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2016.9.21 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月21日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

日銀 物価↑2%まで長期戦も
日本銀行は2日間開いた金融政策決定会合で、これまでの大規模な金融緩和に対する「総括的な検証」と、新たな金融政策を決定しました。「総括」では、マイナス金利や国債の大量購入には一定の効果があったと評価。「2年で物価上昇率2%」という目標が達成できなかったのは、原油安など外部要因によると説明しました。これを受けて発表した新たな金融政策では、一連の金融緩和を「物価が安定的に2%を超えるまで」続けるとし、「長期戦」も辞さない姿勢を示しました。一方で、マイナス金利は0.1%を維持。金融政策の軸を「量」から「金利」に移して、償還期間が長い国債の金利が下がりすぎない仕組みを作り、それらの国債で運用する銀行や年金などに配慮しました。日銀の黒田総裁は一連の政策について「金融緩和強化のための新しい枠組みだ」と述べ、緩和の手は緩めないという姿勢を強調しました。

【新たな金融政策発表・検証!デフレ脱却なるか?】
今日午後1時過ぎ、株式市場が沸いた。東京株式市場は全面高となり、日経平均株価は昨日より300円以上値上がりした。さらに債券市場も沸いた。震源地は日銀。これまでの金融政策を大転換した日銀。これでデフレ脱却なるか、徹底検証する。

【日銀・金融政策が新局面へ・物価2%上昇に不退転の決意】
日銀は金融政策決定会合を開き、これまでの金融緩和策を総括的に検証した上で、物価上昇率が安定的に2%を超えるまで金融緩和を続けると発表した。その為に新たな枠組みを導入するなど、デフレ脱却への強い姿勢を示した。
デフレ脱却を目指し、2年で2%の物価上昇を掲げてきた日銀。異次元の金融緩和を続けて3年半。まずはその総括から始まった。マイナス金利や国債の大量購入などで金融政策は一定の効果を発揮したが、原油安や消費税増税などによる外部要因により、2年で2%上昇という目標を達成する事ができなかったとした。これを受けて新たな金融政策を発表。異次元の金融緩和を物価が安定的に2%を超えるまで続けるとした。また今年2月に導入したマイナス金利は-0.1%のまま据え置いたが、必要があればさらに引き下げると表明。この日銀の強いメッセージを受けた市場は、マイナス金利が拡大すると業績が悪化すると懸念されていた銀行株を中心に買いが入り、日経平均は全面高になった。そして今回の一番の目玉は、長短金利操作付き量的質的金融緩和の導入。これまでは国債などを大量に購入することで、市場に資金を供給してきたが、今後は短期と長期の国債それぞれの金利について、目標を設定するという方針を柱にする。これは世界でも例のない政策だ。すると長期金利の指標となる10年物国債の利回りは一時約半年ぶりにプラスとなった。日銀は至上命題の物価2%上昇に向け、長期戦も辞さないという不退転の決意を示した。

gin1.JPG【日銀の新たな金融政策のポイント】
《大浜キャスター解説》

《物価上昇率2%の達成について》
黒田総裁は当初は2年で2%という目標を掲げていたが、実際に消費者物価の推移を見てみると、黒田総裁が大規模な金融緩和を始めてから、この3年半の間に、2%どころか直近ではむしろマイナスという非常に厳しい状況だ。2年という目標の達成時期自体も先送りを繰り返してきたという状況だ。そこで今回は、安定的に2%を超えるまで緩和を継続するとした。つまり「いつまでに」という時期を撤回した格好だ。これはもう短期決戦ではなくて、長期戦も辞さないという、大きな方針転換と言える。

《国債の買い入れについて》gin2-1.JPG
これまで日銀は、国債を大量に買うことで、世の中にいくらお金を行き渡らせるか、つまり「量」に重点を置いてきた。しかし今回の発表によると、国債を購入する基準を金利に転換するということである。国債というのは償還までに期間が短いほど金利は低い傾向に、期間が長いものは金利が高いというものであるが、今回、「代表的な国債10年物国債の金利0%程度に維持する」ことを目安とした。これで10年物より期間の長い国債の金利は確実にプラスにしていこうという考え方だ。実はこの期間の長い国債というのは銀行や企業年金が多く保有して運用している。現状でいうと低金利で運用難に陥っていたので、それに配慮した格好だ。

《マイナス金利について》
日銀が銀行から預かったお金にマイナスの金利をつける。つまりおgin2-2.JPG金を預けると手数料みたいにお金を取られるというものだが、こちらにも配慮が見られる。今回マイナス幅を拡大するという見方も、事前に多くあったが、実際には-0.1%を維持、これ以上銀行の負担を増やさないという、これも気を配った結果というふうに見られる。
ただ一方で黒田総裁は・・・
「私どものコミットメント(約束)はできるだけ早期に2%の物価安定目標を達成することであります。マイナス金利につきましては、この公表文でも示してある通り、必要に応じて追加緩和(拡大)をする。」
マイナス金利の拡大については含みを残しているが、ただトータルで見てみると、日銀のデフレ脱却への取り組みというのが、今までのサプライズ中心の短期的な決戦から、金融緩和の副作用を抑えながら長期戦を覚悟したものに変わったとの見方が多くなっている。

《モルガンスタンレーMUFG証券チーフエコノミスト/ロバート・A・フェルドマン氏》
「私はやっぱり10年国債の金利を目標にした事が一番大きいと思いますね。そろそろ買える国債がなくなってしまうのではないかという心配がずっとあったので、どこかで仕組みを変えないといけないという必要性があったので、よく準備したなと思いますね。」

【日銀金融政策が新局面へ・政府・経済界の反応は】
今回の日銀の新たな金融政策について政界や経済界はどう評価したのでしょうか。
《菅官房長官》 「政府としては歓迎したい。2%の物価安定目標に向けて、必要な措置をとることを期待している。政府と日銀はより緊密に連携しながら、その目標に取り組んで行きたい。」
《日本証券業協会/稲野和利会長》 「合理的な政策手段を選択しているという意味では、非常に納得性があるし、マーケットとの対話を重要視する姿勢の表れだと思いますし、その点は大いに評価するべきではないかと・・・。」
《経団連/榊原定征会長》 「2%を超えても緩和的な金融環境は引き続き維持するという、金融緩和についての非常に強い日銀のコミットメントを示されたものと受け止めておりまして、2%の物価安定目標に向けてプラスの材料になるであろうと評価しています。」

一方で同じ経済界でも、こんな声が・・・
《日本商工会議所/三村明夫会頭》 「さらに(金融緩和で資金の)供給を増やしても、企業の設備投資は増えていない。ですからそういう意味でのメリットはこれまでもなかったし、今回の決定でもあまり影響はないだろうと思っていますので、(評価は)中立的。」

--そしてたった今、安倍総理のアメリカでの反応が入ってきました。
《安倍総理》 「政府としては歓迎したい。今後も政府と日銀が一体となって緊密に連携をしながら、アベノミクスを加速させていきたいと思っています。デフレ脱却に向けて、しっかりと歩みを進めていく事はできると思っています。」

【日銀・黒田総裁の通信簿】

gin3.JPG




















日本銀行・黒田東彦総裁の通信簿を作成。日本経済研究センター・岩田一政氏、第一生命経済研究所・熊野英生氏、東短リサーチ・加藤出氏に三段階(もうすこしがんばりましょう、よくできました、たいへんよくできました)でこれまでの金融緩和策と新たな金融政策を評価した。

《岩田氏》 「政策金利の先行き予測を出し、透明性や予見可能性を高めましょう」
今回10年物国債の利回りを0%程度に維持することを決めたわけだが、今後金利は上がっていくのか、下がっていくのか、これが分からないといけないので、日銀は世の中にヒントを示すべきだという指摘である。それで金利が上がっていくのか、下がっていくのかわかるようになると、仮に上がっていくとすれば、人々が消費や投資に早いうちに回すようになる可能性もあるということだ。先読みさせるのも大事である。

《熊野氏》 「政府と一緒になって企業の賃上げが実現する状況を作りましょう」
これまで金利を下げてきたが、物価は上がっていない。であればこの金融緩和のメリットを企業が、賃上げという形で早く国民に還元する段階にきているという指摘である。

《加藤氏》 「もっと『構造改革が必要』とアピールしましょう」
日銀はもう頑張る過ぎたという指摘をしたうえで、日銀の金融政策だけではもはや物価の上昇に対しては限界で、今度は政府が構造改革をする必要があるという指摘である。

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《ロバート・A・フェルドマン氏》

・日銀の新たな政策、評価の一方、矛盾も・・・

gin4.JPG--採点はこちらです。これまでの政策については3段階で一番低い「もうすこしがんばりましょう」ですね。

「実は2つあって、国語ができて数学ができないようなもんですけれども、(これまでの政策は)量的緩和は非常に良かったと思います。一方、マイナス金利にしたということが私は失敗だったと思う。むしろインフレ期待を悪化させたということですから、こういう評価にしました。」

--そして今後の政策については、「よくできました」、3段階中の真ん中ですね。

「(今後の政策は)良いところはあると思いますね。いずれ買い入れる国債がなくなるから、準備して枠組みを変えよう、というのは非常に良いことですね。前もって準備したということです。もう1つは、総括検証の中でマイナス金利の副作用について、非常に細かく詳しく書いたわけですから、信頼性が上がったと思います。非常にしっかりレポートになっていたので良かったなと思いますね。」

--副作用をしっかり書いたということは、これからなかなか簡単にはマイナス金利を下げないという・・・。

「マイナス金利の深堀りはないでしょ、ということですから、これはちょっと私は安心しますね。」

--そしてもう1つ、通信欄の「政策に矛盾がある」、これが気になります。

「ちょっと矛盾があると思います。これは80兆円前後の量的緩和をやりましょうというということまで言っているけれども、10年国債は0%の水準ですと・・・。これはちょっと矛盾ですね。価格と量を同時に決定できませんね。価格を選ぶか、量を選ぶかということですけれども、じゃあどっちを優先するのか、という問題が出てきます。」

--これは黒田総裁が会見の中で、「保有残高の年間増加額、年間およそ80兆円、これは増減はある」、というふうに仰いました。

「だからやっぱり10年債利回りの優先順位が高いということを言いましたね。あともう1つ、ポイントがあります。さっき岩田さんの意見もありましたけれども、(金利を)どういう基準でこれからゼロではなく、0.1、0.2にするのか、あるいはもっと下げるか、どういう基準で決めるのかということが、きょうははっきりしていないんですね。だからこれをはっきりして頂きたいということですね。例えば、物価が上がるにつれて、ゼロではなくて0.1、0.2にする、そういうスライド制を導入したらどうかというのが私の考え方ですね。」

--昨日フェルドマンさんは、「金利を操作するというのは、不安も付きまといますよ」ということを仰っていましたけれども、そこはどうなんですか。

「今日も記者会見で総裁が仰いましたけれども、マイナス金利のマイナス0.1、10年債、この2つをやりますけれども、それ以外はやらないということを言っていますので、大体これでいいと思いますね。変にいじるということがないので、たぶん大丈夫ではないかと思いますね。」

--もう完全に固定してしまう、ペッグしてしまうというわけではない。そこがポイントになるということですね。





日銀・新政策 米の反応は…

今回の日銀の決定を受け、米国の反応はどうなのか、見ていきたいと思います。ニューヨークから新形さんに伝えてもらいます。
《中継担当:みずほ総研NY/新形敦氏》

日銀の決定をうけてのNY市場の受け止め方ですが、予想通りの結果で驚くような政策変更はないと皮肉にも冷静でした。
《ウェルズ・ファーゴ/スコット・レン氏》
「日銀の決定に驚きはない。緩和を続けると受け止めた。利回り曲線の長短金利差の拡大は良いことで、引き締めではない。」
ただ、日銀の黒田総裁が長期国債の買い入れ増減はあり得るとの発言をしたことから、市場参加者の一部は量的緩和拡大の可能性が小さくなったと受け止めた面も少なからずあるようで、外国為替市場は1ドル=100円台まで円高が進みました。

--この後アメリカでは金融政策を決めるFOMC=連邦公開市場委員会が開かれますが、やはり利上げは見送りでしょうか。
FOMCでは利上げは今回も見送りになるでしょう。9月の市場の利上げ予想確率は22%にとどまるなど、織り込みが十分でないことから、無理に利上げをすると金融市場が混乱しかねないためです。アメリカ経済は底堅いとみておりますが、FRBが市場混乱というリスクをとってまで利上げを急ぐとは思えません。ただし同時に発表される声明文では、8月末にイエレン議長が述べたように「利上げ時期が近づいている」といった内容の文言が入る可能性が高いとみています。今回は見送りでも、FRBは年内、おそらく12月利上げしようとするでしょう。

--FRBが年内利上げを目指すとすれば、今後為替はドル高円安が進むんでしょうか。
大幅なドル高はないと思います。来年以降の利上げペースは現在の想定よりも、さらに緩やかになるとみられるためです。今回FRBは利上げ回数の見通しを引き下げる可能性があります。円に対して大きくドルが買われる局面にはならないでしょう。以上ニューヨークでした。





■特集

光学の板橋を再生せよ
インスタグラム15万人のフォロワーを持つフォトグラファーのKoichiさんは、iPhone6用のひずみのでない広角レンズを作ってほしいと板橋区の中小企業に頼みました。依頼を受けたコゾフィルタースは製造は得意ですが、レンズを設計する光学設計士がいませんでした。そこでオリンパス出身の光学設計士木村さんに設計を依頼、ひずみのないレンズを作り上げることに成功。「トーキョーグラファー」という自社ブランドとして世界に打って出ます。実は木村さんは定年退職後、板橋区の企業活性化専門員に就任しました。板橋区は戦前から光学の街として知られていて、現在、中小企業の地盤沈下が進む中、もう一度「光学の板橋」を再生させようとしているのです。その取り組みを受けて新たな企業も生まれています。光学設計士集団のチームオプトです。中小企業の設計を請け負い、板橋区の光学産業を盛り上げようとしています。
取材先・コゾフィルタース・板橋区・板橋区産業経済部・チームオプト・システムズエンジニアリング


【ものづくりの町・スマホ向け製品で甦れ!】
東京・板橋区はかつてものづくりの町として栄えていたが、今そのものづくりは衰退しているのが現状。そんな中、スマートフォンに使うある意外な製品でものづくりの町の再生を目指そうとしている。

【「光学の板橋」再生へ・ひずまないレンズで世界に!】
世界でも高い評価を受けているモバイルフォトグラファー・Koichi。その作品は去年と今年連続してiPhoneの広告キャンペーンに採用され、渋谷の109やドイツ・ベルリン、フランス・パリ、米国・ワシントンなど世界中のビルボードを飾っている。インスタグラムのフォロワーは15万人以上。そんなKoichiが最近手に入れたのが開発中のレンズ。これは歪みなくクリアに撮影できる広角レンズで、Koichiが「歪みのないiPhone6用の広角レンズを作ってほしい」とある中小企業に依頼したもの。

【「光学の板橋」再生へ…ひずまないレンズで世界に!】
モバイルフォトグラファー・Koichiが「ひずみのないiPhone6用の光学レンズを作って欲しい」と依頼し、その光学レンズを作っているのが東京都板橋区にある中小企業「コゾフィルタース」。大手メーカーのレンズ製造の下請けをしているが、コゾフィルタース・石川晃社長は自社ブランドを作りたいという思いがあった。レンズを設計する光学設計士は中小企業にはほとんどいない。そこでコゾフィルタースは、オリンパスなどでレンズの設計をし、2年前に定年退職した光学設計士・木村正資に頼った。「トーキョーグラファー Easy Fit Mount Package」で世界に打って出ようと考えている。

【「光学の板橋」再生へ…ものづくり×設計士集団】
板橋区役所には、コゾフィルタース「トーキョーグラファー Easy Fit Mount Package」を設計した光学設計士・木村正資がいる。木村は定年退職後、板橋区ものづくり企業活性化専門員に就任している。板橋区は昭和初期から双眼鏡や陸軍の光学兵器を製造する工場が集まり、関連企業は全盛期で400社。光学の町として知られていた。今はわずか60社。そこで板橋区は「光学の板橋」を再生させようと木村を専門員として呼んだ。板橋区産業経済部産業戦略担当課長・諸橋達昭は「板橋のポテンシャル・光学を高めてもらい、外からの新しい風にも入ってもらう」と話す。

板橋区の取り組みを受けて新たな企業も誕生。チームオプト・槌田博文社長が去年、中小企業の設計を請け負う光学設計士集団を立ち上げた。集めたのはオリンパスやペンタックスなど大手企業の出身者。槌田社長はシステムズエンジニアリングから麻薬などの測定器の測定性能を高めて欲しいと依頼を受けた。ものづくり企業と設計士集団などを上手くマッチングさせていこうとする板橋区のプロジェクト。木村は大きな手応えを感じている。木村は「世界からネットを通して板橋区にこんなことできないかと連絡が来る。設計、製造の仕組み作りができたらいい」と話す。





■ニュース

ガバナンス改革でさらなる投資を
安倍総理大臣は先ほど、ニューヨークで金融関係者らを前に講演し、新たなコーポレートガバナンス強化策を打ち出しました。来年から、機関投資家に対し外からのチェック機能として第三者委員会などの導入を求めるもので、機関投資家による資金管理や運用の健全性を担保するのが狙いです。政府としては投資環境を整備することで、海外からの投資を呼び込みたい考えです。



8月の訪日客 過去最多
日本政府観光局は、今年8月に日本を訪れた外国人旅行者数の推計が、1年前と比べ12.8%増の204万9,200人に上り、過去最多だったと発表しました。1月から8月の累計は、1,606万人となり、去年よりもおよそ2ヵ月早く1,500万人を超えました。クルーズ船の寄港が増えたことや航空路線の拡充などが、追い風となりました。



電力料金 11月から値上げ
電力大手10社のうち東京電力など6社が、11月の電気料金を引き上げる見通しであることがわかりました。標準家庭で10月に比べ10円から25円程度の値上げとなる見込みです。これは、火力発電の燃料となる原油や液化天然ガスの価格の上昇が影響したものです。



もんじゅ 廃炉前提に見直し
高速増殖炉もんじゅについて、政府は関係閣僚会議を開き、廃炉を前提に抜本的に見直す方針を確認しました。年末までに正式な結論を出す見通しです。その一方で、、核燃料サイクル開発の政策については維持し民間も含めて高速炉の開発を行っていくとしました。もんじゅはこれまで1兆円以上の国費が投じられてきましたが安全管理上の不祥事が相次いでいて運転再開の見通しが立っていませんでした。



エネ政策 原発再稼働も
IEA=国際エネルギー機関は、東日本大震災後、初めて日本のエネルギー政策を評価した報告書を公表しました。原発の停止で化石燃料への依存度が大幅に高まった中、2030年度に政府が目標としている温室効果ガスの排出量を26%削減するためには、一部の原発の再稼働が重要だと提案しています。さらに、2050年までに排出量を80%削減する目標の達成については、再生可能エネルギーなどで新たな技術が不可欠だと指摘しました。

⇒ 【コメンテーター解説へ】




金融+ITで暮らしが変わる!
金融とIT技術を融合したフィンテックについてのシンポジウムが開かれました。麻生財務大臣は「スマートフォン1台が銀行支店とほぼ変わらない時代になりますから、時代が大きく変わっていきます。」と話しました。出展企業のブースをみると、年齢や年収など簡単な情報を入力するとAI=人工知能が、どの国の、どのような金融商品が自分の投資先として最適か提案し、実際に運用してくれるサービスや、クレジットカードの明細などから自動で家計簿を作成するソフトなどが展示されています。日々、新たなサービスが登場するフィンテック。私たちの暮らしを大きく変えつつあります。



家電業界にニューフェイス
スマートフォン周辺機器などを販売する会社が21日、家電事業の新ブランドを発表しました。家電事業の新ブランド「ユーフィ」を発表したのは、スマートフォン周辺機器などを販売するアンカーです。今回発売されるのは、ロボット掃除機や超音波加湿器など3種類。こちらのロボット掃除機は、2万9,800円と低価格ですが、大容量のバッテリーを搭載していて、3時間以上の連続稼働が可能となっています。これまで、スマートフォンのバッテリーなどを販売してきた強みを生かし、今回、本格的に家電事業に参入します。今後は、インターネットとつながる新たな商品も発売する予定です。





■【トレたま】食べるトランプ

小麦粉を使った生地で作られ、食べられるインクでマークや数字を印刷している。味は4種類、メロン、イチゴ、ココア、バニラ。川松社長は、ハードディスク関連部品を販売する会社を経営しており、「ハードディスクだけでは大変なので、他のものを作りたいと思った」と話す。製造は老舗のもなかの皮メーカーに依頼。

【商品名】食べる!トランプ
【商品の特徴】小麦粉の生地で作られた薄さ1ミリの食べられるトランプ
【企業名】ジーテム・ソリューションズ/川松剛社長
【住所】東京都北区豊島1-30-2-1306号
【価格】950円(53枚入り)
【発売日】発売中
【トレたまキャスター】北村まあさ





■【コメンテーター】ロバート・A・フェルドマン氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)

・ニッポンの総力を挙げて、もっとエネルギー革命を!

--このIEAの指摘をどうご覧になりますか。

「いいことも言っていますけれども、2050年までという期間は長い、すなわち野心がないなという気がしますね。ちょっと今原油が安くなっているから、怠慢しているのかなという世界中の動きではないかと思います。」

--再生可能エネルギーの開発が、ちょっと滞っていると・・・

come2.JPG「そういうことですね。既に存在している技術でほとんど賄えますということを、実はこの前、本が出ました。これはハーバード大学の『 Mara Prentiss 教授』、物理学の先生ですけれども、『 エネルギー革命 ENERGY REVOLUTION 』という本です。もう既にかなり技術ができていて、もうちょっと開発があるんですけれども、問題はいますでに存在している技術をどうやってインフラを整備して広げていくかということですね。応用ですね。その点でいろんな国で同じ問題がありますけれども、予算ですね。例えば、今日のIEAの出したレポートの中で、日本がエネルギーの研究開発のために使っているお金はいくらか、というと0.3兆円です。社会保障は130兆円ですよね。なぜ0.3兆円しか使っていないのか、ということで、少ないですね。日本はもう天才、エネルギーオタクもいっぱいいます。例えば新エネルギー機構(NEDO)というのがあります。素晴らしいことをやっています。だけどもうちょっとペースアップして、もっと早く目標を達成できるようにしたほうが、国の一つの使命になると思うので、頑張っていただきたいなと思います。」






・次の焦点はFRBの一手に

--このあと日本時間の午前3時にアメリカの金融政策が発表されるわけなんですが、どうでしょう、今回の利上げは・・・?

「ないと思います。確率はかなり低いと思います。12月と思う人が多いようですけれども、弊社は来年の12月だと思っています。」

--どうしてそんなに利上げをするのに時間がかかるんでしょうか。

「やっぱり経済の体質が変わっているということだと思いますけれども、弊社の予測はGDPがかなり低いんですね。1.5%がずっと続くと思っています。加えて物価上昇率がまだ安定的に2%になるまでほど遠いと思ってます。
いろんな議論がありますね。例えば、いや物価が上がるよ、という議論もあります。女性の労働参加率がすごく上がっていますね。これ以上、上がらないだろう、だから労働供給が増えない、だから物価が上がる。そういう論もありますし、一方で、高い賃金の産業から引く賃金の産業へ移る人が多いから、所得がない、需要がない、だから物価が上がらない。(いろんな議論が)混ざってますね。」

--そうすると急激にインフレが進むような局面にはなりにくい。

「ならないから、連銀が簡単に金利を上げることはできないでしょう。」








2016.9.21 Newsモーニングサテライト

2016年09月21日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

NY株 3指数とも反発
日米で始まっている金融政策の会合の結果を世界の市場関係者が息をひそめて待っているという状態です。為替市場ではドル円相場が101円80銭を挟んで狭いレンジでのもみ合い。マイナス金利の深ぼりと柔軟な国債買い入れが議論されるとみられる日銀の結果が先に公表され、その後、利上げ見送り予想のFRBの結果が判明します。この組み合わせで為替や金利がどう動くのか?高く始まったアメリカ株も様子見が強く取引終了にかけ急速に値を崩しました。明日には市場の景色が大きく変わっている可能性も否定できません。ダウは9ドル高、1万8,129ドル。ナスダックは6ポイントの上昇、5,241。S&P500は0.6ポイントプラスの上昇、2,139でした。続いて20日のセクター別騰落率です。積極的に動きづらい中、デイフェンシブの一角、ヘルスケアや生活必需品が上昇。一方、ガソリン価格の下落の影響で、エネルギーの下げが比較的大きくなりました。0 指標.jpg













































【NY証券取引所中継】米住宅市場を分析
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏

--引けにかけて上げ幅を急速に縮めましたね。
翌日にFOMC声明文の発表を控え、非常に膠着感の強い1日でした。M&A期待でバイオ株が上昇した一方、エネルギーと素材株が売られ、一進一退となりました。

NY1.JPG--ニュースでもお伝えしたんですが、住宅着工件数が予想以上に悪化でしたね。
前月比でマイナス幅が今年3月以来の大きさとなりました。地域別にみると南部地域が15%近い減少で、前月のプラス8%から急減速となりました。南部地域は住宅着工全体の半分近くを占める最大の市場だけに、足を引っ張った形です。

--これは今後の懸念材料になりそうなんでしょうか。
それほど心配はないと思います。いくつか理由があります。まずは前日に発表された住宅市場指数です。全体でも昨年10月以来の高水準でしたが、南部も前月から大きく改善しており、建設会社のマインドは冷えていません。2つ目は南部に拠点を持つ住宅建築会社レナーの業績です。本日の決算でも売上・利益ともに市場予想を上回り、新規受注も前期比8%増と堅調でした。さらに今回の結果は、8月に南部のルイジアナ州で起きた大規模な洪水の影響も否定できず、この落ち込みは一過性と考えていいと思います。




【NY証券取引所中継】米利上げのシナリオは?
解説は大和証券CMアメリカの森本裕貴氏

NY2.JPG--9月の利上げはないとの見方が多いわけですが、FOMCはどこに注目されていますか。
(フリップ)
FRB当局者の年内利上げ回数の変化やイエレン議長の発言内容に注目しています。12月の利上げ予想確率は60%程度で、ピーク時から大きな変化はありません。つまり市場は今回利上げを見送るものの、12月の利上げの可能性を強く匂わせるというシナリオを想定しているのだと思います。

--なるほど、つまり「9月はなし、但し年内にはある」、となると株式市場はどう反応しますか。
まずは株式・債権・商品すべてに買いで反応するという、いわゆるハト派的な反応になると思います。しかし年内利上げの見方が強まるのであれば、金融緩和で恩恵がある資源株などを一方的に買い進むことはないとみています。結果として割安かつ成長力がある銘柄が物色される展開になるでしょう。例えば、アップルやアルファベット、半導体のブロードコムなどです。アップルの先週の急上昇はこの展開を見据えた側面があったと思います。

--ただ年内の利上げはなし、という見方が出てくる可能性もありますよね。
その場合は一番ネガティブな反応を示す可能性があります。利上げができない、つまりアメリカ景気減速の警戒感が強まると想定されるためです。ただ足下の指標や企業業績を見る限り、景気が底まで悪化しているとは考えづらく、市場とのコミュニケーションを重視するFRBとして、そのような選択肢は選ばないとみています。





【為替見通し】注目ポイントは「日銀 金融政策決定会合」
解説はJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏

--まずNY市場の動きというのはどうでしょうか。
昨日の海外市場では、日銀金融政策決定会合、FOMCを前にドル円は101円台後半での小動きに終始しました。

--今日の予想レンジは、100.00 - 103.00 円とやや広めのレンジで、注目ポイントは「日銀 金融政策決定会合」です。
そうですね。海外投資家の中でも米国債の動きは、日銀の決定を受けた日本国債の動き次第とみている人も多いくらいなので、日銀のほうが注目だと思います。JPモルガンのオフィシャルな見通しはマイナス金利を0.2%引き下げ、マイナス0.3%とするとみています。もっとも私個人的にはマイナス金利の深堀りはない可能性も高いのではないかとみています。ただ、どちらにしても、ドル円相場は、前回の決定会合があった7月29日以降続いている100円~104円のレンジを大きく抜けないのではないかというふうに見ています。

KW1.JPG--そしてマイナス金利が歩かないか、それぞれの場合のドル円の反応というのはいかがでしょうか。
(フリップ:日本のマイナス金利の深堀で・・・)
マイナス金利深掘りの場合、一時的に103円台への円安はあると思いますが、金融株が下落するので、結局リスクオフとなり、円はすぐに買い戻されると考えられます。一方、金利据え置きの場合は、100円近辺まで円高が進むと思いますが、金融株が買われてリスクオンとなり、円高の動きは限定的となると考えられます。海外投資家などの注目はむしろ日本の国債市場に集まっているとの印象を受けまして、本日も政策金利の上げ下げより、イールドカーブに対してどのようなメッセージ・政策が打たれてくるかが注目されて、為替の動きは限定的、但し大きく動きそうなのは円債市場ではないか、というふうにみています。0 為替.jpg




















【日本株見通し】注目ポイントは「米 利上げ確率」
解説はコモンズ投信の糸島孝俊氏

--きょうの予想レンジは、16300-16700円です。

追加緩和のあるなしに関わらず、一時的な乱高下が予想されます。ただ今の相場は日本の金融政策だけでは動きが限定されるうえ、今回はアメリカのFOMCの結果が、直後に発表されるため、相場は次第に落ち着きを取り戻すものと考えられます。
NK1.JPG

--注目ポイントは「米 利上げ確率」です。
(フリップ1:米年内利上げ確率上昇で、17500円?)
グラフは1月以降の年内のアメリカの利上げ確率(青色グラフ)および日経平均(赤色グラフ)の推移です。この2つのグラフはほぼ重なっており、利上げ確率が上がれば、日経平均も上がります。アメリカの長期金利も上昇で、ドル高円安になり、輸出関連企業の多い日経平均は、円安メリットで上昇するということです。

NK2.JPG--ではアメリカの利上げ確率から見ると、今後の日経平均の見通しはどうなるんでしょう。
FOMCはこの年内利上げ確率が80%になると、利上げに踏み切るとされます。芦下は58%程度ですが、年末にかけて年内利上げ確率の上昇とともに日経平均も上昇し、利上げ確率が80%の水準、17500円付近まで上がる可能性もあります。但し9月利上げ確率(緑色グラフ)は現在20%程度で、マーケットは織り込んでいません。もし今晩、FOMCが9月利上げに踏み切ったら、ネガティブなショックとなり、株価が一時的に大きく下げることも頭の片隅に入れておくべきだと思います。







■【プロの眼】FOMC 直前予想
9月の利上げは見送られるとの予想が大勢ですが、今回の注目ポイントは2つ。「12月利上げに含み」と「FF金利の長期見通し引き下げ」です。FOMC内でタカ派とハト派の意見対立が熾烈な中、12月のFOMCでの利上げに含みを残す展開を予想します。そしてFEDは「利上げ、利上げ」と言っているものの前回6月もFF金利の長期を引き下げている。つまり金融緩和を行っている。日本はマイナス金利深堀り、国債買い入れの柔軟化により長短金利差の拡大誘導を行っているが、アメリカは長短金利差の縮小を誘導している。こうした状況では2017年中も利上げできる状況ではない。
三菱東京UFJ銀行・鈴木敏之氏(FEDウォッチャー)が解説。

--FOMC直前予想、先ほど9月はないだろうという話で、ポイントを挙げて頂きました。まず「12月の利上げに含みを持たせるか」どうか、どうでしょうか。

PRO1.JPG(フリップ1:9月FOMCの注目ポイント)
「少なくともアメリカ経済はしっかりと成長しています。GDPナウというアトランタ連銀の推計では、今期2.9%の成長を見ていますから、利上げをしないというのはやっぱり不自然かなという感じだと思います。利上げについては含みを残すといいますか、当然言い続けると思いますね。」

--言い続けますが、鈴木さんはどうご覧になっていますか。鈴木さんは利上げはできないというふうに言い続けていましたね。

「私は、FOMCの人たちはやりたいと言うんですけれども、イエレンさんはなかなか踏み切らないんじゃないかなと・・・。それが6月もそうでしたし、おそらく今日もそうなりそうなんですけれども、12月もその繰り返しになるんじゃないかなというふうに思います。」

PRO2.JPG--不透明感漂っているのが大統領選ですね。

(フリップ2:米大統領選、差は縮まる)
「そうですね。両候補がきちんと政策を主張をして、拮抗するということであれば、全然問題はないんですけれども、ただ例えばクリントン候補の健康問題だとか、そういうので枠組みの違う不透明とかがあったりしますと、経済には悪影響が及ぶ。その場合には、利上げというのが難しくなるといいますか、特にイエレンさんですから、数字がきちんとみんな揃うまではやらないということになると、12月はちょっと近すぎる感じですね。」

(再び フリップ1:9月FOMCの注目ポイント)
--だから12月の利上げにどれだけ含みを持たせることができるかどうかですよね。それからFF金利、「政策金利の長期見通しを引き下げるか」どうか。

PRO3.JPG(フリップ3:長期は下がり続ける)
「そうですね。今日、経済見通しがFOMCのあと、直後に発表されるわけであります。それでこの2回ほど、最終的な、長期といってますけども、私は中立FF金利といったほうがいいと思うんですけれども、そのレベルを引き下げてきているわけであります。これは利上げ、利上げとといっているんですけど、実際は金融緩和をしてるようなものでありますので、この前のジャクソンホールの講演でも、その前提で話をしているようなとこがありますので、今回ももう少し下がってくる可能性があるというふうに思いますね。」

--結局のところ、それを見ていきますと、長短金利差というものの方向感が日本とアメリカで変わってくるわけですね。


(フリップ4:長短金利差(10年-2年))
PRO4.JPG「そうなんですね。今日、総括的検証の後で、次回の緩和の方策が示されると思います、方向づけられると思いますけれども、その時に、例えば、日本のマイナス金利の深堀りと長期の情報への誘導というのがあありますと、日本の場合、イールドカーブが立つ。一方で、アメリカのほうは、今見て頂いた通り、最後のFF金利の中立のレベル、長期のレベルを下げますので、これはどちらかというと、イールドカーブを寝かせる方向になります。これだけ金利差があれば、為替に影響ないという話もできるかと思いますけれども、イールドカーブの変化の方向にある程度反応しますので、今日、場合によったら、これを見込んで為替相場が動いてしまうというようなことも、ある程度は見ておく必要があるかなと思います。」

--そうですね。円高に向かってしまう可能背があるかもしれないと・・・。元々ですから先ほど仰っているように、イエレン議長が慎重でいらっしゃるということですよね。

「相当彼女はいわゆるハト派ぶりを発揮しているんですね。FOMCの中もタカ派的な人たちが多いわけです。その中で彼女はハト派ぶりを発揮しているという対応だと思います。」

--それがよく分かるのがこちらなんですね。「イエレンルールによるFF金利」(赤色のグラフ)とは何でしょうか。

PRO5.JPG(フリップ5:17年も利上げできない?)
「テーラールールというのが有名だと思うんですけれども、政策金利をどういうふうに決めるかということについて、インフレ率と自然利子率というのと、それから景気の良し悪し、需給ギャップといいますけど、それらから計算する方法があります。テイラールールよりももっとハト派的な金融政策の政策金利の決め方というのをイエレンルールと言われています。これは昔からあるんですけど、特にこのところハーバード大学のロゴフ先生というのが本を書いた中で取り上げて、また注目されているというところがあると思います。これで計算すると、最終的に、いま予測レンジの2018年まで行ってもせいぜい1.4%ぐらいなんです。今の彼らFOMCの経済見通しの通りに動いて行っても、この程度ということで、相当慎重にやっても彼女は大丈夫だと思っているじゃないかなという感じですね。」

--この見通しに関して言いますと、FOMCメンバーの中央値というのは3%ぐらいですよね。ですからそのメンバーの中央値よりも、イエレンルールで見ると・・・。

「景気を重視するとなると、こういうふうになりますし、この数字を見て頂くと皆さんお分かりになると思うんですけど、アメリカの10年債ってこのぐらいにしか見ていないんですね。ですからイエレンさんはFOMCのメンバーよりはハト派かもしれませんけれども、かなり彼女の発想というのは市場に近いんじゃないかなというふうに思います。」







■【NY便り】 インスタグラム詐欺
スマートフォンで写真を手軽に投稿し共有できることから人気を集めるアプリ「インスタグラム」。アメリカでは今、このインスタグラムを使った金融詐欺が横行し、ITセキュリティ会社のゼロ・フォックスは先月、金融機関の対策コストが日本円でおよそ400億円を超えるとの試算を発表しました。いったいどんな手口なのか取材しました。


【インスタグラムで金融詐欺、その手口は?】
ハリウッドの人気俳優にも愛用者が多いインスタグラム。画像を加工できるフィルター機能が人気で、アメリカでの利用者は約8940万人にまで拡大している(2月末時点)。そのインスタグラムを使った金融詐欺が今アメリカで問題になっている。いったいどんな手口なのか。

《ゼロフォックス(メリーランド州ボルティモア)/フィリップ・チュリー上級データ研究員》
「この問題を数か月かけて調査した。銀行を狙った詐欺の投稿を約4600件発見した。」

詐欺を狙ったとみられる投稿には、「お金で人生を変えませんか」と、金を簡単に得られるとうたい連絡をするよう誘っており、さらに札束の画像や金を得ようと強調する画像などが載せられている。こうした投稿は金融機関について頻繁にやり取りしている人たちに送られ、お金に困っている人を狙い撃ちしているという。

《チュリー研究員》 「カード払いが遅れている人や学生ローンを抱える人を狙っている。」

特にインスタグラムは友人と承認していない人にも、直接メッセージを送れるため悪用されやすいという。金融機関も対策を急いでいて、投稿の中から詐欺を見破るためのプログラムを導入する金融機関が増えているという。

《チュリー研究員》 「日本の銀行に被害が出ても驚かない。こうした詐欺は間違いなく防げるものだ。」

インスタグラム拡大の陰で広がる金融詐欺。詐欺師とセキュリティ会社とのいたちごっこは続きそうだ。

ITセキュリティ会社のゼロフォックスは先月、金融機関の対策コストが日本円で約400億円を超えるとの試算を発表していて、詐欺行為の防止は金融機関にとっても課題となりそうだ。





■日経朝特急

① 商業地、9年ぶりプラス
国交省が発表した今年7月1日時点の基準地価は、全国商業地が前年比0.005%のプラスとわずかながら9年ぶりに上昇した。またマイナス金利でだぶついたマネーが地方の中核都市に流れ込み、札幌、仙台、広島、福岡4市の商業地上昇率は6.7%と三大都市圏の2.9%を大きく上回った。



②東大、初のベンチャー投資
東大は年内に初めてベンチャー投資を始める。最大160億円を創薬や素材などの東大発企業40~50社に投資する。大学が手掛けるベンチャー投資では最大規模である。



③通販に省エネ義務
経産省はインターネット通販や家電量販など消費者が買った商品を宅配で届ける販売業者に対し、2018年度から省エネを義務づける検討に入った。現在は自社の工場に部品を運ぶような企業の輸送が主な対象だが、温暖化対策の国際的な枠組み・パリ協定の発効を控えて対象を広げる。



④大手銀、国債離れ鮮明
メガバンクの国債離れが鮮明になっている。8月の公社債投資家別売買高によると、メガバンクを含む大手銀行の売買高が約1兆7000億円と3ヶ月ぶりに過去最低を更新した。日銀による国債の大量買いを背景に、利回りや流動性が低下傾向にあり、メガバンクが売買を手控えている。






■日刊モーサテジャーナル (ニュース)

① 注目のFOMC、欧米氏が予想
FOMCが利上げに踏み切るのかどうか、欧米の新聞は様々な見方を掲載している。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、「FOMCを前にマーケットは既に引き締まっていて、利上げの可能性はさらに低くなった」と分析している。記事は、「9月8日以来、株価は下落、金利とドルが上昇しているほか、ドル建てのロンドン銀行間取引金利LIBOR3ヵ月物が2009年以来の高い水準をつけていて、ドルの調達コストが高くなってきている」と伝えている。
一方、フィナンシャル・タイムズは逆の見方である。「FRBは市場関係者の思惑に左右されないという姿勢を明らかにするためにも、あえて予想に反する動きをするのでは」、と21日の利上げ決定もあるとみる投資家の声を報じている。




② イスラエル票が米大統領を左右する?(ワシントン・ポスト)
アメリカ大統領選挙を闘う共和党のトランプ陣営が、票獲得のために遥かイスラエルまで出向いているという。「イスラエルに住むアメリカ人は40万人と言われていて、もしかしたら大統領選の結果を左右するかもしれない」、と伝えている。記事によると、トランプ陣営の狙いはズバリ、フロリダ州。国外に住むアメリカ人は以前住んでいた州で投票する権利があり、いまイスラエルに住むユダヤ系アメリカ人の多くは、以前フロリダ州に住んでいたという。さらにフロリダといえば、2000年の大統領選で、ブッシュ元大統領が民主党候補のゴア氏に537票という僅差で勝った激戦州だ。トランプ候補はイランの脅威からイスラエルを守ると発言していて、イスラエルでも支持者獲得を狙っている。




③ハリウッドで中国人俳優が人気(ウォール・ストリート・ジャーナル)
ハリウッドでは今どんな役でもいいから中国人の俳優を起用しろという声が高まっているという。その狙いは成長著しい中国の映画市場へのアピール。ちょおごくの映画ビジネスは、今年これまでのチケットの売上高が、50億ドルで、世界2位。今後1~2年の間にアメリカを抜きトップに立つとみられている。ただ中国人俳優があまりにチョイ役だと、逆に評判が悪くなると心配する声も聞かれるようだ。







■ニュース

米住宅着工 3ヵ月ぶりの減少
アメリカ商務省が20日発表した8月の住宅着工件数は前の月に比べ5.8%減少しました。3ヵ月ぶりのマイナスです。8月の住宅着工件数は季節調整済みの年換算で114万2,000戸で市場予想を下回りました。一戸建てが6%減ったほか、集合住宅も5.4%の減少でした。地域別でみると北東部、西部、中西部の3地域では増えたものの南部で14.8%の大幅マイナスとなり、全体の指数を押し下げました。一方、住宅着工の先行指標とされる住宅着工許可件数も0.4%の減少となりました。

《米住宅着工件数(前月比)》
一戸建て(6%減) 集合住宅(5.4%減)

北東部(+7.6%) 中西部(+5.6%)
西部(+1.8%) 南部(-14.8%)
8月住宅着工許可件数 113万9000戸(-0.4%)





核廃絶に向け結束呼びかける
国連総会の一般討論演説が20日、ニューヨークの国連本部で始まり、アメリカのオバマ大統領は「核兵器なき世界」を追求するため結束を呼びかけました。(オバマ大統領)「核兵器なき世界を追求しない限り、核戦争から逃れることはできない」このように述べた上で5回目の核実験に踏み切った北朝鮮について「私たち全員にとって危険だ」と強く非難しました。今回の一般討論演説が任期中、最後となるオバマ大統領は宗教的な過激主義やポピュリズムに陥ることなく、各国が協調して国際的な課題を解決していく重要性を訴えました。



「産油国 原油安定化で合意へ」
アルジェリアで開かれる産油国の非公式会合を前にアルジェリアのエネルギー相が楽観的な見通しを示しました。ロイター通信によりますと、アルジェリアのボータルファエネルギー相は「原油市場の安定に向けた対応策で、産油国各国は合意できるだろう」とした上で「OPEC=石油輸出国機構の臨時総会の開催を決める可能性がある」と述べました。



米証取委 エクソンモービルを調査か
アメリカのSEC=証券取引委員会がエネルギー大手、エクソンモービルの会計手法を調査しているもようです。ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、SECは原油価格が急落したにも関わらず、エクソンモービルが原油在庫の評価損を計上していないことを疑問視しているほか、環境規制の強化に伴うコスト増加を過小評価してきた可能性がないか調べています。



「異次元緩和」の総括公表へ
日銀はきょうの金融政策決定会合で、異次元の金融緩和策の効果や副作用について「総括的検証」を取りまとめ、公表します。マイナス金利をどう評価し、さらなる緩和策に踏み切るかが焦点です。今回の金融政策決定会合ではおよそ3年半に及ぶ大規模な金融緩和策について検証が行われています。金融機関の収益悪化など副作用が指摘されるマイナス金利については、「経済全体への悪影響は限定的で、政策効果が上回る」などとした意見が取りまとめられる見通しです。また、2%の物価上昇目標は堅持する一方、当初「2年程度」としていた達成期限については撤回する見通しです。会合では、2%の物価上昇の実現に向け、追加緩和の是非も議論されていて、マイナス金利のさらなる拡大に踏み切るかが焦点となっています。



もんじゅ“廃炉”視野に閣僚会合
高速増殖炉「もんじゅ」について、政府は、きょう関係閣僚会議を開き、廃炉も視野に今後の方針を議論します。「もんじゅ」を巡っては、安全管理や費用対効果の問題から、廃炉を求める声が強まっています。もんじゅの廃炉が決まれば、日本の原子力行政は大きな転換点を迎えます。一方で、もんじゅのある福井県敦賀市の市長らが、総理官邸を訪れ、もんじゅの存続を訴えるなど、調整は難航しそうです。



世界2位の鉄鋼メーカー誕生へ
中国の国有鉄鋼大手宝鋼集団と武漢鋼鉄集団はきのう、双方の上場子会社が合併する方針だと明らかにしました。合併には政府の承認が必要なため、最終的な統合計画は確定していませんが、実現すれば生産量で世界2位の巨大鉄鋼企業が誕生します。中国の鉄鋼産業は景気の低迷による深刻な供給過剰に陥っていて、政府は生産能力の削減に向け、企業再編を進める方針を示していました。



シャープ18年に1,000万台
シャープは、2018年度の液晶テレビの世界販売台数について、1,000万台に倍増させる計画を明らかにしました。親会社となった台湾の鴻海精密工業への委託生産も年内に開始し、フィリピンやインドネシアなど新興国で進む、ブラウン管からの買い換え需要に対応します。一方で国内生産に関しては、「撤退する気はない」と説明しました。



日英首脳会談 EU離脱後 進出企業に配慮
ニューヨークを訪問中の安倍総理大臣は20日、イギリスのメイ首相と初めて会談し、EU=ヨーロッパ連合から離脱した後の経済関係の維持・強化や、北朝鮮への対応について連携していくことを確認しました。イギリスのEU離脱問題をめぐっては、日本企業の一部などから貿易体制の継続を懸念する声が根強く残っています。メイ首相は「日本企業がビジネスを継続できるよう取り組む」として日本企業への配慮を約束し、今後も二国間の貿易・投資関係を維持・強化していくことを確認しました。また、両首脳は北朝鮮に対する制裁強化に向けて、緊密に連携していくことでも一致しました。



総裁任期延長の議論スタート
自民党は、政治制度改革実行本部の役員会を開き、総裁任期の延長について、議論を始めました。会合では、現在「連続2期6年」までとしている総裁の任期について、「連続3期9年」まで延ばす意見と、「再選の回数制限を撤廃する」という2つの意見が出ました。党内では、総裁任期の延長を議論することに不満の声もあり、議論は難航する可能性もあります。



救命胴衣並べ難民支援訴える
反難民感情が広がる中、ロンドンの中心部で19日、難民支援団体が難民が使っていた大量の救命胴衣を並べ、支援を訴えました。ロンドンのシンボル、ビックベンの前に並べられた救命胴衣はその数、2,500着。中東やアフリカからヨーロッパに渡ってきた難民が実際に着用していたものです。

《2016年09月20日 WBS・ワールドビジネスサテライト参照》
http://creampan.seesaa.net/article/442125061.html
マーケット/難民受け入れは是か非か(ロンドン支局/豊島記者報告)





■今日の予定

日銀金融政策決定会合の結果発表
8月貿易統計
8月訪日外国人客数
米FOMC声明文
イエレン議長会見




■【コメンテーター】三菱東京UFJ銀行/鈴木敏之氏

・FOMC、9月利上げ

--日本時間あす未明のFOMCですが、弱い指標も出ていますが、今回9月の利上げはどうですか。ほぼないとみていいですか。

「イエレン議長は市場の織り込みが少ない場合には、おそらくやらないということでありますので、今回は見送りだと思います。ただ、この先についてはまだ利上げの目は残しておく、これが標準的な見方だと思います。」

--ただ利上げをしたいという人もいるわけですよね。

「FOMCの中にはおそらく半分以上の人は、かなりしたいというか、するのが当たり前ぐらいに思っているんだと思いますね。そこをイエレンさんと、この前のブレーナードさんの講演のような感じで、とりあえず今回は見送るというような感じだと思います。」






・日銀金融政策決定会合

--日銀追加緩和があるかどうか、そして総括はどうなのか。

「私どもでは、総括的な検証の説明に、今日はとどめて、実際の政策発動というのは11月を待つのではないかというふうに考えております。」

--それはなぜ11月だという言うふうにみているんでしょう。

「もちろん総括的な検証をやって、必ずしも例えば2%のインフレに向かうというところが確実ではありませんので、おそらく追加緩和は要るんだろうということなんですけれども、一番の理由は、イギリスのEU離脱というのがもっと世界を荒らすというふうに、中央銀行の人たちがみんな考えていたんだろうと思います。それがある程度、落ち着きをみていて、先に延ばせば延ばすほどほかの中銀の動きとか、今回発表する総括的検証から出てくる政策について、どういう反応があるのか、見極められますから、ちょっと時間を置く。それから今までのやり方ですけど、展望レポートと時期を同じくするというところがあると思います。」

--これがスケジュールですね。今日日銀がありまして、そのあとFOMC、ECBと、様子を見てからでも遅くはない。10月31日からの決定会合で展望レポートが発表になります。

 9月21日FOMC
10月20日ECB理事会
10月31日~日銀金融政策決定会合
11月1日~FOMC
11月8日大統領選

「ほかの中銀も日銀の様子を見ていますから・・・」

--そうですね、お互い様子を探っているような感じがありますが、ただ最新のモーサテサーベイでは、依然5割近い人が9月、今回(緩和が)あるというふうにみています。ですからなかった場合の反応というのが、先ほど為替でも(話が)ありましたが、ちょっとマーケットが心配ですね。

「そうですね。ここは非常に大きな問題なんですね。戦中アメリカへ行っておりましたけれども、やっぱり外国人のプレイヤーから見たら、検証でこういう緩和が要ると言ってやらないんはおかしいじゃないか、と結構そういう質問・疑問というのは持たれています。それからいま大容量高速取引がかかりますから、例えばプレスが緩和なしというふうに打ったとすれば、大きな反応が起きてしまうということがありますけれども、ただその先しっかりした緩和策を出すのであれば、その問題は解消でき、見送るメリット、次を待つメリットのほうが大きくなると思います。」






・日刊モーサテジャーナル/注目のFOMC、欧米氏が予想

--ドル高やLIBOR金利の上昇について

「実際には、ある程度の引き締め効果が出ているというのは、これはブレイナードさんが利上げに反対する主張をするときの1つの論点なんですけど、これから金利が社債のスプレッドや住宅ローンに波及していくと、FEDによる利上げが難しくなるというのは見ておくべき大きなテーマだと思います。」

--ですから利上げをする、すると言って、その期間が長ければ、長いほど、引き締めの期間が実は緩やかに長く続いているということですよね。

「アメリカ経済は結構元気ですから、ある程度それを受け入れるほうが、バランスとしてはいいかもしれないですね。」





・今日の経済視点r-star.jpg

--何と読むんでしょうか。

「アールスターと読みます。自然利子率というんですけど、これを元に金融政策をとるというのが、今年に入ってから特に皆さんの考え方が強まってきたと思います。インフレ目標というのがあったわけですけれども、もうデフレの克服には、インフレ目標ではやりきれないということで、この自然利子率からどれだけ政策金利を離しておくかというところが問題なんですけど、今日、革命がおこるかもしれないというので、ここに 『 t 』 を付けているんですね。今までは1つの自然利子率だったんですけれども、ひょっとして日銀はこれからイールドカーブという長い期間ごとにその辺を設定してくる、その布石になるかもしれないということで、今日が革命記念日になるかもしれない。」

--それがマーケットにしっかり理解できるかどうか、それから長期の、例えばイールドカーブというのはそんなに調整できるものですか。

「だから、総括的検証と実施を分けるというのは、そこの教育の時間というのが要るんじゃないかなと思います。」