goo blog サービス終了のお知らせ 

ふぅん

闇閃閑閊 ≡ アノニモス ≒ 楓嵐-風

隣の猫

2009-09-16 22:28:02 | 日々随想
この街に 引っ越してきた頃
道の向こうの 隣の家は
なんだか 素晴らしく バブリーなファミリーだった


時々 屋上で催される 焼肉パーティーで
若い男女の歓声が 静かな田舎の夜空に 響いていた
なんだか 別世界のファミリーだった


ある時 その家が ひっそりとしていた
それから 数日 ひっそりとしていた
そして ある日 変な男性が 僕の工房に訪ねてきた


「向かいの○○さん どこに引っ越したか 知らねーか?」


え? 引っ越したの?
それすら知らなかったから そのまま伝えた
彼は チェッと舌打して 去っていった


近所のオジサンが 教えてくれた
あの家は 夜逃げしたんだってさ って


ふうん


その後も 怪しい複数の男性や
警察までもが 訪ねてきた
でも 僕は 何も知らなかったから そう伝えた


3階建ての その住居は
その後 誰かの手に渡った
住んではいないが 時々 複数の人が出入りしている


その家の前の 駐車スペースに
最近 猫が 時々 やってくる


猫は いいなぁ
丸まった その曲線は 愛の係数を具現している
でも 絶対 近くには寄れない


逃げていくもの
近づいては いけないもの
猫は いつだって 憧れの全貌を 体現してくれる