ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

第9地区

2010-05-17 | 映画 た行な行
アカデミー賞候補になっていたし、ピーター・ジャクソンが製作に関わっていて、単なる娯楽物のSFじゃなさそうだと期待していました。確かにそのとおり。スプラッタが苦手だし、クリーチャーが「エビ」よりむしろゴキブリに似ていて視覚的には私にはキビしかったですが、B級風味がなんともいえず、風刺が効いているし、やりたい放題のストーリーと演出。万人向きじゃありませんが、かなりの高得点を差し上げたいです。

2009年(上映2010年) アメリカ、ニュージーランド SF、アクション
2010年5月10日 ワーナーマイカル・シネマ・新百合ヶ丘
監督 ニール・ブロガンプ
製作 ピーター・ジャクソン(LOTRサーガ、キングコング)
出演 シャールト・コプリー
(プレビューは覚え書きのため、出演作品などは私が観たものに限る)

宇宙船が現れ、上空でホバリングしたままになってしまった。それがなぜか、ヨハネスブルグの上空だった。エイリアンは地球を襲いに来たわけではなく、宇宙船が故障して動けなくなっただけだったのだ。仕方なく難民としてエイリアンを受け入れ、20数年が経過。エイリアンの居住地区である「第9地区」はスラム化し、地域住民との軋轢はもはや爆発寸前。そこで政府は、多国籍企業MNUに依頼し、エイリアンたちを新たな難民キャンプに移住させることにした。そのプロジェクトの長に抜擢されたのがヴィカス(シャールト・コプリー)だったが・・・。

ドキュメンタリータッチのカメラ。手振れのある画像でリアルなんですね。ニュース映像が映し出され、その上、関係者がカメラ目線で次々とコメントをします。これ、説明なしで見せられたら、本当に「ヨハネスブルグの上空に宇宙船がいるんだ!」って勘違いする人さえ出そうな勢いです。
しかし、よりにもよってどうしてヨハネスブルグなのか?南アは長く人種隔離政策で有名だった国です。地球人より文明の進んだエイリアンだけれど、難民になってしまったために差別され、虐待され、搾取されています。卵をかえすことさえ許可制です。しかし、無許可で卵をかえし、エイリアンたちは繁殖していきます。ただでさえ気味の悪い外見の上にスラム化した住まいで気持ち悪い度の高いこと!
一方、担当に抜擢されたヴィカスのつまらない男ぶりが、絵に描いたようです。どこにでもいる「強気を助け、弱きをくじくタイプ」なのですね。自分勝手で軽薄な奴です。しかし、自分勝手なのは彼だけじゃありません。彼の義理の父やその他のMNUの連中は、人の気持ちなんか考えない輩ばかりです。彼が唯一頼りにした妻も、味方になってくれません。普通の映画だったら妻は夫の言い分を信じて、最悪の事態でも味方になってくれるのが定番なのですが・・・。
リアルで風刺たっぷりでスタートした物語は、いつの間にかな男っぽいアクションSFになります。最初のつかみがOKだったので、苦手部門にもハマってしまいました。そして、予定調和的に終わらないラストも好ましく思えてしまったのでした。


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