夫婦力

2009-06-05 | 介護日記

母は私の娘に「あたしの一生の不覚はオジイチャンと離婚しなかったこと」と最近言ったらしい。
私も聞いたことがある。

その父は母の入院で意気消沈、食事もとれず、薬も飲めなくなっている。
「何にもしたくないんだよ、僕はきっとオカシクなっちゃったに違いないよ」と言う。
鬱なのか認知症なのか、もしくは両方か、顔付きまで変わっている。

今日益々絶好調の母にその話をしたら目に涙をためて「可哀想でもここにいたらどうしようもない」と言うのでで父に電話させた。
「もしもし!アタシ!ちゃんと思ってくれてる?」と来た
「うんうんアタシもちゃんと食べなきゃダメ薬もね
今日は午後に私が家に戻って父を病院に連れて来ることになっていた。
一昨日だって会っているのに2人ともすっかり忘れているのだろう、会った途端の嬉しそうな表情

「何が一生の不覚だ
あの人たちの世界は私には理解出来ん!
子どもの頃から違和感あったけど結局死ぬまであの2人はああなんだろうな。

妻が居ないと生きていけない(文字通り食っていけない)ヒモ男、お湯ひとつ沸かすことも出来ないダメ男に60年近くかけて見事に育て上げたものだ、と半ば感心してしまう。
おばあちゃん、あなたはその優しさで私を慈しんで育ててくれた立派な人ですが、たったひとつ大きな罪を犯したと私は思っています。
あなたの愛し方は間違っていました。
傍で見ていてやっとわかりました。
でもそれは貴女の意地でもあったのでしょうね。
「アナタを産んだオカアサン、私は嫌いだった!」とたった一回だったけど私に言ったことがありました。何でそんなことを言ったのか傷つき、理解に苦しんだけど今の2人を見てたら何だか分かってきました。
貴女の勝ち!


夜明けに魔女が来た

2009-06-05 | 介護日記

朝ベッドを起こし、母の顔からマスクを外した途端「今日は魔女が2人来た」と言う
」すぐに思い当たった
母はいつもキャッチアップ30°くらいで寝ているので体が下にズリ落ちてシーツや敷いてあるバスタオルやパジャマがクチャクチャのシワシワになってしまう。チョコチョコ直してはいたが気になっていた。

朝の5時、それに気がついたナースが2人、実にテキパキと熟睡中の母の体位を直してクレテいったのだ。私も熟睡中だったので何が起きたかわからないままコトは進み、母の頭をベッドヘッドにパーンとぶっつけるくらい元気よく作業を終えて2人は引き上げって行ったのだ

「魔女の言うことはいつも同じ『辛抱して』」
母はご機嫌斜めだ。
「ホント、明け方に来てやることやってサーッと消えて魔女みたいだったね。
でもすごくキチンとしてくれたから気持ちいいでしょ」
宥めながら私も複雑な気分。
熟睡中の病人にかける声の大きさ、トーン、テンポ、そして仕草ってものがあるでしょう。
明け方の魔女はまっ昼間の教室で喋っているかのような元気の良さだった

年寄りや病人といると「声」が気になる。
コープの配達の女性の明るい高い大きな声。
ヘルパーさんの必要以上のハイトーン声。
みんないい笑顔で素敵なんだけど、その明るい笑顔に優しい声だけでいいんだけどなあ。


これが命の綱のマスク

2009-06-05 | 介護日記

今すごくたくさん書いたのにエラーで消えてしまった
もう寝ないとヤバイ。
今さっき母が起きて書くものよこせとの合図。
“夕ごはん”と書く。
「今日の夕ごはんは五分粥とごま和え、鶏肉のあんかけと蕪と人参の煮物にキィウィだったね」と言うと
「ああ」と思い出した様子「ほっ
すると“一日中のゴハンはおわった?”
「終わったよ、今は真夜中だから次のゴハンは朝まで我慢」と言ったら、心底驚いた顔で「えええ」とを見開く。
母愛用の目覚まし時計を渡し、病室のカーテンを開け真っ暗な外を見せたら
「ヘエエ」と感心しながら眠っちゃった
私も乗り遅れないよう寝ま~す