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2016.9.7 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年09月07日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

アメリカの半導体関連株が堅調な動き
9月に入り、アメリカの追加利上げやブレグジット議論の最下位など株式相場への不透明要因が再び浮上しやすくなる中で、明るい材料もあるようです。ニューヨークから池谷さんに伝えてもらいます。

《中継担当:ニューヨーク支局/池谷亨キャスター》

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「半導体関連の分野には中期的にみて追い風が吹きそうで、株価も堅調を見せています。アメリカには半導体関連企業の株価の動向を表すSOX指数があります。アメリカの株価全体の値動きを示すSP500と比べても、足下でその値動きはしっかりとしています。ただこの株価指数は、実は半導体自体の進化のサイクルと相まって、2年おきにピークをつけることが過去の経験則から知られていて、実は今年がそのピークの年になるとみられていました。しかし足下でこのサイクルが伸びる、つまり株価の上昇が続く可能性が出てきました。」

--ちょうどアップルが新型のiPhoneを間もなく発表ですけれども、これとも関係があるんですか。

「はい、アップルの新製品発表会は間もなくサンフランシスコで始まります。実はその新製品がこの半導体株の堅調さを長引かせそうです。新製品の発表会は日本時間の8日の午前2時過ぎから始まる予定で、現地にはすでに多くのメディアが詰めかけ、新型iPhone7の発表を待っています。今回の案内状には「See you on the 7th」とアメリカでの発表の日付7日とiPhone7のお披露目を示すと見られるメッセージが書かれていました。アップルはこれまで2年おきにアイフォーンのメジャーチェンジを行ってきました。しかし、7はマイナーチェンジにとどまると予想されています。それでも今回は、本体が薄くなり、また上位機種ではカメラを2つ搭載したデュアルカメラの機種が用意されるとの観測もあります。こうした機能の充実には、多くの半導体が使われます。来年にはメジャーチェンジとなるアイフォーン8の登場も予想されており、有機ELディスプレーの搭載など高機能化がさらに進む事で半導体の需要拡大が期待されます。アメリカのみならず日本の半導体関連企業などにも追い風になると期待され、株式市場にとっては中長期的なテーマとして意識されそうです。」






“スマホ部品”TDKの値動き大きくTDK.JPG
新型のiPhoneが間もなく発表されますが、iPhoneなどのスマートフォンには日本メーカーの電子部品も多く使われています。東京市場でも部品関連のある銘柄に注目が集まった。TDKの株価の値動きが激しくなっています。その背景にはスマホの進化を支えるある部品をめぐる思惑があります。

スマートフォンのデータ復旧などを手がけるAOSリーガルテック(東京都港区)。iPhone6sの電池は厚さ1mm程。本体の薄さと電池の持ちを両立させるため、要求される技術水準は年々厳しくなっています。
韓国・サムスン製のスマホ「ギャラクシーノート7」が爆発・発火する事故が海外で相次ぎ発生し、約250万台回収に追い込まれたことがきっかけです。不具合の原因はサムスングループのサムスンSDIが供給した電池とみられているため、同じくサムスンに電池を供給するTDKのシェアが今後高まるとの思惑から、買いを集め、5日には年初来高値に迫りましたが、その後、利益確定の売りにおされて2日続落。新型iPhoneへの期待も材料となり、値動きが激しくなっています。アップルとサムスンという世界のスマホ市場をリードする“2強”の動向が、日本勢を大きく揺さぶる展開は続きそうです。なお、サムスンが回収したスマホの当該機種は日本国内では発売していないということです。





■ニュース特集

米 一部の抗菌せっけん販売禁止へ
アメリカのFDA=食品医薬品局は2日、トリクロサンやトリクロカルバンなどの成分を含む一部の抗菌せっけんやボディソープなどを販売禁止にすると発表しました。通常のせっけんより殺菌効果が高いという根拠がなく、人間の菌への抵抗力を弱めたり、ホルモン作用に悪影響を与えたりするリスクがあると指摘しています。日本では、こうした抗菌せっけんは「薬用せっけん」と呼ばれることが多く、これらは厚生労働省に効能や安全性について承認を得る必要がある医薬部外品として扱われています。アメリカで指摘された成分を使っている商品を、日本で販売している企業は、「厚労省の承認を受けていて問題はない」と回答しました。一方で、アメリカでの問題を受けて、該当する成分から別の成分に切り替えている企業もあります。厚労省は「今すぐに規制を設ける状況ではない」としていて、情報を収集して措置が必要かどうかを検討していく考えです。

【アメリカ・一部の抗菌せっけん販売禁止へ】
風邪やインフルエンザを予防する為に手を洗う時に使用するハンドソープ。中でも最近は消毒や殺菌効果のある抗菌せっけんが人気となっているが、その抗菌せっけんの一部がアメリカで販売禁止になるという発表がされ注目が集まっている。日本市場にも影響はあるのか。

【アメリカ・一部抗菌せっけん販売禁止へ“殺菌効果の根拠なし”】
殺菌効果を謳ってアメリカで長年人気を集めてきた抗菌せっけん。しかしFDA(アメリカ食品医薬品局)は2日、トリクロサンなどの成分を含む一部の抗菌せっけんやボディソープなどを販売禁止にすると発表した。FDAはこれらの商品が「通常の石鹸より殺菌効果が高いという根拠がない」と指摘。またトリクロサンとトリクロカルバンは人間の菌への抵抗力を弱めたり、ホルモン作用に悪影響を与えたりするリスクがあるとしている。ただFDAは病気の予防には通常の石鹸と水による手洗いを推奨していて、該当成分を含む抗菌せっけんについては今回、販売禁止に踏み切った。販売の禁止についてFDAはメーカーに対し1年間の猶予を与えているが、消費者は厳しい目を向けている。このためアメリカでは問題の殺菌剤の使用を止めるメーカーも出始めている。

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【アメリカ・せっけん“販売禁止”・日本は?】
日本で市販されている石鹸は大きく2つのカテゴリーに分けられる。化粧品と医薬部外品(薬用せっけん)。ナイーブ、ニベア、ビオレU、ミューズ、牛乳石鹸、キレイキレイなど。

医薬部外品は商品に殺菌など具体的な効能を謳う事ができ、製造や販売にあたっては厚生労働大臣の承認が必要になる。この医薬部外品の石鹸の中には今回、アメリカのFDAで指摘された成分を使った商品も含まれている。今回のアメリカの発表を日本側はどう受け止めているのか。菅官房長官は今日、日本でも今後、抗菌せっけんに規制を設けるべきか検討する考えを示した。またこの問題を所管する厚生労働省は「情報収集中だが今すぐ規制を設ける状況ではない」としている。
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《大浜・大江キャスター解説》
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実際に商品の成分はパッケージの裏などの表示されている。特に医薬部外品の場合には、殺菌の働きをする成分を有効成分として「トリクロカルバン」と書かれている。では日本で売られている医薬部外品の抗菌石鹸にはどういうものがあるのか。ライオンの「キレイキレイ」や花王の「ビオレU泡ハンドソープ」には当該成分は使用されていない。一方で、トリクロサンやトリクロカルバンを使っている商品は、固形のミューズ、鐘紡ナイーブの薬用ハンドソープ、コラージュフルフル泡石鹸、柿渋エキス配合石鹸などがある。これらに会社に取材したところ、右のような回答が得られた。当然、アメリカのFDAの基準と日本の厚労省の基準が一致するということではないが、政府も規制を設けるかどうか検討するとしているので、今後どういった方針になるのか注目が集まる。













クリスマスへ 早くも新製品
早くもクリスマス商戦が始まっています。7日から始まった「クリスマスおもちゃ見本市2016」。このイベントはわずか2日間で1万人以上もの業界関係者が足を運びます。今年のクリスマス商品の平均価格は5,000円台。そして、キーワードは「デジタルとアナログの融合」と「復活」です。既存の商品と新技術の組み合わせや、新しい要素を加えてリバイバルされた商品が主力だといいます。一方、イオンも「今年のクリスマスケーキのお披露目会」を開きました。今年のキーワードは「フォトジェニック」。写真写りの良さを重視したケーキが特徴だといいます。中心価格帯は2,980円(税別)。数年前から価格は据え置いていますが、今年は25日が日曜日となり、3連休となることから、昨年と比べて売り上げ目標を105%に設定しています。

【早くもクリスマス商戦】
早くもクリスマス商戦が始まっている。多くの家庭では余計な出費を控えるという消費マインドが続いているが、おもちゃにケーキなどクリスマスに欠かせない商品を扱う業者が始めた新戦略とは。

【“融合”と“復活”がカギ】
「クリスマスおもちゃ見本市2016」(東京台東区)が開催された。わずか2日間の開催期間中に、1万人以上の業界関係者が足を運ぶ。今年のクリスマス商戦でキーワードとなるのが「デジタルとアナログの融合」。手軽にバーチャル体験ができる「Bots New VR」、ドローン「PXY Wi-Fi」など。さらにもう1つのキーワードは「復活」。今年の夏休み商戦で最も人気が高かった「ベイブレードバースト」は、相手を破壊するという要素を加え3度目のブームを作り、既に400万個を売り上げている。他にも昔懐かしい「おえかきアーティスト」も進化して復活だ。

【今年のケーキは“見た目”重視】
イオン2016新作クリスマスケーキお披露目会。今年の特徴はフォトジェニック(写真写りの良さ)。「KAWAII MONSTER CAFEクリスマススイーツゴーラウンドケーキ」は去年、原宿にオープンし若者を中心に人気を集めているKAWAII MONSTER CAFEとコラボレーションしたものだ。思わず写真を撮りたくなるようなケーキで、SNSを頻繁に利用する若者世代の取り込みを狙う。さらに健康志向の高まりから砂糖を抑えた「トマトとダークチェリーのチーズケーキ」やペット用のケーキまで67品目を揃えた。クリスマスケーキ市場は堅調が続き、中心価格帯はここ数年据え置きの2980円。ただ今年のクリスマスは25日が日曜日となり5年ぶりの3連休という事で期待が膨らむ。売り上げ目標は去年の105%という。






■特集 ここまで来た!“仮想現実”活用法
2016年はVR(仮想現実)を体験できるヘッドマウントディスプレーが相次いで発売され、「VR元年」とも呼ばれています。ゲームだけではなくビジネスの現場にも活用が広がっています。電気設備メーカーの明電舎の従業員は、高さ20m以上の建物の上に照明を取りつけるなど、危険が伴う高所作業をします。明電舎は従業員の安全教育のために5月からVRを使い始めました。60mの高さにかけられた足場を歩き、そこから飛び降りるというVR体験を従業員にさせています。高所の恐怖を知ってもらうということで、事故につながる気の緩みを防ごうというのです。また、プロ野球の楽天ゴールデンイーグルスは、NTTデータと共同開発したVRトレーニングを今シーズンから実験導入しています。選手が実際のマウンドに立ったようなVR空間で、試合前に相手投手の投球をリアルに体験できます。楽天はVRを使うことで、低迷するチーム成績の飛躍につなげます。
取材先・葛西水再生センター・明電舎・楽天野球団・NTTデータ


【広がる仮想現実の活用】
今年はヘッドマウントディスプレイが相次いで発表され、VR元年と言われている。ゲームなどエンタテインメントだけではなく、ビジネスやプロスポーツの世界でもVR(仮想現実)を活用する動きが広がり始めている。その現場を取材した。

【恐怖の“飛び降り”教育とは】
電気設備メーカーの明電舎は、社員は危険が伴う高所での作業を行っているが、ふと緊張が途切れてしまうこともあるという。明電舎は社員教育の為に5月からVRを使っている。社員は、ヘッドマウントディスプレイを装着して仮想現実の世界で地上60mの高さを体験、最後にそこから飛び降りる(VR墜落体感教育)。4人に1人が飛び降りられないが、それも教育の内だという。高所は怖いと危険を察知する意識づけができればいいという。明電舎はこれまで人形を落とした衝撃を受け止める事で恐怖を感じてもらう教育をしてきたが、VRを活用する事でよりリアルな恐怖を感じてもらえる。

【プロ野球、楽天の秘密兵器】
今江選手が最近試合前にVRを使ったトレーニングに取り組んでいる。楽天が今シーズンから実験的に導入したバッティングのトレーニングシステムだ。楽天とNTTデータが共同で開発した。今江選手はこの日に対戦するファイターズのメンドーサ投手の投球をVRで確認できる。

《大浜キャスター解説》
VR.JPGいろんな使い方が出てきているが、前段の高所体験では、結局普段の現場の安全管理が徹底されているので、ヒヤッとする機会が減っているそうだ。ただやはり、怖いとか、ヒヤッとする感覚というのは、危機管理のためにも大事だということで、それをあえて体験してもらうという考え方だ。まさに安全にヒヤッとするということだ。
VR関連の市場規模は、2025年には世界で8兆円規模に成長するという予測もある。当然、ゲーム・映画・娯楽の分野というのは成長するが、そのほかにも今VTRに合ったような体感教育・トレーニング、それからリハビリなど医療分野での活用というのも期待されている。体で感じる、体で反応する、これはまだまだ考えつかないような使い方があるのではないか。






■ニュース

日ASEAN首脳会合が開催
ラオスを訪れている安倍総理大臣は、ASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会合に出席し、中国が海洋進出を進める南シナ海問題に関して、法の支配を徹底する重要性を強調し、各国に協調を求めました。これに対して異論はなく、複数の国が日本と同様に、南シナ海問題に対する懸念を示したということです。これに先立ち、安倍総理はきょう午前中に開催されたASEANビジネス投資サミットでTPP=環太平洋経済連携協定に触れ、「TPPに参加を希望するASEANの国々がそれを果たせるよう、後押ししていく」とTPPへの参加を促しました。



三越伊勢丹ホールディングス 三越千葉店など閉鎖を発表
三越伊勢丹ホールディングスは、千葉市にある三越千葉店と東京都多摩市にある三越多摩センター店を、来年の3月20日に閉鎖すると発表しました。2つの店舗とも近隣の商業施設との競争激化などで売り上げが低迷していました。業績の不振が続く郊外や地方の店舗を整理し、経営資源を東京都心の主力店に集約することで、収益力の向上をはかる狙いです。



アクアと日本マイクロソフト 家電へのIoT活用で協業
ハイアールグループの家電メーカー「アクア」と、「日本マイクロソフト」が、モノとインターネットをつなぐ「IoT」の技術を家電で活用することで協業します。まずは、来年を目標に、業務用コインランドリーのIoT化を進めます。アクアは、三洋電機時代に、国産初の業務用コインランドリーを開発・販売しており、今後も市場の拡大を狙っています。既に多くの企業とIoT分野で提携しているマイクロソフトのノウハウを生かし、新たなコインランドリーのサービスに繋げていきたい考えです。



台風災害 自民・公明両党 政府に「激甚指定」要請
自民党と公明党は、7日、北海道や東北地方に甚大な被害をもたらした相次ぐ台風への対策を協議しました。会談後、自民党の二階幹事長は、一連の台風をひとつの災害ととらえて、一括して激甚災害指定するよう、政府側に要請したことを明らかにしました。これに関連して、自民党幹部は、「政府側は激甚災害指定に時間がかかりすぎている」と政府側の対応を批判しました。



7月の景気指数 2ヵ月連続改善
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数は、景気の現状を示す「一致指数」が前の月に比べ0.7ポイント上昇し、2ヵ月連続の改善となりました。熊本地震の影響で落ち込んでいた自動車の生産や出荷が回復したことや、百貨店などの販売が改善したことが寄与しました。また、景気の先行きを示す「先行指数」は消費者心理や在庫関連の指標が悪化したことが影響し、2ヵ月ぶりの下降となりました。



御殿場アウトレットにホテル建設へ
アウトレットを運営する三菱地所・サイモンと小田急電鉄は御殿場プレミアム・アウトレット内に新たにホテルなどを建設する共同事業を発表しました。日本で初めてアウトレット内に建設されるホテルは、2019年の冬に開業予定で、客数はおよそ180室あり、近隣の箱根でホテルを運営する小田急グループのノウハウを活かします。御殿場プレミアム・アウトレットの2015年度の売上高が過去最高の891億円と好調な中、三菱地所・サイモンは小田急グループと協力し、宿泊による客の長時間利用でさらなる売上増加を狙います。





■【トレたま】光を取り込むブラインド

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外の光を取り込んで、部屋全体を明るくする。鍵は、ブラインドの上の方に使っている特殊な羽根。このブラインドの羽根には光を屈折させるフィルムの加工がされていて、上の方向に光が広がるようになっている。天井に光を反射させることで部屋全体に光を行き渡らせている。電気代を約4割削減できるという。

【商品名】採光ブラインド
【商品の特徴】外光を取り込んで部屋全体を明るくするブラインド
【企業名】シャープ
【住所】東京都港区芝浦1-2-3
【価格】未定
【発売日】今年度末までの発売を予定
【トレたまキャスター】北村まあさ





■【コメンテーター】高橋進氏(日本総研理事長)

・人手不足が消費回復の追い風!?来年の所得増に期待

--クリスマス商戦、結構、強気の売り上げ目標でしたが、年末の消費は期待できそうですか。

「少し期待できるんじゃないかと思いますけどね。消費というのは賃金が上がるかどうかと消費マインドの2つで決まる。消費マインドは相変わらずあまり良くないです。だけど人手不足もあって賃金が上がっていますから、所得が少しづつ増えてきているので、したがってこれから消費は少しずつ少しずつですけど良くなっていくのではないかと思う。ただそれだけだと日本経済はまだ貧血気味かなと思うんですが、実はコメンテーターをやっているフェルドマンさんのレポートを見ていたら、いま人手不足が非常に厳しくなってきて、いま失業率が3.1まで下がっていますから、ひょっとしたら来年は2.5%まで下がるかもしれない。これってすっとなかったことですね。それで何が起きるかというと、多分賃金が相当上がるだろう。その結果実は物価目標2%も近づくかもしれない。まあ、そこはちょっと楽観的かなという気もしますけど、言いたいことは、人手不足がどんどん広がっていくと、賃金プレッシャーがいよいよかかってきて、経済が良い方向に動いていくのではないか、ということを(フェルドマンさんは)仰っているんですけどね。それが来年、表面化してくると、日本経済は意外と持ち上がってくるかもしれない。ただそれにつけても、心配な要素は円相場です。」




・日本主導TPPに活路?アメリカ抜きシナリオとは

--安倍首相がASEAN首脳会合に出席しましたけれども、その東南アジア諸国との連携は様々な分野でこれから重要だが、その中でも注目されているのはどんなところでしょうか。

「どうしても今は南シナ海問題にいってしまうんですが、ちょっと視野を広げて、TPPを重視すべきではないかと思いますね。というのも、東アジアがTPPでオープンになれば、それによって1番恩恵を受けるのは実は日本でもあるんです。例えば、農産物の輸出などはどんどんやりやすくなっていきますから、もちろん日本だけじゃなくて、みんなに恩恵があるわけです。従ってわたしはやっぱり、アメリカが批准するかどうかが問題ですけど、場合によってはアメリカ抜きでもやるぞぐらいのことを、日本がアジアの国と共同して、アメリカに迫っていってもいいのではないか。実際にはアメリカ抜きでやるのは難しい。だけどもそれぐらいの覚悟を示してアメリカにプレッシャーをかけてもいいんじゃないかと思う。
もう1つのTPPには狙いがあって、それは参加国に国有企業がある。その国有企業に対して、その国は補助金を出したり独占的な地位を与える。そうすると、その国の市場をゆがめるばかりか、例えば中国の国有企業の場合は、世界市場までゆがめてしまう。従ってTPPは国有企業をコントロールすることを。1つの目標としている。ですからTPPを進めることで、国有企業をコントロールする。これから中国をTPPの中に取り込む。そしてゆくゆくは中国の国有企業もコントロールさせるということが、1つの大きなテーマになってくるので、そういう意味も含めて私はこのTPPをぜひとも東アジアで進めるために日本がもっともっと強いイニシアティブをとっていいんじゃないかと思います。」

--アメリカの大統領選挙もありまして、このTPPに関しましては不透明感が漂い始めていますけれども、そんな中でも日本が・・・

「やっぱりTPPを1つのてこにすれば、例えば日中韓FTAなども質の高いオープンなものにできるのではないか。ですからTPPの実際の批准はまだだとしても、TPPの考え方をきちっと伝えてひろっめて行くということが大事だと思う。」






・「100円割れ阻止」へ日本政府の覚悟

--アメリカの9月利上げはどうなるのか、といところで、本当に今、ドル円相場が大きく揺れ動いているわけなんです。円高がこのまま進みますと、日銀はもう動かざるを得なくなりますか。

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「日銀も政府も動かざるを得なくなる可能性はあると思いますね。というのも、今は確かにアメリカの景気がどうなるか、それによって金利がどうなるかによって、円が動いているわけなんですけれども、でもその背景には、最近を見ると、円が独歩高になっている、投機筋がかなり円を買っていることがあると思うんですね。円高になると日本の場合は株が下がってしまう。そして起業家心理がさらにまた冷え込んでしまって、せっかく冒頭にも申し上げたように、日本の景気が回復に向かっているのに、それを冷やしてしまう。そればかりか、いま一生懸命に経済対策をやろうとしていますけれども、もし円高がまた進んでいくと、せっかくの経済対策の効果をまた打ち消してしまうことにもなりかねない。結局、日本が何を1番避けないといけないかというと、デフレに逆戻りすることですね。従って、円が高くなってデフレに逆戻りするような可能性があるのであれば、何としても止めなければならない。政府はもう既に8月のうちに日銀と財務省と金融庁の3者で協議をしています。政府が何を考えているか、私にもよく分かりませんが、でも100円を割るということは断固として阻止をする。従って例えば場合によっては、日銀の金融緩和はもとより、介入だってあり得るんだと思うんですね。アメリカの出方を気にする人もいます。アメリカから文句が来るだろうという人がいますけれども、でもアメリカを気にしても仕方ない場合もあるんです。なぜかというとデフレに後戻りしてしまったら、もうしょうがないわけですから、だからデフレに後戻りさせないということを、1つ大きな目標にして円相場を止めるということも政策の選択肢としては十分にあると思うので、あんまり投機筋は、日本は何もしないというふうに考えないほうがいいと思いますよ。」

--いま口先介入が始まった感じがします。








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