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2017.3.31 Newsモーニングサテライト

2017年03月31日 17時29分11秒 | MS
【本日のコメンテーター】慶応大学教授/白井さゆり氏(前日銀審議委員)

■マーケット

NY株そろって上昇
30日のNY株式市場は3指数とも上昇。先週のオバマケア代替法案取り下げのショックからは立ち直ってきているものの、さらなる上値を狙う材料には乏しいようです。去年10月から12月期のGDP確定値は小幅に上方修正。また雇用関連の指標も引き続き底堅く、株価を支えました。ただ3月の動きを見ると、ダウは下落した分の半分をようやく取り戻す水準。さらなる上値追いには、新しい材料が必要なことは確かなようです。1月から3月期は新政権の期待感が相場を動かしましたが、4月以降はより具体的な内容が求められ、市場の目も厳しくなりそうです。終値です。ダウは69ドル高の2万728ドル。ナスダックは16ポイント上昇し5,914。S&P500は6ポイントプラスの2,368でした。セクター別騰落率です。典型的なリスクオンの相場でした。金利が上昇し金融が1%以上の上昇。逆に下落はデイフェンシブの代表格、公益や生活必需品でした。

【NY証券取引所中継】1-3月期決算 増益率↑か
解説はホリコ・キャピタル・マネジメントLLCの堀古英司氏

--今日は底堅い動きですね。

そうですね。去年の第4四半期のGDPが上方修正されたこともありまして、最近少し調整局面にあった金融がリードする形で、上昇して引けております。

--さて来週から日本では新年度、アメリカではいわゆる第2四半期に入りますね。

はい、そうですね。注目ポイントはやはり再来週から始まる1-3月期決算だと思います。ファクトセットの集計によりますと、この1-3月期は、2011年の第4四半期以来の高い伸びとなる、9.1%の増益が予想されております。当然のことながら、まだ税制改革が実施されておりませんので、それをやらなくてもこれだけ増益が期待できるという状況です。

--今年の1月期は常に割高感が指摘された印象ですよね。

そうですね。こういう時期、とにかくPER(株価収益倍率)が一番高く見える時期だと思うんですよね。こうやって増益が始まって、利益がリードする形で、株式の上昇を引っ張る。いま株価収益倍率は20倍近くですけれども、、これは予定通り伸びていきますと、(2017年は)17倍台まで下がりますので、割高感はなくなります。4~5月にかけては確定申告の期限なんかもありまして、需給的にもいいですし、こうやって決算もいいですので、両面から株価の上昇が期待できると思います。
 

【NY証券取引所中継】トランプ旋風後の株式相場は?
解説はホリコ・キャピタル・マネジメントLLCの堀古英司氏

--底堅い動きでしたね。

そうですね。2第4四半期のGDPが上方修正されたこともありまして、最近、調整局面にありました金融を中心に上昇して引けております。

--さてトランプ旋風に沸いた今年、第1四半期も今週で終わりで終わりですね。

(フリップ1:大統領選挙後10%以上上昇)
大統領選挙後、S&P500指数は10%程度上がっていますけれども、これは単純に年率に換算しますと、24%上がることになるんですね。これで市場関係者はハッピーかもしれませんが、実はトランプ政権にとって良くないんですよね。

(フリップ2:株↑20%以上で4年後の勝利の大統領なし)
《S&P500上昇率(11月~翌10月)》
・ 1988年 ブッシュ大統領 22.0%
・ 1996年 クリントン大統領29.7%
・ 2012年 オバマ大統領  24.4%

というのは、過去50年間で大統領選挙で勝って、その1年間で20%以上株が上昇して、4年後に勝った大統領はいないんです。

--なるほど、これは理由はあるんですか。

はい、おそらく株価というのは、企業の業績の伸び率を反映していくものであって、単に大統領に対する期待だけで上がっていると、やはり最後には帳尻が合うものになっているからだと思います。

(フリップ3:負けた年は株上昇率10%以下)
《S&P500上昇率(前年11月~10月)》
・ 1992年 ブッシュ大統領  6.7%
・ 2000年 クリントン大統領 4.9%
・ 2008年 ブッシュ大統領-37.5%
・ 2016年 オバマ大統領   2.3%

実際、90年代に現職またはその党の候補が敗れたときは、いずれもS&P500は10%以下の伸び率になってます。

--それでこの結果をどう理解したらいいんでしょうか。この先を見ると・・・。

はい、私はトランプ政権の経済閣僚は、特に史上最強メンバーだと思っているんですけれども、ということで、こういう傾向は絶対に知っていると思うんですね。要するに、初年度に飛ばし過ぎてはいけないという傾向は知っていると思うんです。ですので今ワシントンでオバマケアの見直しとか、税制改革の遅れとか、いろいろニュースが出ますけれども、実は遅れてもそんなに悪くないんじゃないかと思っている可能性があると思うんですよね。ですので投資家が前のめりになっていると、裏切られる可能性もありますので、この辺も含めて考えておくべきだと思います。
 

【為替見通し】注目ポイントは「米経済指標」
解説は三井住友銀行NYの柳谷政人氏

--まずはNY時間を振り返ると、どういう動きだったんでしょうか。

本日は第4四半期確定値GDPが発表され、結果は前回分から上方修正、特に個人消費は3.5%まで大きく上方修正されたことが好感されました。米国債利回りが上昇する中、ドル円も堅調に推移し、111円台後半まで値を戻してきています。

--今日の予想レンジは、111.25円~112.25円、注目ポイントは「米経済指標」です。

本日は月末、特に本邦税にとっては期末に当たりますので、実需筋からの円買いには注意をする必要がありますが、米国経済は堅調であり、基本的にはドルは強含みで推移するものと考えています。先週は米国の政治にフォーカスが当たり、オバマケアの改革法案が通る、通らないなどの事態を嫌気して、リスクオフへと動きました。さて次はいといと市場が期待する税制改革、インフラ投資ですが、詳細が聞こえてくるのはまだ先のことになりそうなことから、市場で考慮すべき政治的材料が直近として見当たらなくなったことで、シンプルに米国経済に戻ってくると考えています。

フリップ:米経済指標の予定)
3月31日(金) 2月個人所得、2月個人消費支出
4月 3日(月) 3月ISM製造業景気指標
4月 5日(水) 3月ISM非製造業景気指数
4月 7日(金) 3月雇用統計

あとは個人所得の指数に注目ですし、来週はISM、雇用統計と重要指標が発表されますので、注目したいと考えています。

【日本株見通し】注目ポイントは「トランプ相場の変容」
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏

--今日の予想レンジは、19100円~19300円です。

円安、米株高と条件が揃っていますので、年度末相場は反発ということになりそうです。

--注目ポイントは「トランプ相場の変容」です。

直近でもオバマケア代替法案撤回ということもありまして、トランプ政権への政策実行能力に対する疑問が浮上しているということだと思うんですね。今後は減税策に希望をつなげますけれども、当初案よりも規模は縮小する懸念も出てきている。これを受けて、マーケットのほうでは、もう既に織り込みに行く動きというのが出ていると思います。

(フリップ1:年明け以降ハイテク株が好調)
S&P500の業種別指数をご覧いただきたいんですけども、上のほうにありますテクノロジー、あるいはソフトウェア、先ほどナスダックは高値という話がありましたが、非常に好調で、アップル、アマゾン、フェイスブックといった辺りが上場高値を更新しているんですね。ところが去年11月、12月相場で、熱狂的な相場をやった素材・金融が横ばい、エネルギーは原油価格が下がったこともありましてマイナス圏で推移ということで、去年の11月、12月の物色と全く一変しているということが言えると思います。

--日本株でもこれは同様と見ていいんでしょうか。

そうですね。そのままアメリカの物色動向を日本株に適用できるというふうに思うんですが、足下でも半導体あるいは製造装置、例えば東京エレクトロン、あるいはスクリーンホールディングス、それからFA関連、これはファナックやキーエンスなんですけれども、こうした好業績の優良株というのは昨年初来高値、あるいはその近辺で推移ということなんですね。つまりトランプ政権の恩恵を受けるかどうかよりも、ビジネスモデルがしっかりして、高収益の株が物色される、いわば相場の原点に返るという状況ですので、4月以降もこの傾向は続く、新年度相場にも備えられるということだと思います。
 

■【プロの眼】物価目標2%の“受け入れ姿勢”
各国のインフレ率はイギリスではコアでも2%に到達。ヨーロッパ、アメリカでも2%に向けて上場し始めている。一方日本は「取り残されている状況です。この結果の違いの理由の1つには家計が2%をきちんと認識し、さらに2%の目標を受け入れている事にあると言います。解説は前日銀審議委員 白井さゆり氏。
 
--さて今日はユーロ圏の消費者物価指数が発表になりますけれども、2月は2%を付けましたし、イギリスはエネルギーと食料品を除いたコアでも2%にいくなど、物価上昇が見えてきている中で、一方で日本はなかなか追いつきませんね。

(フリップ1:インフレ率、日本は取り残される)
「そうですね。こうした物価動向の違いの1つとして、例えばイギリスの例を挙げますと、2%のインフレ目標について、(家計が)しっかりと認識しているということ、そして受け入れているということが重要で、やはり目標の達成には、こうした家計の受け入れ姿勢というのが非常に大事になりますね。」

--イギリスはここ(2%)まで上昇しているんですが、家計の受け入れ態勢ってイギリスではそんなに物価ですとか、物価上昇への理解ってあるんですか。

(フリップ2:英2%インフレ目標について)
「そうですね。イギリスの家計に対する意識調査というのがありまして、例えば2000年からずっと、この2%のインフレ目標について、妥当だと思う人たちが50%程度なんですね。それに加えて、この目標が低すぎると考える人たちを加えますと、ずっと60%程度で推移しておりまして、いかに市民の方たちがこの目標の理解が浸透していて、受け入れているか。言い方を変えますと、家計のインフレ予想が2%程度で、安定しているということなんですね。そうした見方を中銀であるイングランド銀行もしているわけですね。」

--では日本はどうなんでしょうか。物価目標2%への理解度。

(フリップ3:日本、物価目標2%の理解度)
「同じような意識調査がありまして、やはり2%の目標について、『知っている』という人たちが3~4割ですね。『知らない』あるいは『聞いたけど、ほとんど知らない』という人たちが6~7割で、この比率は13年から現在までほとんど変わっておりませんので、やはり2%目標の理解が浸透しているとは言い難いという状況です。」

--あれだけ、異次元緩和だと、番組でもお伝えしているんですけれども、なかなか消費者の皆さんには伝わっていない。でもこれって知らないと同時に、そもそも日本だと物価上昇に対するアレルギーがありませんか。

(フリップ4:日本、物価上昇に対する意見)
「そうですね。いつはそうなんですね。量的質的金融緩和以降に、急激に円安が進みまして、物価が上がりました。その上に消費税の引き上げというのがありまして、物価が高いと思っている人たちの割合がいま大きく増えておりまして、7~8割になるんですね。その人たちの8割が物価の上昇は好ましくないというふうに考えております。」

--そうですよね。ただ、あの局面、なぜ物価の上昇に拒否反応があったかというと、賃金上昇が着いて来なかったからというのがありませんか。

「はい、イギリスの場合、現在、賃金が2%を超える水準で伸びていますね。日本は量的質的金融緩和以降の物価上昇で、実質賃金が大きく下落しまして、昨年ようやくプラスになったんですけれども、もっと重要な、これから賃金が上がっていくだろうという予想については低い、下がっていくいう見方が、今も圧倒的に多いですので、そういう意味で負担があると思いますね。よくアメリカの有識者のほうから、日本に対して超金融緩和と財政拡大を合わせて、インフレを引き上げるべきだというような見方がされますけれども、家計から見れば、インフレであろうと、増税であろうと、負担という点では何の変りもありません。ですからこういう状況で家計がなかなかインフレをすぐに容認するかというと、ちょっとその考え方を受け入れるかどうかというのは、疑問符が付くと思いますね。」

--いわゆるシムズ理論といった考え方だと思いますけれども、4年連続で賃金を上げようという動きにはなっていても、まだ足りないのかなとなると、では何をしたらいいんでしょうか。

「やはり賃金が着実に上昇していって、これからも賃金が上がるという予想に変わっていくということが大事で、もっと重要なのが、年金を含む社会保障制度が信頼できるというふうに国民が思うということが大事で、もし財政拡大する場合には、そういった構造改革も一緒にやる必要がありますね。日本銀行も、自分たちのやっている政策が、何をしようとしているのか、もっと国民に分かり易い言葉を使って説明することは本当に重要だと思いますね。」
 

■【中国NOWCAST】火花散る民泊戦略
今回の中国ウオッチャーは岡三証券の紀香(きのかおり)氏です。ピックアップトピックは「再び注目!一帯一路」「火花散る民泊戦略」です。一帯一路は2013年に習金平氏が提唱した中国と欧州を結ぶ一大経済圏を作るという大規模な構想ですが、保護主義的な考えを持っているアメリカのトランプ政権に対してけん制したい狙いがあり、今年は特に力を入れることが考えられるということです。

【今週のピックアップトピック】
(1) 「再び注目!一帯一路」
(2) 「火花散る民泊戦略」

(1) 「再び注目!一帯一路」
(フリップ1:「一帯一路」構想)
「一帯一路」は、2013年、習近平が提唱した中国とヨーロッパを結ぶ一大経済圏を作ろうという大規模な構想です。

《岡三証券/紀香氏》
「今年は5月に初めて一帯一路のサミットが開かれる予定になっていますので、それに向けて中国としては、「一帯一路」構想の効果が表れてきたというところを主張したい。それから中国の影響力を高めていくということを実現していきたい。」

香港の調査機関のデータでは、2016年の実質GDP成長率の平均は、新興国3.6%、一帯一路の沿線国は4.6%という結果も出ています。

《紀香氏》 「保護主義的な考え方のトランプ政権に対して、牽制したい狙いがあるということで、今年は特に力を入れていくということが考えられます。」
 
(2) 「火花散る民泊戦略」
「途家(トゥージャ)」と「エアビーアンドビー」開戦か?、との新聞の見出し。今月、民泊仲介世界最大手のアメリカのエアビーアンドビーが中国で投資額を2倍にするなどの発表をしました。また、それに対抗する形で中国国内で民泊仲介大手“途家”も今年の戦略を発表しました。

《紀香氏》 「『途家』が発表した戦略の中で、中国企業ならではというふうに感じたのが、不動産業者と提携するということと、地域化を目指すというところですね。不動産デベロッパーと提携することで、投資目的で保有している不動産を民泊として有効活用できる、空き家対策としても有効というようなことも考えられます。」
 

(フリップ2:17年は50億人超え?)
中国国内の旅行客数は2015年は約40億人、今年は50億人を超えると予想されています。旅行者の増加が中国の民泊市場の後押しとなるでしょうか。

 
 

■日経朝特急

一面トップは、ニュースでも伝えた、「東芝の半導体メモリー事業の分社を決議」の記事。
 

東芝、防衛部門は継続
東芝は探知レーダーなど、防衛分野の半導体事業については、継続する意向を防衛省に伝えていたことが分かった。安全保障上の懸念に配慮した。
 

送金効率化へ世界連合、三菱UFJは米欧豪6行と来年
三菱東京UFJ銀行は、来年初めから仮想通貨技術を活用した次世代の国際送金サービスを始める。アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどの大手6行と連携する。これまでのような送金を中継する銀行などが不要になり、即時決済が可能となるほか、高止まりしていた手数料も安くなる見通しだ。
 

働き方改革、人材・機械期待
働き方改革が投資戦略の軸になりそうだ。有力運用会社のファンドマネージャーに新年度の投資戦略を聞いたところ、働き方改革からどのような影響を受けるかが、業種を選別するうえでの大きな判断基準になっていることが分かった。人手不足が追い風になる人材サービスなどが有望視される一方、人件費増加が負担になりそうな小売りなどは敬遠されている。
 

■日刊モーサテジャーナル

アメリカ、石炭ではなく“ガスの時代”到来か
アメリカのトランプ大統領が環境規制を緩和し、石炭の生産を促す方針を打ち出したが、その実効性に懐疑的なフィナンシャルタイムズは、「 The power shift to gas 」との見出し。火力発電に使われる燃料について、「石炭ではなく比較的安いシェールガスの利用が広がる」、と見ている。東部ペンシルベニア州にあるニューキャッスル発電所は、コストが高い石炭による発電を続けたことで、経営が一時行き詰まったが、燃料をガスに変えたことで状況が一変、ここで働く40人の雇用を守ることができたという。経営幹部の一人は石炭による発電の未来は暗いと強調した。
一方、ニューヨークタイムズは、東芝の子会社ウェスティングハウスが連邦破産法11条の申請したことについて、「背景には、原発に対する需要の減速があるのでは」、と分析。「ガスの価格の下落によって、原発建設の経済的合理性は失われつつある」、と論じている。

 
借入金急増、株高への自信か(ウォールストリートジャーナル)
トランプ相場に陰りが見える中でも、株などの投資するための借り入れが急増。アメリカの投資家は株高の傾向はまだまだ続くとみているようだ。ニューヨーク証券取引所によると、2月の投資家による借入額は5282億ドル(前月比↑2.9%)で、ここ2年で最も高い水準だという。投資家の相場観を表すとも言われる借入金の動向だが、ある専門家は、「借り入れの急増は、投資家が株は上がり続けるだけだと信じ切っている証なのかもしれない。」、と警鐘を鳴らしている。
 

国境の壁、問い合わせ殺到(ウォールストリートジャーナル)
物議を醸しているアメリカとメキシコの国境の壁を巡り、ビジネスチャンスだと見る企業は少なくないようだ。記事によると、これまで大小200を超える企業が入札への参加を検討すると表明。政府への問合せは予想を超え、入札申込の締切は延長された。ただ、事業の規模など詳細は未定。アナリストは、「最終的にいくつの会社が参加を希望するのか、よく分からない」、と述べている。
 

・ 「アメリカ、石炭ではなく“ガスの時代”到来か」について

--トランプ大統領は、環境規制を緩和するということで、石炭というのはどうなんでしょうね。この動きは・・・。

《前日銀審議委員/白井さゆり氏》
「規制を緩和して、石炭の生産コストを下げて、みんなに使ってもらおうということですよね。シェールガスとの競合を高めて、もっと全体のコストを下げるということは、短期的には家計にとっていいですけども、長い目で見れば、石炭というのはやはり環境汚染ということもありますので、それはアメリカ国民にとっても、世界にとっても、どうなんだろうかという、長期的な視点も必要なんではないでしょうかね。」


■今日の予定

2月消費者物価指数
2月有効求人倍率など
中国3月製造業PMI、非製造業PMI
3月ユーロ圏消費者物価指数
米2月個人消費支出
 

■ニュース

米 日本製鉄鋼に反ダンピング関税
アメリカの商務省は30日、日本や韓国など8ヵ国・地域で生産された鉄鋼製品を対象に、反ダンピング関税を課す方針を決めました。トランプ政権が日本製品への制裁関税を決めたのは初めてです。対象となる日本企業の税率はJFEスチールが48.67%、東京製鉄が14.79%などです。アメリカの国際貿易委員会が最終的に認定すると関税の適用が確定します。アメリカのロス商務長官はワシントンで開かれた会合で、「海外企業の不当廉売や過剰生産に苦しむアメリカの鉄鋼業界を救う」と強調しました。
 

米 トランプ政権 NAFTA 小幅な修正か
アメリカのトランプ政権は、NAFTA=北米自由貿易協定の再交渉でメキシコやカナダに対し、大幅な修正は求めないもようです。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。通商代表部が議会に提出した原案の中で明らかになったもので、これまで撤廃を主張していた紛争解決機関について存続を認めるほか、貿易赤字の数値目標の設定を見送る方針だということです。この報道についてホワイトハウスのスパイサー報道官は先ほど、「政府としては何も公表していない」と述べるに留めました。 
 

米 GDP確定値 ↑2.1%に上方修正
アメリカの去年10月から12月期の実質GDP=国内総生産の確定値は、前の期に比べ2.1%のプラスと、先月の発表から0.2ポイント上方修正されました。設備投資は下方修正されたものの、個人消費は0.5ポイント上方修正され、アメリカ経済の力強さが示されました。
設備投資 ↑0.9%(0.4ポイント下方修正)
個人消費 ↑3.5%(0.5ポイント上方修正)
 

クリーブランド連銀総裁「年内に資産縮小を」
クリーブランド連銀のメスター総裁は講演で、予想通りに経済成長が続けば「年内に保有資産の縮小を始めるのが適切」との認識を示しました。縮小は、再投資の停止から始めるべきとしています。また、アメリカ経済の先行きについては「来年にかけて2%程度の成長率を維持する」との見方を示しました。
 

米 失業保険申請 25万8,000人
アメリカの先週1週間の新規失業保険申請者数は、25万8,000人と前の週から3,000人減りましたが、市場予想は上回りました。トレンドを示す4週移動平均は、7,750人増加し、25万4,250人でした。
 

韓国 朴前大統領 逮捕
韓国の裁判所は収賄などの疑いで逮捕状が請求された朴槿恵前大統領に対して、逮捕を認める決定をし、朴前大統領は直後に逮捕され、身柄をソウル拘置所に移されました。

《中継:ソウル/和田高記者》
裁判所の審査で、朴容疑者は収賄や職権乱用など13の容疑をすべて否認しましたが、裁判所は「証拠隠滅の懸念があり、逮捕の理由と必要性、相当性認められる」と指摘し、検察の主張を認めました。また共犯の崔順実被告や、贈賄側のサムスンの事実上のトップ・李在鎔被告などが逮捕されていることから、扱いのバランスを考えたものとみられます。大統領経験者としては、1995年の全斗煥氏や盧泰愚氏に続き3人目の逮捕者です。検察は大統領選が始まる来月中旬までの起訴を目指し、容疑の裏付けを進める方針です。
 


森永製菓と森永乳業 経営統合を見送り
森永製菓と森永乳業はきのう、検討していた経営統合を見送る方針を発表しました。両社は「現時点での検討を終了し、それぞれの事業戦略への注力で経営基盤の強化を図る」としており、経営の独立性を保ったうえでの協業については検討を続けます。両社とも業績は好調で、商品開発では既に連携を進めています。統合の効果が想定ほど見込めないこともあり、それぞれ独立したままで経営基盤の強化に力を入れます。
 

東芝 株主総会 半導体の分社を承認
経営再建中の東芝は、きのう株主総会を開き、主力の半導体メモリー事業を分社化することを賛成多数で可決しました。経営破たんした原発子会社ウェスチングハウスの巨額損失の穴埋めにより、今期の連結決算は最大で1兆100億円程度の最終赤字に陥る可能性もあるなか、半導体メモリーの新会社をより高く売却し、再建に向けて財務体質の立て直しを急ぎます。
 

英 ブレグジット 保険ロイズ ベルギーに新会社
イギリスのEU離脱を受け、金融機関が新たな拠点づくりを本格化させています。世界最大の保険組織イギリスのロイズ・オブ・ロンドンは30日、2019年にベルギーのブリュッセルに保険会社を設立すると発表しました。また、JPモルガン・チェースはアイルランドのダブリンに、シティーグループもEU域内に、新拠点を設ける検討をしているということです。
 

ウェスチングハウス 英で原子炉承認
経営破綻したウェスチングハウスは30日、イギリスで新たに建設を計画している最新型の原子炉について、原子力規制局から承認を得ました。このあと建設地でのライセンス取得に向けたプロセスに入りますが、巨額の資金が必要とされる原子炉が完成できるかどうか疑問視されています。
 

北朝鮮とマレーシア 金正男氏の遺体引き渡しで合意
北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、北朝鮮とマレーシアはきのう、遺体を北朝鮮に引き渡すことで合意したとする共同声明を発表しました。発表された共同声明によりますと、両国は正男氏とされる遺体について北朝鮮にいる家族に引き渡すことで合意しました。また、共同声明によると、両国の国民の出国を禁止する措置を解除することでも合意し、殺害事件への関与で手配されている北朝鮮の大使館職員と高麗航空の職員とみられる男性2人がマレーシアを出国し、北京に向かいました。殺害の証拠となる遺体が北朝鮮に渡ることで、事件の真相究明は極めて困難になった形です。
 

衆院でヘルメット着用訓練
衆議院できのう、本会議場に防災用ヘルメットが配備されたことを受け、着用訓練が行われました。訓練では座席の下に収納された折り畳み式のヘルメットを議員が一斉に着用しました。大島衆議院議長は「災害は、いつやってくるかわからない。緊張して対応することを期待する」と防災意識の向上を呼びかけました。衆議院では今回の配備に際し、大臣用の20個を含む498個を購入しました。
 

ヨーロッパ委員会 ユンケル委員長 「分裂あおるなら“報復”も」
ヨーロッパ委員会のユンケル委員長は30日、マルタでの会合で演説し、トランプ大統領がEUの分裂をあおり続けるなら報復も辞さないと発言しました。ユンケル委員長は「トランプ大統領は他の国もEUを離脱するよう働きかけている。これが続くなら私もオハイオ州とテキサス州に独立を働きかけたい」と述べ、けん制しました。オハイオ州やテキサス州で実際に独立の可能性が取り沙汰されているわけではありませんが、EUの結束が大事な時期に、アメリカの口先介入に神経をとがらせているようです。

 
■【ネタのたね】ペットグッズ展示会 進む健康志向
東京江東区で開かれているペット関連グッズの展示会、インターペット。17の国と地域からおよそ400社が出展しています。ペットの世界でも高齢化が進む中、今年の展示会はペットの健康を意識したグッズがたくさん集まっていました。

・ ハッピー米粉プチロールケーキ 1個1080円(税込み)
・ ペット供養のためのメモリアルグッズのバイアスアーン 15800円(税込み)
(ペットの遺骨や遺影から樹木を育てるキット)


■【本日のコメンテーター】慶応大学教授/白井さゆり氏(前日銀審議委員)

・ 米経済は強い、金融政策どう読む

--アメリカのGDP確定値を見ますと、やはりと内需・消費が強いですね。

「そうですね。もともとずっと消費主導の成長なんですけど、やはり1つは、雇用がいいということと、もう1つは、ガソリン価格が1ガロン=2ドル台でずっと推移してますので、これは非常に大きいと思いますね。この感じですと、アメリカも利上げをあと2回順調にしそうですね。6月、9月ですかね。その後に11月か12月に再投資を停止していくという流れじゃないか、というふうに見ています。」

--保有資産の縮小という動きにも入っていくだろうということですね。
 

・ きょうの経済視点 「日銀短観」

「私は来週月曜日に発表されます日銀短観に注目しています。特に大企業の製造業の業況判断と、想定為替レートが非常に重要だと思っています。大企業製造業については、業況判断は、足下は世界経済は非常に良くなってきていますので、かなり12月から比べますと、改善すると思うんですけれども、注目点は、これから3ヵ月後の見通しが、トランプ大統領になって初めての調査ですので、それ以降の大変な訴訟とか、なかなか政策がうまくいっておりませんので、そこをどう織り込んでくるのか、おそらく見通しについては下がると思いますけれども、どの程度下がるのか、それから想定為替レートが12月の時には105円でしたけれども、今回もそのレートなのか、円高なのか、円安なのか、どう見ているのか注目しています。」
 

2017.3.30 Newsモーニングサテライト

2017年03月30日 20時12分04秒 | MS
■【本日のコメンテーター】大和証券/木野内栄治氏

■マーケット

NYダウ反落 42ドル安
29日のNY株式市場は少し一服モード。ブレグジットの手続きが正式にスタートしたことや、複数の連銀高官の発言も大きく方向感を決めるほどではなかったようです。EU離脱の通知は想定通りのスケジュールで現段階では市場に混乱もなく「噂で売って事実で買う」を地で行くかっこう。ただ手続きは2年の長丁場だけに、今後相場の振れ幅を大きくさせる要因になり得るとの警戒はあるようです。連銀高官の発言は年内利上げが「あと1回」との主張の一方で「あと3回」との意見もあり、判断は難しいところです。ガソリン在庫が想定以上の少なさで原油価格が終値で3週ぶりの高値となり株価の下値を支えました。終値です。ダウは反落、42ドル安の2万659ドル。ナスダックは4日続伸。22ポイント上昇の5,897。S&P500は続伸。2ポイント上昇の2361でした。29日のセクター別騰落率です。原油価格の上昇をうけてエネルギー関連が1%以上の上昇と大きな動きでした。金利低下で金融が下落。またディフェンシブの一角もさえない動きでした。

【NY証券取引所中継】米金利動向に注意
解説は岡三証券NYの松村梨加氏

--高安まちまちでしたね。

はい、本日はナスダック指数はしっかりしていましたが、ダウは冴えない展開となりました。原油先物価格の上昇など、好材料も見受けられましたが、トランプ政権の政策運営能力に対する懸念がくすぶるような状況となりました。

--さて金利の動きについて、松村さんはちょっと気になる点があるようですね。

(フリップ:拡大から縮小へ)
はい、アメリカの10年国債と2年国債の利回り差は、昨年11月の大統領選後に拡大していましたが、昨年末あたりから縮小傾向となり、足下もフラット化が進んでいる状況です。イールドカーブのフラット化は、後退局面の予兆となる場合がありますので注視が必要と考えています。

--景気拡大期待で長期金利は上昇するだろうとの見方が高まっていますよね。

はい、ただ、再建投資家のなかでは金利の先高観が後退しているとみられます。本日、シカゴ連銀のエバンス総裁が、「アメリカの経済成長には上振れリスクがある」、としながらも、「年内あと1~2回の利上げは可能だ。また、より暗いシナリオへの回帰を余儀なくされる状況では、金利を再びゼロ付近に引き下げるという利下げ能力が必要だ」、と慎重な発言をしたことも市場の警戒感を裏付けているかもしれません。
 

【NY証券取引所中継】住宅市場の懸念材料
解説は岡三証券NYの松村梨加氏

--全体としては方向感がなかったようにも見えますね。

そうですね。本日は原油先物価格の上昇など、好材料も見受けられましたが、トランプ政権の政策運営能力に対する懸念がくすぶるような状況でした。

--さてトランプ政権誕生後、住宅金ローン利も上昇しています。住宅市場への悪影響も心配されていますよね。

(フリップ:購入意欲は旺盛)
はい、ただ、現時点ではそれほど悪影響は出ていないようです。連邦抵当住宅公社のファニーメイが算出している住宅購入信頼感指数をみると、2月は高水準で、消費者の住宅購入意欲の高さが伺えます。人々の中では住宅の価格も今後上昇するとの見方が増えてきているようで、費用の増加を懸念して、住宅の購入を検討する動きがあるようです。

--これはどのぐらいのコスト増になるんでしょうか。

住宅用品大手のホームデポでは、住宅ローン金利が0.25%上昇すると、金利負担は月額約40ドル増えると試算しています。直近2月24日の週のローン金利は、大統領選直前の週に比べて0.56%上昇していて、試算額にすると月額約90ドル(約1万円)ほどの増加になる計算です。またホームデポでは、所得が中央値の世帯では、金利の許容範囲を約7%と示唆していますが、そううなった場合、月に約5万7000円増える計算になります。

--なるほど、コスト増というのは購入を検討している若者には負担が大きくなりそうですね。

はい、18~35歳の若者、いわゆるミレニアル世代のうち約6割がクラスメイトや親と住んでいると言われています。こうしたなか、ファニーメイの2月の調査では、雇用に対する自信がミレニアム世代の中で高まていて、親元を離れ家庭を持つ兆候が高まってきているようです。ただ、最近は住宅の価格が上昇していることから、所得が相対的に低い若者は購入のタイミングについて、難しい決断を迫られているようです。
 

【為替見通し】注目ポイントは「米財政拡大への期待の変化」
解説はソシエテジェネラル銀行の鈴木恭輔氏

--まずニューヨーク市場を振り返っていかがだったでしょうか。

ドル円は111円近辺でレベルを変えていません。イギリスのEU離脱通告は既に織り込み済みで、為替市場での反応は限定的となっていますね。

--今日の予想レンジは、110.50-111.50円、注目ポイントは「米財政拡大への期待の変化」です。

先週のオバマケア代替案撤回を受けまして、ドルは大きく売られました。但し、投資家による財政拡大への期待は、24日の法案撤回よりも前に落ち込んでいたのではないかと思います。
(フリップ1:「財政拡大期待」剥落で売りポジション低下)
ここで投機勢の米国債の売り越しポジションを見ますと、21日時点で昨年の11月の水準まで急低下しています。これは3月のFOMCでは年4回の利上げの示唆が期待されていましたが、結局3回となった時点で、投資家が、『FRBは財政拡大を政策に織り込んでいない』、と判断したからと考えられます。この時点で、財政への期待の大部分が剥落していたと整理ができます。

--ではアメリカの政治リスクによるドルの下落は一時的と見ていいんでしょうか。

(フリップ2:ドルの下落は一時的?)
はい、一時的なものだと思います。トランプ政権に期待して上昇したドルは、ドル指数で見ますと、勝利前の昨年10月・11月のレベルに肉薄していて、大統領就任前の位置まで戻っています。今後のドル相場では、ファンダメンタルズとFRBの利上げが焦点になると見られます。
 
 

(フリップ3:強い指標確認でドル堅調地合いへ)
足下の6月のFOMCでの利上げ期待値は約50あ%で安定、米10年債利回りも年初の下限域を抜けずに推移してます。来週の雇用統計をはじめとして、経済指標で力強いが確認されれば、ドル堅調地合いに戻ると見ています。

【日本株見通し】注目ポイントは「権利落ち埋めはポジティブ」
解説は大和証券の木野内栄治氏

--今日の予想レンジは、19100-19300円です。アメリカがまちまちで返ってきました。

そうですね。手がかりがないです、一方で年度末ですから、もうあまり動かず、小動きといったところだと今日は思います。

--注目ポイントは「権利落ち埋めはポジティブ」です。

昨日は日経平均は132円ぐらいの配当落ちがあったんですね。その前までの株主は配当がもらえるんですが、昨日買った人はもう配当をもらえないので、その分値段が落ちるのが普通なんですけれども、昨日は上昇しているんですね。これを勘案しますと、140円以上の実は上昇だったということが言えるんですね。実はこの配当落ち分を埋めるかどうかというのは、相場のトレンドを映すことが結構多いんですね。ここ2年間は実は3月は配当落ちを埋めきれないで、マイナスが続いていたんですが、昨日で、もしかしたらトレンドが変わったかもしれません。2005年以降、日程平均は高値を抜けていなかったんですが、これが変わったかもしれないなぁということですね。

--でもどうして権利落ち日で相場のトレンドというのが分かるんですか。

権利落ち日になりますと、実質的に新年度商いになるんですね。逆に言ううと、年度内の売り圧力がここで測れるということなんですね。
(フリップ:1-3月期、金融機関は株売り)
(よって権利落ち日までにそれまでの動きの前に、)コチラの実際の今年の動きを見てみますと、金融機関はずっと株を売っていて、かなり直近も大きく売っていたんですね。今回はおそらく外国債券なんかの損を埋めるために、抱き合わせで株の益出しをしていたんだと思うんですが、昨日からはもう売っても年度内の売買にならないので、この売り圧力が昨日終わった。だから株価がよく上がる、好需給に影響したんだと思います。これまでの上値が重かった状況というのは、実はトレンドではなくて一時的なもので、4月は特にスッと上値が軽くなる。こういうことを表している可能性がある。そんな一日が昨日だったということで、4月は期待したいですね。
 

■【プロの眼】4月はトランプ相場の正念場

戦後4回の民主党から共和党へ政権が移行した年を見ると、必ず年後半は株安で、景気も後退に陥っている。トランプ政権誕生後、株価は堅調に推移しているが、過去の例からそろそろ潮目が変わり、下降傾向となるのか。大和証券の木野内栄治氏が解説する。

--さて4月、トランプ相場の正念場なんだ、ということなんですね。そろそろ潮目が変わってきたんでしょうか。

(フリップ1:4月~5月が正念場)
「そうなんですね。戦後4回、アメリカでは民主党から共和党に政権が移行しています。その時のNYダウの動きというのを見ましたのがコチラなんですが、ご覧いただきますと、年の後半は必ず相場が下がっているんですね。実はこの年に全て景気の後退期にも陥っています。今回、政策が似ていると言われるレーガンさんの時もやはり同じパターンだったので、今期待されてます減税などの効果が期待できるのは、実は今年じゃなくて、来年からなんだといういうことが言えそうです。このケースを見ますと、だいたい4月ぐらいにピークアウトしているケースが多いので、トランプ相場、今回も議会の共和党に縛られて、いま身動きが取れないですけれども、これが続いていくようだと、そろそろし潮目が変わるタイミングが近づいているということは言える言えるんですね。」

--さっきニューヨークからも、イールドカーブがフラット化していて、それは景気後退の予兆なんだみたいなこと、ありましたけれども、まさにこういうところを指していたわけなんですよね。でも、ただ、そうは言ってもトランプ大統領は公共投資に積極的で、共和党というよりは民主党寄りで・・・。

「そうなんですね。必ずしもこれが適用できないというのは、公共投資をこの秋からやれば、この秋に景気が後退するとか、株安なんてことは起きないですよね。ただ、これは財源がどうなんだという問題に今あって、オバマケアの縮小に伴う財源の捻出に失敗したのは結構痛いんですよね。こうなると公共投資に回すことができる財源として、いま考えられるのはレパトリ減税ぐらいしか残っていないなぁというふうに思います。レパトリエーション、アメリカの企業が海外で稼いだお金、海外に今プールしているお金が2.6兆ドル(約300兆円)近いお金がプールされているんですが、これを持って返ってくると税金を払うんですね。それで今は返ってこないわけなんですけれども、これを少し税率を下げて、レパトリを促して、税金を取ろうということも、可能性としては考えられるので、こういうものが出てくれば、これは素晴らしくアメリカのインフラ投資をサポートはしてくれるかもしれないということなんですね。

--ただ、レパトリ減税となると、ドル高になるということは分かっていますよね。

(フリップ2:米レパトリ減税実施でドル高)
「そうですね。2005年に1年間だけやりました。きっちり20円ほども円安ドル高になりました。こういう動きが早ければ、(早ければ)7月から実施される可能性は無くは無いということなんですね。そうなりますと、ドル高だし、インフラ投資ですから、日本株にとっては最高にいいなって話になるんですが、ただ、ちょっと気を付けないといけないのが、レパトリ減税をやるぞとなると、『レパトリを7月に先送りしちゃえ』ということで、一回ドル安が発生するということが考えられるんですね。これは2009年度に日本も導入したときも全く同じパターンでやっているので、この4月、レパトリ減税をやるぞ、という話が聞こえてきたら、一旦ドル安になるかもしれません。このケースではアメリカのインフラだとか、アメリカ株はいいんだと思いますけれども、日本株を考えるうえではちょっとネガティブかもしれないので、この4月はどっちにしても、トランプ相場の正念場かな、こんな風に思います。」
 

■【ワードバンク】HR(エイチアール)テック
解説は、矢内雄一郎キャスター、佐々木明子キャスター
 
(フリップ1:HRテック)
--(矢内) 今回のワードバンクのキーワードは「HRテック」です。HR=ヒューマン・リソース=人事と、テクノロジーを組み合わせた造語で、企業の人事・労務の分野にクラウドやビッグデータ分析を取り入れて効率化を図る取り組みを指します。

--(佐々木) 具体的にどういうことなんでしょうか。

(フリップ2:HRテック)
--(矢内) 主に採用管理、人事・配置、労務管理、育成・定着といった業務を後押しするサービスがここ2~3年で広がっています。
 
 
 

(フリップ3:日本のHRテック・クラウド市場規模)
導入する大手企業も増えて、市場規模は2021年にかけて現在の3倍、およそ600億円に拡大する見通しです。中でも成長が期待されているのが、青い部分、人事・配置の分野です。その最前線の動きを追いました。
 

人材データベースを手がけるベンチャー企業「カオナビ」。人事・配置業向けのサービスを行い、従業員の情報をクラウド上で管理できるシステムを開発しました。顔と名前、経歴などをひと目で分かるように見える化、ドラッグ・アンド・ドロップで人位配置がシミュレーションできるなど、事業目的に沿う組織づくりをスムーズにしています。クラウドを用いるため、管理できるデータは数万人でも可能です。

《佐藤寛之取締役》
「スピーディに経営をしたいと思う経営者ほど、優秀な人とのコミュニケーションや(従業員の)意欲向上へのニーズが強まっている。人の能力や個性の情報はもっと使って、もっと活躍させてあげないと、社員が不幸になるだろうというとこに、ようやく最近(企業が)気づきだした。」

一方、ネオキャリア(東京・新宿区)では勤務管理システムを扱っています。去年から始めた「jinjer(ジンジャー)勤怠」は自撮りをすることで出勤が打刻され、従業員のストレス状況を把握できるシステムです。その特徴はAI(人工知能)による笑顔判定。勤務表に労働時間と合わせて、その日の表情を点数化し表示します。その点数に残業時間や有給消化の回数などのデータを加え、仕事への意欲やストレスを総合的に判定、マークが3つ以下に減ると、担当者に知らせ、従業員の悩みの早期発見につなげる仕組みです。

一方で、人事担当者がやらなければいけない、手間がかかる公的書類の申請作業にもHRテックが活用され始めています。クラウド・ソーシングを展開するクラウドワークス(東京・渋谷区)は去年、社員数が2倍に増えたことをきっかけに、社会保険や雇用保険の手続きをインターネット上で行い、申請できるサービス「SmartHR(スマートHR)」を導入しました。電子申請には「e-Gov(イーガブ)」と呼ばれる総務省のシステムがありますが、画面の見方や入力が複雑だとの声が多く上がっていました。「SmartHR」は、この「e-Gov」と連携していて、あらかじめ従業員の基本情報を登録しておけば、最低限の入力だけで、個々の保険申請ができるシステムです。

専門家はHRテックの浸透には、ユーザー側のさらなる変化が必要と見ています。
《ミック経済研究所/樋口一則さん》
「今まで大量一括採用によって、『管理する人事』という意識が企業内に強い。そこから人事情報を分析し、データを活用することで、『価値を生み出す人事』に意識変革をしていくことが欠かせない。」

--(佐々木) いろいろなものが分析できるようですけど、こうしたHRテックというのは、どのぐらいの企業が採用しているんですか。

--(矢内) 例えば、人材配置サービスの「カオナビ」は、日清食品ホールディングスやサイバーエージェントといった大手をはじめ、450社が活用しています。また保険申請サービスの「SmartHR」は、現在およそ3800社が導入しています。

--(佐々木) 今後、生産性を上げる、働く環境を変えると言っていますけれども、これは管理する側も、より攻める管理というものが必要、意識改革が必要になってくるんですね。
 

■日経朝特急

一面トップは、先ほどニュースでも伝えた、英EU離脱通知や東芝の子会社の破産法適用申請が大きく報じられている。
 

学生バイトに奨励金
吉野家ホールディングスが学生バイトを対象にした奨励金制度を導入する。大学在学中に吉野家の店舗で週3時間以上働くことが条件で、卒業後に吉野家に入社し、4年勤務すれば返済が全額免除される。経済的な問題を抱える若者を支援し、外食業界を支える人材を育てる狙いだ。
 

手数料ゼロ役信など対象
積み立て型NISAの対象商品の条件が決まった。金融庁は来年導入が決まっている積み立て型NISAの対象商品の条件を、公募株式投資投資では販売投資信託がゼロ、ETFでは1.25%の以下のものに限ると決めた。相場変動以外の要因で運用資産が目減りするのを防ぎ、初心者が安心して使える制度を目指す。
 

引っ越しに定休日導入
引っ越し大手が今年夏にも定休日を導入する。引っ越し大手「アートコーポレーション」は、1ヵ月あたり3~4日休み、引っ越し作業などは取りやめる。人手不足が深刻になる中、業務効率を高め、働く環境を改善して、人材の定着や採用を増やすことにつなげる狙いだ。
 

■日刊モーサテジャーナル

米温暖化対策見直す大統領令、各紙の見方分かれる
トランプ大統領が地球温暖化対策を見直す大統領令に署名したことついて、ニューヨークタイムズは、「地球温暖化を防ぐという世界のリーダーとしての役割を放棄した」、と批判。
一方、ウォールストリートジャーナルの社説は真逆で、「トランプ大統領はエネルギー政策で前進」、と歓迎している。記事は、「確かに石炭から天然ガスなどに、エネルギー市場のシェアは移ってきているが、それはあくまで市場が決めるべきことだ。」、と主張。「オバマ前大統領の環境規制は石炭業界を不当に罰するもので、1兆ドル分の生産減少、12万5千人の雇用焼失につながるという試算もある。」、と伝えている。パリ協定で定められたアメリカの二酸化炭素削減目標についても、「オバマ政権でも目標の達成はしょせん無理だった」とし、「どちらにしてもあまり影響はない」、という見方を示している。
 

ブラックブロックの機械導入「銘柄選びの魔術師」が凋落
世界最大の資産運用会社「ブラックブロック」が株投資において、AIなどコンピューターの導入を進めているとの記事。背景には、S&P500などの代表的な指数を上回るパフォーマンスを目指すアクティブ運用の業績が悪いことがあるとのこと。
ニューヨークタイムズは、「銘柄選びの魔術師が凋落した」、と報じている。最近、アクティブ運用は、手数料が安い指数連動型のパッシブ運用に押されていて、去年はアクティブ運用から約4230億ドルの資金が流出する一方、パッシブ運用には3900億ドルの資金が流入したという。
ウォールストリートジャーナルは、「投資業界の機械化が進む中、資産運用大手のマネージャーでさえ、マーケットに勝てなくなってきているということだ。」と伝えている。
 

中国ネット大手から18億ドル・テスラに明るい未来?(ウォールストリートジャーナル)
中国のインターネットサービス大手「テンセント」が、アメリカの電気自動車大手「テスラ」に、18億ドル(約2000億円)を投じ、テスラ株5%を取得したことについて、「テスラにとってかなり心強い支援になる」、と報道。記事は、「新型車出荷が遅れるのでは、といった懸念は払拭され、さらに時価総額でも100年以上の歴史を持つフォードモーターを追い抜くことになる。」、と驚きをもって伝えている。また記事は、「中国は世界最大の自動車市場であり、将来、中国人がテンセントのアプリを使ってウーバーを呼ぶように、自動運転車を呼ぶ日が来るかもしれない。」、と指摘。「中国政府の方針から、その車がテスラ製になる可能性は低いものの、テンセントの投資を単なる冷やかしと見るべきではない。」、と伝えている。
 
 
・ 「中国ネット大手から18億ドル・テスラに明るい未来?」について

--あらためてテスラというのはかなり注目されているんですね。

《大和証券/木野内栄治氏》
「そうですね。いまテスラはアメリカで大きなリチウム電池の工場、ギガファクトリーというのを稼働を始めています。いま株式市場では、ここに納入しているパナソニックが一緒にやっているんですけれども、ここに部材を納入している企業を、テスラ・チェーンと言って、テスラ・チェーンというサプライ・チェーンに乗っているのかな、乗っていないのかなというので物色が変わるぐらいですから、相当やはり注目されているということだと思いますね。」


■今日の予定

東芝臨時株主総会
日ロ戦略対話
上場スシローグローバルHD
ドイツ3月消費者物価指数
米16年10-12月期GDP(確定値)
 

■ニュース

英 EU離脱を通知 メルケル首相「親密なパートナー継続を」
イギリスは29日、EU=ヨーロッパ連合からの離脱を正式に通知しました。これを受けドイツのメルケル首相は「親密なパートナーであり続けることを望む」と述べ、良好な関係構築の必要性を訴えました。ドイツの与党、「キリスト教民主同盟」などとの会合に出席したメルケル首相は「EU側は公正かつ建設的に交渉を進めるべきだ」とした上で、「イギリスも同じような考えで交渉に臨んでほしい」と述べました。一方、フランスの次期大統領の有力候補、マクロン前経済相は「安全保障上の協力は重要だが、まずは、EUの利益を守ることが先決だ」と述べました。
 

米 ボストン連銀総裁「利上げ4回が適当」
アメリカの利上げは今年、何回なのか?ボストン連銀のローゼングレン総裁は、3月の利上げを含め年4回の利上げが適当だとの考えを示しました。これまでローゼングレン総裁は「年3回かそれ以上」としてきましたが、今回、より強気の見方を示した形です。
 

米 原油在庫 ↑90万バレル
アメリカのEIA=エネルギー情報局が発表した先週1週間の原油在庫は前の週に比べ90万バレルの増加で、市場予想より小幅な増加に留まりました。一方、ガソリンの在庫は市場予想を大幅に超える370万バレルの減少となりました。また、原油の受け渡し場所であるオクラホマ州クッシングの在庫が5週間ぶりに減少に転じました。
 

米 中古住宅成約 10年7月以来の増加
全米不動産協会が発表した2月の中古住宅成約指数は、前の月に比べ5.5%上昇と2010年7月以来の上昇幅となりました。市場予想の2.5%を大幅に上回る内容でアメリカの住宅需要の強さが確認されました。ただ、発表元は今後も買いやすい価格帯の住宅在庫の不足が続くと予想しています。
 

サムスン 新ギャラクシー発表
韓国のサムスン電子は29日、ニューヨークで主力のスマートフォン、ギャラクシーの新機種「S8」と「S8+(プラス)」を発表しました。カメラの性能を向上させたほかセキュリティーを強化し、指紋や顔認証以外に瞳を使った虹彩認証機能も付けています。サムスンは前の機種でバッテリーの欠陥による発火事故を起こしていて、今回の新機種で顧客の信頼回復ができるのかが課題です。
 

東芝子会社が破産法申請
東芝はきのう、アメリカの原発子会社ウエスチングハウスなどに対し、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請したと発表しました。
《東芝/綱川智社長》
「今後の経営に向けた第一歩として、海外原子力事業のリスクの遮断を確実なものにしてまいりたい。」
東芝はウエスチングハウスの破産申請で、巨額損失の原因となった海外原子力事業からの撤退を加速させたい考えです。ウエスチングハウスの損失処理による、東芝の2017年3月期の連結最終赤字は従来予想の3,900億円から最大で1兆100億円に拡大する見込みで、国内製造業としては過去最大の赤字額となります。また東芝は、巨額損失の穴埋めのため、半導体事業を分社化し株式を売却する計画を進めていて、きょう臨時株主総会を開き、分社化の了承を取り付ける予定です。半導体事業は需要拡大が見込まれており、きのう締め切られた入札にはおよそ10社が応札したとみられています。
《綱川社長》
「(債務超過の解消に)十分耐えうるオファーが来たと認識している。少なくとも2兆円。市場も増えていて、企業価値があると考えている。」
 

ラグビーW杯 JTBが公式に
大手旅行代理店のJTBは、2019年に開催するラグビーワールドカップの国内唯一の公式旅行会社に決まったと発表しました。ワールドカップでのチケット販売などの統括管理を独占するイギリスのスポーツトラベル&ホスピタリティグループと共同で観戦チケットと宿泊などのサービスを手掛ける専門会社を設立します。専門会社を設立することで、日本国内での観戦チケット付きツアーの販売を独占することになります。
《JTB/高橋広行社長》
「本業の旅行業でホスピタリティーのコンテンツを蓄積している。スポーツ分野に持ち込んで、ホスピタリティーモデルを作りたい。」
 

東電とゼンリンが提携
東京電力ホールディングスと大手地図会社のゼンリンは、小型無人機ドローンを安全に飛行させるインフラ整備事業で業務提携すると発表しました。送電鉄塔や電線などの位置データとゼンリンが持つ地図情報を組み合わせることで、ドローンを電線に沿って飛行させるということです。物流や農業などでの活用を見込んでいて、東京電力管内で2019年度のサービス開始を目指します。
 

「複数の銀行がドイツ移転を検討」
金融機関のロンドン脱出の動きが加速するのでしょうか。ドイツの中央銀行、ドイツ連邦銀行のドンブレト理事は、複数の銀行が、ロンドンからフランクフルトへの移転に向け、協議を始めていることを明らかにしました。ロイター通信に答えたもので、理事は「フランクフルトに関心を持つ多くの銀行から接触があった」と述べました。
 

独 ダイムラー ベンツ新車販売 過去最高見通し
ドイツの自動車大手ダイムラーは29日の株主総会で、高級車部門のメルセデス・ベンツの1月から3月期の新車販売が過去最高になるとの見通しを示しました。今年通期の販売台数も、過去最高を塗り替えると強気の目標を発表しています。また、新たな電気自動車10車種以上の市場投入目標を従来より3年前倒しにして、2022年までとしました。
 

築地改修500億~800億円でも
豊洲市場への移転問題を有識者が検証する東京都の市場問題プロジェクトチームで、築地市場を移転させない場合、500億円から800億円で改修工事が可能とする案が示されました。一方、豊洲市場に移転した場合、将来的には毎年150億円程度の赤字となる可能性もあるため、その改善策が必要だと指摘しています。プロジェクトチームでは今後、こうした案を検討し、5月にも報告書をまとめる方針です。
 

森友学園が補助金返還
国土交通省はきのう学校法人「森友学園」に支払ったおよそ5,600万円の補助金が全額返還されたと発表しました。おととい銀行口座に振り込まれたということです。森友学園は、木材を使った校舎建設に対する補助金を受け取っていましたが小学校の認可申請を取り下げたため国交省がきょうを期限に返還するよう求めていました。
 

ファストリ会長「アメリカで製造できない」
ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井会長はニューヨークを訪れ、アメリカで商品を製造することは困難だと、改めて否定しました。柳井会長のニューヨーク訪問は海外で初となる展示会の開催が目的ですが、ユニクロは商品のほとんどを中国や東南アジアで製造しているため、トランプ大統領が掲げる保護主義的な政策には反発を強めています。ただ、ユニクロは現在アメリカでおよそ50店舗を展開しており、柳井会長は、今後、大都市圏を中心に年間20から30店舗、増やし、出店ペースを加速させていく考えを示しています。
 

■【本日のコメンテーター】大和証券/木野内栄治氏

・ EU離脱を通知・英国去る金融機関

--さてイギリスはEU離脱を正式に通知わけですけれども、この影響というのはこれから本当に出てくるんでしょうね。

「相当出てくると思います。日本から見るとずいぶん対岸の話、対岸の火事みたいな感じがするんですけれども、特に金融機関にとってはこれはシティというのは本当に大きなビジネスの場なんですね。ここから少しずつ動いていくということが考えられるんですけれども、お客様と話をしていると、ヨーロッパのお客様は本当に大激震のようでして、日本の金融機関が思っている以上に、すごいことが始まっているなぁという感じがいたしますので、注意して見ていかなくてはいけない。」

--その差は何で出てくるんですかね。日本と・・・。

「やっぱり日本の金融機関は英語圏でないと難しいな、というのがあるので、イギリスは残しておいて、少しヨーロッパの大陸の出張所を登記上の本社にしようかとか、そんな程度のイメージがあるかもしれないんですが、ヨーロッパの金融機関はそうじゃないんですよね。別にイギリスじゃなくても、大陸でも大丈夫だと・・・、語学もできますと・・・。」

--フランス語か、ドイツ語か、そういうところに選ぶことができるということで・・・。

「相当大きな動きが実は始まっているように思います。」
 

・ きょうの経済視点 「カウンター・シクリカル」、「プロ・シクリカル」

「これは中央銀行の話なんですが、通常、中央銀行というのは、景気の波に対して『カウンター』を当てるように、景気を落ち着かせるように動くんですが、今の日本銀行の政策は『プロ・シクリカル』、景気の波を増幅する方向に作用するような金融政策を取っています。ですからトランプ政策が良い時は、凄く波に乗っていけるんですけれども、この4~5月はトランプ政策がどうなっていくのかが見え始めた時に、もしトランプ政策がつまづいた場合、景気の波をより下押しさせるような圧力が、金融政策にはある、無策になってしまうということですよね。そう考えると、この4月は一回、年度始めで明るくなるところがあると思うんですけれども、こういうタイミングでは『もし下振れした時にどうしよう』ということも金融政策としては考えておくべきかなと思います。」

--下振れたときにどうするんですかね。

「もう債券を買うとかはなかなか難しいですからね。ETFの購入増額かもしれないですね。」


2017.3.29 Newsモーニングサテライト

2017年03月29日 19時54分09秒 | MS
【本日のコメンテーター】ドイツ証券/小川和宏氏

■マーケット

NYダウ9日ぶり反発 150ドル高
28日のNY株式市場は好調な経済指標が発表される中、原油価格が急上昇し株価の支えとなりました。ダウは9日ぶりの大幅反発。久々に気持ちのいい上昇となりました。住宅指標や消費者マインドが改善し、朝から小じっかりと始まった株式相場。昼前からの上げ幅を拡大は原油価格の上昇がきかっけでした。リビアで賃金の未払いを受け原油生産が止まったことで原油価格が急上昇。OPECの減産延長の議論も下値を支える要因として捉えられているようです。この原油価格の上昇が金利の上昇につながり金融株などにも追い風になりました。株価の終値です。ダウは150ドル高の2万701ドル。ナスダックは3日続伸、34ポイント上昇の5,875。S&P500は4日ぶりの反発、16ポイントプラスの2,358でした。セクター別騰落率は11セクターすべてが上昇。金融やエネルギーに加え、景気の動向に敏感な素材セクターもしっかりでした。

【NY証券取引所中継】リビア生産停止で原油↑
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏

--久々にすっきりとした上昇でしたね。

はい、高水準の消費者信頼感指数や原油高を受けて、久しぶりにリスク許容度が上がり、終日堅調に推移しています。政治に対する不透明感は、やや落ち着いた印象です。

--さてリビアでの原油の生産ストップが材料になりましたね。

はい、リビア最大の油田でのニュースですが、但し、世界の日々の生産量に占める今回のリビアの減少量は、わずか0.14%(日量14万バレル)で、実質的な影響は限定的です。
(フリップ:下値抵抗線を意識)
一方、テクニカル面で強い下値抵抗線として意識されている55週移動平均線近くで価格が推移していたこと、さらに先物の売りポジションが積み上がっていたこともあり、買戻しも入りやすかったようです。

--またOPECの動きを市場は気にしていますよね。

はい、ただ、OPECの減産延長は既に市場のコンセンサスとなっていて、追加減産へ踏み込んだ話がないと、失望を招く可能性もあります。また先週末時点で原油掘削リグの稼働数が大きく増加していたことから、あす発表の週間在庫統計にも注目です。
 

【NY証券取引所中継】個人向け金融株に暗雲?
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏

--今日は上昇も、このところトランプラリーの勢いが減速気味だったんですが、その中で注目している分野があるそうですね。

(フリップ1:失速する個人向け金融サービス株)
はい、金融株に失速感がみられる中、とりわけ足を引っ張っているのが、個人向け金融サービス株です。株価が冴えない理由は、まず税還付の遅れによる消費活動の一時的低迷です。ただ、これは時が経てば、ある程度解決されるものと考えられますが、実は中古車価格下落と自動車ローン焦げ付き懸念の再燃などのほうが問題です。

--実は昨日、番組でも自動車ローンについてはニュースでもお伝えしたんですが、具体的にどんなことが起きているんですか。

はい、先週、自動車ローン大手のアライ・ファイナンシャルが業績見通しを下方修正しました。しかも1月時点で2017年増益見通しを「前年比15%増益まではいかないにせよ、非常に堅調」としていましたが、先週には「5%の増益の留まる可能性もある」と大きく下方修正しており、短期間に急速に悪化したことが分かります。

--この背景は何なんでしょうか。

(フリップ2:在庫増加で足元、中古車価格↓)
はい、実はアメリカの個人向け新車販売には、リースという特徴的な購入方法があり、費用を抑えて新車に乗るために、幅広く利用されています。そのリースが増加し、それに伴ってリース切れとなって返還される車が過剰となっています。これが中古車の在庫増加から、価格の下落、引いてはローン会社の担保価値の下落を招いていると言われています。ただ、市場はあまり悲観的にはなっていません。自動車市場全体に大きな減速感がないことや、アメリカの国内景気の先行きに強気であることが、背景にあると思われます。しかし個人的にはそろそろ警戒感を高めたほうが良いと考えています。
 

【為替見通し】注目ポイントは「イギリスのEU離脱通知」
解説はドイツ証券の小川和宏氏

--まずはNY市場の動きをどう見ましたか。

アメリカの指標が強かったので、ドルは全面高になりましたね。ドル円はヘルスケア法案断念前の先週金曜日のレベルまで、ほぼ戻した形になってます。

--今日の予想レンジは、110.70円~111.70円です。

東京時間はスポット日が月末になることから、需給に降らされる展開を一応予想しています。

--注目ポイントは「イギリスのEU離脱通知」です。

(フリップ:想定される今後の日程)
・ 3月29日 英国のEU離脱通知
・ 5~9月  フランス・ドイツ選挙
・   実質的な交渉期間(1年程度?)
・ 2018年10月 EU27カ国の議会承認
・ 2019年3月末 英国のEU離脱。

実質的に交渉期間が1年ということなんですね。9月までヨーロッパのほうは選挙で手一杯な形になっていまして、実際に交渉が進んで、最後の6ヵ月ぐらいは、EU27ヵ国の議会承認というのがここら辺(18年10月)からスタートしないと、この(19年)3月に間に合わないんですね。なので間のこの1年間の間に、離脱条件、移行期の暫定条件、移行後の条件みたいなものを決めることができるかどうかというところがポイントになります。最悪の場合、この移行期の条件というものが決まらずに、時間切れになってしまうと、ハードブレグジットのリスクが出てくるというふうに思っております。

--実際にハードブレグジットになる可能性というのはどう見ていらっしゃいますか。

弊社は最終的には、何らかの合意が行われると思っているんですけども、但し、為替の反応は実際に足下は、タカ派気味のイギリス中銀のコメントとかもありまして、支えられているんですけれども、実際にブレグジットの条件の合意に至るまでに、一旦、市場からイギリスへのプレッシャーがかかると思っておりまして、年末までに一旦、イギリス・ポンドは対ドルで1.06、対ユーロで1.0と15%程度下落することをみております。

【日本株見通し】注目ポイントは「4月の海外投資家の動向」
解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏

--今日の予想レンジは、19100円~19250円です。アメリカ堅調で戻ってきました。東京はどうでしょう。

今日は3月末の権利落ち日となります。株主優待や配当の権利を取った後の相場は安くなることが多いですけれども、今年は円高に加え、トランプ政権への警戒で買いを入れずらかった面もありますので、下げても限定的だと思います。日経平均の配当落ち分は130円程度なんですけれども、埋め戻すような動きだとか、円安への動きが見られれば、先高を見込んだ買いが相場の支えになってくることが予想されます。

--注目ポイントは「4月の海外投資家の動向」です。

(フリップ1:海外勢は4月に日本株買い越し)
海外勢の日本株に対する売り越し姿勢に変化がみられるかに注目しています。2003年以降、海外投資家による日本株の売買を月別に差し引きした合計で見ますと、買い越しトップは4月がダントツとなります。アメリカの投資信託からの資金流入や、新年度入りで国内の機関投資家の買いに追随するヘッジファンドの存在などが、要因として挙げられます。

(フリップ2:海外投資家による買い越しランキング)
単月のランキングを見ましても、4月は1位と4位にランクインするほど、買いが増える傾向にあります。今年もドル円相場が110円近くまで円高が進みながらも、株価がもみ合いを続けていますので、企業収益の底堅さや、株主還元意欲が確認できれば、日本株を買い戻す可能性は十分にあるかなというふうに思ってます。
 

■【プロの眼】ユーロ上昇リスクあり
経済指標の改善傾向が見られる欧州経済。インフレや景況感の改善でECBは金融政策の正常化を視野に入れた動きになると話します。解説はドイツ証券・小川和宏氏。

--さて「ユーロ上昇リスクあり」ということで、確かにトレンドとしてユーロ高傾向にありますね。それはもちろんですが、景況感というか、経済指標が改善傾向なんだということですね。

(フリップ1:経済指標は改善傾向:ユーロ圏PMI(サービス、製造業))
「そうなんですね。先日、発表されました欧州のPMI、これはサービスと製造業ですけれども、今グッと上がってきています。先週、ドイツとフランスのPMIも市場予想を上回っています。またインフレ見通しも改善してきていまして、年の前半で政治リスクが現実化しなければ、欧州経済に上方リスクがあると言われています。」

--となると、こうした状況を受けて、ECBの出口戦略にも、やはり影響があるということですか。

(フリップ2:ECB金融政策正常化への日程)
17年9月 量的緩和縮小アナウンス
18年1月 量的緩和縮小開始
18年6月 量的緩和終了

「そうですね。弊社のほうは9月に、現在やっている量的緩和の縮小アナウンスをして、来年18年1月から量的緩和縮小を開始して、6月ぐらいに終了するというふうにもともと見ていたんですけれども、先週ちょっと少し見方を変更しました。」

--あぁ先週、見方を変えた、はい。

内容としては6月にフォワードガイダンスを変更するということをまず始めています。

--6月にフォワードガイダンスを変更・・・。まず声明文を見てみましょう。

(フリップ3:ECB声明文(3月9日))
「現在はECB理事会は政策金利が長期にわたり、また資産買い入れ期間を優に超えて、現行の水準もしくはそれより低い水準にとどまると見込んでいる。」

--つまり金利はそんなにもう上がらないというふうに見ているんですよね。低い水準に抑えると・・・。

「そうですね。低い水準、もしくはさらに下げるということを示唆しているんですけど、この『さらに下げる(もしくはそれより低い水準)』という赤い部分をまず一旦落とす。つまり今の金利は底ですよ、ということを伝える。これをステートメントで言って、かつドラギさんが記者会見で、預金金利と政策金利の動きが別になることを示唆するということもあるのではないか、というふうに思っております。」

--預金金利は現在マイナス0.4%ですね

「預金金利はマイナス0.4%、政策金利はちょうどゼロ%なんですけれども、政策金利は長い間このレベルをコミットするんだけれども、預金金利は別の動きをする可能性があるということを、記者会見で示唆するのではないかと・・・。」

--それがあるかもしれないということで・・・。

(フリップ4:ECB金融政策正常化への日程)
「それで9月のタイミングで、量的緩和縮小のアナウンスをするんですけれども、そのタイミングで同時に、預金金利の引き上げ。マイナス0.4%のところから、0.2%とか、0.15%ぐらい引き上げるというような形、依然マイナスではあるんですけれども、そういったアナウンスをするのではないかと思っています。」

--そして同時に量的縮小アナウンスということで、コチラ(月100億ユーロづつ減額)も明確にするんじゃないかということですね。

(フリップ5:ECB金融政策正常化への日程)
「はい、そうですね。月100億ユーロづつ、18年1月から減額すると・・・。そして4月から600億ユーロになってますので、毎月100億ユーロづつ減額すると、6月には緩和が終了するという形になります。」

--そして終了した後に、ドイツとしては政策金利の引き上げというのを見込んでいると・・・。

「そうですね。これは今ゼロ%のものを引き上げていく。」

--預金金利を上げていく、動かしていくと、やはりユーロ高という方向になりますか。

「そうですね。ユーロは、トランプ政策の期待・修正をいま含んでいて、若干まだまだ足下上がっていく可能性があって、こういった話が出てくると、もうちょっとユーロの買戻しが出てくるのではないか。マーケットはまだドルロングでございますので、その部分をちょっと巻き戻すような材料に、この欧州の要因でなっていく可能性があるということです。
 

■【特集】アクティブラーニング・デジタル教材でやる気↑
今、学校教育の現場では生徒が自ら課題を見出し主体的に解決し理解を深めるアクティブラーニングという考え方の導入が始まっている。この教育を進める時のツールとして注目されているのがデジタル教材である。教育の変革の現場を取材した。

浜松市立三ヶ日西小学校(静岡県浜松市)で、授業にアクティブラーニングを取り入れている。生徒が自発的に課題学習をする総合の授業。生徒がグループに分かれて取り組んでいるのは、オリジナルの歌の作曲。使うのはタブレットだけ。ヤマハが教材として開発した作曲ソフトが搭載されている。
ヤマハの歌声合成ソフト「ボーカロイド」の教育版で、楽譜を読めなくても直感的に曲が作ることができる。アクティブラーニングとは、生徒が自ら目標・課題を設定し、仲間と相談しながら答えを出すこと。生徒たちの取り組みを見守るのはヤマハ新規事業開発部の塩谷友佳子さん。このような教材ソフトは今後ますます需要が高まると期待している。

横浜市立白幡小学校でも、アクティブラーニングを積極的に導入している。6年生の体育の授業では、先月からチームに分かれてワンキャッチバレーボールに取り組んでいる。授業は基本的に生徒が自ら進める。ルールは独自のルールで、それぞれのチームにはタブレットを手にした記録係がいる。タブレットの記録を見て反省会をする。
当初は市販のソフトも試したが、子供の教材として使いやすいものはなかったという。そこで教材ソフトの製作をベンチャー企業「エレファンキューブ」に依頼した。エレファンキューブ(東京・文京区)には、各地の教師のから教材の製作依頼が舞い込み、2016年度には前年比4倍に達しているという。既に全学年の全教科にアクティブラーニングを導入している白幡小学校。全国学力テストの成績も上昇し、今年度は全国平均を10ポイント以上上回っている。そのアクティブラーニングに使われるデジタル教材関連の市場規模は、2020年度には約150億円、14年度比2.5倍に成長するとも言われている(富士キメラ総研調べ)。

--「これはいい、すごいわ」とさっきからコメントされてますけど・・・。

《ドイツ証券/小川和宏氏》
「まあ、やっぱり、やる気スイッチがどこにあるかというのを、こういうアクティブラーニングでより探しやすくするということじゃないですかね。」

--暗記世代の私たちには無かった教育法ですね。


■日経朝特急

働き方改革へ実行計画
一面トップは、先ほどニュースでも伝えた、「働き方改革の実行計画がまとまった」という記事である。
 

コメ直販9割に
JA全農が改革方針を公表した。小売りや外食に直接コメを販売する割合を、現在の5割から8年後に9割まで拡大する。このように農産物や農業資材の取引形態を見直して、農業の流通構造にメスを入れる。
 

人件費5年ぶりの高水準
企業の人件費が5年ぶりの高水準となっている。財務省によると、去年10月~12月時点で、人件費は44兆4000億円を超えた。人手不足に対応し、待遇改善で人材確保を急ぐ動きが広がっている。ただ、収益の伸びと比べると人件費の伸びは低調だ。
 

東電と中部電、火力統合、シェア5割、再編の号砲
東京電力ホールディングスと中部電力は昨日、火力発電事業の全面統合で合意したと正式に発表した。国内の火力発電シェアが約5割と、圧倒的な地位を築く。福島第一原発の事故処理で20兆円以上を負担する東電は、経営再建に弾みをつけたい考えだ。
 

ファミマ、週休3日導入
ファミリーマートが今年秋にも週休3日制を導入する。親の介護など一定の理由を条件に全社員の約5800人が選択できる。ファーストリテイリング、日本KFCホールディングス、ヤフーなど週休3日制を導入する企業は増えている。こうしたなか、ファミリーマートは多様な働き方に対応する制度をさらに充実させ、2020年までに総労働時間を2015年度に比べて約9%減らす目標である。
 

■日刊モーサテジャーナル

トランプ政権、次のヤマ場は4月、政府閉鎖の回避なるか
アメリカの新聞は、「トランプ政権にとって次の山場は、4月末までに政府閉鎖を回避するために、議会が暫定予算を通せるかどうかだ。」、と伝えている。野党民主党の協力が不可欠だと見られていて、予断を許さない状況が続く。現在の暫定予算の期限が切れるのは4月28日、もし新たな暫定予算が成立しなければ、一部の政府機関が閉鎖に追い込まれる見通しだ。
トランプ大統領は国防関連費の増額や、国境の壁の建設費などを要求しているが、USAトゥデーは、「民主党からの反発は必至で、今回の予算案にはほとんど盛り込めないだろう」、とみている。
オバマケア代替法案の撤回という勝利で勢いづく民主党。ウォールストリートジャーナルは、「民主党にとって、妥協する動機が薄れている」、と伝えている。
 

仏独選挙、欧州株上昇要因にも
マーケットでは、フランス大統領選挙とドイツ下院選挙の行方を不安視する声が出ているが、フィナンシャルタイムズは、「結果次第ではヨーロッパの株価の上昇要因になるかもしれない」、と報じている。記事によると、「投資家が期待するのは、まずフランス大統領線の有力候補マクロン前経済相が掲げる労働時間などの改革。最新の世論調査によると、マクロン氏は極右政党国民戦線ルペン党首を抑えトップを走っている。一方、ドイツの下院選を巡っては、メルケル首相の対抗馬、ヨーロッパ議会の前首相シュルツ氏は、これまでの緊縮財政から脱却を打ち出す可能性があるという。記事で紹介された投資家は、「フランスでマクロン氏が勝って改革が進み、ドイツでシュルツ氏が勝利して財政出動に踏み切れば、最高の組み合わせだ。」、と話している。
 

米法人税率、オバマ提案と同じ28%に?
トランプ大統領がオバマケア代替法案を撤回した今、果たして税制改革を進められるのか、に市場の関心が集まっている。記事は、「法人税の引き下げ幅が以前、オバマ前大統領が提案した程度に落ち着いてしまうかもしれない。」、と伝えている。トランプ大統領は公約で、「法人税率を現在の36%から15%に引き下げる」、としていた。しかしホワイトハウス周辺でも、「現実的にはせいぜい20%程度までしか下げられない」、との声が聞かれるという。またオバマケア代替法案が撤回され、財政の健全化が見込めない今、28%で落ち着く可能性も囁かれ始めている模様だ。記事は、「28%と言えば、オバマ前大統領が2012年から提案し続け、ことごとく共和党から拒否され続けた税率と同じではないか。」、と指摘。トランプ大統領と共和党の現状を冷ややかに見ている。
 

・ 「仏独選挙、欧州株上昇要因にも」について

--ドイツ下院選の影響をどうご覧になりますか。

《ドイツ証券/小川和宏氏》
「基本的には、メルケル、シュルツのどちらが勝っても、ユーロ・サポートなので、ユーロから出るという話には多分ならないと思いますね。」

--そういうところでは安心感はあるということですね。
 

■今日の予定

2月商業動態統計
2月自動車主要8社生産・輸出実績
米エバンス総裁など連銀総裁の講演
イギリスがEU離脱通知
 

■ニュース

東芝子会社 ウェスチングハウス 連邦破産法11条を申請へ
経営再建中の東芝の傘下に入るアメリカのウェスチングハウス・エレクトリックは28日にも日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請する見通しです。ウェスチングハウスはすでに取締役会を開き連邦破産法11条の申請について協議したもようですが、協議の詳しい内容はまだ明らかになっていません。ただ、申請は避けられない情勢で、破産法11条が適用されれば損失額は1兆円規模に達する可能性があります。
 

米トランプ大統領 大統領令で環境規制撤回
アメリカのトランプ大統領は国内のエネルギー開発を促進し雇用の創出につなげるためとして、オバマ政権時代に導入された環境規制を撤回する大統領令に署名しました。今回の大統領令でトランプ大統領は、発電所からの二酸化炭素の排出を減らすよう州政府に義務付けたオバマ前大統領の「クリーンパワー計画」を撤回しました。また、石油やガスの生産によるメタンガスの排出を減らすよう定めた規制なども撤廃しました。これによりパリ協定で目標とした二酸化炭素排出量の削減は難しくなる見通しです。
 

フォード 追加投資12億ドル
アメリカの自動車大手フォード・モーターは28日、本拠を置くミシガン州で12億ドル=およそ1,320億円の追加投資を行うと発表しました。現在、小型車の組み立てに使っている工場に8億5,000万ドルを投じ来年の投入を目指す中型トラック、レンジャーと2020年に復活させる大型SUV、ブロンコの生産ラインを追加します。このほか、データセンターなどへの追加投資と130人の雇用創出も併せて発表しました。
 

米 S&Pケース・シラー指数 2年7ヵ月ぶりの高水準
アメリカの1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は、全米平均が前の年から5.9%上昇し、2年7ヵ月ぶりの高水準となりました。また主要20都市でも5.7%の上昇と、市場予想を上回りました。発表元は、「現在の経済の力強さからすると、多少の利上げでは住宅購入の勢いが弱まることはないだろう」と指摘しています。
 

米 消費者信頼感指数 00年12月以来の水準 予想上回る
アメリカの民間調査機関コンファレンスボードが28日発表した3月の消費者信頼感指数は2000年12月以来の高水準となりました。前の月から9.5ポイント上昇の125.6で、市場予想を大きく上回りました。また6ヵ月先の期待を示す指数も16年半ぶりの高い水準となりました。また、就職の難しさを示す指数も0.4ポイントのマイナスとなりました。一方、1年先のインフレ期待は低下しました。


クルーズ船カーニバル 増収増益
世界最大のクルーズ船運営会社、カーニバルが28日発表した去年12月から今年2月期の決算は予想を上回る、増収増益でした。売上高は1年前に比べ3.8%増加の37億9,100万ドル、純利益はツアーの値上げ効果と乗船客の支出増加を受けおよそ2.5倍となりました。また、旅行需要の強さなどを理由に今年通期の収益見通しを引き上げました。
・ 売上高37億9100万ドル(前年比↑3.8%)
・ 純利益 3億5100万ドル(約2.5倍)
・ 1株利益    48セント(予想上回る)
 

働き方改革の実行計画を決定
政府はきのう、働き方改革実現会議を開き、長時間労働の是正などに向けた実行計画を決定しました。働き方改革の実行計画では時間外労働について、年間720時間までとし、繁忙期でも月100時間未満という上限を設けました。違反した企業に対して罰則を設けることで、実効性を強化するとしています。実行計画には、「同一労働同一賃金」の実現なども盛り込んでいて、政府は、秋の通常国会にも関連法案を提出したい考えです。
 

理化学研究所など 世界初 他人のiPS移植
理化学研究所などのチームはきのう、目の難病患者に他人のiPS細胞=人工多能性幹細胞から作った網膜の細胞を移植する手術を実施したと発表しました。他人のiPS細胞を使った移植は世界初となります。手術は網膜に障害が起き失明する恐れがある難病患者に対して行われ、1時間ほどで無事終了したということです。今回使われたiPS細胞は京都大学の山中伸弥教授らが作った拒絶反応が起きにくい特殊なもので培養すればほぼ無限に増やせます。このチームは3年前に患者本人のiPS細胞を使った手術を成功させていますが手術までにおよそ10ヵ月、費用もおよそ1億円かかりました。今回の例が成功すれば期間も費用も10分の1程度にまで抑えられると期待されています。
 

自民「籠池氏の告発も視野」
自民党はきのう、緊急会見を開き、森友学園の籠池理事長が証人喚問で証言した内容について、偽証の疑いがあるとして、告発も視野に、検証を進める考えを示しました。自民党・西村総裁特別補佐は「国政調査権を発動ししっかりとした書類を集めることが必要。偽証が確定すれば告発することも含めて考えたい」と述べました。自民党が指摘したのは、籠池氏が、安倍総理大臣夫人の昭恵氏から受け取ったと主張する100万円の寄付についてです。籠池氏は、「学園側の職員が郵便局で振り込んだ」と証言しましたが、自民党は、振込受領書の筆跡から、「郵便局に行ったのは籠池氏の夫人」である可能性が高いと見ていて、事実関係を精査していく考えです。
 

米中首脳会談 来月6-7日で最終調整
アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席による初の直接会談が来月6日から7日にかけアメリカ南部フロリダ州で行われる方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。米中首脳会談は、2月に安倍総理大臣が訪れたフロリダ州パームビーチの高級別荘「マールアラーゴ」で行われる見通しです。会談では、北朝鮮情勢のほか貿易不均衡など通商上の課題について話し合うものと見られます。
 

イラン石油相「協調減産 延長へ」
イランのザンギャネ石油相は28日、OPEC=石油輸出国機構の加盟各国と非加盟の産油国による協調減産が延長されるだろう、と述べました。ただ、ロイター通信によりますとザンギャネ石油相は「交渉には時間が必要だ」との見解を併せて示しました。また、減産が延長された場合にイランが減産に応じるのかについて、ザンギャネ石油相は「全てのメンバーが合意を順守する必要がある」と述べました。


アマゾン 中東ネット通販大手を買収
アマゾンドットコムは28日、中東のネット通販最大手、スーク・ドットコムを年内に買収することで合意したと発表しました。買収額など買収の詳細は明らかにされていません。ロイター通信によりますと、スークに対してショッピングモールを運営するドバイのエマール・モールズが8億ドルでの買収を提案していました。アマゾンの買収額はこれを下回っていると見られます。
 

高浜原発 再稼働可能に
大阪高裁の山下郁夫裁判長は、関西電力の高浜原発3号機と4号機について、運転停止を命じた去年3月の大津地裁の仮処分決定を取り消し、再稼働を認めました。大阪高裁はきのうの決定で、耐震性について「安全上の余裕を持たせている」と評価し、津波の想定などについても「相当の根拠および資料に基づいて説明している」として関西電力側の主張を認めました。法的に運転が可能となったことを受け、関西電力は早期の再稼働を目指す方針です。
 

タクシー強盗容疑で男逮捕
警視庁は、客を装って乗ったタクシーの運転手に、刃物を突き付けて現金を奪ったとして、住所・職業不詳の菊地優容疑者・22才を強盗の疑いで逮捕しました。菊地容疑者は、今月11日、墨田区の路上で停車していたタクシーの車内で、運転手にナイフのようなものを突き付けて脅し、およそ1万円を奪った疑いがもたれています。東京都内では、今月の9日から11日にかけてタクシーを狙った強盗事件が5件発生していて、警視庁によりますと、菊地容疑者はすべての事件への関与を認めているということです。
 

英メイ首相、EU離脱署名
イギリスのメイ首相は28日、EUヨーロッパ連合から離脱するための通知文書に署名しました。ロイター通信によりますと、29日中にEU側に渡されるということです。
 

■【本日のコメンテーター】ドイツ証券/小川和宏氏

・ アメリカの強い景況感がけん引、次のカギはトランプ政権

--消費者の信頼感、景況感もいいですし、それから住宅も強い、指標はしっかりしてますね。

「そうですね。ここもとソフトデータとハードデータの違いというのがいろいろ言われてまして、例えばFEDが出している第1クォーターのトラッキングGDPのも、ソフトデータをベースにしているニューヨークFEDと、ハードデータをベースにしているアトランタFEDが出しているものは、それなりのギャップがあるという状況なんですね。」

--あぁそうですか。FEDが出しているソフトのほうは何%ぐらいですか。

「ソフト、ニューヨークFEDが3で、アトランタFEDが1ですかね。先週ディバイスされているんですけれども。それだけセンチメントと実際の経済にギャップがあるということですね。」

--そうなんですね。でもそうなると、アメリカの利上げの行方にも、これのどちらを見たらいいのか分からないですね。

「そうですね。ただ、3月に利上げをしてますので、FEDとしてもこの先の、そういった期待を前提に少し早めに舵を切ったというふうには言えると思います。」

--このあとハードのほうが追い着いてくるかというのが大事なところですね。
 

・ きょうの経済視点 「 Animal Spirits 」

「最近ちょっとアメリカで話題になっていますが、将来の収益を期待して事業を拡大するとか、投資行動で将来に対する主観的な期待をいうような、景気の『気』は気分の『気』というような形で、いまトランプさんでずっと引っ張られてきていて、少し今ちょっと萎え気味ですけれども、もう一回こういったところがドライブできるのかどうか、注目になっているということですね。」

--「 Animal Spirits 」というのはどの国にも必要なものだと思うんですけれども・・・。

「そうですね。ヨーロッパもそういった形で金融政策の正常化に向かおうとしていますし、日本も以前からインフレ期待とか、そういったことに訴えかける金融政策をやっているということですので、これが非常に重要なテーマになっているということです。」
 

2017.3.28 Newsモーニングサテライト

2017年03月28日 16時57分27秒 | MS
■【本日のコメンテーター】マネックス証券/広木隆氏
 
■マーケット

NYダウ 8日続落
ダウは2011年8月以来の8日続落。ただトランプ政権の先行きに完全に失望したというわけでもないようです。市場の不安心理を反映してか安全資産として債券が買われアメリカの10年債利回りは2.3%台半ばまで低下。3月の上昇分をすべて吐き出した形です。一方で寄り付き直後は200ドル近く下げていたダウは徐々に下げ幅を縮小するなど悲観一辺倒でないのも確か。指標も少なく原油価格が軟調な中では、底堅い動きと言えなくもなく、税制改革へ期待をつなぎつつ、一旦冷静になっているタイミングなのかもしれません。ダウは8日続落45ドル安、2万550ドル。ナスダックは続伸11ポイントの上昇、5,840。S&P500は3日続落2ポイントマイナスの2,341でした。続いて27日のセクター別騰落率です。オバマケア代替法案の取り下げで安心感が広がったヘルスケアには買いが入りました。一方、金利の低下を受けて金融が冴えない動き。また電気通信は規制絡みの思惑もあるようです。

【NY証券取引所中継】株価の調整 どこまで?
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--高安まちまちで引けましたね。

先週のオバマケア代替法案の見送りを受けて、朝方は安く始まりましたが、日中は徐々に値を戻す展開となりました。セクター別ではヘルスケアが堅調だった一方、金利低下で銀行株が売られました。

--さて市場もちょっと懸念している、この先の株価の行方、どう見てますか。

(フリップ:S&P500、上昇トレンドを割り込む)
市場の関心が税制改革へシフトしたことと、トランプ大統領の政策実行能力に対する懸念、両方の側面を消化していく展開が想定されます。先週時点で大統領選挙以降、続いた上昇トレンドを一旦割り込みました。さらに調整が進んだ場合、S&P500は16年2月以降の上昇トレンドの下限である2200、ダウで19000ドル程度までの調整は念頭に入れておいたほうがいいかもしれません。

--そのほかにもあまり嬉しくないデータがあるようですね。

大統領選、翌年前半の株価は調整しやすいと言えます。ある調査会社によれば、1900年以降、大統領選翌年の株価パフォーマンスを見ると、過去29回中27回は、大統領選の年末の株価を翌年の年前半に下回る場面があり、平均で7%の下落です。今後、税制改革の遅れなどが懸念された場合には、現時点からやはり5~7%、つまりS&P500で2200程度までの調整は可能性があるかもしれません。
 

【NY証券取引所中継】薬価引き下げは実現?
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--オバマケア代替法案の見送りなんですが、細かく見ると、今後、引きずりそうな問題もありそうですよね。

はい、それは高額な薬の価格の問題です。トランプ大統領は、オバマケア代替法案でも薬価引き下げを盛り込むと述べていました。ただ、法案に盛り込めなくても、直ちに実行すると話していて、今回の廃案によって薬価問題がなくなってしまうとは考えにくいです。薬価を引き下げる方法については、過去には医薬品開発プロセスの簡素化や、FDA(食品医薬品局)の改革などを指摘していました。

--これは取り下げでも問題は続くと・・・。実際、薬価は高いんですか。

医薬品に関する調査会社によると、アメリカの医薬品支出金額は2013~2015年の2年間で約28%上昇しました。保険加入者数増加やがん免疫療法など、新しい医薬品が発売されたことが上昇要因として寄与したとみられます。ただ、消費者物価指数の内訳で、医薬品は2016年は前年比4.8%上昇と、消費者物価指数全体の2.1%上昇と比べて、上昇率は大きくなっています。

《米2016年消費者物価指数》
 ・ 全体  ↑2.1%
 ・ 医薬品 ↑4.8%

--それでこの問題はどう決着しそうなんでしょうか。

はい、1月末にトランプ大統領と製薬会社のCEOとの会合が持たれ、製薬会社は歩み寄る姿勢を見せていました。実際、その前後で複数の大手製薬会社が「今後、価格は1桁台の値上げにとどめる」と発言しています。こうしたことからも薬価上昇については、オバマケア代替法案成立以外の方法として、製薬会社側の自主規制によるソフトランディングという形で落ち着く可能性もあります。

 
【為替見通し】注目ポイントは「円高のめどは」
解説はソニーフィナンシャルホールディングスの尾河眞樹氏

--今日の予想レンジは、110.00-111.30円です。まずNY市場を振り返っていかがだったでしょうか。

はい、リスクオフの流れとなる中で、ドル安円高が進まして、ドル円は110円台の前半まで一時下落する場面見られました。

--注目ポイントは「円高のめどは」です。足下のドル安円高の流れはどこまで行きそうでしょうか。

(フリップ1:ダブルトップ完成、円高のめどは?)
ドル円は今年2月28日安値の111円69銭、赤いラインのところですけれども、ここを基準にしたダブル・トップという形が完成しています。直近では赤い線を下回って、ドル安円高が進んでいますので、テクニカル的には高値からの赤い線までの距離と同じだけ、円高が進む可能性があるということで、目先は107円90銭付近まで下落余地があると計算できると思います。オバマケア代替法案の撤回がトランプ政権の政策実行力に対する懸念につながって、目先のセンチメントの悪化がドル円の重しとなりそうです。

--ということはドル円相場は下落トレンドに転じたのでしょうか。

そうですね。ただ、これまでの楽観ムードが一変しましたので、それなりに深い調整になる可能性はあると思いますけれども、これは一時的なポジション調整の範囲内だというふうにみています。共和党内での不協和音によって、減税政策とか、歳出法案の成立が遅れるのではないかという見方が広がっていますけれども、肝心なのは、足下のアメリカ経済が堅調なことで、トランプ政権の景気刺激策が後ろ倒しになったしても、今年のアメリカ経済が腰折れする可能性は低いと言えると思いますね。
(フリップ2:米インフレ率は着実に加速)
アメリカのインフレ率は着実に加速していまして、減税やインフラ投資の規模というのが、期待されるほど大規模でなかったとしても、これらは来年のアメリカ経済を制して、インフレ率を押し上げるというふうに思います。それを見込んで、アメリカの長期金利が再び上昇し始めれば、ドル円も緩やかな上昇にトレンドに戻るというふうにみています。

【日本株見通し】注目ポイントは「期末要因」
解説はマネックス証券の広木隆氏

--今日の予想レンジは、18900-19100円です。昨日は心理的節目の19000円を割り込みました。

(フリップ1:一目均衡表の雲の中)
そうですね。ただ、円高が一服となっているので、今日は反発する予思います。僕の今日の予想レンジは、実は、この一目均衡表のの雲の上限下限のレンジを出しているんですけれども、今日反発して、この雲の上にもう一回、出ることができるかどうかというのに期待したいと思いますね。

--下限ギリギリのところまで行っていますからね。そして注目ポイントは「期末要因」です。

そうですね。今日は権利付き最終売買日だという話を「プロの眼」のコーナーでもしたんですけれども、そうじゃなくて、僕は円高が昨日の大きな株下落の一番の要因になったけれども、これがアメリカのトランプ政策の不透明感で円高だとか、いろいろ言われているけれども、違うんじゃないかと思うんですよね。

--具体的には・・・

具体的に言うと、これは端的に、円金利の、円の調達コストの上昇ですね。円の短期金利の上昇がここのところ、ある意味、異常なぐらい急だったという、それが僕は背景にあると思うんですよ。もっと大きな背景は、日銀の異次元緩和で国債がもう無くなっちゃっている、品不足になっちゃっている。これが期末を控えて、金融機関の国債需給がすごい逼迫しているので、日銀がいろんなオペレーションで国債を放出したり、オペを見送ったりしているんですね。

(フリップ2:円の調達コスト上昇)
これは先週にオペ見送り、唐突なことをやったために・・・。このベーシススワップって、ドルと円を交換する際の金利なんですけれども、これが急上昇しているんですよ。これが110円台ギリギリまで一気に円高が急速に進んだ原因じゃないかと・・・。いま期末要因だというのは非常に大きいので、これは早晩解消される、円高圧力も和らいでくるんじゃないかと思います。

--国内の特殊要因プラス、そこにトランプ氏の不安も加わって大きくなったということですね。
 
 
■【プロの眼】配当取りの買いは期待薄
3月28日は配当や株主優待などの権利付き最終日。配当取りを狙った資金が流入して株価の支えになると期待されます。しかし権利付き最終日の特殊要因を期待し過ぎると肩透かしを食う恐れがあるので注意が必要だという見方もある。その理由についてマネックス証券の広木隆氏が解説する。

--きょう3月28日は配当や株主優待などの権利付け最終日で、通常は配当取りを狙った資金が流通して、株の支えになると期待されているんですが、それは期待してはいけないというのが、今日の広木さんのテーマです。

「そうですね。ただ、権利付き最終売買日自体は、ちょっとした例外を除くと堅調は堅調なんですよ。ただ、それはこの配当取りがあって堅調というよりは、別な要因で、機関投資家(インデックス運用している人たち)が自動的に明日になると(権利落ち日になると)、配当が落っこっちゃいますね。その分を手当てするための再投資を、トピックス先物とかを買ってくるんですけれども、これはもう相当な額ですね。例えば、5~6千億円ぐらいの買い需要、一種の特需が発生するということなので、それで堅調だという部分もあるんですよ。ただ、必ずしもそれが権利付き最終売買日に、そういう先物で手当てするか(再投資するか)というと、そうじゃなくて、もっと分散してやってくるので、だから意外に権利付き最終売買日でも下げる可能性が十分ある。」

--下げた例というのは具体的になるんですか。

「一昨年なんかそうですよね。一昨年というのは、日経平均が19700円台まで上がって、この日を迎えて、いよいよ権利付き最終売買日に、配当取りの動きに入ってきて、日経平均20000円か、なんていう期待があったんですけれども、フタを開けてみたら急落で、取引時間中、一時350円安ぐらいまであったというのが、一昨年(2015年)の例ですね。」

--そうなんですね。それはどうしてかというと、配当取りの動きはもっと前に、実はピークを迎えるんだということですね。

(フリップ1:高配当優位は3月上旬まで)
「そうなんです。だいたい1月末からそういった動きが始まって、もう2月中には、この高配当株というものが、すごく日経平均なんかはすごくアウトパフォームするんですけれども、ピークはもう3月の前半ぐらいでピークアウトしちゃうということですね。じゃあこの人達(配当狙いの人たち)は売るのかというと、売っちゃったら意味がないんですが、ただ問題はこういう高配当株がアウトパフォームするだろうと思って、短期で売り買いする人たちも、追随買いしてくる人たちが、もうここ(3月)で利食いを出してくるんですね。だから最後は結局、収斂してしまうということだと思うんです。」

--こういう動きというのは、毎年起きると見ていいんですか。

「去年は高配当株が全くアウトパフォームしない、特殊な年だったんですけれども、そういう年も含めて、長く見ても、3月は権利付きの月なので、配当株がアウトパフォームするかというと、そうじゃない。」

(フリップ2:高配当利回り銘柄はいつ上昇?)
予想配当利回りのファクター・リターン(99年からの月別平均)
「これは配当利回りのファクター・リターンを、月別に1999年から長期間平均をとったものなんですけれども、簡単に言っちゃうと、配当が高い銘柄を買ったら、いいパフォーマンス効果があったかということを示すのが、このファクター・リターンというものなんですが、3月は1年のうちの下から2番目、ワースト2なんですよ。」

--むしろ高いのはというと5月ですか。

「そうなんです。5月は実はPERとかのファクターが効くのは、実は5月で、やはり4月末から決算発表が出て、新しい業績の情報、新しい配当の情報、そういったものに着目して、効果が一番高まる月なんですね。だから単純に権利が取りたいから、利回り高いから儲かるかというと、そうでもないということです。」

--やっぱりファンダメンタルズの変化というものを見ないといけないということですね。
 

■日経朝特急

生保、死亡保険料下げ
生命保険各社が、来年4月にも死亡保障など主力商品の保険料を全面改定する見通しだ。1年間に亡くなる人の人数の割合を、性別や年齢別に予測した標準死亡率を、算定団体が11年ぶりに下げるためだ。10年定期の死亡保険料は5~10%程度下がる見込みで、利益を契約者に還元する。逆に長生きがコスト増となる医療保険は、一部値上げの可能性もある。
 

出光・昭シェル、連携先行
合併計画を延期している出光興産と昭和シェル石油は、来月から先行して原油からガソリンや軽油を作る精製や物流で提携する。石油製品の生産、受託委託や共同配送で約250億円の利益押し上げを狙う。提携によるコスト競争力の向上を急ぎながら、創業家との協議も進め、早期の合併実現を目指す。
 

景況感、3月も改善へ
QUICKは日銀が来月3日に公表する3月の短観について、民間の金融機関やシンクタンク12社の予測をまとめた。注目度が高い大企業製造業の景況感は、2四半期連続で改善する見込みで、世界経済の好調で輸出と生産が伸びているためだ。ただ、アメリカの経済対策などの行方が不透明で、先行き懸念はぬぐえない。
 

株、下値警戒感強まる
オプション市場で日本株の下値警戒感が強まっている。きのうは売る権利(プットオプション)の価格が上昇。将来の予想変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス」が、2ヵ月ぶりの高水準になった。アメリカの政策運営に不透明感が生じ、アメリカの景気回復ペースが鈍ることに備える動きが広がりつつある。
 

■日刊モーサテジャーナル

欧米各紙が1面で報道、ロシアのデモ隊拘束
王寧の新聞各紙は1面で、26日にロシア各地でプーチン政権の汚職に反発してデモが行われ、多数の拘束者が出たことについて、大きく報じている。
ニューヨークタイムズは、警察に連行されるデモ参加者の写真を掲載。「プーチン大統領を批判して逮捕された」、と伝えている。モスクワに集まったデモ隊の数は1万人を超え、拘束されたのは、野党の指導者ナワリヌイ氏を含め、少なくとも約1000人という見方が出ている。ロシア側は集会の違法性を問題視する一方、欧米からは、平和のデモ隊の拘束は、民主主義に反するなどと批判の声が上がっている。ニューヨークタイムズは、「アメリカとロシアの関係改善を模索するトランプ大統領にとって、悩みの種になるかもしれない」、と見ている。
 

「米国株の調整を歓迎」(ウォールストリートジャーナル)
「株価下落を喜ぶファンがいる」との見出し。トランプ政権の政策への不透明感が株価の重しになっているが、こうした調整は逆に健全だと歓迎する投資家は多いという。記事によると、「多くの投資家はトランプラリーが過熱しすぎた結果、投機つまり正当な理由に乏しい不規則な投資が増えていて、3月1日に付けた高値から10%程度の調整は致し方ないと見ている。ある投資家は、「歯医者に行くようなもので、治療前は嫌な気分だけど、終わってみたらスッキリするだろう」、との見方。記事は、「今の株価下落が弱気相場や景気後退につながるリスクもあるが、80年代後半以降で、実際にそうなったケースはおよそ半分で、必ずしも悲観的にならなくてもいいのでは」、と伝えている。
 

音楽業界の未来?ライブをアプリで(ウォールストリートジャーナル)
音楽CDを買わず、ダウンロードもしない。そうしたアメリカの若者の間で人気なのはライブ演奏だが、実際に見に行くのではなく、アプリを通して見るのが、いま流行っているという。記事は、「これが音楽業界の未来だ」、とし、「ミュージシャンの中には一月3万ドル(330万円)を稼ぐ強者もいる」、と伝えている。ライブ演奏を手がけるアプリ市場は急成長していて、例えば、ニューヨークのyounowは利用者は3400万人近くである。ミュージシャンの収入源は広告ではなく、チップと呼ばれる仮想通貨で、ファンが気に入ったミュージシャンにチップを払って応援する仕組みだ。記事は、「新進気鋭のミュージシャンとつながりを持ちたい若者が多いのではないか」、と見ている。
 

・ 「ライブをアプリで」について

--アプリでということは、もう間がなくなるということですから、ダイレクトに・・・。

《マネックス証券/広木隆氏》
「きわめてもう現代的ですよね。今ミレニアル世代ってニュース記事にもあった通り、CDとか買わないで、ライブがすごく人気だけれども、それすらもインターネットの中で、かつ応援するのが仮想通貨だというところが、またすごいですよね。」

--しかもクラウドファンディングみたいな、応援する仕組みみたいな感じなんですかね。新しいビジネスになりますね。
 

■今日の予定

決算(ニトリ)
米1月ケース・シラー住宅価格指数
米3月消費者信頼感指数
米FRBイエレン議長講演
 

■ニュース

ダウ・ケミカルとデュポン合併 欧州委が条件付きで承認
アメリカの化学大手ダウ・ケミカルとデュポンの大型合併をEU=ヨーロッパ連合の行政執行機関、ヨーロッパ委員会は27日、条件付きで承認しました。ダウ・ケミカルとデュポンは1,300億ドル=14兆円を超える規模の合併を2015年12月に発表しましたがヨーロッパ委員会は競争環境の低下や独占禁止法に抵触する可能性を去年の夏から審査していました。こうした中、当局は27日、デュポンの農薬事業や研究・開発部門をダウ・ケミカル以外に売却することなどを条件に合併を認めたと発表しました。
 

米 製造業の回復続く
アメリカの製造業の回復が続いていることが確認されました。ダラス連銀が27日発表した3月の製造業活動指数は生産指数が18.6と9ヵ月連続の上昇となりました。また賃金と労働時間、先行きについても前の月に比べ上昇しました。一方で製品価格や素材在庫が大幅なマイナスとなっています。
 

ムーディーズ 「自動車ローン業者のリスク高まる」
アメリカの格付け会社大手、ムーディーズ・インベスターズは27日、自動車ローン業者のリスクが高まっているとのレポートを公表しました。ムーディーズは今年の新車販売台数は去年より15万台程度減少し頭打ちになると予想しています。こうした中、ローン業者は消費者が借りやすい長期間のローンを組んだり、中古車を通常より高値で下取りしていることから負債が膨れ上がっていると警告しています。
 

ECB専務理事「出口に備える必要」
ECB=ヨーロッパ中央銀行のラウテンシュレーガー専務理事は27日、異例の超金融緩和からの出口に備える必要があるとの見方を示しました。CNBCとのインタビューの中で専務理事は「現在の経済指標が示す状況が続く限り今の金融緩和が必要だ」としながらも「物価が目標に向かい安定的に推移する時に備え、準備すべきだ」と述べました。
 

シカゴ連銀総裁 「不可実性は高い水準」
FOMC=連邦公開市場委員会の投票メンバーの一人シカゴ連銀のエバンス総裁は27日、アメリカ経済の不確実性は非常に高い水準にあると懸念を示しました。スペインのマドリードで講演したエバンス総裁はこのほか、長期のインフレ期待がいまだに目標とする2%以下に留まっていることを不安視しています。また今年の利上げ回数については2回から3回が妥当だとの考えを改めて示しました。
 

てるみくらぶ破産 代金返金“1%程度”に波紋
格安旅行会社「てるみくらぶ」の破産によりおよそ9万人の利用者に影響が出るほか、旅行代金の払い戻しは1%程度に留まる見通しで利用者の間に波紋が広がっています。てるみくらぶを利用して海外旅行を予約していたこちらの男性は、5回分の旅行代金174万円を支払ったばかりでした。「てるみくらぶ」はきのう東京地裁に破産を申請し手続きが開始されました。99億円の旅行代金を受け取っていますが代理人によりますと弁済率は1%程度になると説明していて、過去の事例に比べ極めて低い水準になりそうです。経営悪化はシニア層に照準を合わせた新聞広告によるコスト増加や円安などが原因としていて負債はおよそ151億円に上ります。観光庁によりますと26日時点でてるみくらぶのツアーを利用して、海外に滞在している旅行客はおよそ2,500人いるということです。
 

日立AI技術 顔見えなくても不審者追跡
日立製作所は、AI=人工知能を使い、顔が見えなくても髪型や持ち物などからリアルタイムで不審者を追跡できる映像解析技術を発表しました。数万人が写った複数の防犯カメラの映像から1秒以内に同一人物を割り出すことができるといいます。日立製作所は、空港などでの警備や防犯を中心に、2018年度の実用化を目指します。
 

97兆4,547億円 過去最大17年度予算が成立
一般会計の総額が過去最大の97兆4,547億円となる来年度予算が、参議院本会議で可決、成立しました。政府与党はこの後、天皇陛下の退位に向けた特例法案やテロ等準備罪の法案など、重要法案の審議を進めたい考えですが野党側は「森友学園」問題をめぐり安倍政権への追及を続けていく構えです。
 

福島第一原発 1号機格納容器の内部映像公開
東京電力は福島第一原子力発電所1号機の格納容器内部を調査した際の映像を公開しました。映像では砂のような堆積物があることが分かりましたが、溶け落ちたとされる核燃料については見える場所までカメラが入れず確認できませんでした。東京電力は今後、堆積物を採取するなどして分析を進めることにしています。
 

ブルガリア議会選 EU重視派が勝利
EU=ヨーロッパ連合を重視する勢力の勝利です。ブルガリアで行われた議会選挙でボリゾフ前首相率いる中道右派、GERB=「ヨーロッパ発展のためのブルガリア市民」が勝ちました。選挙戦はGERBとEUによる対ロシア制裁の即時解除を求める野党・社会党の争いになっていましたが、GERBの得票率が社会党を上回りました。ただGERBの獲得議席数は過半数に及ばなかったため連立交渉が今後の焦点となります。
 

核兵器禁止条約 初の交渉始まる
ニューヨークの国連本部で27日、核兵器を法的に禁止する条約の制定に向けた初めての交渉が始まりました。ただ核保有国のアメリカなどは「北朝鮮が核兵器禁止に同意すると信じる人がいるだろうか」などとする声明を発表した上で交渉を欠席しました。また唯一の被爆国である日本も交渉には参加しておらず、交渉により核軍縮の機運が高まるかは不透明です。
 

栃木・那須スキー場 雪崩で高校生ら8人死亡
栃木県那須町のスキー場できのう雪崩が起き、巻き込まれた、県立大田原高校・山岳部の男子生徒7人と、顧問の男性教員1人が死亡しました。このほか40人がけがをし、そのうち7人が重傷です。雪崩が起きた時には高校生らは積雪をかき分けながら歩く「ラッセル」の訓練中で悪天候のなかなぜ実施したのか栃木県警は業務上過失致死傷の容疑で捜査をしています。
 

千葉・小3女児遺体 自宅出て間もなく連れ去りか
千葉県我孫子市でベトナム国籍の小学3年生の女の子が遺体で見つかった事件で、警察が防犯カメラを分析した結果女の子が自宅を出た後、小学校までの間にある複数の防犯カメラに写っていないため自宅を出て間もなく連れ去られた可能性があることが分かりました。また、遺体には首を絞められたような痕があり司法解剖の結果、窒息死の可能性があるとしています。
 

重さ100キロ 巨大金貨が盗難に
ドイツのベルリンにあるボーデ美術館で27日、重さ100キロの金貨が盗まれました。ドイツメディアによりますと、盗まれた巨大金貨は400万ユーロ=およそ4億8,000万円の価値があると試算されています。また純度の高さでギネス記録にも認定されている希少な硬貨でした。犯人は複数で、はしごなどを使い窓から侵入したもようです。
 

■【リーダーの栞】フェイスブックジャパン 長谷川社長
フェイスブックジャパンの長谷川晋社長がおすすめするのは、初版からおよそ80年経った今でも多くの人に読みつがれる名著「人を動かす」です。組織作りをする上で長谷川社長が参考にしたとフレーズとは?

フェイスブックは2010年に日本法人を設立、日本向けのサービスの拡充、広告事業などを行っている。
長谷川晋社長が紹介するのは「人を動かす」(テールカーネギー著/創元社)。初版から約80年経った今でも多くの人に読み継がれる名著、あらゆる自己啓発本の原点と言われるこの本は、人間関係の上手な作り方を説いている。

長谷川社長が次のステップの一つとして掲げるのが、動画による広告事業の拡大。フェイスブックの去年10-12月期決算は売上高、純利益ともに四半期として過去最高を更新。特にアジア地域の去年の売り上げ高は61%増と、世界平均として高く、重要マーケットと位置付けられている。

長谷川社長は社員に方針を伝える際、「人を動かす」の中で紹介されている、ある言葉を強く意識するという。
「成功に秘訣というものがあるとすれば、それは他人の立場を理解して、自分の立場と同時に、他人の立場からも物事を見ることができる能力である。」

会社の目標と社員のキャリアプランの接点を探すのが自らの仕事だと話す長谷川社長。社員と関係を築く上で心に止めているのが、笑顔を忘れないという言葉だ。
 

■ビジネス書、最新ランキング
(20日~26日、紀伊國屋書店調べ)

1.入社1年目の教科書(岩瀬大輔/ダイヤモンド社)
2.なぜ成功する人は神棚と神社を大切にするのか?(窪寺伸浩/あさ出版)
3.はじめての人のための3000円投資生活(横山光昭/アスコム)
4.考え方(稲盛和夫/大和書房)
5.はじめてやる仕事の不安やプレッシャーをはねかえす技術(渡邊明督/秀和システム)
 

■【コメンテーター】マネックス証券/広木隆氏

・ 米国自動車ローン、リスク高まる

--アメリカの自動車ローン業者のリスクというのは、これはちょっと不安なニュースですね。

「そうですね。自動車ローンのサブプライム問題というのは、もうずっと前からくすぶっていたところ、ちょっと今年は販売台数も減るということで、自動車の売れ行きがピークアウトだと・・・。住宅と自動車というのは、アメリカの消費の堅調さを示す象徴的なものなので、その1つがちょっとそろそろ崩れてくるのかなと・・・。アメリカも確かに経済絶好調なんですけど、自動車売り上げがここまでいいというのは、やっぱり販売奨励金とかで無理して売ってきているというのもあるので、さすがにちょっと金利が上がってくるとなると、なかなかちょっと厳しくなってくるかもしれないですね。」

--いま消費者の景況感はいいんですよね。

「そうです。ただ、そういうソフトデータはいいんだけど、ハードデータには、結構、不調なものも見られるので、そういったところは注意していきたいなと思いますね。」
 

・ きょうの経済視点 「年度末」

「今日は権利付き最終売買日なので、ずっと『プロの眼』から『株価の見通し』まで年度末、期末要因の話ばっかりしましたけれども、これは特殊要因ですから、年度が替わればなくなってしまう話なので、もう視線は明日から実質、新年度入り株式相場ですから、新年度のほうに向いていかなきゃいけない。新年度の最大の注目というと、欧州の政治問題ということですけれども、先ほど、ブルガリアの選挙の結果が出て、親EU派が勝った。この間のオランダ以降、ポピュリズムというのがちょっと影を潜めてきている感がありますね。例えば、ドイツの地方選でも、これはメルケルさんの党が勝って、しかも圧勝だったということなんですよね。だからここへきてかなり極右とか、反EU派というのが、ちょっと落ちてきているという気がしますね。」
 

2017.3.27 Newsモーニングサテライト

2017年03月27日 22時47分29秒 | MS
■【本日のコメンテーター】ニッセイ基礎研究所/矢嶋康次氏

■マーケット
 
NY株 今週は消費者信頼感指数に注目
トランプ大統領の政治手腕を測る上でも注目されたオバマケアの代替案をめぐる攻防は法案取り下げという結末に終わり、市場にとって課題が残った形となりました。この先の議会運営への懸念が市場を覆い、市場の不安心理を示すVIX指数は一時14を超えました。株価も同じタイミングで安値を付けたものの切り返す動き。市場が待ち望む減税などの議論がようやく前に進むとの期待感が下値を支えたようですが、今回の一件で期待通りに進むのかどうか慎重にならざるを得ません。今週はアメリカのGDP確定値のほか、物価や消費関連の指標が材料になりそうです。金曜日の株価終値です。高安まちまちでした。ダウは7日続落、59ドル安の2万596ドル。ナスダックは反発、11ポイント上昇の5,828。S&P500は続落、ほぼ2ポイントマイナスの2,343。

【アメリカの専門家インタビュー】株式相場「大幅下落の可能性低い」

先週、トランプ政権と議会が医療保険制度改革、いわゆるオバマケアの代替法案をめぐって混乱に陥り株式相場は不安定な展開となりました。しかし株式ストラテジストは今後株価が大きく下落する可能性は低いと見ています。
 
《ウェルス・ファーゴ/スコット・レン氏》
「(保険改革を巡る)今回の混乱を市場関係者は今後の不安材料と見ている。インフラ投資や規制緩和でm同様の混乱が起こる可能性もあるからだ。そのため先週、相場は調整局面に入ったようだが、驚くほどのものではない。若干の調整にとどまっているので、今後も大きく下落することはないだろう。」

こうした中、今週は今後の株価を占う上で重要な経済指標に注目だと指摘します。

《スコット・レン氏》 「今週は消費者信頼感指数などに注目すべきだ。企業の設備投資がそれほど強くないなかでも、個人消費がアメリカ経済を押し上げているからだ。雇用市場の回復は続き、消費者心理を支えているので、個人消費拡大につながっている景況感を示す指標は注視したい。」
 
 
【為替見通し】注目ポイントは「季節性要因」
解説はクレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏

--先週末の動きを振り返っていかがだったでしょうか。

週末のドル円相場は、アメリカ下院で予定されていたオバマケアの代替法案の採決が見送られただけではなくて、まさかの撤退となったことを受けて、逆にトランプ政権が税制改革に早期に着手するとの見方が浮上しまして、ドル円は110円台半ばから11円台前半に値を戻して引けました。本日は重要イベントも少なくて、週末のニュースの消化と年度末を控えた最終週ということもありまして、ドル円は110円台後半から111円台前半を中心に、需給で降らされる相場展開を予想しています。

--今日の予想レンジは、110.40円~111.70円です。今後アメリカの税制改革が進むと、ドル円はどう推移すると見ていますか。

話が進めば、ドル円は安いと思いますけれども、トランプ政権と議会との混乱が続くようであれば、税制改革の進展が市場の期待とは逆に遅れる可能性があります。
(フリップ1:米政権と議会の混乱で110円割れも)
その場合は、市場はトランプ政権誕生直後からの高安の半値戻しである109円93銭を視野に入れていくと思いますので、政権と議会の関係には引き続き注意が必要ですね。

--注目ポイントは「季節性要因」です。

毎年のことなんですけれども、この時期になりますと、日本勢による外国に投資されていた資金を本国に戻す、いわゆるリパトリエーションの影響が話題となります。
(フリップ2:3月のドル/円変化率(過去10年))
過去の統計を見ると、月を通して、3月はこの10年間では、7対3でドル高になっています。だからと言ってレパトリエーションの影響がイメージほどないというわけではありません。3週目ぐらいまでは円買い傾向となることが多く、逆に最終週は4月以降の動きを先取りする形で、ドル高傾向になることが過去のデータから見て取れます。従って、季節性要因からは今週はドル円が上昇する可能性があると言えます。

--ドル高、円安方向ということですね。
 
【日本株見通し】注目ポイントは「IPOラッシュ」
解説は岡三証券の小川佳紀氏
 
--今日の予想レンジは、19100円~19400円です。

日米ともに政治リスクがくすぶる中で、日経平均は19000円台前半でのもみ合い推移が続く一方、明日の権利付き最終日を前に、高配当銘柄や中小型株などの物色は活況が期待できそうです。

--注目ポイントは「IPOラッシュ」です。

今週の新規上場企業は7社が新規に上場するIPOラッシュとなります。

(フリップ1:今週の情上場企業)
27日(月) ティーケーピー
28日(火) No.1、ズーム
29日(水) オークネット
30日(木) スシローグローバルHD、ユーザーローカル
31日(金) ネットマーケティング

IPO銘柄というと、上場して初めて付く株価、いわゆる初値が注目されがちですが、最近は初値が付いた後も、株価が上昇する銘柄が増えている点に注目しています。このような銘柄が増えることで、投資家がIPO銘柄に対する投資意欲はさらに高まると見られます。

--ただ、これだけ上場する企業が多いと、他の銘柄には換金売りが出ませんか。

はい、確かにIPO銘柄に投資するための換金売りが、中小型株を中心に出る可能性はあります。
(フリップ2:換金売りでの指数下落なし?)
ただ、昨年1年間の月別の新規上場社数と東証マザーズ指数の騰落率を見ると、上場社数が多いからといって、換金売りによってマザーズ指数が下落するということはありませんでした。むしろ上場後も成長性や業績を評価して、中長期的に株価が上昇するIPO銘柄が増えれば、新興市場全体の活況にもつながると考えています。
 
 
■【エマトピ】不況続くブラジル 日本企業は・・・
2年連続のマイナス成長になったブラジル。キリンHDのブラジルからの撤退が報じられる中、他の日本企業の中には店舗数を着実に増やす小売やレストランがあるといいます。解説は大和証券の横路史生氏。
 
 
 
(フリップ1:2年連続マイナス成長)
--まずブラジルの経済状況を確認します。今月7日に発表になった2016年通期のGDP成長率は前年比3.6%減となり、2年連続のマイナス成長となりました。政局の混乱を背景に生産、投資活動が低調となり、失業の増加で消費も落ち込みました。

《ブラジル・サンパウロ:大和証券/横路史生氏》
--ブラジルの景気後退というのはまだまだ続きそうですか。

(フリップ2:先行指標はすでに底打ち)
「いえいえ、景気先行指標や鉱工業生産はずでに底打ちしていますので、景気後退は去年10-12月期で終わり、足下の1-3月期から回復、つまり前期比プラス成長に転じるものとみています。但し気になるのが、17日に発覚した、食肉加工業者が衛生基準を満たしていない食肉や加工品を販売していた問題の影響です。今後、肉製品の国内消費と輸出の急減により、景気回復の腰を折るリスクがあるかもしれません。」

--さらにこの不況の中で、キリンホールディングスがビール事業子会社を売却、ブラジルから撤退が報じられましたが、他の日本企業の動きはどうなんでしょうか。

(フリップ3:不況でも店舗数伸ばす)
「はい、残念ながら、日本企業については、撤退の話が多く聞こえてきます。そうした中、100円ショップのダイソーとすき家のゼンショーは、ブラジルでの店舗数を着実に伸ばしています。ダイソーは今月24日に、23号店目がオープンしたばかり。品質の良さやかわいさがブラジル人に受けています。一方、すき家も今月だけで新たに2店舗をオープンします。注文を受けてから提供までのスピードや、新メニューの積極投入といった点が評価されているようです。」

--お手頃価格の小売店やレストランに人気が集まっているというわけですね。

(フリップ4:トヨタ)
「はい、そうなんですけども、頑張っている日本企業はサービス業だけではありません。自動車市場ではトヨタのシェアが7位から、去年は5位に浮上しました。ブラジル全体の新車販売台数が、前年比20%減と落ち込むなか、新興国向けの小型車トヨタ「エティオス」が16%増と大きく伸びています。エティオスはタクシーとして使われることも多いのですが、運転手に選んだ理由を聞いてみますと、『デコボコの道路でも乗り心地がいいし、耐久性に優れているんだよ』、と話してくれました。」

--そうですか、厳しい現状の中でも頑張っている企業はあるんですよね。では日本の投資家や日本の企業というのは、今後ブラジルをどう見ていけばいいんでしょうか。

(フリップ5:2016年主要株式ベンチマーク指数騰落率)
・ ブラジルボベスパ 45%
・ ロシアMICEX 27%
・ タイSET    20%
・ S&Pトロント総合18%

「去年世界の主な国の株式ベンチマーク指数のの中で、パフォーマンスがもっと良かったのはブラジルのボベスパ指数でした。引き続き今年も堅調に推移していますので、史上最高値を9年ぶりに更新する可能性が高いと見ています。好調な株価がブラジル景気が来年にかけてV字回復を示していると考えます。」
 
 
■【NY便り】出口に向かう金融政策、そのカギは
今月半ば、3回目の利上げをしたFRB。市場では今後の利上げのペース、また量的緩和の解除など出口に向けた思惑が高まってきている。出口に向けたポイントは何か、コロンビア大学教授の伊藤隆敏氏が解説。
 
--アメリカの金融政策、出口に向けたポイントは何なのか。スタジオゲストはコロンビア大学教授の伊藤隆敏さんです。まず今月、利上げがありましたが、これは経済の環境的に正しかったんでしょうか。
 
「正しかったとおもいますね。インフレ率も雇用もいい指標が出ていますから、上がって当然という、そういうのも織り込ませることにも成功しましたし・・・。」

--でも織り込ませ方が急だったんじゃないかって、ちょっと思ったりもするんですが・・・。

「まあ、でも3回の範囲内で、良かったんじゃないですかね。」

--なるほど、それで今、出口という表現を使ったんですが、保有債券の放出の議論も始まるのではないかと、市場は気にしていますけれども、そこも含めて伊藤さんはどう思われていますか。FRBの出口戦略について。

「出口は遠いけれども、出口の明かりは見えてきたと思うんですけれども、そこに行く過程で、いつから放出が始まるかというのは、まだそこまで議論は行っていない。これからとにかく、まあ3回利上げというところまでじゃないですかね。」

--でも3回利上げも、そう言えば、前にも3回利上げと言って1回しか上げなかった。ハズレてますもんね。

「2年続けてはずして、今年というか、去年12月に出したのは多分当たると思います。」

--その「たぶん」の根拠は何ですか。
《FOMCメンバー利上げ見通し》  2017年(3回)、2018年(3回)

「やっぱりインフレ率と雇用が堅調に推移している。堅調に推移しているのを壊さないように、少しづつ上げていくというのは可能じゃないかと思うんですよね。」

--イエレンさん自身もちょっと変わってきましたよね。

「そうですね。ハト派の守護神みたいな感じでいたんですけれども、最近はもう少し上げても大丈夫というふうに確信を持つようになったんじゃないですかね。」

--しかも声明文でも前は外部環境のことも言及されてましたけれども、今でもハズレてきているというのがあるんですかね。

「国際経済環境は良くなりましたから、スピルオーバーを心配することも無くなったし、だから最大の不確実要因はやはりトランプ経済政策かと思いますね。」

--それは市場も同じだと思うんですが、そんな中で実は伊藤さんは先週、FRBの高官と会談する機会があったそうですね。

「FRBにちょっと為替の専門論文を持って行って、専門家の人と話をする機会があって、そのついでと言ったら怒られるんですけど、2人ほど高官と話をして・・・。」

--その中で一番印象に残った話、考え方は何でしたか。

「いま理事の空席2つあって、タルーロ理事がもう辞めると政府に宣言していて、来年2月にイエレン議長の満期が来て、6月にフィッシャー副議長が満期となり、ものすごくこれから補充が進まないといけないですね。だから補充するのはトランプ政権なわけですから、そこですごい心配しているんじゃないかと・・・。」

--もちろんマーケットも心配していると思いますよ。

「・・・と思ったんだけれども、意外にもその辺の心配はは、にじみ出てこなかったんですね。」

--どうしてですか。

「なんか財務省、経済系についてはそれほどおかしな人事は行われていない。」

--それはムニューシンさんも含めてということですか。

「そうですね。含めてですね。だからもちろん税についてはそんなに専門性があるとは思えないですけれども、やはり経済関係をずっと生きてきた人ですから、それで特にフェデラル・リザーブを廃止しろなんて馬鹿なことは言っていないわけで、そういう意味で最悪に事態というのはないよね、というところまでは安心感が広がってきたんじゃないですかね。」

--トランプ政権はわざとそういうふうに、反対の人を任命する場合もありましたもんね。環境保護局の方とか。それでトランプさんというと、金利上昇という懸念があると・・・。その辺りの話はあったですか。

(フリップ1:米国10年債利回り)
「いや、特に今すぐに心配しているという感じではなくて、それは何故かというと、トランプ大統領の言うことと、議会ができること、認めることの間にかい離があるじゃないですか。金曜日の、今回のことのように。だからそういう意味では、やはりいろいろ注視はしているけれども、どっちに転ぶか分からないし、それについて今から準備することはできないという感じだと思います。」

--10年債利回りも高止まりというか、2.5%ぐらいでずっと横ばいになってますが、景気がいいからこそ利上げをしたと思いたいんですが、実はGDPナウ、この番組でもたくさん出してきましたが、いま足下1.0で、この前利上げしたときは0.9だったんですね。そして前回12月の時は2.4だったんです。この環境(2.4)で利上げしたんだと思っている市場関係者が多いと思うんですよ。

(フリップ2:GDPナウ)
「まあでも金融政策というのは、6ヵ月、1年後を見て決めているものですから、今の足下が上がったり下がったりしても、そんなに影響を受けないと思うんですよね。」

--この差があってもですか、2.4と0.9って案外差があるような気がするんですけどね。

「(16年前半の頃だって、)上がったり下がったりしているじゃないですか。」

--まあそうですね。GDPってデータ・ディペンデントなんですけれども、じゃあ今仰っていただいた見通しが今回出ましたよね。これは市場がびっくりしたのは、来年18年も今年と変わらないって、トランプさんの影響は全く無視なんですね、って思ったと思うんです。」
 
(フリップ3:FRBの経済見通し)
「低すぎるということですか。だからそこは本当に何ができるのかというのが見えてないじゃないですか。減税にしても本当にできるのかとか、法人税も15に下げると・・・、いや、それはできないだろうと・・・、20ぐらいまでは下がるのかな、25ぐらいで終わるのかなと・・・。まだ全然、減税は法案にもなっていない。インフラ投資と言ってもどう反映するのかも分からないですから、そういう意味では、まだ注視はしているけども、そこは織り込めないということじゃないですか。マーケットだから株価にすぐ反映しちゃいますけど・・・。」

--でも市場はそこのところが・・・、しかもサイクルが速まることを懸念しているわけじゃないですか。そのヒントが無かったというのは、市場はやっぱり不安なんだと思うんですよ。

「ただ、やはり今言ったように、FRBとしては確実に、例えばモデルを使って・・・とか、信頼のできる予想をして、来年に織り込むだけの情報はまだ無いということだと思うんですよね。あともう1つは、もし財政が突っ走るということがあったら、金融で引き締めないといけないというふうに思いますから、そういう意味ではGDPというのはその両方の結果ですから、安定的に推移させようという意思が表れているのかもしれない。」
 

■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(期間:2月24日~26日、対象:番組出演者32人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19400円)
先週終値 (19262円)
 
《岩井コスモ証券/林卓郎氏》
(19400円予想)
「日米の政局懸念は残るものの、新年度相場への期待などから巻き戻しがある。」

《ニッセイ基礎研究所/井出真吾氏》
(19000円を予想)
「トランプ政権に対する期待や信頼の低下に加え、配当落ちもあり、軟調な展開になる。」

(2) 今週末のドル円相場予想
予想中央値(115.50円)
先週終値 (111.44円)

《FGP証券/深谷幸司氏》
(112.00円予想)
「アメリカの税制改革への悲観的な見方が修正され、リスク回避が後退する可能性がある。」

《ソニーフィナンシャルホールディングス/尾川眞樹氏》
(110.50円予想)
「オバマケア代替法案の撤回の影響がドルの上値を抑える。」

(3) トランプラリーは今後どうなる?
継続する(41%)、終息へ向かう(31%)、どちらとも言えない(28%)
「継続する」とした人は、税制改革への期待やアメリカ経済の堅調さを理由として挙げている。一方、「終息へ向かう」とした人は、共和党内部の分裂の深刻さなどを挙げている。
 

■【特集】複雑化する教育無償化議論
政府や自民党で教育無償化について議論が始まっている。6月の骨太の方針に盛り込もうとの予定だが、課題も多いと言います。今後の見通しは?解説はニッセイ基礎研究所・矢嶋康次氏。
 
--今日のテーマは、「複雑化する教育無償化議論」ですが、議論はすでに始まっているわけですよね。

「政府は6月の骨太にも教育の無償化を盛り込もうということで動き始めていますが、ただ結構、経済的な話とか、いろんな話と重なっているので、結構、議論としては面白くなってきている気はします。」

--コチラがまず最初に見ていただきたいものです。

(フリップ1:経済成長政策の定量的効果について:既存研究に基づく概観(出典:森川正之))
「これを見ていただくと、日本の潜在成長率がゼロ%ぐらいの中で、これからどうやって中長期的に力をつけていくかということで、いろんな項目がこういうふうに出ているんですけれども・・・。」

--成長率への効果ということ、長い目で見たときですね。

「これは経済財政諮問会議で、経済産業研究所の森川先生が出されたものなんですけど、これを見ていただくと、よく言われるTPPとか、女性の就労参加みたいな話よりも、実は学力のほうが非常に寄与率が高いということが明らかになっているということですね。」

--これはちょっと意外な数字なんですけれども、これは高等教育というか、非常に高度な教育ということですよね。ここに持っていくまでには、やはり義務教育からここに行くまで持ち上げていってあげないといけない。

「ちょっと日本の教育を考えると、まだまだ問題点が指摘されていて、例えば日本の支出の、今日予算が決まりましたけれども、高齢者向けの支出がものすごく多いんですけど、若者とか、子供への支出はものすごく少ないというのが日本の特徴です。」

(フリップ2:収入で広がる教育格差)
(青:4年制大学、緑:専門学校、紫:短期大学、赤:就職など)
「その少ない中でも起こっている話というのが、格差の問題でして、親の年収が400万くらいですと、4年制大学に行く人は30%ですけど、1000万円を超えてくると60%を超えてくるという意味で、親の年収で子供の学歴も決まってしまうという現状があるというのも明らかですよね。」

--データで見ると明らかですけれども、政府もやはりこういうところに手を打とうとしているわけですよね。

「そうですね。17年度から返済不要の給付型奨学金制度が約70億円、それから18年度から本格実施で220億円の予算を用意しているんですけど、今日お話しする教育無償化は、どこまで範囲を広げるかもありますけれども、幼児教育から高等教育、大学・大学院まで含めると、だいたい4~5兆円ぐらいかかる。さっきの220億円と、全然違う規模の数字の話になってきているということなんですね。」

--今ある予算と現実のお金というのは、全然違うと・・・。そこまで規模が大きいと、手の打ちようがほとんど無くなってきますよね。

(フリップ3:各党の教育無償化)
「そうです。これだけ規模が大きいと、ある程度、政治の力とか、政治の判断が必要になってくると思うんですけど、各党、実は見ていただくと、教育の無償化については結構皆さん積極的にこれをやるぞ、やるぞ、という話になっています。ただ分かれているのが、憲法にこれを明記すべきかどうか、特に維新さんは憲法を改正すべきだというところまで来ています。それとあと違うのが財源ですね。自民党さんは教育国債とか、国債で発行しようなどと、いろんな形で財源の話が出ているんですけども、安倍総理は実は1月に施政方針演説で、『誰もが希望すれば、高校にも大学にも進学できる環境を整えなければいけない』、という話を言われているんです。教育無償化は先ほどお話ししたように、日本維新の会が改憲項目(憲法改正項目)に挙げているので、安倍総理がこの憲法改正で教育無償化の実現を訴える、維新と手を結ぶ、そういう思惑も見えてきていて、かなり議論がいろいろな政治的思惑が出てきているという状況になってますね。」

--政治的な思惑はいろいろあるにしても、根本的に財源、それだけ4兆円~5兆円かかるであろうという教育無償化に関して、財源はどうするか、ですね。

「これはいろんな方法があると思うんですけども、国債を発行してお金を調達する方法とか、税制であるところからちょっと負担をしてもらって教育に回すとか、いろんな話が出てくるかと思いますが、今のこのご時世を考えると、なかなか消費税を例えばさらにアップするとか、ちょっと難しいと思うので、どうしてもやっぱり国債になると思うんですよね。そうすると4~5兆円の財源を用意するかは別としても、もうちょっと小さな規模にしても、ちょっと財政規律との関係がどうしても出てくるんだと思います。そういう意味では政治で本当に教育無償化をやるということになると、財政規律の議論が出てくる。実はこの間コロンビアのストゥリスさんがいらっしゃって、消費税は反対、それから、債務の永久債とか、長期債の組み換えなどを提言されていたと思うんですけど・・・。そういう意味ではこの議論が進んで、本当に政治的にやるという話になった時には、やはり財政規律を緩める。例えば、国債発行を毎年、毎年減らしている部分をちょっと緩めるとか、もともと2020年のPB黒字化をちょっと緩めるとか、そういう議論が出てきてもちょっとおかしくないかなという地合いになってきていると思いますね。」

--でもプライマリーバランスの維持というのは、今ですらもう無理なんじゃないかと言われている中で、さらにこういう大規模なものが出せるかどうか、という語論になりますよね。

「そうですね。そういう議論も当然ですし、政治的に考えたときに、いま森友の問題の話もあって、なかなかちょっと揺れていますし、それから都議選を見たときに、いま自公の間にちょっと亀裂が入ってきているので、政治的にどういうバランスになるか、そこが決まらないと、なかなか無償化の話、憲法改正、財源の議論というのは出てこないので、その辺これからいろいろ出てくるのかなというふうに思います。」
 
 
■日経朝特急
 
東芝ウエスチングハウス、米破産法申請
アメリカの原子力子会社ウェスティングハウスがアメリカ連邦破産法11条の適用を申請する方針を決めたことが分かった。ウェスティングハウスが28日に開く取締役会で正式に決議する見通しで、適用申請後の支援先として韓国電力公社グループに協力を要請した。実現すれば東芝はウェスティングハウスを連結から切り離すことができ、再建への道が開ける。
 
 
東京電力、改革へ新体制東京電力HDの新たな経営陣が固まった
会長に日立製作所の川村隆名誉会長、社長に小売部門トップの小早川智明取締りが付く。東京電力と政府は人事案を巡って、年明けから水面下の調整を続けてきて、若返りを図るとともに、生え抜きと社内取締役の結束も狙う。6月の株主総会を経て新体制に意向する。
 
 
外国人技能実習受け入れ
厚生労働省は来年度から、外国人技能実習生の受入期間を、優良な団体に限り、従来の3年から5年に延長する。技能実習生は違法な長時間労働、低賃金での労働が社会問題になっていて、優良な団体を優遇することで労働環境改善を促す。
 
 
■日刊モーサテジャーナル
 
トランプ政権で最大の敗北、連立政権の構築を
トランプ大統領と与党・共和党がオバマケア代替法案を撤回したことについて、アメリカの新聞各紙は、「政権始まって以来最大の敗北」、と報じている。
ウォールストリートジャーナルは、共和党が上下両院で過半数を握っているにも関わらず、法案が成立しなかったことを重く見ていて、「党派を超えた連立政権の構築が必要だ。」、と訴えている。記事は、「トランプ大統領は大統領選期間中に、共和党を攻撃してきた付けが回ってきた」、と指摘。「トランプ大統領の支持層は代々民主党を支持する労働者が多いことから、民主党の一部と連携できる可能性があるものの、民主党のオバマ前大統領の、いわば遺産でもあるオバマケアから手を付けたことで、それも難しくなってしまった。」、と政策の優先順位に疑問を呈している。
一方、週刊投資新聞バロンズは、「次の戦場は税制改革だ」、と早くも切り替えモード。「減税が嫌いな人などいない」、と強気な見方で、「オバマケア代替法案に反対した共和党の保守強硬派も賛成するだろう」、と楽観的な見方を示している。
 
 
マーケットはアメリカ・ファーストではない(週刊投資新聞バロンズ)
バロンズは、税制改正には楽観的見通しを見せているが、トランプ政権の政策実行能力への不透明感から、アメリカの中小型株、いわばアメリカ・ファースト銘柄の下落が最近、目立っている、と警戒している。記事は、「S&P500の銘柄のうち、アメリカ国内での売上高が多い上位50社の株価が、3月に入って4.2%下落した一方、海外での売上高が多い上位50社の株価が0.1%上昇したことに注目。「トランプラリーの原動力の1つは、議会の行き詰まりを打ち破る突破力に対する期待だったが、マーケットはそれが難しいという現実に気づき始めたのでは。」、と分析している。
 
 
米ハリウッド→ネットフリックス、人材流出相次ぐ(ウォールストリートジャーナル)
「ハリウッド映画の新たな悪役が登場」との見出し。実はこれは新作映画の登場人物のことではなく、動画配信サービス大手のネットフリックスを指している。最近、ハリウッドは独自コンテンツの政策に力を入れるネットフリックスに優秀な人材を引き抜かれているという。ネットフリックスが今年、独自コンテンツにかける制作費は60億ドル以上と他の大手メディアを圧倒する見通し。年間の製作本数も70本以上にのぼると見られている。また俳優はもちろん、カメラや音声など、裏方にも高い給料を支払うことで知られるネットフリックス。最近になって、ソニーやディズニーの幹部も移籍したという。記事は、「残された問題は、巨額の製作費に見合うだけ、世界各地で有料会員数を増やせるかどうかだ。」、との専門家の声を掲載している。
 
 
・ 「トランプ政権で最大の敗北」について
 
--さて出だしからつまづいたトランプ大統領ですが、税制ってそんなにすぐに行きますかね。楽観視しているようですが・・・。

「でもトランプさんは30年ぶりとか、驚くような税制を出すと言ったので・・・、オバマケアも最初にすぐ潰すぞと言っといてできなかったことを考えると、やっぱり議会との折り合いが・・・。次は何か見えるものを実現しないと、ちょっとトランプラリーに影が確実に出ちゃうんじゃないかと思いますね。」

--見えるものというと、むしろ探すのが難しくないですか。規制とかですか。

「はい、規制緩和とか、なんか議会と手を結べるものをいくつか出してこないと、ちょっと市場としては期待がなくなる感じはしますよね。」
 

■今週の予定

27日(月) 2017年度予算成立、日銀金融政策決定会合の主な意見(15~16日分)
28日(火) 米1月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米FRBイエレン議長が講演
29日(水) イギリスがEU離脱通告
30日(木) 米10-12月期GDP確定値
31日(金) 2月消費者物価指数、2月鉱工業生産指数、中国3月製造業PMI・非製造業PMI、米2月個人消費支出
 
 
■今日の予定
 
2017年度予算成立
日銀金融政策決定会合の主な意見(15~16日分)
2月企業向けサービス価格係数
米シカゴ連銀エバンス総裁講演
 

■ニュース
 
原油減産の延長を検討
原油減産の延長を検討します。OPEC=石油輸出国機構に加盟する産油国と非加盟の産油国が行う協調減産を点検する閣僚級監視委員会は26日、延長の是非を検討することで合意しました。原油相場下落を踏まえ、来月の会合で減産延長の妥当性を精査する考えです。今年1月から始めた協調減産は6月までの予定ですが、半年程度延長されるとの観測が浮上しています。
 
 
イラン 対アメリカ報復制裁
イランの外務省は26日、アメリカの企業15社を対象にイラン国内の資産凍結や関係者へのビザ発給禁止など制裁を科したと発表しました。イランの中距離弾道ミサイルの発射実験を受けトランプ政権は対イランの追加経済制裁を発動しましたが、今回のイランの措置はその報復と見られます。ただAP通信によりますと対象となったアメリカ企業はいずれもイランと取引を行っている形跡はなく、影響は限定的です。
 
 
テレ東・日経世論調査 政府説明「納得できず」74%
テレビ東京と日本経済新聞の世論調査で、学校法人「森友学園」への国有地の払い下げについて、政府側の説明に「納得できない」という人が74パーセントと「納得できる」の15パーセントを大きく上回りました。この調査は、ご覧の方法で行ったものです。安倍内閣の支持率は先月から横ばいの62パーセントでした。国会で森友学園への国有地の払い下げ問題について追及が続いていますが、現時点では、内閣支持率に影響はない模様です。一方、これまでの政府側の説明に「納得できる」という人が15パーセントなのに対し、「納得できない」という人が74パーセントに達しました。天皇陛下の退位を巡り、政府は、与野党の合意を踏まえ、特例法での法整備を進める方針ですが、この対応に「賛成だ」という人は55パーセント、「皇室典範の抜本改正で対応すべき」は35パーセントでした。
 

千葉の女児全裸遺棄 遺体は不明のベトナム国籍女児
26日朝、千葉県我孫子市の排水路脇で10歳ぐらいとみられる女の子が死亡しているのが見つかり、24日から行方不明になっていたベトナム国籍の女の子と確認されました。26日午前7時前、千葉県我孫子市の排水路脇で釣りに来た男性が、「女性が全裸で倒れている。マネキンかもしれない」と警察に通報しました。警察によりますと、松戸市で24日から行方不明になっていたベトナム国籍の小学3年生、レェ・ティ・ニャット・リンさん9歳と確認されました。首にはしめられた痕があり警察は殺人・死体遺棄事件と断定し、今後、司法解剖して死因を調べるということです。
 
 
香港行政長官選挙 親中派の林鄭氏が当選
香港政府トップを決める行政長官選挙が行われ、中国政府が支持する林鄭月娥氏が、市民の人気が最も高かった曽俊華候補を抑え当選しました。この選挙は、市民に投票権がなく親中派が多い選挙委員の投票で決まる中、民意と異なる選挙結果になり、新政権は厳しいスタートを切ることになりそうです。
 

米ウーバー 自動運転車の実証試験を中断
自動運転車による事故が波紋を広げています。スマートフォンを使った配車サービス最大手、アメリカのウーバー・テクノロジーズはアメリカ国内で行っている自動運転車の実証試験を中断しました。ウーバーがアリゾナ州の公道で行っていた自動運転車の実証試験で24日、自動運転モードで走っていたボルボのSUVが他の車と衝突し横転しました。これを受けウーバーは事故の詳しい調査結果が出るまで試験を停止します。自動運転をめぐっては、去年、電気自動車大手テスラの乗用車がトラックと衝突し、ドライバーが死亡する事故が発生したほか、グーグルの実証試験でも自動運転車がバスと接触する事故が起きています。
 

欧米でも主要観光施設で消灯
毎年3月の最終土曜日はWWF=世界自然保護基金が一定の時間、消灯するようを呼び掛けている「アースアワー」の日です。欧米の観光施設でも明かりが消えました。ヨーロッパではパリのシンボル、エッフェル塔が消灯。アメリカの西海岸ではサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの明かりが1時間消えました。ロイター通信によりますと、10回目となった今年、172カ国のおよそ7,000都市で消灯が行われたということです。
 
 
■【コメンテーター】ニッセイ基礎研究所/矢嶋康次氏
 
・ “森友問題”影響なし?、内閣支持率横ばい

--森友学園で揺れる安倍政権ですけれども、支持率は横ばいだったんですね。

「今のところ、影響なしという話だと思います。きょう2017年度予算が決まるので、国会での追及の場が減るという話はあると思うんですけど、南スーダンの話とか、いろいろありますので、それから今回の森友の話も、これは長期化ということを考えると、かなり内閣としても支持率、特に野党の支持率が上がるかどうかに関しては、7月の都議選もありますので、かなりまだピリピリする展開なのかなというきはしますね。」

--南スーダンに関しては、稲田大臣の行方も懸念されていますね。

「そういう意味では、一部で衆議院解散早期かという話もあると思うんですけれども、まあ4月は北朝鮮がこういう状態ですし、それから経済対話がアメリカでも始まるので、解散をやっている場合ではないですけども、その意味でも支持率の動向というはかなり注目かなと思います。」
 
 
・ きょうの経済視点 「政治リスク」

「なんかちょっと潮目が変わってほしくないんですけど、トランプラリーの潮目が変わりそうな気がしてきて、経済統計はおそらく夏場ぐらいまでどこの国も労働環境がいいので、そこそこいいとは思うんですよ。ただ、今日のニュースでいっぱい出ていますけれども、例えば、ロシア、北朝鮮、韓国、香港、ウクライナ、フランス、どこを上げても政治の話ばっかりになってきて・・・。」
 
--イギリスもですね。

「はい、イギリスも今週ブレグジットですね。あとはトランプさん、今日はあまニュースに出てなかったですけど、ロシアとの問題がかなりいっぱい出てきていますので、そういう意味では世界全部そうですし、それから今までないと思って安心していた日本が、急に先週ぐらいから政治的にちょっとニュースが出ると円高になったりとか、そんな意識が出てきているので、ちょっとこの数ヵ月の間に政治問題が終息するというのはなかなか見えにくいと思うんですけど、ちょっと他ランプさんがいくつか政策が実現できるかとか、日本だと今のグダグダの話から、前向きな政治課題の話に移るかどうか、この辺がちょっと見えるか同課が重要かなと思います。」