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「トーヨー新報」食客日記

豆腐などの大豆(加工品)、こんにゃくを中心に、日本・世界の食文化……その他諸々について、あれやこれやと夢想する日々です。

おじさんとぼく(5)

2012-06-19 09:02:20 | 囁き

おじさん「年を取ると、足腰も弱っちゃって」
ぼく   「……」
おじさん「階段の昇り降りとか大変でさ。若い者にはわからんだろうけど」
ぼく   「……」
おじさん「階段は実際、昇るより降りる方が怖いのよ」
ぼく   「……最近、肉離れしたから、実感している最中です」
――乗り換え駅の階段、手すりにつかまる男らの周りで、通勤者の流れが滞った。

世界最大の花?

2012-06-18 15:53:29 | 業務連絡

先月末のニュースになるのだが、「毎日新聞」(茨城版)に
世界最大の「花」、開花――つくば」なる記事が出ていた。
内容を拾うと、「つくば市天久保の国立科学博物館筑波実験植物園で(5月)
25日午後、世界最大の「花」、ショクダイオオコンニャクが開花した」
――というリードの一文。もちろん、ぼくは「コンニャク」に反応した訳で。
       ☆
しかし、ここでたぶん、皆が心に思い浮かべる疑問。
世界最大の花って、ラフレシアじゃなかったっけ? 
子供の頃の図鑑などで、えげつない花の図版をしつこく見なかった? 
本当にショクダイオオコンニャク(燭台大蒟蒻)の花が最大なの? 
手っ取り早く、「Wikipedia」で検索してみる。
       ☆
まず、ショクダイオオコンニャク=「花序とその付属体、および
仏炎苞の複合体は直径1.5mに達するとされ、その縦寸は3.5mまでになった
記録もある。肉穂花序の先端は棍棒状の付属体となり、
その下の仏炎苞に包まれた部分の上部に雄花、下部に雌花が密生する」。
対するに、「有名なラフレシアの最大種である Rafflesia arnoldii の花は
最大で直径90cmと、送粉者を誘引して受粉系となる単位器官としては
これより小型である」。ほほぅ と感心。
       ☆
よって「R. arnoldii が単体の花であるのに対し、
スマトラオオコンニャクの巨大な「花」は花序であり、
そこに密生する個々の単体の花はごく小さい。
そのため、単体の花としては R. arnoldii が世界最大である」とまとめ。
       ☆
単体の花としては、いわゆるラフレシアが世界最大だけれども、
(「花序」は厳密には花でなく、花をつけた茎または枝
植物学にも何も詳しくない普通の一般人が、ぱっと見て
“花”だと思うものとしては、ショクダイオオコンニャクが最大ということ。
       ☆
そういう次第だから、「毎日新聞」の記事も「開花した」という一文の後、
「花びらはなく、多数の雄花と雌花の集合体(花序)を包み込む
仏炎苞が開いた」と続けられています。言い訳がましくないw? 
ただ、見出しを付ける整理記者としては、
世界最大の『花』」と言い切りたい気持ちは、痛いほど伝わってきます。

サドンデスソース

2012-06-18 13:11:18 | グルメ
 ぼくの愛用していたペッパーソース
 「ルイジアナ」が、恐れていたとおり、
 在庫が払底気味になってきたかも……。
 (主に「ローソンストア100」での話)
       ☆
 そんな折に出合ったのが、ブレア
 「サドンデスソース」(激辛)! 
 辛い物が苦手な人にとっては、真剣に
 罰ゲームでしかない苦痛をお約束できます。
 通常のタバスコがまだしも液体状を保っているのに対し、
 サドンデスソースは半固体、とは言わないまでも
 コチュジャン系の醤(ジャン)をちょっとだけ
 水っぽくしたような状態。原材料には、恐ろしいことに
 ハバネロばかりか、ブートジョロキアの名が見えます。
 原産国はコスタリカ……偏見だけれど、国名だけでキます。
 甘ったるいグリーン・カレーに、活を入れる感じで使うと吉。

安静を心掛ける

2012-06-18 09:00:58 | 日記

休日は引きこもっていたから実感がなかったけど、
痛みが小ましになったとはいえ、通勤するだけで大仕事。
特に肉離れに見舞われた現場である乗り換えの
JR大阪駅での階段の昇り降りに、異常な緊張感。

和らぐ

2012-06-17 08:36:01 | 日記

土・日をよいことに、引きこもりライフ。
どうせ、まともに動けるような状態ではないのだ。
一昨日の肉離れは、苦痛が和らいだのか、
それとも単に左足をかばった歩き方に慣れただけかは
わからないけれど、多少まし。それでも室内の
トイレまでの行き来がちょっとした長旅だったりする。
(明日には、もう少し早く歩けるようになりますように!)
バブリーな時代を感じさせるオリジナル・アニメや
スポンサーから資本を引き出すだけの企画・原作者の
愛情のひとかけらも感じられないホラー映画なども観たけど、
園子温・監督の『ちゃんと伝える』(2009年)が
ストレートな感動作で、不意を突かれてしまった。

肉離れ

2012-06-16 09:35:35 | 日記

昨夕、帰宅の途次、乗り換え駅のエスカレーターを上がっていて、
突如、激痛を覚えた。左足のふくらはぎを撃たれたか、
突き刺されたかのような衝撃。頭の中が真っ白になる。
じんわりと脂汗に全身を濡らし、通行者の動線から外れる。
壁際の手すりにもたれながら、息を整え、左足に何も触れてないことを確認。
ただ痛みだけがあり、通常の歩行に困難を覚える。
電車に乗り込む際や、階段の昇り下りに眩暈と絶望を感じ、
いつもなら利用駅と自宅の間など、5分とかからないのに、
のろのろと足を進めるだけで、20分以上も要する。
ちょうど、ぽつぽつと小雨が降り出す時分で、
なかなか移動できないのをもどかしく思いつつ、
救急車など呼ばずに帰宅できるのか、不安を覚え始めた。
――そんな時、ぼくは女神を信じる(どれだけ無慈悲に見えようと)。
女神がぼくの目の前を先導してくれていると思う。
後を追いすがるように必死で足を運ぶと、どうにか家の前に辿り着いていた。

日本語の特殊性

2012-06-15 12:24:33 | 文学的な

内田樹「昔は、中国の周辺地域って――韓国もベトナムもそうなんだけども――
表意文字表音文字、現地語と外来語っていうのが併存していたわけだよね。
(中略)
外来語と現地語のハイブリッドの形で残ってるのって、
世界でもう日本だけなんだよ。
現地語であるところの大和言葉の上に漢語をのっけて、1500年間やってきた」
       ☆
内田の発言も(本人も言うとおり)養老孟司の受け売りなんだけれども、
そうなると、なぜ、日本のマンガもまた“特殊”な表現として
海外に迎え入れられたのか?という問いが、頭をもたげてくる訳。
養老は「マンガとはルビのある漢字であり、日本人の脳は、
漢字を読む場所とカナを読む場所が違うことから始まり、
日本の国語教育を受けていると、マンガの読解力が進む
」と明言していて、
これは極めてクリアな意見なのだけれど、とある場で
同じことを(優しく)発言したつもりが、なかなか伝わらない人もいて……。
       ☆
その時には苛立ちもしたけど(人間が出来てないッす)、後から落ち着いて考えるに、
「日本語」の枠の中でのみ考える以上、異国の言葉との違いも見えてこない。
ただの印象や感想で、異文化・異言語の比較をされてみたところで
反例ひとつを挙げれば、すぐに破綻が見えるのだけれど、
中に安住している人間にはその自覚すらない。
「訳のわからん人が何や言うてはるわ」で本人は自己完結しているから、
投げかける言葉は宙に浮く。違ったふうに考えるのは、非常にむつかしいことなのだ。
       ☆
解剖学的にいうと、表意文字と表音文字、図像と音声などは
脳内の異なる2つの場所で処理をしていて、日本人は
日本語(~マンガ)を通して、それを日常茶飯事に行ってきたことになる。
そういう含蓄、陰影を日本語が構造的に伴うことがわかっていなければ、
「行間を読む」だとか「紙背に徹する」だとかの行為も無理なんではないか? 
いや、そこで、そういった(深遠な?!)読解に本来、価値はあるのか? 
と根源的な疑惑にぶつかってしまう訳なんだけれど……。

『舟を編む』から(4)

2012-06-15 09:39:20 | 文学的な

「玄武書房」が力を入れる辞書『大渡海』の編集工程もいよいよ大詰め。
だが、そこに来てトラブル。用例採集カードに入っていた単語のひとつが
抜け落ちていたことが発覚! 冗談ではなく、血潮の凍る事態。
(この事件の原因で、もう少し何か盛り上がるのかと先読みし過ぎてしまう)
辞書編集部は四校の途中で、再度の徹底見直しを図り、
1か月の泊まり込み「玄武書房地獄の神保町合宿」へと至る。
渦中の馬締光也は、着替えを取りに香具矢と住まう自宅へ帰る。
(タケおばあさんは既に亡くなっている)
       ☆
着替えとシェーバーを旅行鞄に詰め、一息ついた馬締は、
仏壇に線香をあげ手を合わせた。
料理を載せたお盆を手に、香具矢が居間に入ってくる。トラオさんも一緒だ。
「お待たせ」
「ありがとう。いただきます」
「いただきます」
卓袱台を挟んで座り、二人は箸を手にした。
焼き鮭や卵焼きやほうれん草のおひたし。
ネギと油揚げと豆腐のみそ汁は、ほどよく出汁がきいている。
「なんだか朝ご飯みたいな献立になっちゃったけど」
「いつもながらおいしいよ」
馬締がしみじみ言うと、香具矢は照れたようにうつむき、箸の運びを速くした。

『舟を編む』から(3)

2012-06-15 08:53:06 | 文学的な

辞書編集部にも歳月は流れ、いつしか荒木公平に代わって
馬締光也が主任に就き、『大渡海』の編集作業も続いている。
畑違いの女性誌から配属された新編集部員、岸辺みどりも
仕事仲間や“辞書”に愛着を覚え始めている。
ところで、辞書には辞書に特化した用紙が必要で、
製紙会社との摺り合わせも延々と続いていたのだが、
ようやく念願の本文用紙が完成。見本紙にOKを出した岸辺と
製紙会社の営業、宮本慎一郎は2人で祝杯を上げる。
場所は神楽坂に店を構える『月の裏』――
馬締光也の妻、林香具矢が板前として独立した店だ。
       ☆
香具矢は仏頂面のまま、カウンターのなかで立ち働いている。
温度や厚さにまで気を配っていることがうかがわれる刺身の盛り合わせや、
油揚げに納豆をたっぷり詰めてオーブンで軽く焼いたものなどが、
タイミングよくカウンターに並ぶ。
「おいしいなあ」
宮本はうれしそうに料理を食べる。「いいお店ですね」
納豆油揚げも、自宅にある食材ですけど、とてもこんなふうに
カラッとは焼きあがらないですよね」