昨夜は急遽、
園子温の映画を観たくなって、動画サイトを渉猟する。
しかし、数年前と異なって、囲い込みが激しい。利用しづらい。
中国サイトは中国国内からでないとアクセスできなくなっているし、
(串をかまして、ごにょごにょすれば出来ないことはないけど……)
インドネシアやロシアのサイトを巡回すれば、開いた瞬間、
ウイルス・ソフトが警告音wを鳴らしまくって、萎えそうになる。
☆
それでも、観たいものは観たい時に観たい。
どうにかこうにかして、
『冷たい熱帯魚』(2010年)を鑑賞したよ。
冒頭から実話に基づくと謳い、
埼玉愛犬家連続殺人事件を想起させる脚本。
脚本もやはり 園監督が担当。死と暴力がテーマみたいなことが
よく書かれているけど、『
自殺サークル』(2001年)や
『
紀子の食卓』(2006年)が大好きで、何度となく繰り返し観てきた
ぼくの目には、やっぱり、現代の“家族”を描いた真摯な映画に見える。
『紀子の食卓』のように(一縷の)希望が描かれる訳ではなく、
単にリアルな失敗例として提示されてしまうのが 切ないところだけれど。
☆
犬のブリーダーを熱帯魚店に置き換えた意匠は かなり成功している。
冷ややかな水槽の中に静まる熱帯魚と、どろどろした人間模様の対比が鮮烈。
でんでん演じるところの、等身大の“悪”として強烈な存在感を放つ村田幸雄。
その妻・愛子のイカれ具合にも また 目を細めていたのだけれど、
キャストを確認したらば、
黒沢あすか――やはり、ぼくの偏愛する監督、
塚本晋也の『
六月の蛇』(2002年)で主役を務めた女優さんであったよ。