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モーニングサテライト・ウォッチ

2016.6.30 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年06月30日 23時59分59秒 | WBS
■シリーズ企画 英国・EU離脱の衝撃!

ジョンソン氏党首選 出馬せず
イギリスのEU離脱をめぐる国民投票で離脱派を勝利に導いたボリス・ジョンソン前ロンドン市長が次期首相を決める与党・保守党の党首選に出馬しないことを表明しました。ロンドン市内では連日多くの市民が残留を求めて集会を開いている一方、アイルランドやカナダ、ニュージーランドなどのパスポートを求める市民も増えています。こうした動きは人だけにとどまらず、ロンドンに本拠地を置き、国内で1万人以上を雇用するボーダフォンが移転の可能性を示しています。一方、ベルギー・ブリュッセルのEU本部では、離脱問題で困惑するEU職員たちの姿がありました。EUを巡っては、離脱派がEU職員の好待遇や規制の多さを揶揄した映画が作られるなど批判もあります。外務省のEU日本政府代表部次席大使として3年間EUに派遣されたことがある国際基督教大学の植田教授は、EUの複雑さが離脱派に批判材料として利用された側面もあると指摘しました。



【人・モノの流出防げるか?】
英国のEU(ヨーロッパ連合)からの離脱問題。
離脱派を率いたボリスジョンソン前ロンドン市長が次の英国の首相を決める与党・保守党の党首選に出馬しない事を表明した。

《中継:ロンドン/影山秀伸記者》
離脱に向け、一体だれが責任を持って交渉にあたるのか、混迷を極めている。これを受け本命候補と目されているのがメイ内相だ。ただメイ内相は国民投票までEU残留を主張してきただけに新たな首相に選ばれたとしても、離脱に向けた交渉を進められるのか不透明だ。こうした中、国民投票のやり直しを求める声が強まっている。ロンドンの中心部・トラファルガー広場では連日、残留を求める市民が集会を開いている。また英国の将来に絶望したのか隣国・アイルランドのパスポートを申請する人の数が急増している。アイルランドのパスポートは両親や祖父母のうち1人でもアイルランド生まれなら取得可能で、アイルランドのパスポートさえあればEUにも自由に往来する事が出来る。このほか英国連邦に属するカナダやニュージーランドなどのパスポートを取得できないかと考える市民も増えている。
一方でロンドンに本拠を構える企業の多くがどの程度影響が及ぶのか今は静かに見極めるスタンスを取っている。ただボーダフォンなどいざとなれば国外に脱出すると警告する企業も出てきた。これまで一部の金融機関が業務の移転を検討していると報じられてきたが、英国国内で約1万人以上雇用するボーダフォンが本拠地の移転の可能性を示した事は大きな衝撃だ。より有利な条件でEU離脱を果たしたい英国だが、それに失敗すればEU離脱の代償は益々大きくなる。以上ロンドンでした。

【混乱する本部職員たち】
《中継:ブリュッセル/豊島晋作記者》
EU首脳会議を終えたブリュッセルは今朝まで憂鬱な雨が降っていて、「まるで英国の嫌な天気がこちらに移ってきたよう」と話す市民もいた。今、EU本部で働く職員たちに衝撃が走っている。ヨーロッパ委員会のユンケル委員長は英国人職員に対し「今後の雇用について心配する必要はない」とメールを送っているが、EU内部では離脱が正式に決まれば管理職などの上級職員は事実上職場を追われるとの見方が有力だ。そして昨日まで世界中の報道陣が詰めかけていたEU本部も閑散としていて、まさに宴の後といった雰囲気となっている。

【「予感」させた意外なモノ】
EUを混乱させている英国離脱問題だが、お膝元・ブリュッセルでは意外なモノがそれを予見していた言われている。その1つがEU各国の国民性を表した土産用絵葉書だ。EUの共通通貨ユーロに絡めて各国を風刺したもの。例えばフランス人はシックなお洒落が得意という意味で「ユーロシック」、ドイツ人はビールを飲んでダイナミックに歌うということで「ユーロダイナミック」、そして英国民は「ユーロスケプティカル」(懐疑的)と描かれている。実際に英国はEUに対しても懐疑的な声が多く、今回の離脱をこの絵葉書がほのめかすような結果になってしまった。ブリュッセルでは他にも英国離脱を予感させる観光名所があった。テーマパーク「ミニヨーロッパ」でEU各国の代表的な建物のミニチュア模型が並んでいる。ロンドンのシンボル・ビッグベンの模型は最近2000万円近くをかけて修繕したばかり。その足下にはEU残留鳩離脱派の論争を国民投票の2か月前から反映していた。しかし英国離脱が現実のものとなると対応が難しいという。そして写真を撮る観光客の合言葉は「ブレグジット」。EU離脱の影響が一般人に広がっていくのはまだ時間がかかるといった印象だ。以上ブリュッセルからでした。
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【EUの仕組み】
《大浜キャスター》
EUに加盟している国は28か国で本部はベルギー・ブリュッセルにある。域内の人口は5億820万人、日本の約4倍。GDP(域内総生産)は現在のレートで約1685兆円(世界2位)。
『 EUの組織 』
EU・トゥスク大統領、ドイツ・メルケル首相、フランス・オランド大統領、イタリア・レンツィ首相など各国首脳らで構成されるヨーロッパ理事会はEU全体の方向性を決めるサミットの様な機関。28日と29日に行われたEU首脳会議はこの理事会の事を指し、29日には英国・キャメロン首相抜きの27か国で話し合いが行われた。他にも市民の代表で構成されたヨーロッパ議会(議員数751人で各国の人口比で議席が配分されている)、各加盟国の閣僚が所属するEU理事会がある。EUの法律などはこの2つの機関が共同で決定する、いわば国会の様な役割を担っている。そして実際にEUを運営するのはヨーロッパ委員会(EU本部)で、行政・立法機関である。ここにはユンケル委員長のほか各国から1人ずつ27人の各分野の担当委員がいる。また在籍している職員は3万人。日本で言うところの霞が関。ひと月の給料が平均で約73万円など職員の待遇が恵まれ過ぎているとの指摘がある。どの様な組織なのか、専門家に話を聞いた。

【経験者が語るEUの正体とは】
「Brexit the Movie」は英国の国民投票の際、EU離脱派が作ったドキュメント映画。EUの組織やルールは不都合なものばかりと皮肉を交えながら紹介している。EU本部には充実の施設があり、職員は基本給以外に家族手当、娯楽手当、医療手当などがありバイアグラが無料、他にも電話代やパソコンの購入費に600万円近くが支給されるなど、離脱派は職員の待遇を無駄遣いと指摘していた。実際にはどうなのか。外務省の次席大使として2008年~2011年EUに派遣された経験を持つ国際基督教大学・植田隆子教授はベルギーのEu本部で毎日のようにEU職員と接していたという。
《植田隆子教授》
「EU職員は非常にレベルが高く、数ヶ国語ができて学歴が高い方々で、それに見合った給料だと思う。」
さらに映画はEUの複雑なルールについても紹介している。寝室だけでも何百にも上る規制。牛乳に至っては12653個もの法令が設けられているという。
--Q.決まりが多いというのは事実?
「おそらくそうだと思う。ただ1つの国でも決まりはある。日本でも食品衛生や自動車の安全基準もある。それと同じものがEUレベルである。」
離脱派はこうした規制は「EUから一方的に押し付けられている」と主張していた。しかし加盟国の国民の意思を反映させる仕組みがあり、離脱派の主張は行き過ぎだったと話す。
《植田教授》
「EUで法律を決める時に、加盟国の閣僚が会議に参加したりとか、直接選挙で選べる欧州議会の議員はイギリスから73人出している。国民の手の離れたところでハンドリングされているということは必ずしも正しくはないと思う。」
一方で植田教授は「EUの組織やルールが複雑なのは事実で、その分かりにくさが離脱派に利用された側面もある」という。
--Q.例えば各国政府の都合の悪いことがあると、「EUが悪い」と隠れ蓑にされる?
「それは非常にあると思う。EU本部からしたら割に合わないと感じているのではないでしょうか。EU市民に十分理解されないまま進めるようなことに対しては慎重になると思う。」





■マーケット

日本とイギリスの株価 戻りに差?m1.JPG
日経平均株価4日続伸となりました。ただ、今日の午前中に発表された5月の鉱工業生産指数がマイナス2.3%と市場予想のマイナス0.1%を下回ったことなどから伸び悩んで、終値は1万5,575円92銭と前日に比べて9円9銭高でした。イギリスの国民投票後、日経平均株価は下落した分の半分を取り戻しましたが、混乱の震源地であるイギリスの株価指数は29日に国民投票前の水準を回復しています。岡三証券の小川シニアストラテジストは同じように日経平均株価が回復するには「円高による企業業績への懸念がぬぐわれるまで、もしくは円高によりかっこ中央銀行の政策協調への期待が高まっているので、実際に行動に移されるかがポイント」と話しました。





■【コメンテーター】高田創氏(みずほ総研チーフエコノミスト)

・人気のふるさと納税、光と影・・・
--寄付額はどんどん増えているんですが、光と影をちゃんと見極めなければならないんですね。
「もちろんふるさと納税があるということは減っているところもあるわけですね。確かに今回いろんな方が応募してやっているわけなんですが、ふるさと納税は高所得者ほど控除額が大きいということがありまして、高所得者優遇との批判も結構あるんですよね。」
--その当たりを是正していくような方法も今後考えていかなくてはいけないですね。
「そうですね。税としてはそういう意味での難しさが残っているということだと思いますね。」
--ただ光もありますね。
「そうですね。やっぱりこれを通じて地域を知ってもらうPRの対象になりますね。場合によっては人が訪れるという事もあると思う。また熊本地震があったが、被災地を支援するような意味での広がりはとてもいいことだと思いますね。」



・意図せぬ通貨安競争、中央銀行どう動く?
--各国の中央銀行の動きにマーケットの期待が集まっているということですが、それが更なる緩和的な政策を取るかどうかということですか。
「特に日本やヨーロッパにはそういう期待があると思います。」
--日本で緩和というとどういう手法が・・・。
「さすがに7月は何かしてくるんだろうという見方が強いですが、ただなかなかマイナス金利の深堀りというのは、不人気ですから、RIETやETF、あとは外貨の流動性を供給してくるという部分があるんでしょうね。よっぽど為替が円高になった場合には、金利の深堀りがあるかもしれませんけど。」
--ECBはどうでしょうか。
「ECBは本来は追加緩和という議論があるんだと思うんですけど、そもそも通貨安戦争に近い世界ですから、ECBの場合ユーロがブレグジットの影響で下がってますよね。だからラッキーという感じですね。(緩和を)やらなくてもよくなったという感じですね。」
--あとはアメリカ、FRBは?
「アメリカの場合はどちらかというとこれまでは利上げと言われていたのが、利上げはする必要が無いのではないかと・・・。これはヘタをすると利下げなんじゃないかというような見方も一部に出てきた。ですからそうあった場合はよりドルが下がりやすくなってくるという状況ですから、日本だけが困ってしまうようなやや四面楚歌の状況ですね。」
--でも本来は金融政策の出番ではないと・・・
「私はもうどちらかというと金融政策よりは、財政を世界中でどうするかという議論だと思うんですけれども、まだなかなかそこまで行っていませんね。この前の伊勢志摩サミットではそういう議論があったわけですけれども、それを本当にもう一回どうするか、という議論が多分出てくるんじゃないかと思うんですね。」



・イギリス人の気質とは?
--安倍首相は今夜、キャメロン首相と電話会談を行いまして、日本企業はこれまで通り英国で経済活動を行えるよう要請した。これに対してキャメロン首相は日経企業を守るためにあらゆる手段を講じると答えました。世界中に影響を与えましたし、自国内も混乱しているわけなんですが、それでも英国が離脱を選んだ背景には、大憲章マグナカルタがあるのではないかと・・・。このマグナカルタというのは1215年に当時の英国王に対して貴族と都市が王権の制限をする、例えば徴税権の制限、それから貴族の特権、都市の自由などを認めさせたというものなんですが、それが背景なんですか。come3.JPG
「そうですね。イギリス自体そういう形で自由とか独立を守ってきた。徴税に対する抵抗ですとか、主権を守るとかですね、そういう思想がEUに対して自分たちは独立なんだというような根底に流れる気持ちがあったんじゃないかと思う。」
--さらに規制にうんざりしているということもあるようなんですが、EU加盟国12か国分の下院選挙で反EU政党の得票率がやはりぐんと伸びてきているんですね。
「ですから来年にまた選挙が多いですから、この流れがより深まりそうですよね。注視したいところですね。」




■ニュース

ふるさと納税に新たな試み
ふるさと納税で都心と地域を結ぶ「ふるさとチョイスカフェ」が1日のオープンを前に報道陣に公開されました。店内には九州の特産品が並びカフェでは長崎の平戸市特産のおむすびや味噌汁などが飲食できます。このカフェでは地方自治体や生産者、事業者が訪れ、寄付金の使い道や成果などを直接聞くことができます。ふるさと納税を巡っては高額な返礼品や換金性が高いものなど行き過ぎた自治体間の競争が問題になっていますが、このカフェで本来のふるさと納税にあり方を知ってもらいたいという狙いがあります。

【“ふるさと納税”カフェ・寄付金の使い道は】
ふるさと納税の2015年度の寄付額は前年度の4倍、1652億円にまで広がった。しかしその一方で寄付金の活用状況を公表していない自治体は4割を超えている。使い道の透明性を求める声が広がりを見せる中、新たに動きだした取り組みを取材した。

ふるさと納税で都心と地域を結ぶ「ふるさとチョイスCafe」。明日のオープンを前に報道陣に公開された。店内には佐賀県の「ビードロ」や熊本・天草の「海松紋」のコーヒーカップなど納税返礼品が並んでいる。7月31日まで九州フェア、それ以降は他の地域の特産品が並ぶ。さらに地域の名産物も食べる事も出来る。そしてこのカフェの一番の特徴が、来場者が寄付金の使い道を直接聞く事が出来ることだ。ふるさと納税を巡っては高額な返礼品や換金性が高いものなど行き過ぎた自治体間競争が問題になっていて、このカフェにはふるさと納税の本来の在り方を知ってもらいたいとの狙いもある。しかし一方で寄付金が1000万円以上集まらない自治体も5割近くあり、更なる伸びしろを求めていくべきとの意見も出た。
《カフェを運営するトラストバンク/須永珠代社長》
「この場所では地方自治体の方や事業者、生産者に来てもらい、生の声を聞く事でネットやテレビでは得られない本当の情報を知ってもらいたい。」





USJ“パパ世代”狙う新戦略
2015年の入場者数が東京ディズニーシーを抜いて国内のテーマパークで第2位となり、開業15周年を迎えたユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、今年のテーマである「やり過ぎ」なイベントをこの夏も開催しています。雪や水を浴びせる「やり過ぎ」な演出のターゲットは子どものいる「パパ世代」です。彼らを取り込もうと、今年の夏、初めて組むのが、「週刊少年ジャンプ」です。「ドラゴンボール」のアトラクションや、「ワンピース」のショーなど「パパ世代」を狙ったアトラクションが並びます。
根強い人気を誇るドラゴンボールのアトラクション「ドラゴンボールZザリアル4-D」は3D眼鏡をかけながらフルCGの立体的な映像でストーリーを楽しめるだけではなく、映像に合わせ座席が動いたり水しぶきがかかる4Dでドラゴンボールの世界を体感できます。イベントに合わせた食べ物やグッズにもこだわりがあります。さらにプロジェクションマッピングなどを使った「ワンピースプレミアショー2016」などパパ世代を狙ったアトラクションが並びます。
《ユーエスジェイコンテンツ開発室/中嶋啓之室長》
「父親が『USJ行こうよ』という家族のコミュニケーションが生まれ、パークに父親を中心にした多くの人が訪れる事を狙いとした。」
これまで女性や子ども向けへのアピールが中心だったテーマパークに父親を中心とした男性客を多く呼び込みたい考えです。



トルコテロ 容疑者13人拘束
トルコ最大の都市イスタンブールの国際空港で、43人が死亡した自爆テロで、警察当局は30日、イスタンブール市内の16ヵ所で一斉摘発を実施し、中東の過激派組織=「イスラム国」の戦闘員とみられる13人を拘束しました。また、トルコの当局者は、自爆した実行犯3人の国籍が、ロシア、ウズベキスタン、キルギスだと明らかにしました。



税逃れ防止へ向けOECD会合
「パナマ文書」の問題などを受けて国際的な税逃れの防止策を話し合うOECD=経済協力開発機構の租税委員会がきょうから2日間の日程で京都で始まりました。今回の会議には81の国と地域が参加し、国際的な課税ルールの整備や工程表を議論するほか、脱税対策に協力的でない国を特定する「ブラックリスト」の基準について取りまとめる方針です。



NEC 新炭素材料を発見
電機メーカー大手のNECは電気を通しやすい新たな炭素材料を発見し、その作製に世界で初めて成功したと発表しました。「カーボンナノブラシ」と名付けられたこの材料は、直径100ナノメートルで、ブラシのような毛羽立った構造をしています。カーボンナノブラシは電気を通す性能が他の炭素材料を大幅に上回ることからスマートフォンや、電気自動車の電池などに利用すれば、充電速度が10%から15%ほど向上することが分かりました。将来的には、数十秒で充電ができるような技術開発を進めたい考えです。来年度からサンプルを企業や研究機関に提供し、早期の実用化を目指します。



公取委 キヤノンの東芝子会社買収承認
公正取引委員会はキヤノンが東芝の子会社東芝メディカルシステムズを買収することを認めると発表しました。東芝はリストラ費用がかさむなど財務状況が悪化したことから子会社の東芝メディカルを売却するため入札を実施し公正取引委員会が審査していました。公正取引委員会は買収については認めたものの買収に至る手続きが独占禁止法の規定に違反する恐れがあるとして、キヤノンを注意しました。



韓国で人気の“かき氷”日本上陸
韓国で、ブームを巻き起こしたかき氷が、原宿に初上陸しました。250人もの大行列ができたのは、きょう、原宿に出店した「ソルビンハラジュク」です。韓国国内では、現在500店舗を展開しており、ふんわりとしたパウダースノーのようなミルクかき氷を味わうことができます。餅やきな粉を使った、韓国の伝統菓子を、若い人にも親しまれるように、現代風にアレンジして提供しています。原宿は、去年、台湾で人気のかき氷店が初出店するなど、かき氷の激戦区になっています。果たして勝算は?





■【ロングセラー研究所】明治「カール」
発売から約半世紀、大人から子供までを引き付ける日本初のコーンスナック菓子「カール」の秘密とは?
東京・江東区の「明治」を訪ねました。
《明治菓子商品開発部/倉重雅彦さん》
「当時、明治製菓の主力商品はチョコレートが中心。夏場に売れるものが必要だとしてスナック菓子に行きついた。」
明治は、1926年に発売した「ミルクチョコレート」が大ヒット。しかし、当時は、夏場にチョコレート溶けてしまうため、売れ行きが落ちるのが課題でした。そこで、1968年に日本初のコーンスナック菓子「カール」が誕生しました。カールは、大阪工場で作られています。案内されたのは、カールの生地を作る成型機。原料のトウモロコシを180度の熱で押し出すと1秒間に約60個というスピードで生地ができあがります。さらに、人気を不動のものにしたCMキャラクター「カールおじさん」の謎に迫ります。



■【トレたま】触感型ゲームコントローラー

触感型ゲームコントローラー「T.T.FILE4,295」はコントローラーから電気を流すことによって筋肉が収縮しけんが引っ張られ指先が動き重さを感じることができる。

【商品名】アンリミテッドハンド
【商品の特徴】触った感じが得られるゲームコントローラー
【企業名】H2L
【住所】江東区青海2-7-4
【価格】3万5,000円
【発売日】販売中
【トレたまキャスター】相内優香






2016.6.30 Newsモーニングサテライト

2016年06月30日 07時00分00秒 | MS
■ マーケット

NY株 そろって続伸m1.JPG
市場にはリスクをとる動きが戻ってきています。イギリスのEU離脱がさらに現実的になるまでは、足元のアメリカ景気などに目が向きやすくなりそうです。イギリスのEU離脱には多くの手続きが必要で時間がかかる事もあり、ひとまず市場の目は今の世界経済の実体に移りつつあります。アメリカの個人消費もほぼ予想の範囲内で、アメリカの金融政策の行方に大きな影響はないとの思惑も安心感です。また原油の週間在庫統計でアメリカ国内の原油供給が減少したことから、原油価格が49ドル台を回復し株価をサポートしました。株価の終値はそろって続伸です。ダウは284ドル高の1万7,694ドル。ナスダックは87ポイント上昇し4,779。S&P500は34ポイントプラスの2,070でした。0指標.jpg








【世界の株価】
29日の終値



















【NY証券取引所中継】米消費堅調も住宅には注意
解説はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの前田秀人氏

--連日で株価しっかりですね
イギリスのEU離脱を受けた投資家心理の悪化が一巡し、先行したアジアやヨーロッパの株式相場が軒並み上昇、それを引き継ぐ形でアメリカ市場も前日に引き続き続伸となりました。

--さて今日は個人消費支出や物価指標が発表になりましたよね。
5月の個人消費は前月比で0.4%の増加と4月の1.1%からは減速したものの、ならしてみれば底堅い動きだったと言えそうです。自動車販売は横ばい、一方ガソリンや外食などは増加しました。FRBが注目する個人消費支出物価指数は前年比0.9%増と前月から低下し、市場予想も下回りました。

--そして今日は中古住宅販売成約件数もありましたが、これはどう見ましたか。
5月は前月の大幅増加の反動もあり、3.7%のマイナスと市場予想を大きく下回りました。この指標は住宅販売件数の先行指標で、今回の結果だけで住宅市場が鈍化しているとはいえませんが注意が必要です。FRBは引き続き利上げはデータ次第としていますが、ブレグジットを受けて、週末のISM製造業指数の結果などが上振れたとしても、追加利上げが期待が高まるとは考えにくそうです。






【NY証券取引所中継】低金利が消費に悪影響?
解説はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの前田秀人氏ny2.JPG

--本当に市場は落ち着きを取り戻してきている感じですね。
アメリカの長期金利も今日は1.5%を回復してきていますが、過去と比べて依然として低金利の状況で、今後も過去最低水準の1.38%台をうかがう動きがあるかもしれません。日本やヨーロッパなども金利低下が進んでいます。

--ただ低金利はメリットもありますよね。
確かにお金を借り入れる時などには有利に働きますが、実は長期的に見るとアメリカの個人消費に悪影響を与えかねないという点で注意が必要です。長期金利が高い場合と低い場合とでは退職後の所得確保のための必要な資金が大きく違ってくるからです。ny2-2.JPG

--具体的にはどのぐらいなんでしょうか。
例えば実際の投資商品の例で見ますと、長期金利が5%の場合、今35歳の人が65歳以降に年4万8千ドル(約500万円)の所得を確保したいと考えた時に、一括で17万8千ドル(約1800万円)を払う必要があります。一方金利が2%に低下すると、約5700万円に跳ね上がります。これは金利水準が少し極端な例ですが、金利が低下すると退職後の所得確保のために使える手元の資金が減り、消費に回らないと言った事態が起きるかもしれません。








【為替見通し】注目ポイントは「注目はアメリカと中国へ」
解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏

--102円台後半ですが、ニューヨーク市場の動きはどうでしたか。kw1.JPG
ブレグジットから生じる短期的な市場の混乱が少し沈静化しているので、ドル高・円高共に緩和してクロス円が結構堅調に推移しています。これに支えられてドル円も102円台後半で帰ってきました。

--今日の予想レンジは、102.10円~103.30円です。このまま緊張緩和で円安の流れは続くんでしょうか。
そうですね。若干円安への戻りがあるかもしれないんですが、日本は7月になりますと、これは第一次所得収支というんですが、配当金の集積がものすごく増える時期に入ってきます。従って実需の円買いというのがこの期末の本日あたりから出てくると思いますので、緊張が緩んでもドル円の戻りは鈍いのではないかと予想しています。

--確かに6月と7月の差を見ると大きくなっていますね。そして注目ポイントは「注目はアメリカと中国へ」、ブレグジットから次のテーマへkw2.JPG移るということですか。
ブレグジットは引き続きテーマではあるんですが、ちょっとしばらく長期戦になりそうですので、その前に関心がアメリカ、中国に移っていくと見ています。特にアメリカについては7月8日の6月分雇用統計で今後の金融政策の展望を見るということになりますし、あとは中国の人民元が足下でちょっと下げ足を速めているんですけども、10月1日に予定しているSDR入りの前に規制を緩和する可能性が高まっていますから、こういった規制の緩和・変更で市場がリスクオフにならないか、要注意だと見ています。

--人民元安がさらに加速する可能性もあるということですね。
そうですね。
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【日本株見通し】注目ポイントは「裁定買い残の水準」nk0.JPG
解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏

--今日の予想レンジは、15600~15800円です。
欧米株高を受けまして買い先行が予想されますけれども、明日発表の日銀短観や中国の経済指標を前に後場からは伸び悩むと見ています。この先の相場上昇のカギは出遅れ感のある証券・銀行株そして円高で売られた自動車関連株の上昇が必要になると思いますので、そういった意味では1ドル103円台が見えてきましたドル円相場にいつも以上に連動性を高めるといったような展開を想定しています。

--注目ポイントは「裁定買い残の水準」です。nk1.JPG
昨日発表されました裁定取引に伴う現物株の買残高が6月24日時点で8803億円ということで、4年半ぶりの水準まで減少しています。日経平均株価がアベノミクス相場の上昇の半値押し程度まで下落する中で、市場全体の売り圧力はかなり和らいでいると言えると思います。またPERとか配当利回りといった指標面でも割安感が出てきていますので、欧州の政治リスクを中心に不安定になる場面がまだあると思いますけれども、大量の売りで短期間に大きく下げるという状況でもないと見ています。







■【コメンテーター】三菱東京UFJ銀行の内田稔氏、SMBC信託銀行プレスティアの尾河眞樹氏

・英国・募る不透明感・ポンド安の余波
--デンマーク、スイスが為替介入。為替をめぐる状況というのはポンドに振らされる展開が続きましたよね。
(内田氏) 「そうですね。ポンド安の受け皿として同じ欧州のスイスフランとかデンマークが買われているんですけれども、一方でドルが全体的には強くなっていますので、逆にドルにペッグされている中東の通貨や香港ドルは通貨高で、切り下げという話が出てくるかもしれませんから、このポンド安によるリバランスというのはしばらく続くと思います。」
--そういったところがどう波及していくのか、まだまだ不透明なのがすっきりしないですね。
(尾河氏) 「そうですね。よく分からない不透明感というのがマーケットにとって一番マイナスなんですけれども、今回の件は普通イベントがが終わって今後のスケジュールが良きにつけ悪しきにつけ、受け入れていかないといけないですけれども、まだよく分からないですよね。9月以降に交渉が始まるという話だから、この不透明感がしばらく続くのは市場心理には少しましナスかなと思います。」




・今日の経済視点 

(内田氏) 「やはり・・・成長戦略」
異次元緩和をやってきたわけですが、なかなか効果が不明瞭で、ただ一方で財政も公的債務残高が積み上がっていますので、異次元の財政出動やってきたはずですが、それらが機能しないとなると、改めて原点に返って成長戦略というのが結局考えていかなければいけないことだと思います。
--成長戦略については皆さん耳にタコができるほど口にされているんですけど、どの程度進捗しているのか、その当たりが見えないですね。
見えにくいところがありますね。やはり一つは首都機能を分散化すれば、人・モノ・金の流れが劇的に変わると思いますので、一つ大きな起爆剤になるかなと思います。日本は地震大国でもありますから。



(尾河氏) 「イベントリスクとボラティリティ」
今日は円安の話をさせていただいたんですが、やはりイベントがどんどん続くわけです。今年は多いですから、7月の参院選、11月の大統領選、これらは基本的にアベノミクス継続で円安の流れ。あるいはクリントン氏が勝ってトランプ氏のようなリスクはないだろう、という見通しはしていますけれども、ブレグジットのようにまさかということが起きるので、やはり気を付けていかないといけないということです。





■特集 年後半の為替は円高?円安?
あすから7月、下半期に入ります。今年も数々の想定外に見舞われ、為替も大きく動きました。年初120円台だったのに先日の100円割れは記憶に新しいところ。年後半、為替は、円安か、円高か、専門家にお聞きします。
解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏、SMBC信託銀行プレスティアの尾河眞樹氏。p1-t1-ogawa.JPG

--まずは年後半に向けてのお二人のシナリオを出していただきましょう。円高と円安に見事に分かれています。まず尾河さんは年末に向けて円安が進むと見ているんですね。107円。
(尾河氏) これは目先、不透明感で一旦97円位まで円高が行くこともあるかなと思っているんですが、7月の日銀の追加緩和で一旦円安、その後はまた大統領選や英国のEU脱退宣言などで一旦また円高の可能性があるけれども、年末にかけては徐々に不透明感が晴れて行って、円安ドル高の方向という見方です。

--ブレグジットを受けまして、やはり為替見通しを修正しましたか。
(尾河氏) そうですね。直近では112~113辺りを見ていたんですが、やっぱり今回のことで足下ド~ンと下がってしまいましたので、もう修正せざるをえないという状況ですね。

--107円を目指すという展開の中で、ベースとなるポイントは何でしょうか。
(尾河氏) 基本的なベースとしては私は日銀のマイナス金利によって長期金利がものすごく下がっているので、これが為替に与えるインパクトが若干過小評価されているんじゃないかなと思っている。足下ボラティリティが高まってしまうと、どうしても為替のインパクトの方が大きくなり、金利差って関係ないという話になってしまうんですけど、ボラティリティが徐々に治まってくれば、金利差に徐々に目が向いていくという見方です。p2-t1-ogawa2.JPG

--そうなるとどういう動きが出てくるのか、マネーは外貨へということなんですけど、その動きを見ていきましょうか。
(尾河氏) 一般投資家も個人も徐々にリスクを取らざるをえない状況になってくる。運用していくにあたっても外貨投資ということが必要になってくるだろう。
(フリップ2)
(尾河氏) これは個人のほうですが、個人の外貨投資はまだまだ全体の金融資産で見れば2.4%ぐらいで非常に小さいですが、それでも外貨の部分が増えているんですね。それは円建てで買える投資信託で中身が外貨モノになっているというのが主流だったんですが、今後は徐々に外貨預金とか海外証券投資なども徐々に増えていく可能性が高い。p3-t1-uchida.JPG

--それによって結局、円を売ってドルを買うという円安の効果がベースに出てくるだろうということなんですね。日銀の緩和の効果が出てくるだろうと・・・。一方、内田さんはどうでしょうか。内田さんもブレグジットを受けて修正しましたね。
(フリップ3)
(内田氏) シナリオは円高なんですが、水準調整は不可避ということで、下方修正を予定しています。

--そして動きとしては、これは(8月ごろちょっと上がっているのは)尾河さんと同じで、日銀の緩和期待ですかね。
(内田氏) そうですね。目先は緊張の緩和で、円高の反動であるとか、日銀の追加緩和期待などで、若干上がるときがあるかもしれないと見ているんですが、ただ基調としてはドル安円高を予想しています。

--年後半から下がっていきますけれども、この要因は何でしょうか。
(内田氏) ここまでのドル安円高というのは主に円高要因、日本側のデフレ脱却に対する期待感が後退して、円の実質金利が上がってしまうという円高が原動力だったんですが、5月あたりからアメリカは本当に利上げできるのかというドル安に軸足が移ってきていると見ています。p4-t1-uchida2.JPG

--そしてそれによって日本の期待インフレ率が低下をします。それによって日米の金利差がここで・・・
(フリップ4)
(内田氏) そうですね。2012年以降日本の期待インフレがずっと上がりまして、これが株高円安の原動力だったんですが、昨年以降急激に低下して円高をもたらしていた。しかし今年の4~5月ぐらいに一旦底を打って反発していますので、本来ならば円高は落ち着いてもよかったんです。ところが4月以降はアメリカサイドの連続利上げに対するシナリオが揺らぎ始めていて、今度はアメリカの名目金利が少し下がってきていて、これが今の足下のドル安円高の大きな要因になっています。p5-t1-uchida3.JPG

--結局アメリカの金融政策の方向性に注目が集まるわけですね。過去にもそういう局面がありました。これはアメリカで前回の引き締め局面のところ、ピンクのところですが、引き締めにもかかわらず、為替はドル安になっている。
(フリップ5)
(内田氏) そうですね。前回、17回連続で利上げをした局面で、アメリカドルは全面安になっています。当時は周りの国も利上げをしていたので、いわゆる金融政策の格差というのがあまりなかった。その時に経常赤字が重しとなってしまった。ここから先は日本やECBは緩和姿勢を維持するんでしょうけれども、アメリカもそんなに利上げができないんだとすると、金融格差がだいぶ縮小してしまって、経常赤字が効いてきてしまうということで、ドル安と見ています。

p6-tr-ogawa1.JPG
--金融政策が同じ方向の場合というのは、経常赤字に注目が行ってしまって、ドルが売られてしまうという流れですね。さて円高派の内田さん、円安派の尾河さんということで、続いては非常に為替に影響を与えます日米金利差、追加緩和があるかどうか、利上げがあるかないか。尾河さん、まずアメリカをどう見ますか。
(尾河氏) 12月に一回利上げをする可能性があるかなと思っています。
(フリップ6)
--現在、市場の予想はどんどん回数が減ってきまして、12月でもようやく8.6%ぐらいです。
(尾河氏) そうですね、織り込みとしてはほとんど年内無しということですね。だけどここまで利上げの期待が後退してしまっているわけですから、9月までに織り込ませていくのは非常に難しいだろうということで、9月の利上げはもうなくなったと思いますけれども、12月に1回はできるんじゃないかと思います。

--できると見るその根拠は何でしょうか。ですから尾河さんは年後半に円安になると見ているんですね。
(尾河氏) アメリカの経済は直近でFOMCメンバーが年内2回利上p7-tr-ogawa2.JPGげ、3回利上げという意見が多かったですけれども、そのくらい温まってきているというか、良い状態だったと思うんですね。これがブレグジットによって大きく変わるのかというとその可能性は低いだろうと思うんです。
(フリップ7)
このグラフは各国のGDPなんですけれども、例えばユーロ圏(グリーンの線)は2011年の年末から景気後退に入っているんですが、これはユーロ圏の債務問題が影響していて、非常に景気後退になったんですが、イギリスもある程度それに引っ張られている。だけどアメリカ(ブルーの線)はほとんど影響を受けていないんですね。だからそもそも欧州経済とアメリカの経済の関連性というのは低いのではないか。今回もしイギリスが離脱して景気後退に入るとしても、それが実際に起こるのは2年後であって、今年のアメリカの金融政策には影響はない。

--そうすると対する円高派の内田さんとしては利上げの可能性をどう見ているのかというと・・・p8-tr-uchida1.JPG
(内田氏) かなり難しいと見ています。年内はないと予想しています。

--円高円安の方向性はここが違うわけですよね。何故でしょうか。
(フリップ8)
(内田氏) アメリカは確かに欧州からの影響はそんなに受けないかもしれないが、今回の景気回復というのは2009年7月から始まって、もう8年目に入るという状況です。労働市場情勢指数という非常に景気との関係性が深い指標が既に5ヶ月続けてマイナスになっている通り、経済については勢いがそろそろピークアウトしている可能性が高い。アメリカは時間が経てば利上げがやりやすくなるというよりは、むしろ時間がたつほど利上げがやりにくくなってくるときに差し掛かっていて、結局、利上げできないのではないか。もし利上げできないとすると、先ほど申し上げた経常赤字が効いてしまうので、ドルには下押し圧力が加わってくると予想しています。

--尾河さん、今の内田さんの意見はどう思われますか。
(尾河氏) 景気循環的にアメリカが景気後退に入るのは来年後半ぐらいと、私のほうはちょっと後ろなんです。まだ手前は大丈夫じゃないかという見方で、そこが違うんだと思います。

--なるほど。それからさっきのお話で言いますと、尾河さんはフローの部分、それから(内田さんは)ファンダメンタルズの部分、ここの見方の違いというのがあるわけですね。でも根底は同じで、どっちが強く出るか、ということですね。さてそして追加緩和については、内田さん。
(内田氏) 円高が進むと7月の追加緩和の可能性が高まってくると見ている。ただまだマイナス金利政策の影響や今回のブレグジットの影響などを見極めて、10月以降まで温存するのではないかと予想しています。

--尾河さんは・・・
(尾河氏) 私は7月の可能性がむしろ高まっていると思います。円高株安で動かざるをえないと思います。

--ということでお二人の考え方をまとめました。p9-tw.JPG
(フリップ9)
見立てとしてはアメリカの(内田)利上げは年内無し、(尾河)12月。追加緩和の時期に違いがあるということで、ドル円の方向性も(内田)95円、円高(尾河)107円、円安となっています。もしこのシナリオが崩れるとしたら何でしょうか。
(内田氏) 米中を中心に世界経済が良くなるという明るい雰囲気とアメリカの利上げが重なると、その時は円安に振れやすくなってくると見ています。
(尾河氏) イギリスと欧州の状況がもっと混沌としてきて、各国の外貨準備、イギリスポンドやユーロから円にシフトする、そういうしわ寄せが円に来ていしまう場合の円高ということですね。





■今日の予定

5月鉱工業生産指数
5月自動車生産・輸出実績
6月為替介入実績
ユーロ圏6月消費者物価
米6月シカゴPMI




■ニュース

イギリス抜きのEU会議 改革を議論
イギリスのEU離脱(=ブレグジット)を受けて、ベルギーのブリュッセルではイギリスを除く27ヵ国が首脳会談を開きました。一層の団結を確認した上で、今後のEU改革について議論を進める方針です。

《中継 : 豊島晋作記者》
第2、第3の離脱は防げるのか。英国が姿を消したEUが事実上スタートした。今回の首脳会議はEUの歴史上初めて英国抜きで開かれた。各国ともEUに反対する勢力を抱える中、一層の団結を確認したうえで、次の出ないよう今後必要なEU改革を議論していくことで一致した。また離脱後も、EU単一市場へのアクセスを求める英国を強く牽制した。EUのトゥスク大統領は「EUの単一市場にアクセスしたいなら、移動の自由などEUが掲げる自由を認めることが必要だ。これは明確な方針だ。」と述べた。英国のEU離脱派が目指す移民の制限などは認められないというわけだ。EUは今回、英国にいいとこ取りさせない姿勢を明確に示した。一方、英国のキャメロン首相はロンドンで、EU市場へのつながりを確保し国内産業を守ることが重要だと強調した。
《英国/キャメロン首相》
「間違いなく経済は厳しい状況を迎える。英国にとってベストな条件を引き出さなければいけない。それはEUの単一市場へのアクセスを確保することだ。GM、日産、トヨタなどはそのために英国に投資しているからだ。」
英国とEUは離脱交渉を9月以降に交渉を始めることで合意したが、思惑はすれ違ったままで交渉は難航必至だ。



「スコットランド残留」に波紋
イギリスを構成する4つの地域の1つスコットランドが、EU残留を図る動きを加速させ、波紋が広がっています。スコットランド行政府のスタージョン首相は29日、ブリュッセルのEU本部でヨーロッパ議会のシュルツ議長などと会談し、EUにとどまる方策について意見を交換しました。しかしこうした動きに対しスペインのラホイ首相が、「スコットランドとのいかなる交渉にも反対する」と述べたほか、フランスのオランド大統領も「交渉相手はあくまでイギリスだ」とするなど、スコットランドのEU残留に否定的な見解を示しています。



「ECB 金融緩和急がず」
ECB=ヨーロッパ中央銀行は、恐れていたほどには市場が混乱しなかったとして金融緩和を急いではいないことが、複数の関係者の話で分かりました。ロイター通信が伝えたものです。ただ、相場が持ち直した要因の一つは、ECBによる景気刺激策への期待があったためとの見方もあり、今後の相場の動きが注目されます。



デンマーク 770億円相当 為替介入か
ブレグジットによる為替変動を受け、デンマークが50億クローネ、およそ770億円相当の為替介入に踏み切ったもようです。これは、北欧最大の銀行、ノルデアの推計で明らかになったものです。ブレグジット決定による質への逃避で、クローネが対ユーロでおよそ10年ぶりの高値まで上昇したことを受けたものとみられます。



エコノミスト7割「英景気後退へ」
ブレグジットを受けてエコノミストの7割が、イギリスは、遅くとも来年には景気後退入りすると予想していることが、ブルームバーグの調査で分かりました。エコノミスト35人に調査したもので、このうち過半数が、イングランド銀行は来月から9月までに利下げすると予測しました。一方、格付け会社フィッチ・レーティングスは、イギリスへの投資は来年5%減少するとの見通しを示しました。



ソニー ロボ事業再び
ソニーは、AI=人工知能を搭載した家庭用ロボット事業に再び参入すると明らかにしました。これは、平井一夫社長がきのうの経営方針説明会で、明らかにしたものです。事業化の時期は未定ですが、5月に出資したアメリカのAIベンチャーと共同で既に開発を進めており、ゲームや半導体に次ぐ事業の柱に育てたい考えです。ソニーはかつて犬型ロボットの「AIBO」を手がけていましたが、2006年に生産終了し、事業から撤退していました。



タカタ 株売却で資金
エアバッグのリコールによる多額の費用負担が懸念されるタカタは持ち合い株の6割を今年3月期に売却したことが有価証券報告書で分かりました。凸版印刷や東レ、三井物産の株式をすべて売却し、自動車メーカーのホンダの保有株式は223万株から99万株へと大幅に減らしました。売却益はおよそ38億円です。



自爆テロ 死者41人に
トルコ最大の都市イスタンブールにあるアタチュルク国際空港で28日に起きた自爆テロについてトルコ政府は死者が41人、負傷者は239人になったと明らかにしました。捜査当局は、空港の監視カメラを分析するなど実行犯3人の特定を急いでいます。犯行声明は出ていませんがトルコのユルドゥルム首相は中東の過激派組織「イスラム国」による犯行の可能性が高いと指摘しました。



小池氏 出馬宣言で波紋
自民党の小池百合子元防衛大臣が、東京都知事選に出馬する意向を表明したことに対して自民党内では反発が広がっています。「崖から飛び降りるつもりで、その覚悟で挑戦したい」小池氏は、このように述べ、自民党の支持を得た形で、都知事選に出馬したい考えを表明しました。ただ、自民党の東京都連は、政治資金問題の指摘を受ける可能性が低い、国会議員以外の候補を擁立する方針を固めていて、小池氏の突然の出馬表明には、反発が広がっています。東京都連会長を務める石原経済再生担当大臣は、きのう、擁立論が高まっている総務省の前の事務次官、桜井俊氏と会い、出馬を直接要請しました。しかし、桜井氏は、「家族に迷惑をかける」として、出馬を固辞する考えを改めて伝えたということです。一方、民進党東京都連も小池氏の出馬表明を受けて緊急会合を開きました。会合では、江田代表代行や長島昭久議員などの名前が挙がりましたが決定には至りませんでした。



パトカーがバスと衝突
横浜市瀬谷区できのうサイレンを鳴らしたパトカーが赤信号の交差点に進入し青信号を直進してきた18歳の高校生が運転する車と衝突しました。衝突のはずみで、パトカーは乗客17人を乗せた路線バスにぶつかりました。事故で18歳の高校生が軽いけがをし、路線バスはフロントガラスが破損しましたがバスの乗客と運転手、パトカーを運転していた警察官3人にけがはありませんでした。




■日経朝特急

①女性・シニア、働く人の5割
国勢調査の一部を抜き出した速報集計で、就業者全体に占める女性と65歳以上の高齢者の割合が初めて5割を超えたことがわかった。労働力人口の6000万人割れが目前に迫るなか、女性とシニア層が働き手として存在感を高めている。



②高齢化社会一段と
初めて全ての都道府県で65歳以上の高齢者の割合が15歳未満の子どもの割合を上回った。総人口に占める高齢者の割合は26.7%に達し、日本が世界で最も高い水準となっている。



③MRJ量産工場・来月稼働
国内初のジェット旅客機MRJの量産工場が来月上旬稼働する。三菱航空機は来年からは月1機程度のペースで生産する予定だ。初号機については国内の型式承認を取得し、2018年半ばに納入する見通しだ。







■日刊モーサテジャーナル

①米トランプ氏の経済政策、反グローバリズム鮮明に(ニューヨークタイムズ)
米大統領選、共和党のドナルド・トランプ氏が28日に発表した経済政策のなかで、NAFTA(北米自由貿易協定)やTPPなどを猛烈に批判したことに注目し、「グローバリズム脱却の道を鮮明にした」と報じている。かつて製造業が栄えていたペンシルベニア州の鉄のリサイクル工場で演説したトランプ氏は、「NAFTAは再交渉なければ無効に、TPPにいたっては再交渉なしで完全に拒否する姿勢」を表明。グローバリズムは富裕層に恩恵をもたらしただけで、製鉄業など多くのアメリカ人労働者を苦しめている」と主張し、関税を元に政府の歳入を確保する方針を示した。ただ記事は、トランプ氏の経済政策はノスタルジアに過ぎないとし、アメリカ経済の過去数十年の歩みに逆行することになると批判している。そしてつい先ほどNAFTAを構成する米国とカナダ、メキシコの3首脳が共同記者会見し、トランプへ反論として、NAFTAの意義を改めて強調した。オバマ大統領は「貿易協定から撤退し、国内市場だけに焦点を当てるのは誤りだ。人々の利益になる国際的枠組みを作るため努力を続ける。」と述べた。



②ブレグジットで不動産価格下落、狙う中国人(ウォールストリートジャーナル)
ブレグジットで英国を含めヨーロッパの不動産業界にも激震が走っている、と報道。外国企業が拠点の移動を進めていることもあり、今後18ヶ月でロンドンの商業不動産価格は最大20%下がるという見方を伝えている。一方、一部の中国人はロンドンの不動産価格の下落を「バーゲン」ととらえて、絶好の買いのチャンスを狙っているそうだ。上海に拠点をもつ不動産のウェブサイトによると、イギリスの不動産について問い合わせをしてきた中国人の数が先週は前の週の倍に膨らんだという。ポンドが対人民元でも急落していることに加え、長期的にロンドンは安全な投資先と見ているということだ。



③米国のジムがオフィスに(ウォールストリートジャーナル)
米国では運動と仕事を両立できる設備を整えたジムが増えている。ジムがオフィスと一体化してきている。これまではスターバックスなどが会社の外の仕事場として使われてきたが、いまは多くのジムがデスクやWi-Fi設備、無料でコーヒー提供など、まさにオフィス作りに力を入れている。






2016.6.29 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年06月29日 23時59分59秒 | WBS
■シリーズ企画 英EU離脱の衝撃! イギリス不在のEU、議論の行方
ベルギー・ブリュッセルのEU=ヨーロッパ連合本部で29日、EU首脳会議が開かれました。2日目となるこの日は、英キャメロン首相が不在の中、各国首脳がEUと英国の今後の関係などについて議論。またEU議会では、ヨーロッパ委員会のユンケル委員長と、イギリス独立党のファラージ党首が舌戦を繰り広げる場面も。一方、イギリスに帰国したキャメロン首相は、議会でEU離脱の影響について説明。なるべくEU市場とのつながりを確保し、自動車などの産業を守る姿勢を示しました。また、英EU離脱問題は日本の産業にも様々な形で影を落としています。ある千葉の園芸卸会社は、欧州への植木の輸出について「EU共通の検疫ルールが、イギリスだけ変更されると困る」と指摘。またイギリスの不動産に投資する日本企業にとっては、今後ロンドンの機能が低下すれば、不動産市況の悪化やオフィス需要の減退につながるのではないかという懸念も出ています。



【イギリス不在のEU、議論の行方】
英国がEU(ヨーロッパ連合)からの離脱を選択した国民投票から5日が経ったが、世界を巻き込んだ混乱は今も続いている。EUの本部があるベルギー・ブリュッセルではEU首脳会議が開かれ、この問題について各国のリーダーが議論を繰り広げた。そのブリュッセルでは今日も豊島記者が取材を続けている。

《中継:ベルギー・ブリュッセル/豊島晋作記者》
【欧州首脳の“結論”は】
今日から事実上、英国のいないEUが始まったと言える。今日のEU首脳会議は英国のキャメロン首相抜きで行われ、英国が会議の場から消えるのはEUの歴史上初めてのことだ。まず日本時間の今朝終わった初日のEU首脳会議ではEU側がキャメロン首相に対し、今後のEUとの関係について早く方針を決めるよう求めた。ただEUは英国国内が混乱している事に配慮し、離脱交渉を始めるのは次期首相が決まる9月以降まで待つことを容認した。そして先程まで英国抜きで開かれていた2日目の会議では今後のEU、英国との関係などが中心に議論された。
《ドイツ/メルケル首相》
「今後イギリスがEUとの関係をどう定義していくかまだ分からない。それが早くはっきりすれば、不安定な状況は改善される。」
EUと英国の首脳達の間では大人のやり取りが交わされたと言えるが、やや大人げないやりとりもあった。
--EUと英国との間では表向きにはひとまず円満にお別れの会が執り行われたということか。
首脳たちの間では大人のやり取りが交わされたと思う。ただこれとは別にやや大人げないやり取りもあった。実はこのEU本部から少し離れた場所にEU議会というEU各国から選ばれた議員たちの、いわば国会のような場所でのやりとりだ。
《ヨーロッパ委員会/ユンケル委員長》
「あなたがここにいるのに非常に驚いている。あなたはEU離脱のために戦った。何故ここにいるのか。」
EU議会ではヨーロッパ委員会のユンケル委員長がEU離脱運動を進めてきた英国選出のナイジェル・ファラージ議員にいわば議場から出ていけと言ったわけだ。これに対してはファラージ議員も黙っておらず、次のように応戦した。
《イギリス独立党党首/ファラージ議員》
「私がEU離脱の運動を始めた時、あなた方は私を笑いものにしたが、今は誰も笑っていない。英国はEUを離脱する最後の国ではない。」

【帰国後のキャメロン首相、何を語った?】
一方、EU本部から英国にとんぼ返りしたキャメロン首相は早速議会に出席し、今後の英国経済の影響について、次のように語った。
《イギリス/キャメロン首相》
「間違いなく経済は厳しい状況を迎える。英国にとってベストな条件を引き出さなければいけない。それはEUの単一市場へのアクセスを確保すること。GM、日産、トヨタの様な会社はその為に英国に投資しているからだ。」
キャメロン首相は統合されたEUという単一市場とのつながりは失わずに自動車など産業を守る構えだが、その先行きは極めて不透明だと言える。以上ブリュッセルからでした。

【英国不在のEU、議論の行方】
--キャメロン首相の議会での答弁でも日本企業の名前が挙がっていたが、英国EU離脱を巡って気になるのが日本企業への影響だ。
《大浜キャスター》eu1.JPG
日本企業への影響はいろいろ言われているが、その懸念材料は大きくは2つある。1つはEU内での人、モノ、カネの流れが滞ることだ。現状はEU内自由に行き来できるため世界有数の金融街を抱えるロンドンに多くのグローバル企業が拠点を置いているが、EU離脱で行き来がしづらくなるとロンドンの重要性が低下するのではないかと言われている。もう1つがEU共通のルールが使えなくなること。日本から製品を輸出しようとすると1つの基準を満たしていればEU各国で同じ様に輸出ができるが、仮に英国が独自のルールを作る事になると企業にとっては手間やコストが余計にかかる事になる。

【「共通ルール」変更の痛手】
--そこで実際に日本企業の間でもこうした影響への懸念が広がっている。
千葉県東部の匝瑳市にある共種園。並んでいるのは全てヨーロッパへの輸出向けの五葉松の木。こうした植木はヨーロッパでは「マクロボンサイ」と呼ばれ人気上昇中で、1本40万円前後で海外の輸入業者に販売している。この会社にとってEU向けの輸出は売り上げの1割を占める重要なビジネスだ。しかし英国がEU離脱となればある心配事がある。実はここにある木は全て、地面から隔離して2年かけて害虫を完全に排除するEU共通の検疫ルールに則って保管されている。これをクリアすれば木を土と一緒に輸出でき、輸送中に枯らすリスクが減る。しかし英国だけルールが変わると保管や輸送の方法を変えるなど様々な対応が必要になるかもしれない。
《江波戸光一社長》
「2年後と聞いているが、変更するならその前に速い段階で提示してもらいたい。離脱後にルールを言われてもそれから何年か先の準備をしなければいけない。」

【「地位低下」で不動産が・・・】
一方、1980年代から英国での事業を展開している三井不動産は現在、英国国内に総額1300億円程度の物件を保有している。また4年前に始まったロンドンの大規模再開発事業に約1800億円を投資するなど、事業の拡大を進めてきた。そうした中で起きた今回のEU離脱問題。EU経済の中心として機能してきた英国が離脱すると不動産価値やテナント需要が目減りすると見られている。ただ今日開かれた三井不動産の株主総会では菰田社長が自ら「影響は軽微」と説明した。英国の収益が全体の数%に留まる為だとしている。しかし英国に不動産投資をしている他の企業も同様のリスクを抱えていて、こうした面でも離脱問題は日本企業に影を落としている。





■マーケット

「お家騒動」出光 株価急落
イギリスの国民投票のショックが和らぎ、日経平均株価は今日も大幅な値上がりとなりました。しかし来年4月の経営統合を目指している出光興産(出光)と昭和シェル石油の株価は、昨日出光の「お家騒動」が表面化した後から急落しており、今日も下落しました。合併に対して臨時株主総会で拒否権を発言できる3分の1以上の株式を保有している出光昭介など創業家関係者は「現時点では合併に反対票を投じる」との姿勢を明確にしている。
きょう経営側が「第三者割当増資」によって新たな株式を発行して創業家の保有比率を下げる検討しているとの一部報道が伝わったことも要因です。新たに株式を発行すると一株当たりの価値が薄まり、既存の株主の価値が損なわれるためです。
これについて経営側は「検討しているという事実はない」とのコメントを発表しています。しかし2社の合併の手続きには不透明感が増しています。昭和シェル石油はマイナス2.8%、出光興産はマイナス6.5%大きく値下がりしました。ただ持ち株比率を巡って創業家側は33.92%と主張していますが、経営側は出光昭介氏が代表を務める公益財団法人や美術館が保有している分を除く21.17%程度にとどまると主張しています。



トランプ氏 支持率が低迷
--米大統領選で共和党の指名を確実にしているドナルド・トランプ氏の支持率が低迷しています。
《中継:ワシントン、丸紅米国会社/今村卓氏》
移民やイスラム教への差別的な発言を繰り返し、労働者階級を中心に支持を広げてきたトランプ氏ですが、本選に向けた選挙運動の見直しがうまくいってないようです。トランプ氏の裁判を担当するメキシコ系米国人の判事判事への差別的な発言やフロリダ銃乱射事件後のイスラム社会を敵視する発言に大統領不適切と批判が浴びせられています。最近の世論調査ではトランプ氏を好き34.1%に対して嫌いが60.7%、支持率はトランプ氏39.1%・クリントン氏45.3%と6ポイント以上の差をつけられています。tramp.JPG
--トランプ氏、ここからの立て直しは可能なのでしょうか。
このままではトランプ氏の巻き返しは厳しいと思います。会場の熱気や支持者との一体感ではクリントンの方がはるかに上回っていると印象です。ペンシルベニア州ピッツバーグでトランプ氏は「私が大統領になればピッツバーグの製造業や石炭産業は復活する」と熱く語ったものの、拍手は多くありませんでした。最近では、トランプ氏の数々の発言に対して党派を超えて「大統領に不適格」との非難が浴びせられています。トランプ氏は英国のEU離脱決定を支持したり、TPP=環太平洋経済連携協定からの離脱を訴えるなど、ポピュリスト的な発言に拍車がかかっていますが、苦戦は続きそうです。以上ワシントンからでした。





■【コメンテーター】高田創氏(みずほ総研チーフエコノミスト)
(東京五輪組織委の専門委員を務める)

・活況続いた英国不動産市況・ロンドンは底堅さ続く?
--イギリスの不動産需要、今後どうなると見ていますか。come1.JPG
「一部金融機関は他の所に場所を移すという議論があるので、それなりにマイナスの影響はあると思う。ただ言われている程本当に英国が立場を失ってしまうのかという事になると、そこまでは思っていない。」
--これまで英国の不動産市場は活況でした。
「そうですね。2012~2013年頃からイギリス全土で住宅価格指数がずいぶん上がってきている。ロンドンに限ればもっと上がっている。」
--このグラフの先がどうなるかですが・・・
「不動産のバリエーションを考える時にはキャップレートという言葉があるんですが、それが上がったりする。キャップレートというのは割引率で、それが上がるということは不確実性が高まるということになるので、そういう意味ではその部分で押される部分、価格の低下要因はあるんです。ただ英国の場合、特にロンドンはもちろん金融の部分が大きいですが、例えばテレコムなどのIT産業、プロフェッショナルな会計士、弁護士やコンサルタントのニーズが非常に強くなっている。だからその部分は逆にブレグジットによってニーズが高まる可能性もある。世界的にも英語圏でしかもインフラが整っている所は、世界からの注目は集まったままなのではないか。英国はそれなりに厳しさはあると思うが、意外とロンドン(の不動産需要)はその中では高いニーズを集めたまま続くのではないかと思う。」



・企業統治改革・実質元年・「内紛」表明化も効果の1つ
--今日が株主総会のピークだったんですが、実は去年より集中率は下がっているんですね。
「そうですね。今日は3割強だったが昨年は41%ぐらいでしたから、そういう意味では分散化は進んだんですね。」
--どうして分散化が進んでいるんでしょうね。
「分散化が進んでよかった点は、コーポレートガバナンスのある意味では実質的な元年とも言えると思う。その中で建設的な対話「エンゲージメント」というのが重視されているので、それをやるためにはあまり集中してしまうとやりずらい。」
--株主がいろんな株主総会に出られるように分散化というのは重要ですね。コーポレートガバナンスが進んで、企業の稼ぐ力はは今どうなっていますか。
「もうちょっとそこは(足りない)。ROEが目安となっているが、そこはもうちょっと頑張る余地がある。」
--最近、創業家と経営陣の対立も目立つ。
「その辺も私は一つのある面で今回のコーポレートガバナンスであぶり出したというか、例えば社外取締役などもそうですが、そういうものも含めて、そういうものが表面化してきた。今まで表に出なかったものが出てきた。そういう意味では一つの効果と考えることもできる。」



・世界経済の不確実性高まる
--イギリスの国民投票後、先行き不透明感が世界的に高まっているんですが、企業の経営判断にももちろん影響を与えることになるんでしょうね。
「先行き期待が落ちているので、例えば投資計画が落ちる可能性もある。」
--そうしますと企業の今後の成長にも影響を与えることになるんでしょうか。
「個別の企業はそうしないといけないということなんでしょうけど、合わさってしまうと世界的にも全体的に先行きの見通しが下がる。特に不確実性が高まるということは、どうしてもリスク・プレミアムが高まりますし、投資を落とす要因になりますね。」
--あとは円高が一段と進んだ場合ですね。
「日本の場合はもう一回、空洞化の懸念が出てくる。」
--国内に工場などが回帰してきた流れが・・・
「やっとその流れがあったのに、やっぱり慎重にしようかなという動きもあるし、設備投資を下振れさせようという動きも出てくる可能性もある。」
--でも海外投資については積極的になる可能性がある。
「そうですね。もっと買いやすくなりますから、国内はちょっと抑えても、海外へのM&Aなどを積極的にやっていこうという動きは出てくるでしょうね。」
--為替に対して影響を与えるトピックは?
「やはりアメリカだと思う。来週の雇用統計で米国が下振れした場合、場合によっては次に一手は利下げではないか、なんていう話が出てくると、その場合は為替がどっと落ちたり、長期金利がグッと低下する可能性がある。」




■ニュース

シャープの太陽光事業 “日本初の商品”で再生なるか!?
経営再建中のシャープが、太陽光発電に関する展示会に日本初のソーラー充電スタンドを出展しました。このソーラー充電スタンドは太陽光パネルと蓄電池がついていて溜まった電気でスマートフォンの充電や照明として利用することが可能です。シャープはこの充電スタンドによって、消費者に太陽光のおもしろさや利便性を提供していきたいと考えています。

【シャープ“再建”の切り札?】
台湾の鴻海精密工業の傘下で経営再建を目指すシャープ。液晶事業ばかりに注目が集まりがちだが、今回は太陽光事業に焦点を当てる。シャープの太陽光事業は不振が続いていて、一時はシャープからの切り離しも検討されていたが先月、継続が発表された。こうした中、ある日本初の商品で再生を目指すという事だが果たして再生できるのか。

【日本初の商品が登場!】
今日から始まった日本最大級の太陽光発電に関する展示会「PV Japan2016」。国内外107の企業や団体が太陽光に関する様々な商品を出展している。その会場にシャープもブースを構えていた。そこにシャープの太陽光の技術を活用した日本初となる商品があった。
《シャープエネルギーソリューション/河田亮さん》
「市場をどんどん開拓していかないといけないので、こういう商品を担いで私自身も販路を広げていって、シャープの再生に少しでも力になれたらなと考えております。」
2007年にシャープに入社した河田さん、周囲の社員が続々と退職していくなか、何故残ることを決めたのか。
「全く不安が無いと言ったらみなウソになると思う。しかし私が選んだ会社というところがあるので、そこで何とか育ててもらったという恩もある。」
さらに河田さんにはある意識の変化があった。
「今までは売り上げを上げてればいいと思っていた。しかし営業マン自身も利益を確保しながら売り上げも確保しないといけないという意識の変化が大きい。危機感が無い社員はないと思う。」

【無料で充電できるスタンドとは】
sharp.JPG
シャープの太陽光を利用したスマートフォンの充電スタンド。iPhoneやアンドロイド端末などスマートフォンの他、USBを使えば様々な端末が充電できる。さらに貯めた電気は夜間に照明として利用する事もできる。シャープはこの充電スタンドを去年から東京都内3か所で試験的に設置して、外国人観光客を中心に人気を集めている。1ヶ月で1000人以上の利用があるなど大好評だ。シャープは8月から人が集まる場所や自治体への売り込みを始める事にした。
《シャープ/佐々岡浩執行役員》
「(充電スタンドで)面白さや利便性を提供し、もっと身近に太陽光を感じてほしい。」
実は国内の太陽光市場は電気の買い取り価格が下落した事から需要が低迷し、そのためシャープの2015年度の太陽光事業の営業損益は184億円の赤字となった。シャープを買収した鴻海精密工業の郭会長は一時は太陽光事業の切り離しも検討したが、突如先月、事業の継続を決めた。佐々岡氏は充電スタンドをきっかけに低迷する日本の太陽光市場に新たなマーケットを作りたいと考えていた。充電スタンドをどんなところに販売していくのか。販売先の候補は大学や鉄道会社(JRなど)、コンビニなどが挙げられている。
《シャープ/佐々岡浩執行役員》
--Q.1年で黒字化できないと(鴻海から)存在意義が問われかねないが・・・
「しっかりと太陽光を育てる。やはりシャープの今まで築いてきた1つの技術として、何としても黒字化を達成し、次のステップに進んでいきたい。」
シャープは太陽光事業を今年度中に黒字化する事を目指している。

《大浜キャスター》
まさにこれから先というのは国内だけだはなく、海外展開というのも改めて見直す必要があるんですけれども、実は10年前はシャープの太陽光パネルのシェアはナンバー1だった。それがいろんな価格競争などがあってだんだん存在感が無くなっていった。これから先は鴻海と組んで鴻海のネットワークを使ってどれだけ安く材料を集められるか、これが大事になってくるし、あとは地域ごとにニーズが違うということだ。それに合わせたきめの細かい対応をどれだけできるか、これも重要になってくる。
--ニッチなニーズの掘り起こしは本来シャープは得意なはずですね。
太陽光と太陽熱のセットとか、いろんなニーズがあるらしいです。






都知事選 小池百合子氏が出馬表明
自民党の小池百合子元防衛大臣はきょう、来月の東京都知事選挙に出馬する意向を表明しました。ただ、自民党の東京都連は、政治資金問題の指摘を受ける可能性の低い国会議員以外から候補者を選ぶ方針のため、自民党の支持を得られなかった場合の対応を問われた小池氏は、「状況を見極めたい」と述べるにとどめました。こうしたなか、自民党の東京都連会長を務める石原経済再生担当大臣は、きょう、擁立論が高まっている総務省の前の事務次官、桜井俊氏と会い、出馬を直接要請しました。しかし、関係者によりますと、桜井氏は、「家族に迷惑をかける」として、出馬を固辞する考えを改めて伝えたということです。



株主総会がピーク
3月期決算企業およそ760社がきょう、株主総会を行い、ピークを迎えました。都内で開かれた三菱UFJフィナンシャル・グループの株主総会の中では、マイナス金利政策撤廃の要望書を日銀総裁に手渡すよう株主が提案しました。浜松市では、燃費データ不正問題が発覚したスズキが株主総会を開き、鈴木修会長が「株主には大変ご心配とご迷惑をおかけした」と陳謝しました。



ソニー ロボットに再参入
ソニーは経営方針説明会で、AI=人工知能を搭載した家庭用ロボット事業に再び参入すると明らかにしました。事業化の時期は未定ですが、5月に出資したアメリカのAIベンチャーと共同で開発を進めており、ゲームや半導体に次ぐ事業の柱に育てる考えです。ソニーはかつて犬型ロボットの「AIBO」を手がけていましたが、2006年に生産を終了し、事業から撤退していました。



65歳以上 4人に1人超す
総務省が発表した2015年国勢調査の速報によりますと、65歳以上の人口は3,342万人で、総人口に占める割合は26.7%となり、初めて4人に1人を超えました。前回の調査から3.7ポイント上昇し、世界で最も高い水準です。一方、15歳未満の人口の割合は12.7%となり、少子高齢化が一段と進んだことがわかりました。



人工知能を搭載したマッサージチェア
業界で初めて人工知能を搭載したマッサージチェアが発表されました。きょう、マッサージチェアメーカーの「ファミリーイナダ」が発表したのは、人工知能を搭載したマッサージチェアです。骨格や、筋肉の状態を、センサーが自動で調べ、ひとりひとりにあったモミ加減を実現します。さらに、ネットワーク通信機器も搭載されており、利用者の健康情報を記録し、内臓脂肪の状態なども確認することができます。来年には、海外にも展開していく予定です。




■「カイシャの鑑」 給料はすべての社員で決める!
独自の制度やビジネスで好業績を誇る企業をシリーズで伝える「カイシャの鑑」。
横浜市にあるIT企業「アクロクエストテクノロジー」は、社員が提案し、すでに50以上の独自の制度をつくっています。その最たる制度が「給料は社員たちの話し合いで決める」というものです。給料は2日間の査定会議で決まりますが、そこでは辛辣な言葉が飛び交い、涙を流す社員も。アクロクエストテクノロジーの新免社長は、社員が自ら給料を決定することで「社員の給与に対する納得性が高まる」とみています。納得性が高まれば、自分が会社に参加しているという意識が高まり、一生懸命に勉強しようという意欲も高まるといいます。

【IT企業「アクロクエストテクノロジー」】

社員1人1人の給料を全ての社員で話し合って決める異色の会社がある。横浜市のIT企業、1991年設立のアクロクエストテクノロジー。売り上げは年間約10億円。
手掛けているのは星野リゾートの予約システムや鉄道のITシステムなど。社員は約80人で、その半数が東大などの国立大学出身者。この会社は社員の提案で様々な制度を作る仕組みになっている。例えば、上司への相談は砂時計を使い5分以内、午後3時から15分間全社員が強制的に取る休憩など社員の提案から実現した制度は50以上にも上る。こうした取り組みは新免流社長の、若い頃に会社をクビになった苦い経験が元になっている。

アクロクエストテクノロジーの新免流社長は若い頃に会社をクビになった悔しさから社員が自由に意見を言えて社内の制度を社員が作るという自由な社風の会社を立ち上げた。その最たる制度が給料を社員たちの話し合いで決めようということだ。年に1度の給料を決定する会議が行われた。給料の決定は過去1年間の自己評価から始まる。プログラムの開発力やサービス、コンサルティングの営業力など約50項目のポイントが給料に連動する。そしてそのポイントに基づいて1人の社員の給料を全社員で話し合って決めていく。給料を決める査定会議は2日間に渡って開かれる。初日は1人1人がこの1年間の実績をプレゼンするが、他の社員からは厳しい意見が連発していく。2日目はついに給料をけってしていく。この日は全員が赤いポロシャツ姿だ。初日の評価を参考に1人1人の給料の額を全員で話し合って決める。この日は7時間の話し合いで16人分の給料を決めた。
《新免社長》
--Q.給料をお互いにみんなで決めるというのは、禍根が生まれないのか。
「長い目で見るとそういうのもあったのかもしれない。ただ基本的には皆の納得性が高まるほうが大きいと思っている。納得性が高まれば自分が参加している意識も高まる。じゃあ自分もそれに対して一生懸命勉強しようとか意欲が高まってくる。」




■【トレたま】洗濯機で作るぬいぐるみ

洗濯機で作るぬいぐるみ、時間はかかるがつくり方は簡単。型枠に目と鼻を取り付けウールをほぐし石鹸水でなじませながら繊維同士をくっつける。お好みで模様も加える楽しみもある。洗濯機に入れる時にはほかの洗濯物と回しても問題ない。
《ポーネルランド商品部/新居紀子》
「洗濯機に入れることで水でかき混ぜ絡ませる。乾燥機で熱を加え固める、ウールの原理を使った楽しさが詰まった商品です。」

【商品名】ファジーズ
【商品の特徴】洗濯機でウールを絡ませ、乾燥機の熱でウールを固めて作る新発想のぬいぐるみ
【企業名】ボーネルンド
【住所】渋谷区神宮前1-3-12ジブラルタ生命原宿ビル1F
【価格】2,400円(税別)
【発売日】7月15日
【トレたまキャスター】北村まあさ






2016.6.29 Newsモーニングサテライト

2016年06月29日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

NY株、3日ぶり反発m1.JPG
ニューヨーク株式市場は落ち着きを取り戻しています。もちろん市場の懸念が晴れたわけではありませんが、一旦、買い戻す動きが優勢です。イタリアが金融システムの混乱を防ぐため、資金支援を準備したことで安心感が広がり、ヨーロッパの主要株価が2%前後上昇しました。この流れを受けてダウも朝から3桁の上昇となりました。1月から3月期のGDP確定値や消費者マインドの改善も下支えになり、引けにかけて上げ幅を拡大しました。市場の不安心理を示すVIX指数も20を下回り、投資家心理は少し和らいでいるようです。株価の終値はそろって3日ぶりの反発です。ダウは269ドル高の1万7,409ドル。ナスダックは97ポイント上昇し4,691。S&P500は35ポイントプラスの2,036でした。
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【世界の株価】
28日の終値
















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【NY証券取引所中継】金価格上昇 今度も続く?
解説は米国みずほ証券の中川義裕氏

--今日はやっと安心感が出てきましたね
そうですね。ブレグジットをきっかけとした前日までのパニック的な売りが一巡し、エネルギーや金融、ハイテクセクターなどの銘柄が中心に買い戻しが入りました。


--ただまだ市場の不安心理の高まりで金価格はこのところ上昇していますよね。
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はい、金は年初来で2割上昇しています。もちろんブレグジットで世界の投資家が安全資産へ目を向けたことが大きな理由です。ただ一方で宝飾品向けの金需要が伸び悩んでいて、今後の金の価格は通貨としての需要がカギを握りそうです。
--具体的にはどんな点なんでしょうか。
中国での需要がカギを握ると思います。足下の景気の減速などを理由に人民元の下落が続く中国では金貨などの現物需要が高まっています。また米ドル以外の資産の多様化を目指す中国政府でも金準備が増加しています。もちろんブレグジット懸念がしばらく晴れないということもあり、金の価格の上昇はしばらく続きそうです。
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【NY証券取引所中継】米景気の先行きは?
解説は米国みずほ証券の中川義裕氏

--ブレグジットへの懸念がくすぶる中で、アメリカの景気の先行きが気になりますよね。ny2.JPG
アメリカの1-3月期の実質GDPはプラス1.1%と市場予想を上回りました。一方でアトランタ連銀が算出しているGDPナウによりますと、4-6月期はプラス2.6%と比較的高い伸びが見込まれています。

--つまりそんなに心配ないということでいいんでしょうか。ny2-2.JPG
いえ、実は先日の議会証言でFRBのイエレン議長も指摘していましたが、内需の低迷には注意を払う必要がありそうです。イエレン議長は証言で最新の労働市場の指標や冴えない投資ペースは内需低迷の可能性という一つの下向きリスクの存在を示すと話していました。

--これは具体的な数字でその状況を確認できるものなんでしょうか。
このところアメリカ経済は個人消費が支える一方で、設備投資が足を引っ張る状況が続いています。4-6月期のGDPナウの内訳を見ても、個人消費がプラス4.1%となる一方、設備投資はマイナス0.4%です。ブレグジットの影響で世界経済の先行き不透明感が高まり、アメリカ企業が設備投資に対してさらに消極的になることも考えられ、内需低迷が今後のアメリカ経済の足かせになるかもしれません。








【為替見通し】注目ポイントは「英EU離脱ショックの余韻」kw1.JPG
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏

昨日の外国為替市場ではイギリスのEU離脱を受けた株安ショックがひとまず収まったことに対する安堵感から、クロス円が軒並み上昇、ドル円もつられて102円台後半へ持ち直しました。政府・日銀に対する対策への期待もサポートになったようです。

--今日の予想レンジが、101.90円~103.40円です。
本日は要人発言がたくさんります。FRBの理事やECBの総裁を含む要人たちkw2.JPGがイギリスのEU離脱の決定を受けて、どのような政策対応の可能性を示唆するのかに注目です。FRBが利上げに慎重、ECBが緩和に前向きな姿勢を示すなら、初期反応としてはドル安、ユーロ安、円高に振れそうなんですが、株価がそれを好感すればリスクを取る動きから円安で切り返してくる可能性もあり、非常に読みが難しい1日になりそうです。

--市場が落ち着きを取り戻しつつある中で、注目ポイントは「英EU離脱ショックの余韻」です。
ブレグジットが決まった先週金曜日に、ドル円は最大高低差で7円82銭、下落率では7.32%も暴落しました。この記録は1日の下げ率で見ると90年代以降では第2位で、リーマン以上、LTCM未満の歴史的円高ショックでした。金融システム不安はいkw3.JPGま発生していないため、世界経済への下押し圧力はリーマン級とまでは言えませんけれども、これだけ派手な急落劇に巻き込まれた人々の心理的ショックはすぐには癒えないと思います。チャートを見ても一段と右肩下がりの傾向が強まっていて、今後短期的な自立反発があっても、長続きせずしばらくはドル安円高基調が続きそうです。0為替.JPG






















【日本株見通し】注目ポイントは「ヘッジ資産の値動き」
解説はソシエテジェネラル証券の杉原龍馬氏

--今日の予想レンジは、15400~15600円です。
欧米市場は行き過ぎた調整の自律反発と政策期待から反発しました。これを受けて日本株も寄付きから上昇するとみています。ただ為替の円高圧力が強く、流動性も低いことから、寄付き後は上下ともに振れやすい展開を予想します。

--注目ポイントは「ヘッジ資産の値動き」ですね。nk1.JPG
英国国民投票前から、米国のヴィックス指数連動ETFや日本円金先物などリスク回避のための資産、いわゆるヘッジ資産への資金流入が目立っていました。これらの資産はイベント通過後、若干低下傾向ですがまだ高止まりしています。いまの下げ過ぎた株価水準から反発するには、リスク回避でヘッジ資産に流れ込んでいた資金に巻き戻しが起き、株式市場に流入する必要があります。

--それは具体的にはどんなところを見ればいいんでしょうか。
最も注目しているのはアメリカのヴィックス指数です。ヴィックス指数は今週月曜日の日中に直近高値の26.72を付けました。ただ昨年8月の中国人民元切り下げや年初の世界株式市場の調整局面と比べると、今回は相対的に上昇幅が小さく、短期間の値動きとなっています。本日も19以下まで低下していることから、このまま落ち着きを取り戻せば株式市場の反発につながると見ています。



■【コメンテーター】三井住友銀行/西岡純子氏

・ブレグジットショック、影響は欧州に限定?
--市場の方はずいぶん落ち着きを取り戻してはいますけれども、ただそうはいっても様々な影響、証券取引所の合併計画に影響が出たりとか、ありました。日本への影響はどうですか。
日本に問題が波及する上でのカギとなるのは、金融システム不安につながるとか、流動性の問題が露呈すると、いよいよグローバルに経済に対して影響が及ぶということだと思います。ただ今のマーケットの動きから見ると、例えばドル建てで株価指数の変化を6月23日対比でみても、日本はさほどドル建てでは下がっていないというのが実態ですので、今のところの評価としては、今回のブレグジットの問題というのは、ヨーロッパに今のところ留まっている問題であるというふうに解釈できるんじゃないかと思います。
--実際に銀行へのシステム不安も今のところはないということですね
イタリアの今回の資本注入の話も一例です。



・日刊モーサテジャーナル/本当のポンド安はこれから?、英経済への影響深刻
--ポンド安が進むと将来的にはイギリスが恩恵を受けるのではないかという声もあります。
イギリスは経済構造上、付加価値ではサービス業が非常に多い国ですので、通貨が安くなって輸出が刺激されるというのは、期待しにくいところではあります。
--となるとポンド安によるインフレの方が心配になってくる。
そうですね。やはりイギリスの中央銀行BOEにとっては、もともと利上げを視野に入れていた中央銀行でしたけれども、ポンド安によって今度はインフレ率が上がって、本来ならば経済を支えるためには利下げをするはずなんですが、それもできない、やりにくい状況なのではないかと思います。



・今日の経済視点 「リスクの所在」
今の議論でいうと、まだマーケットはブレグジットの動向に非常に関心が集まるんですが、もともと変わらない問題は新興国経済が減速しているという事実だと思っています。特にリスクがどこになるのかが見えにくいというのが今回の景気減速の特徴だと思っています。だから原油価格が下がってもアメリカの個人消費が盛り上がらない。やはりリスクの所在が薄く広く最終投資家に分散されてしまっているので、はっきりとわかりにくいというのが今回の調整局面の特徴なんだと思っています。





■特集 眠れる宝で新薬を

--既存の薬、または開発中止となった薬を別の病気の薬として再活用する手法「ドラッグリポジショニング」。この手法に製薬企業が熱視線を送っています。

【既存薬を再活用へ、研究開発進む】
《創薬分子プロファイリング研究センター/堀本勝久副研究センター長》
「これは前立せんがんの細胞をネズミに移植して大きくしたもの。ビバリディという肝炎ウィルスの薬を一緒に投与すると、ドセタキセルがよく効くようになってサイズが小さくなった。」
 江東区の産業技術総合研究所に勤める堀本勝久さんは自身のネズミに移植した前立腺癌の細胞の研究では「抗癌剤ドセタキセルのみ」を投与したものに比べ、「抗癌剤ドセタキセルと肝炎ウイルスの薬ビバリディ」を一緒に投与した癌が小さくなっていることがわかった。
「既存薬いわゆる売られている薬を肝炎ウィルスではなく、悪性のがんに適用するので、そういうのがドラッグリポジショニングです。」
 こうした研究は欧米を中心に行われている。例えばバイアグラは元は狭心症の薬として開発されたものだが、勃起不全の治療薬として製品化された。ドラッグリポジショニングでできた薬の1つである。研究所ではこうしたドラッグリポジショニングを行うために、既存の薬の作用を解析している。t1.JPG
「この薬の化合物は何ですか、といったら化合物が1700種類ぐらいあり、データに対して1つずつ、この病気に化合物が効くかどうか、コンピュータで見積もっているわけです。」
 研究所では高性能のコンピューターを使うことで、病気に作用する薬の候補を効率的に探すことができるようになったという。現在は国内外から十数社の引き合いがあり増えてきているという。堀本さんはドラッグリポジショニングのメリットについて、こう話す。
「一度既に厳しい臨床試験をくぐり抜けた薬なので、たとえ違う病気に使用するとしても、人間の安全性、毒性はある程度保証されている。そういうところで非常に莫大な費用がかかる臨床試験を安くできる。」
現在一つの薬を出すのに数百億から一千億かかるといわれている。また薬価の引き下げやジェネリック医薬品の普及で新薬を開発する製薬会社には逆風が吹いている。

【眠れる化合物を再活用、専門部署で注力】t2.JPG
そうしたなか、アステラス製薬は去年、開発を中止した薬の元となる化合物を再活用するために専門部署「ドラッグリパーパシング部」を設置した。この部署では様々なデータから開発中止となった化合物を別の病気へ適用できないかを考え、どのようにすれば最も早く患者の元へ届けることができるのか検討する。新薬の開発は3万分の1の確率と言われている。一般的に製品になるまでに9~17年かかるが、製品化までに開発中止となることもある。製薬会社はそういった日の目を見ない化合物を抱えている。
《ドラッグリパーパシング部/齋藤みのり部長》
「すでにある化合物を使うことで、5~8年の非臨床期間を短縮できるのではないかと思っている。社内だけではなく社外とも一緒に取り組むことで、ドラッグリパーパシング(化合物の再活用)の可能性も大きくなっていくと思っている。」
アステラス製薬ではより早く開発するために、国内外を問わず他の企業とも積極的に提携行く考えだ。眠れる宝の再活用。新たな薬の可能性が広がっていくのかもしれない。t3.JPG

--製薬会社は一から開発する手間が省けるということなんですね。そしてほかにも、武田薬品工業も専門部署を設置、大日本住友製薬、ノーベルファーマもドラッグリポジショニングの取組を進めています。大学や研究所などと共同開発するということも増えてきたということです。






■【プロの眼】ブレグジット後の焦点は?
ブレグジットの余波が冷めやらないが、英国がEUから離脱するには早くて2年。その間に市場の関心はブレグジット前のテーマ「中国の過剰投資はどう解消されるのか」「アメリカの利上げが世界経済にどの程度影響するのか」に移ると見る。
解説は三井住友銀行の西岡純子氏

--ブレグジットに目を奪われていますけれども、今は見るべきところをしっかり見よう、抑えようということですね。
pro1.JPG
ちょっと気が早いかもしれませんが、あとの焦点が何になるのかということを考えてみたいと思います。

(フリップ1) (フリップ2)
--2つありますね。まずは「中国の過剰投資の行方」ですか。
やはり中国の問題だと思います。改めて考えてみると、まず総固定資本形成というものがあります。設備投資とか建設投資などが入るものですが、それが世界全体のボリュームがどれぐらいなのpro2.JPGか、国別にみると実は4分の1ぐらいが中国が占めるというのが実態です。アメリカよりも多い状況で、渦中のイギリスはわずか3%ぐらいしか無いです。ですのでもともとブレグジットの前から、中国は過剰生産能力は圧縮していきましょうというのが国策ですので、ここから先毎年少しずつ下がっていくという実態を考えると、実はグローバル経済に及ぼす影響という意味で考えると、中国の投資萎縮の方がイギリスに対する投資が減るということよりも、圧倒的に大きい問題だということになります。

--世界に与える影響が大きい、さらにその委縮のペースがどうなるのかまだ分からないというところもやはり不透明さが残るリスクですね。
ずっと見ておかなければいけない問題となります。



--それから「主要国経済の連動性」とあります。これを見ることができるのがこちらに指標ですね。
(フリップ3)pro3.JPG
まず、何故その連動性を気にしなければいけないか、なんですが、ブレグジットの後というのは、待ち控えているのは、アメリカ経済がいつピークアウトするのかという問題です。もしリスクシナリオでアメリカ経済が大幅に下がった時に、グローバル経済が大丈夫なのかということが焦点になるんですが、その点、いま世界経済の連動性が下がっているというのが実態なんです。

--これはOECDの景気先行指数の平均と主要国経済がどれだけ連動しているのかを見るもの、ということなんですね。
リーマンショックの前までは非常に世界経済の連動性が高くて、中国を中心とした新興国経済を軸にいろんな国がその恩恵を共有し合ってきたという構造でした。ところがリーマンショックの後リバレッジが進んで、積極的に投資をする主体が無くなってくると、結局軸になる経済が非常に少なくなってきているというのが実態です。

--連動性が低いということは結果的にはどういうことをもたらしますか。
仮にアメリカ経済ないしどこかの国が大幅に落ちたところで、世界経済全体がもろとも全部下を向くというわけではないというのが一つのインプリケーションかと思います。

--一方向に行くわけではないということですね。ということは考えようによってはリスクを分散できているということも言える。
逆に言うと全体的に成長率というか利回りが上がりにくいという評価もできます。






■今日の予定

株主総会集中日(スズキ他)
5月自動車各社 生産・販売実績
ソニー経営方針説明会
独6月消費者物価
米5月個人消費支出



■ニュース

EU首脳会議 現在も続く
EU=ヨーロッパ連合の首脳会議が28日、ベルギーのブリュッセルで開かれ、キャメロン首相とEU各国首脳が国民投票後初めて顔を合わせました。現在も、EU離脱交渉に向けた話し合いが続いています。EU側は、他の加盟国に動揺が広がるのを防ぐため公式の離脱交渉を一刻も早く進めたい意向です。このため、イギリスに対し、交渉を始めるための「離脱通知」を早急に出すよう求めています。しかし、キャメロン首相は、今回の会議では、国民投票の結果や次期首相の選出など今後のスケジュールを説明するにとどまる見通しで、今後のEUとの通商交渉などを有利に進めるため、時間を稼ぐ思惑もあると見られています。離脱交渉の長期化が懸念される中、ECB=ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁は、ユーロ圏のGDP成長率は、今後3年間で最大0.5%低下するとの見方を示しました。



イタリア 最大400億ユーロ投入検討
ブレグジットを受けて銀行株が急落したイタリアでは、政府が一部の銀行に400億ユーロ、およそ4兆5,000億円相当の資本注入または政府保証を検討していることが分かりました。関係者が明らかにしたもので、これにより、イタリア政府は自国の金融システムの安定化を図りたい考えです。



英独取引所 合併計画見直しか
証券取引所の合併計画にも影響が出てきました。3月に合併に合意したロンドン証券取引所とドイツ取引所は、持ち株会社をイギリスに設け、取引所があるロンドンとフランクフルトの2拠点体制にする計画でした。しかし、ドイツの連邦金融監督局、フーフェルト長官は28日、「ユーロ圏で最も重要な取引所が、EUの外から経営されることは想像しがたい」と話し、計画の見直しを示唆しました。



米1-3月期GDP↑1.1%に上方修正
アメリカの1月から3月期のGDP=国内総生産の確定値は、年率換算で前の期に比べ1.1%増となり、改定値から0.3ポイント上方修正されました。市場予想を上回りましたが、3四半期連続で減速しました。輸出がプラスに転じたほか、設備投資がマイナスながら上方修正され全体を押し上げた一方、GDPのおよそ7割を占める個人消費は、改定値から下方修正されました。
《米1-3月期GDP(前期比)↑1.1%》
輸出(+0.3%) 設備投資(-4.5%) 個人消費(+1.5%)



独VW 1.5兆円支払いで和解
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは28日、排ガス不正問題で最大147億ドル、およそ1兆5,000億円を支払うことでアメリカの環境保護局などと和解しました。このうちおよそ100億ドルは、排気量2,000CCの不正車の買い戻しや集団訴訟の和解金などに充てられます。ただ、今回の合意には民事制裁金や3,000CCの車への補償金は含まれていません。



政府・日銀 きょう再会合
イギリスのEU離脱問題を受けて政府と日銀はきょう午前、総理官邸で再び会合を開き、対策を話し合います。また、政府はきのう、臨時の経済財政諮問会議を開き、日本経済への影響などを協議しました。「東京市場はひとまず落ち着きを取り戻したがまだ不透明感、リスク懸念も残っている。為替、株式市場をしっかりウォッチし、細心の注意を払っていく」安倍総理大臣はこのように述べ、市場の安定に務める考えを強調したうえで、「中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と述べました。また、経団連の榊原会長は経済活動が委縮しないよう「官民挙げて対応する必要がある」と訴えました。政府と日銀はきょう午前再び会合を開き、連携して市場を注視する姿勢を改めてアピールしたい考えです。



出光創業家 合併に反対
石油元売り大手・出光興産の創業家はきのう、来年4月に予定している出光興産と昭和シェル石油の合併計画に反対すると表明しました。創業家側の持ち株比率は33.92%にのぼるということです。これにより、今後開かれる出光興産の臨時株主総会で、合併の承認に必要な議決権の3分の2以上の賛成を得ることが困難な情勢となりました。創業家側は反対する理由として、「両社は異質の企業体質を持つ」などとしています。これに対して出光興産は「経営統合は最善の策」とし、引き続き昭和シェル石油との統合に向けた協議を続けていくとしています。



長期金利 マイナス0.23%
28日の国債市場で、長期金利の指標である新発10年物国債の利回りがマイナス0.23%まで低下し、過去最低を更新しました。イギリスのEU離脱をめぐる混乱で、比較的安全な資産の国債が買われました。一方、三井住友信託銀行は来月に適用する住宅ローンの10年固定の最優遇金利を過去最低の年0.4%に、三菱東京UFJ銀行も0.55%に引き下げると発表しました。



東電 炉心溶融問題を謝罪
東京電力ホールディングスはきのう、都内で株主総会を開きました。広瀬直己社長は福島第一原発事故が起きた当初、当時の社長が「炉心溶融という言葉を使うな」と指示していた問題を受け、連絡体制に不備があったと謝罪しました。きのうの総会では、株主から脱原発など10の議案が提案されていましたが、すべて否決されました。



韓国 経済対策1.7兆円
韓国政府はきのう、今年下半期に20兆ウォン、およそ1兆7,000億円を超える規模の経済対策を実施すると発表しました。海外経済の減速で輸出が落ち込んでいることに加え、イギリスのEU離脱をめぐる混乱で、景気に悪影響が及ぶのを回避するためです。雇用対策や生活支援などおよそ10兆ウォン規模の補正予算を組んで財政出動に踏み切るほか、政策金融の拡大や政府系企業への投資なども実施します。



トルコ空港で爆発 28人死亡
トルコ最大の都市イスタンブールのアタチュルク国際空港で日本時間のきょう未明、2度の爆発と銃撃があり、地元政府によりますと28人が死亡、およそ60人が負傷しました。爆発があったのは国際線の出発ロビーで、機内持ち込みの手荷物を検査するX線装置の前だったということです。現場では3人の容疑者が自爆していて、テロの可能性があるということです。



東海地震対策 抜本見直し
政府は、静岡県の駿河湾周辺を震源とする東海地震対策の抜本的な見直しを決めました。現行の法律では、地震の発生を予知し、新幹線の運行中止などの強制措置を取って被害を防ぐ防災を重点に置いてきました。しかし、「地震の正確な予知は困難」との見解を示す声が専門家から多く、地震の被害を最小限に抑える減災に重点を置いた法改正の検討に入ります。



森山大臣 団体から20万円
森山農水大臣はきのう、自民党のTPP対策委員長だった去年9月に、国から補助金を受けている日本養鶏協会の会長から現金20万円を受け取っていたと明らかにしました。政治資金規正法では、国の補助金を受けた団体からの寄付を制限しています。森山氏は会見で、「餞別のようなものだと思って預かったが、その後、事務所に返金を指示した」としています。



トランプ氏「イスラム教徒排除」修正
アメリカのメディアによりますとトランプ氏はイスラム教徒の入国を禁止するとしてきた自らの主張を、事実上、修正する発言をしました。トランプ氏はメディアのインタビューに答える中で、「イスラム教徒の中でもテロを生み出す国の出身者に限って入国を禁止する」としていて、さらに、厳しい審査を通れば入国を認めることも示唆しています。比較的、穏健な姿勢を見せることでこのところ低迷している支持率を回復する狙いがあるとみられます。




■日経朝特急

①出光・創業家が合併反対
出光興産創業家が昭和シェル石油との合併に反対を表明。



②離脱派VS残留派再び
EUからの離脱を決めた英国で、キャメロン首相の後継選びが始まる。与党・保守党は29~30日に党首選の立候補者を募り、9月上旬までに新しい党首を選ぶ予定だ。今のところ党内の離脱派と残留派が対決する構図が軸になりそうで、党首選はEU離脱の行方を大きく左右する。離脱派の本命とされるのは国民投票で離脱派のリーダー格を務めたジョンソン前ロンドン市長。一方、残留派の候補として有力視されているのはメイ内相。選出された新首相は10月の党大会で正式に就任する。



③邦銀・ドル調達不安視
英国のEU離脱決定による混乱で、邦銀によるドル調達が不安視されている。日銀がきのう実施したドル供給オペは約14億ドルと1年半ぶりの規模に膨らんだ。足元での資金繰りに問題は生じていないが、海外融資を拡大してきた邦銀はドル不足に神経質になっている。



④中国産ジェット就航
中国初の国産ジェット旅客機ARJが運航を開始した。航空機産業の育成をめざす中国の国家プロジェクトで、すでに約20の航空会社から300機以上の受注を得たという。ただほとんどが中国国内の受注で、米国航空当局の型式証明を取得できていないなど、海外展開には多くの課題を抱えている。ARJは近距離を低コストで飛ぶのに最適なリージョナルジェットと呼ばれる小型機で、三菱航空機が開発中のMRJと同じクラス。





■日刊モーサテジャーナル

①本当のポンド安はこれから?(フィナンシャルタイムズ)
ブレグジットでポンド急落が進んでいるが、本当のポンド安はこれからかもしれない。「世界有数のヘッジファンドは、ブレグジット決定のときは待ち伏せをしていて、最近になって一斉にポンド売りを始めた。」と報じている。ヘッジファンドに匿名で聞いた話として、ブレグジット決定直後、ポンドは急落したが多くのヘッジファンドは結果に対する不透明感から静観していた、と報道。実際、1992年にポンド安に賭けて10億ドル以上の利益を得た著名投資家のジョージ・ソロス氏もブレグジット決定以降、現時点でポンド安の恩恵は受けていないと明らかにした。一部のヘッジファンドは今後、現在の1ポンド=1.3ドルから1.1ドルまで下がる余地があると予想している。



②米国「会計手法に問題あり」SECに動き(ウォールストリートジャーナル)
米国企業の会計手法が利益見通しをあやふやにしている。米国の政府当局が定める正式な会計基準ではない会計手法を併用する企業が増えていることに懸念を示している。アメリカでは金融危機以来、ギャープという正式な会計基準のほかに、為替変動や一時的コストなどを除外するノン・ギャーブという会計基準を採用する企業が急増。ノン・ギャーブにすると利益が平均で4割水増しされるとの調査もある。2006年の会計年度でノン・ギャーブを採用する企業はS&P500社全体の70%だったが、15年度は96%に増加した。こうした会計方法は世界経済の低迷に苦しむ企業が収益の悪化を隠すことになる指摘。アメリカの証券取引委員会も投資家が誤解しかねないと事態を重く見ていて、新たな規制案を発表するするかもしれないということだ。



③ブレグジット後ソニーは買い?(ウォールストリートジャーナル)
「 Post-Brexit Buy 」ブレグジット後に上昇する銘柄としてソニー株が注目している。ブレグジット後に急激な円高が進んでいて、為替変動による損失額は約170億円とみられるが、実はこれは今年のソニーの予想利益の4%未満だと指摘。ところが23日以降、ソニー株価は8%も下落、時価総額1700億円近くが吹き飛んだ計算で、下げすぎと解説している。プレステ4が13年の発売以来、4000万台以上売り上げるなど、ゲーム機の分野が好調ということもあり、ブレグジット後にソニー株反発を予想している。







2016.6.28 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年06月28日 23時59分59秒 | WBS
■シリーズ企画 英国・EU離脱の衝撃!

注目のEU首脳会議の動向は…
イギリスがEU離脱を国民投票で決めてから、初のEU首脳会議がベルギー・ブリュッセルで始まります。EUが今回の動揺の広がりを最小限にとどめるため、離脱手続きをすぐにでも始めるようにイギリスに求めています。一方、イギリスは今後の通商交渉などを有利に進めるため時間を稼ぎたいとの思惑で、「離婚」に向けた話し合いの前途は多難です。イギリスではキャメロン首相に代わる候補が誰になるのか、全く読めない状況が続いています。大手格付け会社は相次いでイギリス国債の格下げに踏み切るなど、経済でも大きな波紋が広がっています。こうした中、日本政府は28日、臨時の経済財政諮問会議を開き、日本経済への影響や対応策を協議しました。安倍総理は市場の安定に務める考えを強調したうえで「中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と述べました。

【各国首脳が初会合】
--EUが本部を置くベルギーの首都・ブリュッセルには、英国の国民投票後初めてのEU首脳会議のため各国のリーダーが集まってきている。そのブリュッセルでは豊島記者が取材に当たっている。

《中継:ベルギー・ブリュッセル/豊島晋作記者》
現在、離脱交渉に向けた話し合いが始まった段階で前途は多難だ。既にEUと英国の駆け引きは始まっている。EU側は他の加盟国に動揺が広がるのを防ぐため事態の収拾を急いでいて、公式の離脱交渉を早く始めたいのが本音だ。このため英国に対し交渉を始める為の離脱通知を早く出すよう求めている。いわば別れるなら早く分かれましょうという姿勢だ。しかしEU残留派で辞任を決めたキャメロン首相には離脱交渉に対してやる気がなく、すぐに話し合いを始めつもりはない。また英国としても今後のEUとの通商交渉などを有利に進めるため、少しでも時間を稼ぎたい思惑もある。最終的になるべく都合のいい条件を勝ち取ろうというわけだ。
--こうしたイギリスの姿勢にEUはどう反応しているのでしょうか。
これに対しドイツ・メルケル首相は「いいとこどりは許されない。EUは英国が離脱しても十分強い」と英国のこうした動きを牽制している。ただメルケル首相はあまり強い態度で英国に臨むとお互いを傷つけて本当にひどい離婚になってしまうということを懸念しているようで、英国には一定の配慮を示すとも言われている。キャメロン首相の後任が9月にも決まると言われているので、本格交渉はそれ以降になるのが有力だ。以上ブリュッセルからでした。

【「次の首相」は?混乱続く】
--EUから有利な条件を引き出したい英国だが、依然として英国国内は混乱が続いている。ロンドンから影山記者です。

《中継:ロンドン/影山秀伸記者》
英国としてはキャメロン首相に代わる新しいリーダーをできるだけスムーズに選び、EUからより有利な条件を引き出したい考えだ。有力候補の1人はキャメロン首相と同じ与党・保守党にありながらEU離脱の旗振り役となったジョンソン前ロンドン市長だが、保守党内のEU残留派から激しい抵抗が予想される。一方、EU残留派の議員はメイ内相を担ぐ構えを見せているほか、ゴーブ司法相の名前が上がるなど先行きが全く読めない状況が続いている。
--英国の政治の混乱が続いて、EUとの交渉開始に手間取ってしまうと英国経済に対する影響がさらに大きくなりそうですね。
この混乱の長期化を見越し大手格付け会社が相次いで英国国債の格下げに踏み切った。格付け会社S&Pは「トリプルA」から2段階引き下げたうえ今後さらなる格下げがあり得るとの見方を示した。このほかフィッチレーティングスも1段階の格下げに踏み切るなど大きな波紋が広がっている。またヴァージングループの創業者リチャード・ブランソン氏は28日、英国メディアに対し「英国経済は破滅的な状況に向かっている」と主張した。不安が不安を呼ぶ状況は終息の兆しが見えない。一方、ヨーロッパの株価は大きく反発している。イタリアの金融当局が金融システムの動揺を防ぐため、対応策に乗り出すとの観測が出て、これが株価を支えている。e1.JPG

【英国EU離脱交渉に向けた日程】
《大浜キャスター》
英国EU離脱交渉に向けた日程を確認しておく。6月28~29日のEU首脳会議で国民投票の結果を説明する。既に辞意を表明しているキャメロン首相は離脱の通告をしない事を明言しているため、離脱交渉は新首相の下で行う事になる。9月2日までに次期首相となる英国の与党・保守党の党首を選ぶ選挙を行う。そして9月のEU首脳会議で新首相が正式に離脱通告をし、ようやくEUとの離脱交渉に入るのではないかと見られている。

【それぞれの思惑は?】
--そこで気になるのが今後の英国の対応、EUとの交渉の行方だ。ヨーロッパでの取材経験が長い日本経済新聞社の菅野幹雄編集委員に聞いた。離脱を支持した国民だが議会では残留派が過半数を占めていて、ねじれ状態になっている。
《日本経済新聞社/菅野編集委員》
--かなり混乱が続いているが、離脱派が勝った後どういう状況になりそうか、そのメインシナリオは?
「早期に議会を解散してもう一回選挙するというのも手続き上できないわけでははない。ただし英国議会の解散には下院議員の3分の2以上の賛成が必要など非常に高いハードルがある。英国はEU側と非公式の交渉をして有利な条件を引き出そうという思惑があるのではないかと言われていたが、今のところEUの各国首脳は一切事前の交渉はしないという。他の国に対しても『離脱に動くな』と牽制する意味合いがある。EUが厳しくしないと『英国に甘い顔をしているのでは。うちの国もやってみよう』と離脱ドミノが出る可能性がある。」

【欧州の繁栄続くか?】e2.JPG
《大浜キャスター》
今年から来年にかけてEU各国で重要な政治イベントが目白押しだ。10月、イタリアで国内の制度改革を進める為に憲法の改正を問う国民投票が行われる。また来年にはフランスで大統領選挙、そしてオランダやドイツでも総選挙を控えている。これらの国には共通する心配事がある。それは反EU勢力が躍進するのではないかということだ。今回、英国との交渉で譲歩を迫られると、移民の排斥などを掲げる反EU勢力が「英国の後に続け」と勢いづいてくる可能性がある。これにより各国それぞれの政権基盤が弱体化し、ヨーロッパ全体がどんどん不安定になっていく可能性が高まる。こういう事情もありEUとしては結束して英国に対しては厳しい態度で交渉に臨んで行きたい考えだ。
《日本経済新聞社/菅野幹雄編集委員》
--EUの組織自体が改革をしないと、EU全体が着いてこない状況になりつつあるということなんですか。
「そうですね。今回の英国離脱の決定は欧州の歴史上初めてと言えるほど後戻りの瞬間だ。EUがいかに大事であるかということを今の世代にどう訴えるかは、先人の知恵では克服できない問題で、今まさにいるヨーロッパのリーダー達がどうするかにかかってくる。」

【“株に有利”との見方も】
--今日28日のヨーロッパの株価は大きく反発していて少し落ち着きを取り戻しているようだが、ではアメリカの株価はどういう状況か。ニューヨークから池谷さん。

《中継:ニューヨーク支局/池谷亨キャスター》e3.JPG
ニューヨークの株価も上昇して始まっている。国内の良好な経済指標も安心感となっているようだ。ダウは3ケタの上昇となっている。現在193ドル高。先程発表になった米国の1-3月期のGDPの確定値は1.1%に上方修正された。とはいえ今日の上昇は一時的な買戻しで市場の不安心理の払拭には時間がかかると見られる中、「冷静になる必要がある」との声も聞かれる。まず英国がEUを離脱するまでには2年以上あり、市場も準備する時間があり、これまでの金融危機などとは大きく違うという見方だ。さらに利回りという視点では今は株に有利な環境という見方だ。市場の不安心理が高まっている時には株などのリスク資産より安全資産とされる国債が買われ金利が低下する。足元で米国の10年債利回りが1.4%台に低下する中、株価に対して配当がどの位かという配当利回りは昨日までの株価急落で逆に上昇し、S&P500の配当利回りは2.2%を超えている。世界的に金融緩和状態が続きお金が余っている中で、中長期的な運用を考えた場合にはこの利回りは魅力的かもしれない。

【日本政府・臨時の「諮問会議」】
日本政府は今日、英国のEU離脱問題を受けて臨時の経済財政諮問会議を開き、日本経済への影響や対応策を協議した。安倍総理は「昨日の東京市場はひとまず落ち着きを取り戻したがまだ不透明感、リスク懸念も残っている。引き続き為替、株式市場をしっかりウォッチし細心の注意を払っていく」と述べ、市場の安定に努める考えを強調した上で、「中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と述べた。また経団連・榊原会長は「経済活動が委縮しないよう官民挙げて対応する必要がある」と訴えた。


■マーケット

市場不安定 投資家はリスクとれずm1.JPG
東京株式相場は前日の米国やヨーロッパの株価の下落を受け、一時1万5000円を割り込む場面もありました。その後は政府による財政政策や日銀の追加緩和への期待から、今日の日経平均株価はプラス13、2営業日連続の値上がりです。ただ、1日の日経平均株価の値幅は450円以上で不安定な相場となりました。投資家の不安感はまだ拭えていません。イギリスの国民投票の結果を受け、投資家が積極的にリスクを取りにいかない状況は続いています。きょう、市場で買われたのは景気に左右されにくい「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれる食品や医薬品といった業種の株です。
(亀田製菓5.6%増、森永製菓3.0%増、参天製薬4.1%増、大正製薬HLDG2.5%増)
一方で、ロンドンに拠点を持つメガバンクの株や、投資家が株式などの売買を控えて手数料収入が減るとの見方から証券会社の株は売られました。また、円高が業績に与える影響への懸念からトヨタ自動車の株価は、約3年3ヵ月ぶりの安値となりました。m2.JPG
(ロンドンに拠点を持つみずほFG1.8%減、三菱UFJFG1.5%減、大和証券2.1%減、野村HLDG1.6%減、トヨタ自動車終値4975円)
株価が不安定なことを受けて、国債を買う動きが一段と強まっています。住宅ローンなどの指標となる10年物国債の利回りはきょう、一時マイナス0.230%をつけ、過去最低を更新しました。





■【コメンテーター】高田創氏(みずほ総研チーフエコノミスト)

・際立つドイツ“独り勝ち”・EU立て直しの条件は
--まだまだEUと英国との交渉がいつ始まるのかもわからない状況ですが、今回そもそもEUの中でも特に英国でここまで不満が高まってしまった背景には何があるのか。
「EUに対する国別の拠出金を一番ドイツが納めてはいるが、次に多いのがフランスや英国だ。その割に見返りが少ないのではないかとの思いが根底にあると思う。」
--特に英国はポンドだからユーロの恩恵も受けられない。
「ドイツの場合は自分の実力より安い通貨となるので、ある面では相当ぼろもうけに近い輸出ができるので、少々払ってもしょうがないかなという思いがあるが、英国にはそういうメリットがないんだと思う。」
--そのドイツがこれまでもEUの中でかなり強い力を持っていたわけだが、英国がこれまではモノを言ってバランスを取るバランサーの役割をしていたわけですね。そこがいなくなってしまった後、ドイツ一強状態になってしまうのですか。
「そもそもユーロというのはフランスとドイツの間でできたものだが、フランスがやはり弱い。そうするとドイツだけになってしまう。ドイツは本当の意味でいいリーダーシップを発揮できるのか。」
--いい意味でのリーダーシップとは具体的にはどういうことですか。
「ドイツはある程度、財政を拡大したり、世界やヨーロッパ内に需要を供給するということが必要だと思う。それがない中でやっているとドイツが結局、独り勝ちしているではないかとなる。ですから今のブレグジットの問題の背景にもドイツに対してのいろんな不満みたいなものが渦巻いているような気がする。」
--そうするとドイツ自体がEUのリーダーとしての自覚みたいなものをそろそろ持たないといけないという状況ですか。
「そういうことになると思います。ただなかなか歴史的に難しい立場にあるので、その中での立ち位置それ自体も戦後初めての状況です。これも新しい時代にどう向かうか、というところの非常に問われる部分だと思いますね。」



・独歩高の円・日本は四面楚歌・待ち構える最悪のシナリオ
--為替の動きは多くの方が気になるところだが、今のドル円の水準をどのようにご覧になっていますか。
「私は円の独歩高に近いと思う。円がやや四面楚歌になっていると感じる。ドルは今年になってからドル安誘導しているので下がっていろ。本来ならドルが下がったらユーロも上がってもいいはずなんですが、ブレグジットで意外にユーロが上がらない。ユーロは比較的弱いままポンドに引きずられている。人民元もドルにつれ高だったが、ドルが下がり出したので、これもつられて下がりだした。そうすると円だけが強い状況になってしまっている。ドルが下がり石油も上がり、日本だけがアンハッピーで世界は意外と心地よい状態になってしまっている。このいまの状況が続きそうだ。場合によっては例えばアメリカが景気が良くないという状況になると、もう一段円高になるリスクがある。」
--例えば来週の金曜日はアメリカの雇用統計が発表されます。そこでまた先月に続き悪い数字が出てくると・・・
「そうなると本当に100円割れ、90円台定着ですね。」
--それは日本としたら円高を前提にした成長戦略を練り直さないと・・・
「覚悟して臨まざるを得ないかもしれない。」
--あすは安倍総理、日銀の黒田総裁が会合を開く。
「少し戦略を変えなくてはならない状況かもしれない。」
--各国の協力は望み薄だということですね。
「なかなか難しい。単独介入をするしかないんでしょうね。だけど効果は限定されるでしょうね。非常に厳しい状況です。」



・中国人爆買いに陰り
--訪日外国人の日本での消費額は減っているんですか。
「まだ減ってはいないがピークをうった感じはする。一つの要因は、訪日外国人客の数は増えているが、一人当たりの消費額が明らかに前年比マイナスになってきている。やはり買い物がかなり減っている。その要因は一つは円高への転換だ。あとは中国の景気の鈍化もある。どちらかというとモノの消費が明らかに減っている。ただサービス業の消費は意外と底堅く、今後はモノの消費よりコトの消費に重点をおいた日本の観光対策が重要になるでしょうね。」





■特集 治る!最前線 第60回副鼻腔炎の最新治療
患者数が200万人といわれている「副鼻腔炎」。風邪などがきっかけで細菌やウイルスに鼻の周りにある副鼻腔が感染し、膿がたまる病気です。症状が悪化すると失明や脳腫瘍を引き起こすこともあります。重症になると膿を取り除く手術が必要です。その手術に、マイクロデブリッターと呼ばれる最新の治療器具を使った、傷が小さく体の負担が少ない治療法が登場しています。そして最近は、手術をしても再発を繰り返す新型の「好酸球性副鼻腔炎」の患者が急増しています。現在、ステロイドという飲み薬を使って治療が行われていますが、副作用が問題になってきました。そこで、霧状のステロイドを吸入するタイプの治療薬の臨床試験が始まっています。患部をピンポイントで治療できるため、副作用が減ると期待されています。副鼻腔炎の最新治療法を取材しました。

【患者数200万人の“鼻の病”】
鼻の病・副鼻腔炎。鼻の周りには副鼻腔と呼ばれる空洞があり、声を響かせたり顔面への衝撃を吸収したりする機能がある。風邪などがきっかけで副鼻腔にウイルスや細菌が入り込み、粘膜が炎症を起こして肥大化すると入り口を塞いでしまう。すると副鼻腔の中で細菌やウイルスが繁殖し膿が溜まってしまうのだ。副鼻腔は目や脳に近い位置にあるため炎症が悪化すると失明や脳腫瘍などを引き起こす事もある。30代から患者が増え始め60代で最も多くなる副鼻腔炎の国内の潜在患者は200万人と言われている(福井大学調べ)。さらに今、手術をしても再発を繰り返す新型の副鼻腔炎も急増している。その治療の最前線を追った。

【患者数200万人“鼻の病”】
副鼻腔炎の手術の様子。治療には内視鏡とカッターと吸引機能が付いた最新の治療器具・マイクロデブリッターを使用する。まず鼻の穴に内視鏡とマイクロデブリッターを挿入し、マイクロデブリッターで炎症を起こした患部を切り取り溜まった膿を吸引する。これまではメスや吸引機を入れ替えながら治療していたが、マイクロデブリッターの登場で手術の時間が短縮され患者の体への負担が大幅に軽減された。今回の手術では更に新しいシステム・磁場発生装置も使われた。患者の顔を覆う様に磁場を作る事で、マイクロデブリッターの先端が患者の頭部のどこまで入っているのか確認する事が出来るようになる。この装置により手術の安全性が一層増した。
《東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科/鴻信義教授》
「吸うこと、切ることが同時にできるので、当然患者の負担も少ないし、それから短時間でやると傷の治りも早いです。」
30分程で手術が終了。治療は保険が適用され、費用は3割負担で約10万円。

【急増・新型副鼻腔炎】
今、新型の副鼻腔炎患者が急増している。これまでの副鼻腔炎は手術をすれば治る事が多かったが、新型は手術をしても再発してしまう。その新型は好酸球性副鼻腔炎と呼ばれている。好酸球は体に入った細菌などを攻撃する細胞だが、新型の患者はこの好酸球が増えすぎてしまう。これまで新型副鼻腔炎の治療は炎症や免疫を抑制するステロイド薬(飲み薬)を使っていたが、長期間大量に服用すると副作用が心配になる。そこで今、新しいステロイドの臨床試験が行われている。それは患部をピンポイントで治療する吸入ステロイド薬だ。
《関西医科大学耳鼻咽喉科/朝子幹也准教授》
「局所に効く薬なので副作用を低く抑えられる。吸入薬を口から吸って鼻から出すだけで病状が安定するということが分かってきた。」
放置すると恐ろしい副鼻腔炎。鼻詰まりが1か月以上続いたら一度病院を受診した方がよい。副鼻腔炎は虫歯や花粉症などをきっかけに発症する場合もあるという。




■ニュース

配達待ちのイライラ解消!?
ヤフー子会社で、ネット通販「ロハコ」を手がけるアスクルが商品受け取りの新サービスを発表しました。2時間単位が主流だった配達希望時刻を1時間単位で指定できます。配達網は複雑になりますが、客が届けてほしいと考える時間に配達することで、商品が届かない事態を減らし、逆に効率化できるとしています。ネット通販業界では、アマゾン・ジャパンが有料会員サービス「プライム・ナウ」を去年11月に開始。首都圏や関西の一部では最短1時間以内で注文が届きます。セブン&アイ・ホールディングスは運営する「オムニ7」で、商品を自宅に加え、セブンイレブンの店舗でも受け取れるサービスを去年11月から始めました。楽天も都内の一部で注文から最短20分で届ける「楽びん!」を去年8月から展開しています。そんな中アスクルが取り組むもう1つが、物流施設でのロボットの導入です。コスト競争力の強化につなげる狙いです。

【ここまできた!ネット通販】
ヤフーの子会社でネット通販を手掛けるアスクルは8月末、新しい商品の受け取りサービスを導入する。当日配送が増えるなど拡大するネット通販業界の競争は激しくなっているが、アスクルの新サービスは配達待ちのイライラを解消する切り札になるのか。

【1時間単位で配達希望が出せる!?】
ヤフーの子会社で個人向けのネット通販・ロハコを運営するアスクルは今日、新たなサービス「ハッピーオンタイム」を発表した。ネット通販では配達時刻の希望は2時間単位が主流だが、新サービスでは配達時間を1時間毎に指定できる(3900円以上の購入、東京、大阪の一部で8月末開始)。配達を外部の運送会社に委託するのではなくグループ会社に任せる事で、1時間刻みの配達を実現したという。業界全体で約2割に達するという宅配の不在率(国土交通省2015年8月試算)を下げる事がサービスの狙いだ。
《アスクル/岩田彰一郎社長》
「再配達の手間を考えると客が求める時間に届ける事で無駄が省ける。そういうコストも計算すると1時間単位の配達でも採算が合う。」
東京都内に住む古市万祐子はアスクルの新サービスを試験的に利用している。幼稚園に通う幼い娘がいて、ゆっくり買い物をする暇がないためだ。到着の1時間前からは配達の車がどこまで来たか地図で確認でき、予定通りに荷物が配達された。

【ロボットがあなたの注文を箱詰め】
ネット通販大手・アマゾンジャパンは有料会員サービス「プライムナウ」を去年11月に始めた。首都圏や関西の一部の地域に限るが、注文から最短1時間以内で届ける。さらにセブン&アイホールディングスは、運営する「オムニ7」で注文した商品を自宅だけでなくセブンイレブンの店舗で受け取れるサービスを去年11月から展開している。また楽天も都内の一部地域で注文から最短20分で届ける「楽びん!」を去年8月に開始した。配達サービスを巡る競争は激しさを増している。そんな中、アスクルは物流施設でも新たな試みを始めていた。3月に2台のロボットを試験導入し、ダンボールに商品を詰めるピッキング作業を機械化しようとしている。ピッキングの作業は1つ1つ荷物の大きさや位置が異なるため、機械化が進んでいない分野だ。アスクルは都内のベンチャー企業が開発した新しい画像解析技術を導入し、今年秋の本格稼働を目指して調整を続けている。今ピッキングの作業を担うのは人だが人件費の高騰や人手不足が足かせになっている。そこでロボットの投入により更なるコスト競争力の強化を狙っている。





出光創業家 合併に反対表明
石油元売り大手・出光興産の創業家はきょう、来年4月に予定している出光興産と昭和シェル石油の合併計画に反対すると表明しました。創業家側の持ち株比率は33.92%にのぼるということです。これにより、今後開かれる出光興産の臨時株主総会で、合併の承認に必要な議決権の3分の2以上の賛成を得ることが困難な情勢となりました。創業家側は反対する理由として、「両社は異質の企業体質を持つ」などとしています。これに対して出光興産は「経営統合は最善の策」とし、引き続き昭和シェル石油との統合に向けた協議を続けていくとしています。



東海地震対策 抜本見直し
政府は、静岡県の駿河湾周辺を震源とする東海地震対策の抜本的な見直しを決めました。現行の法律では、地震の発生を予知し、新幹線の運行中止などの強制措置を取って被害を防ぐ防災を重点に置いてきました。しかし、「地震の正確な予知は困難」との見解を示す声が専門家から多く、地震の被害を最小限に抑える減災に重点を置いた法改正の検討に入ります。



タカタ会長が辞意表明
エアバッグの不具合でリコールが拡大している自動車部品大手のタカタは、きょう、株主総会を開き、高田重久会長兼社長が経営再建の見通しが立った段階で辞任する意向を明らかにしました。またタカタは、エアバックの異常な破裂が原因と見られる死者が、アメリカやマレーシアなどで15人に上ると報告しました。負傷者は全世界で150人以上に達しているということです。



森山農水大臣 業界団体から現金20万円
森山農水大臣はきょう、自民党のTPP対策委員長だった去年9月に、国から補助金を受けている日本養鶏協会の会長から現金20万円を受け取っていたと明らかにしました。政治資金規正法では、国の補助金を受けた団体からの寄付を制限しています。森山氏は会見で、「餞別のようなものだと思って預かったが、その後、事務所に返金を指示した」としています。



東電 炉心溶融問題を謝罪
東京電力ホールディングスはきょう、都内で株主総会を開きました。広瀬直己社長は福島第一原発事故が起きた当初、当時の社長が「炉心溶融という言葉を使うな」と指示していた問題を受け、連絡体制に不備があったと謝罪しました。きょうの総会では、株主から脱原発など10の議案が提案されていましたが、すべて否決されました。



観光客を呼び戻せ!北京で説明会
4月に起きた熊本地震で、大きなダメ―ジを受けた九州の観光。その九州に中国人観光客を呼び戻そうと、九州の自治体が、北京でこんなイベントを開きました。北京の旅行会社を集めて行われたのは、「九州観光復興キャンペーン」の説明会です。九州への観光ツアーを組んだ旅行会社に補助金を出すというもので、例えば、観光客が長崎に1泊した場合は2,000円の補助金が国から出ます。熊本地震で旅行をキャンセルした国内外の客は九州全体で75万人に上りますが、自治体側は今回のキャンペーンで中国人観光客を皮切りにその倍の150万人を呼び込みたい考えです。
《長崎観光振興課/井川博行さん》
「一番書き入れ時の7~8月も予約が入るめどが立たない。落ち着いてV字回復を期待したい」




■【トレたま】手料理が失敗しないコンロ

下ごしらえした食材をコンロに置きボタンを押すとプロの火加減で自動調理してくれる。自動調理の秘密はコンロについた温度センサー、プロの火加減をデータ化してコンロに教え込んでいる。出来上がると自動で火を消し音声で知らせてくれる。スマートフォンお専用アプリで毎週レシピが更新されコンロが自動調理出来るメニューがどんどん増える。
《リンナイ営業本部/藤田侑紀さん》
「焼き上がりや焦げ目、火の通り具合などできない方もいるのでサポートするコンロです。」

【商品名】DELICIA(デリシア)
【商品の特徴】ボタンを押すだけで、プロの火加減で自動調理してくれるコンロ
【企業名】リンナイ
【住所】名古屋市中川区福住町2-26
【価格】27万4,000円(税別)~
【発売日】8月1日発売
【トレたまキャスター】北村まあさ