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2016.9.22 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月22日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

【為替相場乱高下で… 政府・日銀緊急会議】
m1.JPG円高が加速した為替市場。きのうの日銀の金融政策決定会合後に1ドル=102円台後半をつけていた円が、けさ8時半ごろには100円20銭台まで急騰した。為替相場の乱高下に政府と日銀が一体となって対応するため、財務省、金融庁と日銀は緊急の幹部会合を開いた。昨日、日銀が発表した量から金利を軸とする新たな金融緩和策。マーケットはこれを好感し、一時100ドル=102円台後半まで円安が進行した。しかし日銀・黒田総裁の「長期国債の買い入れは増減ある」との発言で緩和縮小の可能性もあるとの考えが市場に広がり円高が進んだ。

さらに日本時間の今日未明、米国のFOMC(連邦公開市場委員会)が利上げを見送ると発表した。FRB(連邦準備制度理事会)・イエレン議長は「物価や雇用面を見ても経済の過熱を示すものはない」と説明した。これで市場はドル売り円買いの動きが加速し、円相場は一時約1ヵ月ぶりとなる100円台前半まで円高が進んだ。この状況に大きな影響を与えるFOMC。FRB・イエレン議長は「年内に1回の利上げを想定しており、根拠は強まっている」と述べた。

一方、財務省・浅川雅嗣財務官は「仮に投機的な動きが今後も継続すれば、必要な対応をとらざるを得ないと思っている。黒田総裁が言った通り、G20の合意もそうだが、各国とも金融政策の矢が尽きたとは思っていない。金融政策にはやるべき余地がまだまだある。ただ金融政策のみでは限界があるのはG20でも共通の認識だ。」と話した。


【FOMC・世界への影響は?新興国大使に直撃!】
《大浜キャスター解説》 FOMC経済教室

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今回、米国の利上げは見送りとなった。日本経済、世界経済に大きな影響を及ぼすFOMCとはいったいどんな会合なのか。FOMCの投票メンバーは、FRB(連邦制度準備理事会)のイエレン議長、フィッシャー副議長、FRB理事3人、全米12の地区連銀の総裁の中から5人の総裁(輪番制、ニューヨーク連銀総裁は毎回投票権を持っている)。今回はカンザスシティー連銀総裁、ボストン連銀総裁、クリーブランド連銀総裁の3人が金利の据え置きに反対したが、慎重派のイエレン議長が説得したという形だ。

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米国が利上げをすると、円安ドル高になり、日本は輸出企業が多いため株高になる。一方、新興国(ロシア、中国、インド、南アフリカ、ブラジル)では株価が下がり、日本も影響を受け株安になるだろう。利上げは世界経済の減速を引き起こすリスクをはらんでいるとも言える。

明日から始まる海外旅行の展示会「ツーリズムEXPOジャパン」に集まった新興国の大使に話を聞いた。ザンビア・ムテイテイ大使は「ドルの値動きは貿易など我々のビジネスにとても影響する」と話した。一方、新興国の景気悪化で消費が低迷すると、原油価格も下がる可能性があり心配する声もある。また米国が利上げをして円安ドル高になると、日本人の海外旅行にも大きな影響を与える。

【為替相場を揺るがす「利上げ」・年内の可能性は?】
米国の利上げにはリスクも非常に大きいが、なぜ利上げをしたいのか。その要素はサブプライムローン問題の反省と金融政策の幅拡大。米国の利上げは年内実施の可能性があるのか、専門家に聞いた。

《三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミスト/鈴木敏之氏》

--年内利上げはできるのか。
「確実に(利上げが)できる感じではないと思います。私としては利上げしないで、年を越してしまう可能性も結構あるんじゃないかなと思います。FRB・イエレン議長やワシントンの執行部は利上げに慎重だと思いますね。」

鈴木氏は「 for the time being 」という言葉に注目している。日本語で「当分の間、しばらく」などを意味する。

「FOMCの中ではものすごい意見対立をしていて、『早く利上げをしようという人達』と『もうちょっとこのまま見ていても大丈夫じゃないですかという人達』の意見対立が激しいわけです。『しばらく』という表現を使って、要は利上げするつもりなんだけれども、条件が整うまでもう少しだけ待つということを言っているんです。早く利上げをしようと言う人達に、納得してもらっているという声明になっていると思います。」

何故イエレン議長は利上げに慎重なのか。

「彼女の目から見ると、労働市場が完全に引き締まっているという状態、完全雇用まではまだ距離がある。それが到達するまでは金融緩和をやります、ということだ。」

米国の8月の失業率は4.9%と非常に低い水準だ。しかし賃金を見てみると、増えたのは高い技能を持った人ばかりで、全体としての賃金の伸びは小幅にとどまっている。雇用が改善しても賃金が上昇しなければ安定的な物価上昇に繋がらず、利上げには時期尚早だというのだ。

--年内1回ということを言っているけど、それは約束ではないということなんですね。

「今年初めには4回と言っていた。それが利上げしない、しないで、結局、今日まできてしまった。その利上げの条件があと2ヵ月ちょっとで解消されるかというと、解消できないような理由をイエレンさんは言っているので、なし崩しでまた利上げしないまま時間が経過してしまうという、その可能性は結構あると思います。」







急激な円高をけん制、政府・日銀が緊急幹部会合
《中継担当:ニューヨーク支局/池谷亨キャスター》

--利上げのタイミングはいつになるのか、というのはいろいろな見方が出てきているわけなんですが、では12月の可能性というのはどうなんでしょうか。NY支局の池谷さんに伝えてもらいます。

m4.JPGアメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、FOMCを開催し、金融政策を据え置きました。年内利上げにも不透明感が漂っています。FRBのイエレン議長は会見で9月の利上げを見送った理由の一つに経済が過熱していないことを挙げました。しかし、金融政策は経済の過熱が見えてから動くのでは遅いと言われています。年内に経済の過熱を示す傾向が見えるかも定かではなく、イエレン議長が利上げに相当慎重になっている証拠かもしれません。

--そうなりますと、今後の利上げのペースというのも落ちてくるんでしょうか。

今回示された会合メンバーによる今後の利上げ見通しでは、今年1回・来年2回となり、前回6月の見通しの今年2回・来年3回から大きく減少しました。
長期的な政策金利の見通しも徐々に引き下げられてきています。この見通しは米国の景気拡大ペースが鈍っていると、FRBがみている可能性もあります。実は米国の景気見通しは明るくなく、「次の利上げはいつか」、ではなく、「本当に利上げ氏もいいの?」、という状況なのかもしれません。大統領選の行方も未だに不確定感が漂ている中で、リスクを警戒する市場関係者も少なくありません。






・米国・利上げの“条件”と12月の可能性

--池谷さんからもありましたが、「いま本当に利上げをしていいの?」という状況かもしれない。「利上げをしていい状況」というのは一体どういうものだと、イエレン議長は思っているのか、ここが気になります。

「昨日の議長の発言を聞きますと、本来、物価と雇用が条件だということですけれども、どうも物価があまり存在感がないなという感じです。すなわち、雇用さえ良ければ利上げしてもいいよね、という方向で発言が変わりつつあるなというのが弊社の読みですね。」

--イエレンさんはもともと雇用重視派と言われていましたけれども、その中でもさらに深読みをしている部分ということですか。

「ありますね。本当にそういう雇用統計に非常に詳しい方ですけれども、どこまで圧迫しているのかということを見るのは、いろんな指標を見ないといけないというところがありますね。」

--アメリカはいま長期停滞論というのも言われていますれども、そんな状況の中で、雇用をどう見るか。

m5.JPG「ということですね。今後どういう指標が出るかということが相当大きなポイントではないかと思いますけれども、ここにちょっとフリップがありまして、説明させて頂きます。まず今後1ヵ月ぐらいが結構大事だと思います。9月30日に8月個人消費支出で物価指数が出るんですね。物価が加速しているということであれば、ほら言っただろ(だから利上げしよう)、という意見が強くなりますね。もう1つは10月7日の雇用統ですね。もちろん雇用だけではなくて、失業率や賃金の加速があるかないか、ということです。非常に重要ですね。もう1つは12日に今回のFOMCの議事録が出るんですね。FOMCの中でどういう議論があったのかということが相当大事なポイントですね。14日には(ここには挙げていなんですが)イエレンさんがスピーチをします。雇用統計が出てからのスピーチですから非常に大きいです。最後に28日にGDPが出ます。これは7-9月期のGDPですけれども、1月から6月まではだいたい1%というかなり低い伸び率でしたね。今回は3%のペースで上がっていると言っているんですね。ただ第1、第2は1%ずつですから、3%行かなくてもおかしくないということですし、その後はどうなるかということもありますけれども、タカ派たちは、ほら3%でしょ、ということを言う可能性もありますね。全部、大事(な日程)ですね。」

--そうですか。となると12月の利上げがどうなるかというところにも響いてきそうですね。






■特集 ニッポンの橋が危ない!?
国土交通省が、2015年分の全国の橋の点検結果を発表しました。崩落の恐れなどがあるとして「緊急に対策が必要だ」と判定された橋の数は141。国交省はおととし、全ての橋を5年に1度目視点検するように義務付けましたが、2年間で全国の橋の約3割しか調査は終わっておらず、今後も「危険な橋」の数は増えると見込まれています。相模原市では、橋を支える橋台のコンクリートが崩落しました。静岡市の住宅地では点検の結果橋が取り壊され、住民の生活に影響が出ています。高度成長期に一斉に作られ、今後次々と補修や掛け替えの時期を迎えるニッポンの橋。それを守るための新技術の開発も進められていました。産総研では、“しま模様”を撮影するだけで、橋のたわみを計測できる最新技術が研究されています。西武建設と芝浦工大は、ドローンを初期の橋の補修に活用しようとしています。
取材先・長野県松本建設事務所・産業技術総合研究所・西武建設・芝浦工業大学


【ニッポンの橋が危ない!?、点検で“通行止め”続出】
今月、全国の橋の点検結果で緊急対策が必要な橋の数は141と発表された(2015年度点検分)。高度成長の時代に国内で一斉につくられた橋が次々と老朽化し今後、補修や架け替えに莫大な費用がかかると見込まれている。私達の毎日の生活になくてはらなない橋に忍び寄る深刻な危機を追った。

静岡市葵区の住宅街にかかる橋(1956年建設)は、去年実施された国土交通省が義務付けた調査で「緊急に対策を取る事が必要」と判定され撤去。以前は橋を渡って往来できていた住宅地は袋小路になっている。
また神奈川県相模原市の50年以上前につくられたと見られる八幡橋は去年12月の調査で「緊急に対策を取る事が必要」と判定。今年2月に全面通行止めとなり、8月に人と自転車のみが通れる仮設の橋がかけられた。住民も以前から危険を感じていたとのことだが、橋を管理する相模原市は義務付けられるまで本格的な点検をした事はなかった。

日本に約73万あるとされる橋。多くの橋が高度成長期の1960~70年に建設された。橋の耐用年数は約50年が目安。それを過ぎた橋が増えてきている。国(国土交通省)は中央自動車道・笹子トンネルでの天井板崩落事故を受けて、一昨年、全ての橋で5年に1度の目視点検を行うよう義務付けた。これまでに全国の橋の約3割で点検が実施され、250の橋は緊急対策が必要と判定された。
長野県松本市にある小大野川橋も崩落の危険性があると判定され、緊急補修が実施された。長野県松本建設事務所維持管理課・向山秀樹課長は「予算面も含めて厳しい状況にあると考えている。人材の確保、技術者が不足しているのも事実」と話す。小大野川橋の本格的な補修には約7000万円かかる見込みで、長野県は5年以内に実施するとしている。
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【安全を守る新技術とは】
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)ではコストをかけず橋を点検するための技術の研究が進められている。鍵を握るのが縞模様。産業技術総合研究所非破壊計測研究グループ長・津田浩が「この模様をデジタルカメラで撮影すると“モアレじま”を作製できる」と説明。この現象を生かして、橋のたわみを調べ、たわみの大きさで橋の危険度を判断する。
一方、ドローンを使って効率よく橋を補修する研究も進んでいる。補修用のドローンで約4m先までコンクリートの補強材や塗料など噴射出来る。この方法を橋の傷みが軽いうちに使えば、維持管理のコスト削減につながる。


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■ニュース特集

バスケットボールリーグ ソフトバンクが組んだワケ
Bリーグの開幕戦が行われる代々木体育館。会場のあらゆるところには目立つのはソフトバンクの広告。ソフトバンクは今年3月、推定で総額120億円という巨額のスポンサー契約を結びました。試合会場では、早速、ソフトバンクの技術が。選手の等身大のパネルが並ぶこちらのコーナーでは、スマートフォンにアプリをダウンロードしてカメラを向けると、わずか数秒で選手の情報を見ることが出来ます。ほかにも、座席に置かれたタブレットから飲み物を注文することが出来ます。さらに、飲み終わった後のカップを画面にかざすと、無料でおかわりできるサービスも。Bリーグは、ソフトバンクにとって、「次世代スポーツ観戦の実験場」ともいえる場所なのです。ソフトバンクが今年始めた「スポナビライブ」は、スマートフォンやタブレット向けに全試合を生配信するサービス。ソフトバンクの利用者であれば月額500円で利用可能です。



安倍総理 キューバへ出発
ニューヨークを訪問していた安倍総理大臣は、さきほど次の訪問国であるキューバに向け出発しました。日本の総理大臣として初のキューバ訪問となります。安倍総理は、ラウル・カストロ国家評議会議長との首脳会談に臨み、経済関係を強化していくことを確認するほか、北朝鮮と友好国であるキューバに対し、北朝鮮問題での協力を要請することにしています。



アップル マクラーレン買収も
イギリスのフィナンシャル・タイムズは22日、アメリカのアップルが、高級スポーツカーやレーシングカーの製造で知られるマクラーレンと、買収や出資に向け交渉を始めていると報じました。アップルとしては自動運転車などの開発でマクラーレンの技術力を活用する狙いがあるとみられます。交渉は数ヵ月前から始まっているということですが、マクラーレン側は、事実関係を否定しています。



黒人射殺で大規模デモ 非常事態宣言
アメリカ南部のノースカロライナ州で21日夜、警察官が黒人を射殺したことに抗議する大規模なデモが再び起きました。これまでのところ1人が重傷を負っていて、ノースカロライナ州知事は21日、非常事態を宣言しました。20日の夜に始まった抗議デモは、参加者の一部が一時、暴徒化し、警察も、ゴム弾や催涙ガスで応戦しました。



中国鉄鋼大手が統合 世界2位に
中国の国有鉄鋼大手、宝鋼集団は、武漢鋼鉄集団と経営統合すると発表しました。これにより、生産量で世界2位の巨大鉄鋼メーカーが誕生します。中国は鉄鋼の過剰生産で世界的な鉄鋼価格の下落を引き起こし、国際的な批判を浴びているため、統合を機に生産能力を削減する狙いがあるとみられます。



暗闇で「ワン・ツー・スリー」
暗闇の中でワン・ツーと声を上げて行うスポーツイベント。仕掛けたのは、スニーカーでおなじみのメーカーです。暗闇の中で、大音量の音楽にあわせて、参加者が行っているのは、ボクササイズ。ボクシングとエクササイズを組み合わせたトレーニングです。開催したのは、スポーツメーカーのニューバランス。参加者に自社のウエアなどを身につけてもらい、スニーカー以外の製品をPRするのが狙いです。





■【ロングセラー研究所】ポールウインナー
porl.JPG1934年に発売され、今年で82年の歴史を持つ伊藤ハムのポールウインナー。しかし年間1億本が売れているのはほぼ関西だけで、関東ではほとんど知られていない不思議なロングセラーです。伊藤ハムの創業者伊藤傳三氏は、ソーセージの日持ちを良くするため、セロハンで包むことを思いつき、地元の関西で販売したところ大ヒットしました。その後全国に販路を拡大しようとするも、他社の魚肉ソーセージに押されるなどで、うまくいかなかったといいます。一方関西では、1960年代から学校給食にポールウインナーが出されていて、親から子、そして孫へ、味の記憶が連鎖して人気が続いているようです。
取材先・伊藤ハム

分析
① 初めてソーセージをセロハンで包み日持ちを良くした
② 子供から大人まで味の記憶を連鎖させた



■【トレたま】シワがつかないスーツバッグ
【商品名】ローラー
【商品の特徴】衣類を巻いて収納する筒形のスーツバッグ
【企業名】ローラー
【住所】オランダ・アムステルダム
【価格】1万2,800円(税別)
【発売日】10月31日
【その他】日本代理店フラット・クラフト
【トレたまキャスター】相内優香





■【コメンテーター】ロバート・A・フェルドマン氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)

・老朽化対策のカギは?

--橋の老朽化問題に対する対策というのは、待ったなしという状況だと思うんですけど、何をすれば解決するんでしょうか。

「高齢化は人間だけじゃない。床もそうだということですけど、VTRの中では点検と修理の両方が入っていましたけれども、点検はやっぱりすごい技術をやってますね。修理もそうです、対応年数を長くする、これはやっぱり技術ですね。今週の番組で、オバマ大統領の話がありまして、彼はやっぱりSTEM、すなわち、科学、技術、工学、数学の頭文字を取ってSTEMですけれども、理科系の人を増やすということですね。だから教育改革が橋の安全の基礎だということですね。やっぱり高齢化社会の持続性は技術を分かっている人、それによってイノベーションを起こして経済の効率化、・・・・・・、これはやっぱり理科系の人を増やさないといけないと思いますね。」