■マーケット
黒田総裁「追加緩和 まだ十分可能」
きょう都内で日本銀行の黒田総裁の講演がおこなわれました。2週間後の金融政策決定会合でこれまでの金融政策の効果についての検証が行われることもあり発言が注目されていました。黒田総裁は「量・質・金利の各次元での拡大はまだ十分可能。検証はあくまでも物価上昇率の2%の早期実現のために行うもの。緩和の縮小という方向の議論ではない」と発言し、今後もあらゆる手段で追加緩和に踏み込む可能性を示しました。その一方でマイナス金利政策が金融機関に与える影響などの「副作用」についても言及し、マイナス金利政策などに反発する金融機関などに配慮する姿勢をにじませました。講演を聞いたエコノミストたちは次の会合での追加緩和は見送り、今後慎重に判断していくとみています。
■ニュース特集
格安スマホ 安さと人気の秘密
無料通信アプリを手がけるLINEは格安スマートフォン事業を、5日から始めると発表しました。LINEの無料通話やメッセージが使い放題で、最低料金はデータ通信容量1ギガバイトの場合、月額500円(税別)となります。また、LINEのほか、ツイッターやフェイスブックの使い放題で音声通話も含めたプランは1,690円。これは大手通信会社のスマホ利用料金の3分の1以下になります。MM総研によりますと、格安スマホの契約数は3月末の時点で約540万件と、2年間で3倍以上に伸びています。格安スマホは異業種からの参入も相次いでいて、「楽天モバイル」は楽天ポイントが2倍になるサービスなどで契約者数を伸ばしています。またリサイクルショップを展開する「マーケットエンタープライズ」は中古端末と通信回線をセットにした格安スマホを今月にも販売。他社では端末が限定される中、バリエーションで勝負します。
【格安スマホ“戦国時代”に突入!?月500円で使い放題】
月々の利用料金が従来の約半額以下になるという格安スマートフォンが急速に普及している。格安スマホの契約数はこの2年間で3倍以上伸びていて、2年後には倍増し1000万件を超えると予想されている(MM総研)。今、多くの企業が参入しているこの成長市場にLINEが参入する事を発表した。SIMカードのほかスマホ端末とのセット販売も行い、8機種を取り扱う。売りは安さで、月額の料金は最も安いプランで500円。LINEのメッセージやスタンプの送信、会員同士の無料通話が使い放題(動画も含む)。LINEやフェイスブック、ツイッターの使い放題プランも月額1110円、音声通話が利用できるプランでも1690円と、大手通信会社の3分の1以下(コミュニケーションフリープラン)。LINEではユーザーを増やすと共に有料で提供している音楽やゲーム事業の収益向上に繋げたい考えだ。
【格安スマホなぜ安い?】
格安スマートフォンの最大の魅力は価格。その安さの秘密は格安スマホの事業モデルにある。NTTドコモなどの大手キャリアは自社で通信回線を持っていて基地局やサーバー、そのほか巨額の設備投資をしている。一方、格安スマホは大手キャリアの通信回線を借りて利用者に提供している。そのため設備投資などの固定費が少なくて済み安く提供できる。この成長市場を狙ってLINEのほか異業種からの参入が相次ぎ、格安スマホのシェアの3位にはネット通販大手の楽天、4位には動画配信のU-NEXTが入ってきている(1位・NTTコミュニケーションズ、2位・インターネットイニシアティブ、5位・ビッグローブ、出典・MM総研)。異業種の戦略を取材した。
【格安スマホ“戦国時代”に突入!?拡大目指す“楽天”の思惑】
2年前に格安スマートフォンに参入した楽天の販売店・楽天モバイル。客の多くは大手キャリアからの乗り換えが目的。5GBの通信料に通話料を含めたプランで月額3000円と、大手キャリアに比べ半分以下の価格が客を惹きつけていた。さらに楽天ポイント付帯サービスもある。通話付きプランの契約者は契約期間中、ネット通販サイト・楽天市場で買い物をするとポイントが2倍になる。楽天グループで客を囲い込むのが狙いだ。さらに今、力を入れているのが実店舗の拡大だ。現在、販売店は全国に95店舗あるが、今年中に100店舗以上に拡大する予定だ。他社はネットでの契約がほとんどだが、シニア層を中心に店舗での契約を望む客も多いためだ。実店舗を増やす事で新規顧客の拡大へ繋げようとしている。
【格安スマホ“戦国時代”に突入!?200機種から好みの端末をチョイス】
テレビや白物家電など客から買い取った商品を中古品としてインターネットで販売するリサイクルショップ・マーケットエンタープライズは、情報通信会社・光通信と共同出資会社・MEモバイルを設立。今月中にも中古端末と通信回線をセットにした格安スマホの販売に乗り出す。そこには幅広い端末を取り扱う事ができるというリサイクルショップならではの強みがある。現在、取り扱っている端末は約100機種だが、サービス開始時には200機種になるという。他社では端末が限定される中、バリエーションで勝負に出る狙いだ。
【格安スマホ“戦国時代”に突入!?生活スタイルで選ぶ時代に】
携帯電話業界に詳しい専門家は格安スマートフォンの選択肢が今後さらに広がると指摘する。単に通話や通信だけでなく自分の世界つスタイルに合うスマホを選ぶ時代が来ている。但し、格安スマホ2年縛り違約金、サポート体制、速度低下などの点に注意する必要がある。
外国人旅行客の不便を“便利”に!
セブン-イレブンでは、全国1万9,000あるすべての店舗とサポートセンター、通訳を電話でつなぐ「同時通訳」サービスを今月から開始。必要に応じて通訳が客と話し、要望を聞き出して店側へと伝える。最近増えているチケットの購入や発券などの問い合わせにも、言葉の壁を越えてきめ細かく応えます。JTBとパナソニック、ヤマトHDの3社は共同で「手ぶら観光支援サービス」を開始しました。訪日観光客の宿泊が10日を超え、大きな荷物を持って電車やバスを利用することが困難になっている現状を踏まえ、空港から宿泊地、宿泊地から次の宿泊地に荷物を配送します。
【外国人旅行客の不便を“便利”に!】
最近増えているのが訪日外国人。外国人旅行客が日本での滞在で感じる不便さを解消してビジネスチャンスに結び付けようと、至れり尽くせりのサービスが登場している。
【増える訪日外国人「コミュニケーションとれない」】
訪日外国人の数は増加の一途(出典・政府観光局)。さらに観光立国を掲げる政府は2020年までに今の倍の4000万人にする事を目指している。しかし日本に不便さを感じる外国人も多く、総務省・観光庁のアンケート調査ではコミュニケーションで不便さを感じている人が多い事が分かる。
【訪日外国人サービス続々・コンビニで“同時通訳”】
訪日外国人にとっても便利なコンビニだが、問題となっているのが客と店員とのコミュニケーション。そこでセブンイレブンが始めたのが同時通訳サービス。これにより外国人客の複雑な要望にも言葉の壁を超えてきめ細かく応える事ができる。セブンイレブンでは今月から全国約1万9000ある全店舗で同時通訳サービスを開始している。現在は英語と中国語のみだが、反応次第でさらに言語を増やす事も検討中。
【訪日外国人サービス続々・荷物はホテルへ“手ぶら”で観光】
訪日外国人客の宿泊が平均10泊を超える今(出典・観光庁)、手荷物も大きくなりがちで電車やバスでの移動が大変に。そこで今月から実証実験として「手ぶら観光支援サービス」がスタート。事前に海外で申し込んだ時に発行された2次元バーコードを端末にかざすだけで、荷物の送り先が記入された伝票が出てくる仕組み。このサービスは観光客の情報はJTB、英語や中国語、韓国語を翻訳し送り状を発行するのはパナソニック、荷物の配送はヤマトと3社が連携して始めたプロジェクト。2016年度中の商用化を目指している。空港で預かった荷物は客がチェックインする前にホテルに届けられる。またホテルにも端末があり、空港や次の宿泊先まで荷物を送る事もできる。企業が様々なシステムを活用したおもてなしで、訪日外国人の満足度を高めようとしている。
旅好き中国人に驚きサービス
中国人に人気の国内旅行先の一つが上海ディズニーランドです。経済が原則する中国で「国内旅行」は数少ない成長市場。その市場規模は右肩上がりで今や50兆円以上にのぼります。園内で目につくのは「自撮り」をする中国人の姿。その「自撮り」を超えるサービスが、旅行席にプロカメラマンを同行させて好みの場所で撮影を依頼できるというものです。料金はカメラマンの腕や期間、旅行先によって異なりますが、今回体験した李さんの場合、上海で半日間で約3万円でした。決して安くありませんが、20~30代の若い女性を中心に人気を集めています。このサービスを始めた撮影会社のプラスへは、サービスを始めた2年前はひと月数件だった依頼が、今は1,000件以上に増えています。中国人の意識がモノからコト消費へ変わり始めているようです。
■ニュース
日中トップ 1年5ヵ月ぶりに会談
中国の杭州で開かれたG20に合わせ、日中首脳会談が行われました。会談の冒頭で、習国家主席は「早期に正常な発展の道へ戻るべきだ」と述べたのに対し、安倍総理は「安定的な友好関係を築いていきたい」と応じました。ただ、安倍総理が、沖縄県・尖閣諸島周辺海域における中国公船の領海侵入に対して懸念を伝えたものの、習国家首席は「東シナ海の安定を維持していく」との発言にとどめました。また、安倍総理が、中国が一方的に埋め立てを強行する南シナ海問題をめぐり法の支配を順守するよう訴えましたが、議論は平行線に終わりました。両者は、自衛隊と中国軍の不測の事態を避けるためのホットライン=「海空連絡メカニズム」の早期の運用開始に向けた協議加速で一致し、安倍総理は「今後とも対話と協議を通じて、東シナ海情勢の安定を図り、これを真の意味で平和・協力・友好の海とするよう中国側に働きかけていく」と決意を示しました。
農業改革の推進で一致
自民党の小泉進次郎農林部会長はきょう午後、JA全中=全国農業協同組合中央会の奥野会長らと会談し、肥料や農薬の価格引き下げなどの改革を進めることで一致しました。自民党は、農業改革の方針を年内にまとめる予定で、小泉氏は、あす、奥野氏らも招いて関連の会合を開きます。
出光 財団側に説明申し入れ
出光興産と昭和シェル石油との合併に、出光の創業家が反対している問題で、出光の経営側はきょう、合併に反対する創業家側の「出光美術館」と「出光文化福祉財団」に対し、合併の意義を説明する場を求める書簡を送ったと発表しました。両財団は創業家の長男、出光昭介氏が代表を務めていて、3日に開いた理事会で、合併に反対することを決議しています。
北朝鮮ミサイル 北海道沖に
北朝鮮はきょう正午過ぎ、南西部の黄海北道・黄州付近から日本海に向け弾道ミサイル3発を発射しました。中距離弾道ミサイル「ノドン」とみられています。ミサイルは、およそ1,000キロ飛行し北海道の奥尻島の西、およそ200キロから250キロ付近に落下したということです。G20のさなかでの発射は、国際社会の圧力へのけん制とみられています。
香港 民主派が1/3超の議席獲得
香港の議会にあたる「立法会」の選挙で、「親中派」ではない勢力が、定数の3分の1以上の議席を確保しました。これは政府が提出する重要議案を否決できる議席数です。また、2014年に香港の民主化を訴えたデモ「雨傘運動」のリーダーだった羅冠聡氏は、最年少で当選しました。
タイの鉄鉱石投資話めぐり告訴
タイでの鉄鉱石採掘事業に出資したものの配当金が支払われないとして出資者19人がきょう、タイの鉄鉱石採掘会社を名乗る「ONK」側に対し詐欺と出資法違反の疑いで警視庁に告訴状を提出しました。ONKは「120年間継続できる採掘量がある」などとして年間10%以上の高配当を謳っていました。出資者はおよそ1,500人で出資の総額は300億円に上るとみられています。
■【ロングセラー研究所】カセットこんろ
夏のビアガーデンやこれからの季節おいしい鍋に欠かせないのが「カセットこんろ」。誕生から47年。日本の食文化に根付いています。カセットコンロの製造工場では人件費を抑えることで、製造コストの引き下げにつなげていました。その後、組み立てた製品が向かったのは「暗室」です。中では熟練の作業員が一つ一つ安全を確認しているのです。コストは削減しても安全性は人の手で徹底して追求しています。そのカセットコンロは、なぜ生まれたのか?
旭製作所(埼玉県さいたま市岩槻区)では岩谷産業のカセットこんろを製造。岩谷産業は世界で初めてカセットこんろを開発。国内販売で6割以上のシェアを占めています。
開発者が注目したのが殺虫剤などに使われている「420缶」。殺虫剤には元々噴射剤としてガスが充填されており、この缶を使えば持ち運びが楽になると考えたのです。こうして開発から4年後商品化に成功。1969年、イワタニホースノンこんろ「カセットフー」1号機発売。さらに高度成長期に台頭を始めた大型スーパーマーケットが普及を後押ししました。こうして発売から7年で300万台、そして今年までの47年間で4,700万台を売り上げるロングセラーになったのです。カセットこんろは新たな進化を遂げ、網焼き、たこ焼きなど幅広い製品を展開し、需要拡大を狙います。
取材先・岩谷産業
■【トレたま】おならクッション
吸音材でおならの音を大幅にカットして、活性炭フィルターで臭いもカットしてくれるクッション。現在ネットで販売。将来的には通販会社やドラッグストアでの販売も考えているという。
【商品名】サイレントクッションⅢ
【商品の特徴】おならの音を大幅にカットし、臭いもカットしてくれるというクッション。
【企業名】ボディ&ビューティー/ジェフリーマイケルサムズ社長
【住所】中央区築地7-9-15
【価格】8,500円(税別)
【発売日】発売中
【トレたまキャスター】北村まあさ
■【コメンテーター】高橋進氏(日本総研理事長)
・言葉だけじゃない!?、外国人の日本での障壁とは
--外国人向けに便利そうなサービスというのはいろいろ出てきていますけれども、ということは外国人対応はまだまだ様々な余地があるということなんですか。
「それは間違いないと思いますね。特に日本はITが得意ですから、いろんな多様なサービスをやったらいいと思います。ただ私はその前に、例えば公共機関の窓口とか、小売りの現場や飲食店ではやっぱり接客の時に英語ができるということが、非常に重要だと思いますね。最近うかがっていると、京都はだいぶ街中で英語が通じるんだそうです。ところが東京や大阪ではまだほとんど英語が通じない。私はいろんな都市に行きましたけど、東京より通じない町ってモスクワぐらいじゃないかと思います。尤も外国人にとってのバリアというのは言葉だけではなくて、例えばさっきの(VTRで)荷物を届けるというのはものすごくいいサービスだと思いますけど、一方で荷物を駅に預けようとする、コインロッカーを使おうとすると、コインロッカーがどこにあるかわからない。行ってみたらものすごい小さなロッカーしかないとか、小銭をたくさん入れないといけないとか、そもそもロッカーに行くのに段差を何回も乗り越えないと行けなとか、たくさんバリアがあるんですね。そもそも羽田でも成田でもいいけど、降りてそこからずっとバリアふりりーで持って来れるかと言ったら、いろんな階段を上り下りしないといけない。そういうところから、街の在り方なども含めて、バリアフリーをやるべきだ。それにつけても私は22年を目標に、日本人はもっと英語を勉強して、もしそういう目的のために勉強するんだったら、政府もお金を出していいんじゃないか。それくらいやったら日本は変わると思いますよ。」
・日銀黒田総裁の発言、その真意を読み解く・・・
--私も黒田総裁の講演を聞きに行っていたんですが、副作用について触れたときに、会場内が「ほう、ここまで言うか」という雰囲気だったんですよね。但し金融政策の限界は黒田総裁は否定しています。ということは、「でもなかなか追加緩和は厳しいんだよ」というのをにじませたかったということですか。
「そうだと思いますね。やっぱり一番日銀として言いたいことは、マーケットの中に『金融政策がもう限界じゃないか。信任が崩れてきている』ということを仰る方もいるので、それは否定する。だから『まだままやる手はありますよ』ということなんですが、だけど実際にマイナス金利にした場合に、副作用を考えないといけないということで、実際の行動としては少し手足が縛られる状況になってきている。総裁は『緩和の縮小はしない』とはっきりと仰っていますが、だけど『追加緩和については副作用もあるね』と言ったことによって、ちょっとそちら側にも動きづらいという状況になっている。そういうふうに見るのが自然だと思いますけどね。」
--そうすると次の出番というのは・・・?
「円相場がまた円高に動けば別ですけど、そうでなければ私はどちらかと言えば、政府はやっぱり日銀を後押しする方向に動かないといけない。即ち総裁も最後のほうで仰っているんですけど、物価を押し上げていくためには成長率が上がっていかないといけない。それは金融政策の役割ではなくて、政府が構造改革や成長戦略をしっかりやって、成長率を押し上げていくこと、それが物価を押し上げることにつながるんだということを仰っているので、そういう意味では私はやっぱり政府としても日銀ばかりを頼っていないで、構造改革とか財政出動を通じて、あるいはその二つを通じて成長率を押し上げていくこと、例えば年後半から働き方改革ですとか、そういったところの構造改革に思い切って踏み込んでいくこと、それが私はこれからの政府の役割だと思います。」
・G20以外の“小国”に学ぶべき点
--世界の様々な問題を解決するのに有効な枠組みはG20なんでしょうか。
「僕は違うと思いますね。というのは今まで有効だったのは中国とか新興工区が元気だったから、だからG20が機能していたんです。ところが今はもう元気じゃないので、機能しない。だから私はちょっと考え直さないといけないと思います。」
--ということはG7に戻るんですか。
「違う。参考になるのはG20に入っていない中小国、例えば、スウェーデンとかデンマークとかアイルランド。あるいはTPPをもともと提唱したのは、ブルネイ・チリ・ニュージーランド・シンガポールであり、小国なんです。彼らはグローバリズムの荒波に打たれているので、構造改革をしっかりやるし、それから研究開発や教育にお金を使うんですよ。それを実はみんなが真似をしないといけない。」