駆けめぐるのは、おそらく究極の理想として残り続けるのでしょう。実現する日は果たして来るのでしょうか…
今日の鹿児島大会は雨で全試合中止となったため、全国で一試合も開催がないという空白の一日になりました。このblogの高校野球ネタも明日は必然的に小休止となります。空いた時間は久方ぶりに酒場にでも繰り出そうかと思っています。こちらはこちらで楽しみです(ニヤリ)
★鹿児島大会
・1回戦(7/2)
出水工3-4x川薩清修館
指宿2-0川内商工
財部5-2古仁屋
吹上1-8x鶴丸
ラ・サール0-10x鹿児島情報
・1回戦(7/3)
尚志館2-0鹿児島東
徳之島2-0有明
鹿児島3-0頴娃
大島0-7伊集院
志學館0-10x武岡台
串良商0-2薩摩中央
・1回戦(7/4)
川内9-6枕崎
隼人工0-8出水中央
錦江湾0-3喜界
指宿商0-2屋久島
松陽4-3種子島
垂水0-10x鹿児島商
