風を読む-Newsモーニングサテライト-

モーニングサテライト・ウォッチ

2016.9.7 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月07日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

アメリカの半導体関連株が堅調な動き
9月に入り、アメリカの追加利上げやブレグジット議論の最下位など株式相場への不透明要因が再び浮上しやすくなる中で、明るい材料もあるようです。ニューヨークから池谷さんに伝えてもらいます。

《中継担当:ニューヨーク支局/池谷亨キャスター》

SOX.JPG
「半導体関連の分野には中期的にみて追い風が吹きそうで、株価も堅調を見せています。アメリカには半導体関連企業の株価の動向を表すSOX指数があります。アメリカの株価全体の値動きを示すSP500と比べても、足下でその値動きはしっかりとしています。ただこの株価指数は、実は半導体自体の進化のサイクルと相まって、2年おきにピークをつけることが過去の経験則から知られていて、実は今年がそのピークの年になるとみられていました。しかし足下でこのサイクルが伸びる、つまり株価の上昇が続く可能性が出てきました。」

--ちょうどアップルが新型のiPhoneを間もなく発表ですけれども、これとも関係があるんですか。

「はい、アップルの新製品発表会は間もなくサンフランシスコで始まります。実はその新製品がこの半導体株の堅調さを長引かせそうです。新製品の発表会は日本時間の8日の午前2時過ぎから始まる予定で、現地にはすでに多くのメディアが詰めかけ、新型iPhone7の発表を待っています。今回の案内状には「See you on the 7th」とアメリカでの発表の日付7日とiPhone7のお披露目を示すと見られるメッセージが書かれていました。アップルはこれまで2年おきにアイフォーンのメジャーチェンジを行ってきました。しかし、7はマイナーチェンジにとどまると予想されています。それでも今回は、本体が薄くなり、また上位機種ではカメラを2つ搭載したデュアルカメラの機種が用意されるとの観測もあります。こうした機能の充実には、多くの半導体が使われます。来年にはメジャーチェンジとなるアイフォーン8の登場も予想されており、有機ELディスプレーの搭載など高機能化がさらに進む事で半導体の需要拡大が期待されます。アメリカのみならず日本の半導体関連企業などにも追い風になると期待され、株式市場にとっては中長期的なテーマとして意識されそうです。」






“スマホ部品”TDKの値動き大きくTDK.JPG
新型のiPhoneが間もなく発表されますが、iPhoneなどのスマートフォンには日本メーカーの電子部品も多く使われています。東京市場でも部品関連のある銘柄に注目が集まった。TDKの株価の値動きが激しくなっています。その背景にはスマホの進化を支えるある部品をめぐる思惑があります。

スマートフォンのデータ復旧などを手がけるAOSリーガルテック(東京都港区)。iPhone6sの電池は厚さ1mm程。本体の薄さと電池の持ちを両立させるため、要求される技術水準は年々厳しくなっています。
韓国・サムスン製のスマホ「ギャラクシーノート7」が爆発・発火する事故が海外で相次ぎ発生し、約250万台回収に追い込まれたことがきっかけです。不具合の原因はサムスングループのサムスンSDIが供給した電池とみられているため、同じくサムスンに電池を供給するTDKのシェアが今後高まるとの思惑から、買いを集め、5日には年初来高値に迫りましたが、その後、利益確定の売りにおされて2日続落。新型iPhoneへの期待も材料となり、値動きが激しくなっています。アップルとサムスンという世界のスマホ市場をリードする“2強”の動向が、日本勢を大きく揺さぶる展開は続きそうです。なお、サムスンが回収したスマホの当該機種は日本国内では発売していないということです。





■ニュース特集

米 一部の抗菌せっけん販売禁止へ
アメリカのFDA=食品医薬品局は2日、トリクロサンやトリクロカルバンなどの成分を含む一部の抗菌せっけんやボディソープなどを販売禁止にすると発表しました。通常のせっけんより殺菌効果が高いという根拠がなく、人間の菌への抵抗力を弱めたり、ホルモン作用に悪影響を与えたりするリスクがあると指摘しています。日本では、こうした抗菌せっけんは「薬用せっけん」と呼ばれることが多く、これらは厚生労働省に効能や安全性について承認を得る必要がある医薬部外品として扱われています。アメリカで指摘された成分を使っている商品を、日本で販売している企業は、「厚労省の承認を受けていて問題はない」と回答しました。一方で、アメリカでの問題を受けて、該当する成分から別の成分に切り替えている企業もあります。厚労省は「今すぐに規制を設ける状況ではない」としていて、情報を収集して措置が必要かどうかを検討していく考えです。

【アメリカ・一部の抗菌せっけん販売禁止へ】
風邪やインフルエンザを予防する為に手を洗う時に使用するハンドソープ。中でも最近は消毒や殺菌効果のある抗菌せっけんが人気となっているが、その抗菌せっけんの一部がアメリカで販売禁止になるという発表がされ注目が集まっている。日本市場にも影響はあるのか。

【アメリカ・一部抗菌せっけん販売禁止へ“殺菌効果の根拠なし”】
殺菌効果を謳ってアメリカで長年人気を集めてきた抗菌せっけん。しかしFDA(アメリカ食品医薬品局)は2日、トリクロサンなどの成分を含む一部の抗菌せっけんやボディソープなどを販売禁止にすると発表した。FDAはこれらの商品が「通常の石鹸より殺菌効果が高いという根拠がない」と指摘。またトリクロサンとトリクロカルバンは人間の菌への抵抗力を弱めたり、ホルモン作用に悪影響を与えたりするリスクがあるとしている。ただFDAは病気の予防には通常の石鹸と水による手洗いを推奨していて、該当成分を含む抗菌せっけんについては今回、販売禁止に踏み切った。販売の禁止についてFDAはメーカーに対し1年間の猶予を与えているが、消費者は厳しい目を向けている。このためアメリカでは問題の殺菌剤の使用を止めるメーカーも出始めている。

soap.JPG
【アメリカ・せっけん“販売禁止”・日本は?】
日本で市販されている石鹸は大きく2つのカテゴリーに分けられる。化粧品と医薬部外品(薬用せっけん)。ナイーブ、ニベア、ビオレU、ミューズ、牛乳石鹸、キレイキレイなど。

医薬部外品は商品に殺菌など具体的な効能を謳う事ができ、製造や販売にあたっては厚生労働大臣の承認が必要になる。この医薬部外品の石鹸の中には今回、アメリカのFDAで指摘された成分を使った商品も含まれている。今回のアメリカの発表を日本側はどう受け止めているのか。菅官房長官は今日、日本でも今後、抗菌せっけんに規制を設けるべきか検討する考えを示した。またこの問題を所管する厚生労働省は「情報収集中だが今すぐ規制を設ける状況ではない」としている。
soap3.jpg


《大浜・大江キャスター解説》
soap2.JPG
実際に商品の成分はパッケージの裏などの表示されている。特に医薬部外品の場合には、殺菌の働きをする成分を有効成分として「トリクロカルバン」と書かれている。では日本で売られている医薬部外品の抗菌石鹸にはどういうものがあるのか。ライオンの「キレイキレイ」や花王の「ビオレU泡ハンドソープ」には当該成分は使用されていない。一方で、トリクロサンやトリクロカルバンを使っている商品は、固形のミューズ、鐘紡ナイーブの薬用ハンドソープ、コラージュフルフル泡石鹸、柿渋エキス配合石鹸などがある。これらに会社に取材したところ、右のような回答が得られた。当然、アメリカのFDAの基準と日本の厚労省の基準が一致するということではないが、政府も規制を設けるかどうか検討するとしているので、今後どういった方針になるのか注目が集まる。













クリスマスへ 早くも新製品
早くもクリスマス商戦が始まっています。7日から始まった「クリスマスおもちゃ見本市2016」。このイベントはわずか2日間で1万人以上もの業界関係者が足を運びます。今年のクリスマス商品の平均価格は5,000円台。そして、キーワードは「デジタルとアナログの融合」と「復活」です。既存の商品と新技術の組み合わせや、新しい要素を加えてリバイバルされた商品が主力だといいます。一方、イオンも「今年のクリスマスケーキのお披露目会」を開きました。今年のキーワードは「フォトジェニック」。写真写りの良さを重視したケーキが特徴だといいます。中心価格帯は2,980円(税別)。数年前から価格は据え置いていますが、今年は25日が日曜日となり、3連休となることから、昨年と比べて売り上げ目標を105%に設定しています。

【早くもクリスマス商戦】
早くもクリスマス商戦が始まっている。多くの家庭では余計な出費を控えるという消費マインドが続いているが、おもちゃにケーキなどクリスマスに欠かせない商品を扱う業者が始めた新戦略とは。

【“融合”と“復活”がカギ】
「クリスマスおもちゃ見本市2016」(東京台東区)が開催された。わずか2日間の開催期間中に、1万人以上の業界関係者が足を運ぶ。今年のクリスマス商戦でキーワードとなるのが「デジタルとアナログの融合」。手軽にバーチャル体験ができる「Bots New VR」、ドローン「PXY Wi-Fi」など。さらにもう1つのキーワードは「復活」。今年の夏休み商戦で最も人気が高かった「ベイブレードバースト」は、相手を破壊するという要素を加え3度目のブームを作り、既に400万個を売り上げている。他にも昔懐かしい「おえかきアーティスト」も進化して復活だ。

【今年のケーキは“見た目”重視】
イオン2016新作クリスマスケーキお披露目会。今年の特徴はフォトジェニック(写真写りの良さ)。「KAWAII MONSTER CAFEクリスマススイーツゴーラウンドケーキ」は去年、原宿にオープンし若者を中心に人気を集めているKAWAII MONSTER CAFEとコラボレーションしたものだ。思わず写真を撮りたくなるようなケーキで、SNSを頻繁に利用する若者世代の取り込みを狙う。さらに健康志向の高まりから砂糖を抑えた「トマトとダークチェリーのチーズケーキ」やペット用のケーキまで67品目を揃えた。クリスマスケーキ市場は堅調が続き、中心価格帯はここ数年据え置きの2980円。ただ今年のクリスマスは25日が日曜日となり5年ぶりの3連休という事で期待が膨らむ。売り上げ目標は去年の105%という。






■特集 ここまで来た!“仮想現実”活用法
2016年はVR(仮想現実)を体験できるヘッドマウントディスプレーが相次いで発売され、「VR元年」とも呼ばれています。ゲームだけではなくビジネスの現場にも活用が広がっています。電気設備メーカーの明電舎の従業員は、高さ20m以上の建物の上に照明を取りつけるなど、危険が伴う高所作業をします。明電舎は従業員の安全教育のために5月からVRを使い始めました。60mの高さにかけられた足場を歩き、そこから飛び降りるというVR体験を従業員にさせています。高所の恐怖を知ってもらうということで、事故につながる気の緩みを防ごうというのです。また、プロ野球の楽天ゴールデンイーグルスは、NTTデータと共同開発したVRトレーニングを今シーズンから実験導入しています。選手が実際のマウンドに立ったようなVR空間で、試合前に相手投手の投球をリアルに体験できます。楽天はVRを使うことで、低迷するチーム成績の飛躍につなげます。
取材先・葛西水再生センター・明電舎・楽天野球団・NTTデータ


【広がる仮想現実の活用】
今年はヘッドマウントディスプレイが相次いで発表され、VR元年と言われている。ゲームなどエンタテインメントだけではなく、ビジネスやプロスポーツの世界でもVR(仮想現実)を活用する動きが広がり始めている。その現場を取材した。

【恐怖の“飛び降り”教育とは】
電気設備メーカーの明電舎は、社員は危険が伴う高所での作業を行っているが、ふと緊張が途切れてしまうこともあるという。明電舎は社員教育の為に5月からVRを使っている。社員は、ヘッドマウントディスプレイを装着して仮想現実の世界で地上60mの高さを体験、最後にそこから飛び降りる(VR墜落体感教育)。4人に1人が飛び降りられないが、それも教育の内だという。高所は怖いと危険を察知する意識づけができればいいという。明電舎はこれまで人形を落とした衝撃を受け止める事で恐怖を感じてもらう教育をしてきたが、VRを活用する事でよりリアルな恐怖を感じてもらえる。

【プロ野球、楽天の秘密兵器】
今江選手が最近試合前にVRを使ったトレーニングに取り組んでいる。楽天が今シーズンから実験的に導入したバッティングのトレーニングシステムだ。楽天とNTTデータが共同で開発した。今江選手はこの日に対戦するファイターズのメンドーサ投手の投球をVRで確認できる。

《大浜キャスター解説》
VR.JPGいろんな使い方が出てきているが、前段の高所体験では、結局普段の現場の安全管理が徹底されているので、ヒヤッとする機会が減っているそうだ。ただやはり、怖いとか、ヒヤッとする感覚というのは、危機管理のためにも大事だということで、それをあえて体験してもらうという考え方だ。まさに安全にヒヤッとするということだ。
VR関連の市場規模は、2025年には世界で8兆円規模に成長するという予測もある。当然、ゲーム・映画・娯楽の分野というのは成長するが、そのほかにも今VTRに合ったような体感教育・トレーニング、それからリハビリなど医療分野での活用というのも期待されている。体で感じる、体で反応する、これはまだまだ考えつかないような使い方があるのではないか。






■ニュース

日ASEAN首脳会合が開催
ラオスを訪れている安倍総理大臣は、ASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会合に出席し、中国が海洋進出を進める南シナ海問題に関して、法の支配を徹底する重要性を強調し、各国に協調を求めました。これに対して異論はなく、複数の国が日本と同様に、南シナ海問題に対する懸念を示したということです。これに先立ち、安倍総理はきょう午前中に開催されたASEANビジネス投資サミットでTPP=環太平洋経済連携協定に触れ、「TPPに参加を希望するASEANの国々がそれを果たせるよう、後押ししていく」とTPPへの参加を促しました。



三越伊勢丹ホールディングス 三越千葉店など閉鎖を発表
三越伊勢丹ホールディングスは、千葉市にある三越千葉店と東京都多摩市にある三越多摩センター店を、来年の3月20日に閉鎖すると発表しました。2つの店舗とも近隣の商業施設との競争激化などで売り上げが低迷していました。業績の不振が続く郊外や地方の店舗を整理し、経営資源を東京都心の主力店に集約することで、収益力の向上をはかる狙いです。



アクアと日本マイクロソフト 家電へのIoT活用で協業
ハイアールグループの家電メーカー「アクア」と、「日本マイクロソフト」が、モノとインターネットをつなぐ「IoT」の技術を家電で活用することで協業します。まずは、来年を目標に、業務用コインランドリーのIoT化を進めます。アクアは、三洋電機時代に、国産初の業務用コインランドリーを開発・販売しており、今後も市場の拡大を狙っています。既に多くの企業とIoT分野で提携しているマイクロソフトのノウハウを生かし、新たなコインランドリーのサービスに繋げていきたい考えです。



台風災害 自民・公明両党 政府に「激甚指定」要請
自民党と公明党は、7日、北海道や東北地方に甚大な被害をもたらした相次ぐ台風への対策を協議しました。会談後、自民党の二階幹事長は、一連の台風をひとつの災害ととらえて、一括して激甚災害指定するよう、政府側に要請したことを明らかにしました。これに関連して、自民党幹部は、「政府側は激甚災害指定に時間がかかりすぎている」と政府側の対応を批判しました。



7月の景気指数 2ヵ月連続改善
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数は、景気の現状を示す「一致指数」が前の月に比べ0.7ポイント上昇し、2ヵ月連続の改善となりました。熊本地震の影響で落ち込んでいた自動車の生産や出荷が回復したことや、百貨店などの販売が改善したことが寄与しました。また、景気の先行きを示す「先行指数」は消費者心理や在庫関連の指標が悪化したことが影響し、2ヵ月ぶりの下降となりました。



御殿場アウトレットにホテル建設へ
アウトレットを運営する三菱地所・サイモンと小田急電鉄は御殿場プレミアム・アウトレット内に新たにホテルなどを建設する共同事業を発表しました。日本で初めてアウトレット内に建設されるホテルは、2019年の冬に開業予定で、客数はおよそ180室あり、近隣の箱根でホテルを運営する小田急グループのノウハウを活かします。御殿場プレミアム・アウトレットの2015年度の売上高が過去最高の891億円と好調な中、三菱地所・サイモンは小田急グループと協力し、宿泊による客の長時間利用でさらなる売上増加を狙います。





■【トレたま】光を取り込むブラインド

toretama.JPG
外の光を取り込んで、部屋全体を明るくする。鍵は、ブラインドの上の方に使っている特殊な羽根。このブラインドの羽根には光を屈折させるフィルムの加工がされていて、上の方向に光が広がるようになっている。天井に光を反射させることで部屋全体に光を行き渡らせている。電気代を約4割削減できるという。

【商品名】採光ブラインド
【商品の特徴】外光を取り込んで部屋全体を明るくするブラインド
【企業名】シャープ
【住所】東京都港区芝浦1-2-3
【価格】未定
【発売日】今年度末までの発売を予定
【トレたまキャスター】北村まあさ





■【コメンテーター】高橋進氏(日本総研理事長)

・人手不足が消費回復の追い風!?来年の所得増に期待

--クリスマス商戦、結構、強気の売り上げ目標でしたが、年末の消費は期待できそうですか。

「少し期待できるんじゃないかと思いますけどね。消費というのは賃金が上がるかどうかと消費マインドの2つで決まる。消費マインドは相変わらずあまり良くないです。だけど人手不足もあって賃金が上がっていますから、所得が少しづつ増えてきているので、したがってこれから消費は少しずつ少しずつですけど良くなっていくのではないかと思う。ただそれだけだと日本経済はまだ貧血気味かなと思うんですが、実はコメンテーターをやっているフェルドマンさんのレポートを見ていたら、いま人手不足が非常に厳しくなってきて、いま失業率が3.1まで下がっていますから、ひょっとしたら来年は2.5%まで下がるかもしれない。これってすっとなかったことですね。それで何が起きるかというと、多分賃金が相当上がるだろう。その結果実は物価目標2%も近づくかもしれない。まあ、そこはちょっと楽観的かなという気もしますけど、言いたいことは、人手不足がどんどん広がっていくと、賃金プレッシャーがいよいよかかってきて、経済が良い方向に動いていくのではないか、ということを(フェルドマンさんは)仰っているんですけどね。それが来年、表面化してくると、日本経済は意外と持ち上がってくるかもしれない。ただそれにつけても、心配な要素は円相場です。」




・日本主導TPPに活路?アメリカ抜きシナリオとは

--安倍首相がASEAN首脳会合に出席しましたけれども、その東南アジア諸国との連携は様々な分野でこれから重要だが、その中でも注目されているのはどんなところでしょうか。

「どうしても今は南シナ海問題にいってしまうんですが、ちょっと視野を広げて、TPPを重視すべきではないかと思いますね。というのも、東アジアがTPPでオープンになれば、それによって1番恩恵を受けるのは実は日本でもあるんです。例えば、農産物の輸出などはどんどんやりやすくなっていきますから、もちろん日本だけじゃなくて、みんなに恩恵があるわけです。従ってわたしはやっぱり、アメリカが批准するかどうかが問題ですけど、場合によってはアメリカ抜きでもやるぞぐらいのことを、日本がアジアの国と共同して、アメリカに迫っていってもいいのではないか。実際にはアメリカ抜きでやるのは難しい。だけどもそれぐらいの覚悟を示してアメリカにプレッシャーをかけてもいいんじゃないかと思う。
もう1つのTPPには狙いがあって、それは参加国に国有企業がある。その国有企業に対して、その国は補助金を出したり独占的な地位を与える。そうすると、その国の市場をゆがめるばかりか、例えば中国の国有企業の場合は、世界市場までゆがめてしまう。従ってTPPは国有企業をコントロールすることを。1つの目標としている。ですからTPPを進めることで、国有企業をコントロールする。これから中国をTPPの中に取り込む。そしてゆくゆくは中国の国有企業もコントロールさせるということが、1つの大きなテーマになってくるので、そういう意味も含めて私はこのTPPをぜひとも東アジアで進めるために日本がもっともっと強いイニシアティブをとっていいんじゃないかと思います。」

--アメリカの大統領選挙もありまして、このTPPに関しましては不透明感が漂い始めていますけれども、そんな中でも日本が・・・

「やっぱりTPPを1つのてこにすれば、例えば日中韓FTAなども質の高いオープンなものにできるのではないか。ですからTPPの実際の批准はまだだとしても、TPPの考え方をきちっと伝えてひろっめて行くということが大事だと思う。」






・「100円割れ阻止」へ日本政府の覚悟

--アメリカの9月利上げはどうなるのか、といところで、本当に今、ドル円相場が大きく揺れ動いているわけなんです。円高がこのまま進みますと、日銀はもう動かざるを得なくなりますか。

en.JPG
「日銀も政府も動かざるを得なくなる可能性はあると思いますね。というのも、今は確かにアメリカの景気がどうなるか、それによって金利がどうなるかによって、円が動いているわけなんですけれども、でもその背景には、最近を見ると、円が独歩高になっている、投機筋がかなり円を買っていることがあると思うんですね。円高になると日本の場合は株が下がってしまう。そして起業家心理がさらにまた冷え込んでしまって、せっかく冒頭にも申し上げたように、日本の景気が回復に向かっているのに、それを冷やしてしまう。そればかりか、いま一生懸命に経済対策をやろうとしていますけれども、もし円高がまた進んでいくと、せっかくの経済対策の効果をまた打ち消してしまうことにもなりかねない。結局、日本が何を1番避けないといけないかというと、デフレに逆戻りすることですね。従って、円が高くなってデフレに逆戻りするような可能性があるのであれば、何としても止めなければならない。政府はもう既に8月のうちに日銀と財務省と金融庁の3者で協議をしています。政府が何を考えているか、私にもよく分かりませんが、でも100円を割るということは断固として阻止をする。従って例えば場合によっては、日銀の金融緩和はもとより、介入だってあり得るんだと思うんですね。アメリカの出方を気にする人もいます。アメリカから文句が来るだろうという人がいますけれども、でもアメリカを気にしても仕方ない場合もあるんです。なぜかというとデフレに後戻りしてしまったら、もうしょうがないわけですから、だからデフレに後戻りさせないということを、1つ大きな目標にして円相場を止めるということも政策の選択肢としては十分にあると思うので、あんまり投機筋は、日本は何もしないというふうに考えないほうがいいと思いますよ。」

--いま口先介入が始まった感じがします。







2016.9.7 Newsモーニングサテライト

2016年09月07日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

NY株 3指数揃って上昇
連休明けのNY株式相場は上値の重さが目立った中、取引終了にかけて上げ幅拡大。注目のサービス業の景況感は予想以上の悪化でしたが、この解釈が難しかったようです。利上げのヒントとして関心が高かっただけに、サービス業の景況感の悪化は9月利上げの思惑を低下させるという意味で株価には好影響。ただ雇用者数も多いサービス業の景況感の悪化自体はアメリカ経済の先行きを見通す上で喜ばしい結果ではありません。一方でM&A案件に絡む企業の株価はしっかりした値動きで相場全体を支える要因になったようです。ダウは46ドル高、1万8,538ドル。ナスダックは26ポイントの上昇、5,275。S&P500は6ポイントの上昇、2,186でした。続いて6日のセクター別騰落率です。引けにかけて原油価格が上げ幅を拡大し、エネルギーが大きく上昇しました。一方、銀行株が軟調で金融が冴えない動き。利上げ先送りの思惑なども影響したかもしれません。0 指標.jpg









【世界の株価】
6日の終値
























【NY証券取引所中継】米サービス業景況感
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏

--連休明け、午後は膠着感も強まりましたね。
そうですね。本日のNY株式市場は連休明けで、小幅高となりました。寄り後に発表されました経済指標の下振れが重しとなった一方で、M&Aの発表が相次いで株価の支えとなりました。

--今ありました注目のサービス業の景況感、ちょっとしたサプライズでしたね。
そうなんですね。内訳の中にあります企業の活動状況を示す「事業活動指数」が、7月の59.3から51.8に落ち込み、これは1997年の集計開始以来の下落幅となりました。また今日のISM非製造業と先日のISM製造業、ともに雇用指数が弱く、これは先週末の雇用統計の内容に沿ったもので、足下と雇用状況を考えるうえではマイナスであると見ています。

--どうしてこんなに悪かったんでしょうか。
そこの解釈が難しいと考えています。まず今月1日に発表されました8月のマークイット米国サービス業PMIは、7月(51.4)と比べても安定しており、ほぼ変わらず(51.0)となりました。また今回ISMのニーブス会長は、「Not a lot of negative comments ネガティブなコメントは多くない」と述べております。ではなぜ弱かったのかという疑問が残りますが、夏休みのデータ集計で回答率が低く、データが偏った可能性も指摘されています。結果的に雇用市場の弱さと、景況指数の下振れ、そしてこれらを受けて不透明化が強まったことを考慮すると、早期の利上げは難しいことを示唆する内容であったと考えています。





【NY証券取引所中継】「レパトリ減税」に注目
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏

--アメリカで今ある減税策についての期待感が高まっているそうですね。

ny2.JPG
そうなんですね。大統領選挙を前にいまレパトリ減税に対する期待が高まっています。このレパトリ減税とはアメリカ企業が海外で得た利益を本国にレパトリ、つまり還流させる際にアメリカで課される税率を引き下げる、いわば減税措置のことなんですね。市場関係者の間では来年にもこの減税が実施されるのではとの期待が強まっています。
(フリップ:海外資金、積み上がる)
その中で、海外での資金を着実に積み上げているアップルは、先週EUがアイルランドでの税優遇を違法と判断したことを受けて、その資金をアメリカに持ち帰る可能性を示唆しました。

--これは全体としてはどんなメリットが考えられるんですか。

企業としては持ち帰った利益をアメリカ国内での設備投資に向けたり、また国内の従業員を増やすことも可能となります。一方、政府にとっても税収入の増加が期待でき、大規模なインフラ投資などに向ける資金を調達したい民主党、そして共和党両党にとっては嬉しい税収入となります。実際前回2004年に実施された際には、843社が3120億ドルをアメリカに持ち帰る動きが見られました。

--一方、株式市場へのインパクトはどうなるんでしょうか。
企業の長期的な事業の拡大、そして業績の伸びはもちろんなんですが、前回2004年には自社株買い戻しの増加もみられました。またレパトリ減税が実施された後の株価の動きを見ますと、企業の時価総額との対比で、レパトリ金額の多い企業の株価が上昇する傾向にあります。現時点でその比率を考慮に入れますと、シスコシステムズやファイザー、IBMなどがレパトリ減税の恩恵を受けることが予想されています。






【為替見通し】注目ポイントは「予想物価上昇率」
解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏

--まず急激な円高化進んでいますね。
そうですね。昨日はアメリカの指標を受けまして、ドル全面安の中でドル円相場は一旦 102円を割り込んで戻ってきました。

--今日の予想レンジが、101.50円 - 102.40円 です。
アメリカの利上げ期待が水を差されましたし、日本も昨日、浜田内閣官房参与が FOMC前の緩和というのはちょっとやめたほうがいいのではないか、と言う発言だ出ておりますので、日銀も 9月に何か政策変更はしないと言うこういう見方が強まってくると思います。今日はちょっと上値が重くて、やや軟調な推移が見込まれます。

kw1.JPG
--注目ポイントは「予想物価上昇率」です。
(フリップ:物価上昇期待の後退で円高)
ドル円相場と予想物価上昇率は非常に相関が高く、年初来物価上昇の期待後退が円高の主因だとみています。日銀は金融政策の総括的な検証結果を公表するんですが、その際にいわゆるマイナス金利政策の副作用部分、長期債の金利の低下であるとか、イールドカーブの平坦化、こういったものを回避するために、長期ゾーンの買い入れ減額といったものをやって、予想物価上昇率の低下に歯止めをかけることができれば、円高にもある程度ブレーキをかけることができると思います。従って包括的な検証の結果と、あとそれを受けた物価上昇期待の予想物価上昇率の動きが極めて重要だというふうに考えています。0 為替.jpg
















【日本株見通し】注目ポイントは「ドル建て日経平均とダウ」
解説はみずほ証券の三浦豊氏

nk1.JPG
--今日の予想レンジは16850-17100円です。
今日は円高の影響を受けまして、日経平均は下落して始まるかなというふうに思います。日銀のETF買いへの期待から下げ渋る場面もあるんですが、今晩の米国株の動きも気がかりというところで、軟調な動きが続くんではないのかなというふうに思われます。

--注目ポイントは「ドル建て日経平均とダウ」です。
(フリップ1:ドル建て日経平均は利食い水準)
そうですね。ドル建て日経平均は海外投資家から見た日経平均の水準を表していると言えるんですけども、円建ての日経平均は年初の水準を大きく下回っているんですが、ドル建ての上昇率はニューヨークダウとほぼ同じというところで、海外投資家から見ると十分利食いができる水準にあるのかというふうに思われますね。

nk2.JPG
--となると17000円台を回復した日経平均ですが、一段高というのは期待できないんですか。
(フリップ2:ダウの動き、カギ握る)
そうですね。日経平均は17000円を回復したんですが、売買代金は2兆円割れが目立っておりまして、これはニューヨークダウの上値が重くて、海外投資家は様子見というためかなというふうに考えています。昨日のニューヨークダウは利上げ観測の後退で上昇したんですけども、ISMの製造業と非製造業の両方が予想を大きく下回っておりまして、今後景気減速懸念でニューヨークダウが下値模索になる可能性というところもありまして、そうなりますと海外投資家の手仕舞い売りを誘いまして、日経平均も調整局面に入るという可能性があるかなというふうに思いますので、今後の日経平均の動き、ドル円に加えまして、ニューヨークダウの動きにも注目しておく必要があるのかなというふうに考えております。






■【プロの眼】利上げの有無にかかわらずドル高ならず
想を下回る米国の雇用統計も9月の利上げも排除できずという悩ましい時間帯が続きます。今後、日銀も総括的な検証を行うということで、改めて日米の金融政策の違いが意識され、ドル高円安が進むとの見方がありますが、三菱東京UFJ銀行の内田稔氏はFOMCに関しては、利上げがあってもなくても、改めてドル高が進むのは難しいとみています。


--利上げ観測が後退しまして、円高、いま101円台という動きになっていますが、テーマは「利上げの有無にかかわらずドル高ならず」、つまり円安にならないんだという話ですね。

「そうですね。基本的に正常化、利上げというテーマは年初から言われていることなので、なかなかFOMC後にドル高というのはちょっと難しいというふうに考えています。」

pro1.JPG
--短期的なドル円は、といことで、利上げは年1回だった場合、時期が9月か、12月か。その時にはドル高は限定的。

(フリップ1:短期的なドル円は?)
「そうですね。これは仮に今回9月の利上げが行われるんですが、年末のどっとチャートが0.625%の場合ですね。下(12月)が今回は利上げを見送りなんですが、年末がやはり0.625なので、12月に利上げがありそうだと・・・。ただいずれにしても年1回ということなんですが、もうこれはかなり織り込み済みですので、これで改めてドルが上がるというのは難しいと思います。」

--織り込み済み。では年2回の場合はどうなんでしょうか。9月・12月のパターンがありますね。

「年2回はちょっとドル高という感覚になるんですが、今の足下の経済指標に照らすと、ちょっとこの年2回の利上げにはアメリカの株が持たないというふうに考えられます。従ってこの場合は、(リスクオフから)株安円高に警戒が必要だと考えられます。

--年2回の場合は、実はもう1パターンあります。

「これはちょっと可能性は低いんですが、今回利上げを見送り、但し年末のドットの中央値が0.875%というパターンなんですが、この場合は記者会見がない11月を含めて利上げだということになりますから、これはもうたぶん誰もついて行かずに、FOMCの信任が低下してしまって、正常化でドル高というテーマ事態がかなり色あせてしまう。場合によってはドル安という可能性を見ておいたほうがいいと思います。

pro2.JPG
--先ほど為替のコーナーで日本の場合もインフレ期待というものが重要なんだという話がありました。ではこれは短期的だったんですけれども、長期的なところではどう見たらいいのか、というのを見ていきましょう。

(フリップ2:長期的にはドル高抑制)
「ドットチャートのロングゴールという長期の天井部分、最終的な到達地点に対する予想が、この通り15年から急速に下がってきている。前回6月の時は初めて3%割れの2.75%という回答者が3人出てきているんです。これはやはり先進国では潜在成長率の低下であるとか、自然利子率が下がっているという議論があるわけなんですが、やはりこれがさらに下がるようですと、FOMCもそういった議論をちょっと失敗しているのではないか、というふうにマーケットが受け取ってしまいますから、手前でいくら利上げがあっても、ここが下がってくると、長期的なアメリカの利上げ期待がしぼんでしまって、やはりドル高というのがちょっと難しくなってくる。従って今回は、目先のところはもちろん大事なんですが、こちらの長期のところがまた下がらないかどうか、それから3%割れを予想する人が3人から増えないかどうか、この辺りが非常に注目だと思います。

--ドットチャートのFOMCメンバーの予想の部分というところを注目しましょうということですね。






■特集 プログラミング熱狂時代
2020年の小学校でのプログラミング教育必修化に向け、プログラミング教育への関心が高まっています。背景にあるのは人材不足でIT技術者の育成が課題になっています。そうした動きにあらゆる業界や企業が注目しています。

《2016年06月27日 WBS・ワールドビジネスサテライト参照》
http://creampan.seesaa.net/article/439473523.html
特集 一億総プログラマー時代?

東京・新宿区で親子で学ぶプログラミング教室が開かれた。対象は3-6歳だ。コードAピラーというパーツを繋ぎ合わせ進む方向を考えるロボットを使用する。主催したノックノートの鈴木道生社長は「6歳までに人間の脳は大人の90%まで成長するといわれている。6歳までにプログラミングを通じて論理的思考を身につけることが大切だ」という。

江崎グリコ(東京・港区)は先月からグリコードというアプリを配信している。ポッキーの置き方でキャラクターの進む方向が決まる。グリコードのホームページは、グリコの代表的な商品と同じぐらいのアクセス数があり、広告戦略としても効果的なようだ。同社広告部の玉井博久さんは「プログラミングを学びたいという言い訳で、グリコ製品を買うきっかけになると思った」という。

こうしたプログラミング教育に関心が高まる背景にあるのは、深刻なプログラマー不足だ。経産省によれば2030年に約59万人のIT人材が不足するとの推計もある。ただプログラマーという専門職を育てるだけでなく、幅広い人がプログラミングを学ぶ必要性があると専門家は指摘する。
《三菱総合研究所社会ICT事業本部/阪口瀬理奈さん》
「AIやドローンなどが注目されているが、それを使ってどんなビジネスをやるか考える人が本当に重要になってくる。文系だろうと理系だろうと同じぐらいにプログラミングの能力が必要になってくる世界が来ると思っています。」

そうした中、プログラミングを学ぶ人のすそ野は確実に広がっている。プログラミング教室「テックキャンプ(渋谷区)」で学んでいる日産自動車の木戸美帆さん。今後の研究テーマを考え、それに合う人事戦略を立てる部署にいる。およそ1ヵ月前からこの教室に通っている。学んでいるのはRubyというプログラミング言語で、この言語を使ってコンピューターに指示を出しサイトなどをつくることができる。文系であっても、プログラミングの重要性を日増しに感じているという。
《日産自動車/木戸美帆さん》
「文学部出身のなので、スーパー文系です。日本の製造業がかつて世界に工場を出していった時には、英語がやっぱり必要だなと・・・。それと同じように、今は製造業もプログラミング言語を知らないと、ITを会社に入れることができないと思った。」

此方の教室では木戸さんのように、文系でもプログラムを学ぶ人が急増。3ヶ月の集中講座でプログラマーになれるコースでは、受講者の9割が文系だという。
《テックキャンプ/中山紗彩さん》
「IT人材を育成したり採用するなど、プログラミングの概念やフレームワークが分かっていないと、うまくそれに対応していけないという観点で、やはりマネジメント層や経営者の方も知っておくべき必須の共通言語のような位置づけで、考えている方がすごい多いですね。」

幅広い人材がIT技術を自在に操る時代はそう遠くないかもしれない。





■日経朝特急

① 電気自動車用増産前倒し
EVの市場が大きくなる中、素材大手がEV用リチウムイオン電池材料の大型投資に踏み切る。住友化学は200億円を投じて電池のショートを防ぐ絶縁体の増産を2年前倒しするほか、東レも材料の生産能力を7割増強する。米国もテスラモーターズなどガソリンを使わない車が台頭し、自動車産業の裾野を支える新たな産業の連関が生まれつつある。



② 農業改革・肥料値下げ促す
農業改革でJA全農が動き出す。JA全農は国際的に見て割高との批判が強い肥料や農機の生産コスト削減策を打ち出す。コメ農家が使う肥料の銘柄をいまの約2000種から半分に減らし、1品種あたりの生産量を増やして値下げにつなげる。



③ 日銀の外債購入論再燃
日銀の外国債券購入論が再燃している。安倍総理が外債購入について「為替介入を目的とする場合は日銀法上、認められていない」と発言。しかし、わざわざ言及したのは、金融政策目的として実施する布石と受け止める向きがあり、日銀が外債の購入に踏み切るとの観測が、市場の一部で浮上している。



③ 40年債4000億円増発へ
財務省が40年債を4000億円増発する方針を固めた。足下の低金利を生かして超長期の資金を調達。政府が経済対策に盛り込んだリニア中央新幹線の前倒し費用に充てる。早ければ9月から追加発行する見通しだ。




■日刊モーサテジャーナル

① 米大統領選まで2ヶ月
米大統領選は5日のレーバーデーから本選までの約2ヵ月間、ラストスパートの期間に突入した。ニューヨークタイムズは、民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補ともに、自身の飛行機に記者を招き入れ、談笑したり質疑に応じたりして、イメージ作りに躍起になっている様子を伝えている。また両候補ともレーバーデーに激戦州であるオハイオを訪れた。ワシントンポストは、2人は労働者層にアピールした、と指摘。クリントン候補が民主党の支持母体である労組からの支持を確実にするべく奔走する一方で、トランプ候補はそうした層に食い込み、これまで共和党に投票したことのない層からの支持獲得を狙っている、と伝えている。



② ECBに期待「株購入」
ECBは8日に理事会を開く。現在、量的緩和策の一環として、国債や社債を購入しているが、フィナンシャルタイムズは1面で、「今後、ECBは債券不足に悩まされるのではないか」と懸念している。一方、ウォールストリートジャーナルによると、こうした状況を打開するため、市場関係者はECBによる株の買い入れに期待している。記事によると、株の買い入れはこれまでの金融緩和と同様、消費と投資を刺激することが期待され、物価目標2%到達のため、ECBが実行する可能性があるという。専門家の間でも、「やらない理由がないし、中央銀行のポートフォリオも多様化されるべき」、という見方や、「ヨーロッパの株価は過小評価されているから歓迎」といった声が聞かれる。



③ 新型iPhone「サプライズにならず」()
アップルが7日に発表する見通しの新型iPhoneに早くも辛口評価。ニューヨークタイムズは、通信速度が速くなるし、イヤホン端子も廃止されるようだが、サプライズにはならない、と伝えている。記事は、故スティーブジョブズの時は、発表会ごとに何かしらの驚きがあったが、今回の目玉と見られるイヤホン端子の廃止については去年11月から噂が出ていた、と指摘している。一方、ウォールストリートジャーナルは、最近、利用者はiPhoneの買い換えのペースが遅くしているほか、中国のファーウェイなどライバルとの競争も激しくなっているとしていて、iPhoneの販売をめぐる厳しさを伝えている。





■ニュース

ISM非製造業指数 予想下回る
アメリカのサービス業などの景況感を示すISM非製造業景気指数は好不況の節目、50を上回ったものの市場予想を大きく下回りました。8月の指数は51.4で、2010年2月以来の低水準に落ち込みました。項目別でみると「新規受注」が前の月から8.9ポイントの大幅な低下となったほか、「在庫」や「新規輸出」なども大きく下げました。

《米8月ISM非製造業景気指数(前月比)》
  新規受注(-8.9) 在庫(-6)
  事業活動(-7.5) 新規輸出(-9)





イラン石油相「50-60ドル望ましい」
イランのザンギャネ石油相は6日、「原油価格は1バレル=50ドルから60ドルが望ましい」との考えを示しました首都テヘランでOPEC=石油輸出国機構のバーキンド事務局長と会談したザンギャネ石油相は会談後にテレビ出演し、「原油市場の安定につながるあらゆる決定を支持する」と述べました。その上で、「原油価格は1バレル=50ドルから60ドルが望ましい」との考えを強調しました。ただ、イランは生産量を経済制裁前の水準へ回復させる姿勢を維持していることから、増産凍結などで他の産油国と合意できるのか、不透明です。



VW 米トラック大手に出資
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンが商用車部門の強化を狙います。フォルクスワーゲンは6日、アメリカの大型トラックやバスを製造するナビスターの株式およそ17%を取得し提携すると発表しました。ナビスター株の先週末時点の終値に12%をプレミアムとして上乗せした額、2億5,600万ドルで買い取ります。年間24万台ほど売れるアメリカの大型トラック市場で大きなシェアを誇るダイムラーとボルボからシェアを奪う狙いです。



エネルギーインフラで大型買収
エネルギーインフラの分野で大型の企業買収です。カナダのパイプライン運営大手エンブリッジは6日、アメリカの石油・天然ガス会社スペクトラ・エナジーを280億ドルおよそ2兆8,500億円で買収すると発表しました。今回の買収で、北米最大のエネルギーパイプラインと貯蔵を運営する企業が誕生します。この分野での大型の買収が増えていて、7月には同じくカナダの企業が100億ドル規模の買収に踏み切りました。



ASEAN会議2日目
ラオスで開催されている、ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の首脳会議は、きょう2日目を迎えます。安倍総理大臣は、ASEANとの首脳会議や、日韓首脳会談に臨みます。日本と東南アジア10カ国のトップが出席する日本とASEANの首脳会議は、中国が海洋進出を活発化させている南シナ海問題をめぐって、どこまで踏み込んだ議論が行われるかが最大の焦点です。これに先立ち、きのう行われた、安倍総理と、フィリピンのドゥテルテ大統領との会談では、南シナ海の領有権をめぐって、仲裁裁判所が中国の主張を退ける判決を下したことを踏まえ、協力関係を強化することで一致しました。そして、日本時間の今夜には、およそ5ヵ月ぶりに日韓首脳会談が開催されます。安倍総理は朴槿恵大統領に対し、慰安婦問題を解決するため昨年末に締結した、日韓合意の履行状況などについて確認する方針です。



概算要求 総額101.4兆円
財務省はきのう、8月末に締め切った来年度一般会計予算の概算要求の総額が101兆4,707億円になったと発表しました。概算要求の総額が100兆円を超えるのは3年連続です。歳出全体を抑える一方、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けた施策の財源をどう確保するかが今後の焦点になります。



不動産融資 バブル期上回る
日銀によりますと、今年4-6月期の銀行や信用金庫による不動産向け融資の新規貸出額は1年前と比べて22%増の3兆1,271億円に達し、バブル期の1989年に記録した4-6月期のピークを27年ぶりに更新しました。これは、日銀が導入したマイナス金利政策によって運用難に陥った資金が不動産市場に流れているためです。



日経平均に「楽天」採用
日本経済新聞社は日経平均株価の構成銘柄に楽天を採用すると発表しました。楽天はインターネット通販や金融、プロスポーツなどの事業を多角的に展開しています。除外されるのは化学品事業を手がける日本曹達で10月3日から入れ替えます。



山手線新駅のデザイン発表
JR東日本はきのう、山手線と京浜東北線の品川駅と田町駅の間に開業する予定の新駅のデザインを発表しました。駅舎は折り紙をモチーフとした大きな屋根に、障子をイメージした木の柱など、「和」を感じられる作りになっています。新駅は東京オリンピック・パラリンピックが開催される前の2020年の春に開業する予定です。



蓮舫氏“二重国籍”確認中
民進党の蓮舫代表代行はきのう、台湾籍放棄の手続きを改めて行ったと明らかにしました。日本と台湾のいわゆる二重国籍ではないかとの指摘を受けたことについては台湾側に確認している最中だと説明しました。会見で蓮舫氏は、31年前に、台湾出身の父親とともに、台湾籍を放棄する手続きをしたと説明しました。ただ、やりとりが台湾語だったため詳細についてはわからず、今回、台湾側に事実確認を求めたということです。しかし、確認に時間がかかることから、改めてきのう、台湾籍を放棄する書類を提出したとしています。蓮舫氏はこれまで、「台湾籍は放棄済み」と説明していました。



北朝鮮非難の報道声明発表
国連の安全保障理事会は6日、非公開の緊急会合を開き、北朝鮮を強く非難する報道声明を発表しました。声明で、安保理各国は遺憾の意を示すとともに北朝鮮の市民が困窮しているにも関わらず指導部が資源を弾道ミサイルの開発に充てていると、批判しました。また、日本の別所国連大使は会合の後の会見で、「安保理がどのような追加的措置をとることができるか検討する必要がある」と述べ、圧力の強化を働き掛ける考えを示しました。





■今日の予定

7月景気動向指数
7月消費活動指数
ASEANプラス3首脳会議
米地区連銀経済報告
米アップル新製品発表会





■【コメンテーター】 三菱東京UFJ銀行/内田稔氏

・ISM非製造業指数 予想下回る

--ISM製造業の悪さの中で雇用の弱さというのは非常に注目なんですけれども、もう1つ、今日アメリカで指標がありましたね。

「そうですね。雇用統計明けにアメリカのFRBが公表する労働市場情勢指数というのがあるんですが、これは6月まで6ヵ月連続でマイナスのあと、7月はプラス、これが8月にまたマイナスになったんですね。ですからアメリカの景気拡大の持続性というところが、やっぱりちょっとクエスチョン・マークがついてくるというふうに考えられます。」

--FRBのイエレン議長などはジャクソンホールで利上げを織り込ませようとしてきましたけれども、なかなかうまく行かないですね。

「そうですね。ちょっと9月は難しそうな感じがしますけどね。」





・日経朝特急/日銀の外債購入論再燃、市場の一部で浮上

--為替介入でないのであれば、デフレ脱却のための金融政策だとすれば、外債購入というのはありえるのでしょうか。

「ただ中央銀行が外債を買うと、目的がどうあれ、やはり為替介入とみられかねないですね。デフレ脱却のためなら為替介入をやっていいのかという質問に置き換えると、やはりハードルは相当高いと思います。」

--ただ101円台に為替が動いてくるとなると、やはりG20では無秩序な動きに対して、ということはありましたよね。景気によくないという宣言が入りました。

「ボラティリティですね。かなりスピードを持って円高が進むと、こういった話がまた出てくるんだと思います。」

--出てくるけれども、実際にできるかどうかは別?

「アメリカと本気でケンカがするつもりがあるかどうか、というところだと思いますね。」






・日刊モーサテジャーナル/ECBに期待「株購入」

--ECBも株を買うのではないかという話、これは日本と同じようになるということですかね。

「そうですね。マイナス金利政策が先行して始まった欧州から日本が輸入した形ですけども、今後ECBが株を買うとすると、日銀のEATFを通じた株買い、これを輸出するよう形になると思います。やはり長王銀行は総出でいま手探り状態だと思いますので、こういう試みがどんどん広がると思うんですが、一方でこれはやはり政策の手詰まり感ということの表れだとも思いますので、なかなか中央銀行は悩ましい局面だと思います。」

--何となくそんなにたくさん買っていいのか、株でいいのか、不安感みたいなものもジンワリと感じるんですけどね。

「そうですね。中央銀行が信用不安の局面を除いて、株を買うことの意義というのは、なかなか今日考えられにくいところがあるとおもいますね。」






・プログラミング熱狂時代

--プログラミングというだけで、私の世代なんかは拒絶反応がありますが、すでに中学校では一部導入済みで、小学校でも今年度中にどういう形態になるか、というのが決まるということです。ですからもう当たり前になって来るんでしょうね。

「そうですね。こういう人材が育って、生産性が上がるとか、あるいはさらに進んで技術革新が起こる。そういうことが今の世界的な低成長の社会の1つの起爆剤になるかもしれませんから、非常に重要な動きだと思います。」





・今日の経済視点 「米経済成長の持続性」

「今アメリカの景気回復というのは8年目に入っておりまして、戦後全部で11回会った中で、いま4番目の長さなんですね。長いからダメだということではないんですけれども、なかなかけん引する役割の担い手がちょっと不足しているという状況だと思います。それで労働市場情勢指数というのがまたマイナスになったんですが、あれがマイナスになると過去は景気後退に陥ったか、もしくは金融緩和を行っているんですね。」

--じゃあもうその前兆ということですよね。

「今回はおそらくそんなに利上げできないでしょうから、緩和的な政策が続いて、景気後退というのは回避できると思いますけれども、景気回復のピーク自体は過ぎつつあるという局面だという認識が必要かなと思いますね。」

--では何が必要かというとやはり潜在成長率とか、持続性のところになってくるわけですね。

「そうですね。金融政策で金融緩和で支えると同時に生産性を高めるとか、潜在成長率を高める、こういう取り組み、両方必要になってきますね。」