機内に煙「ファイア」と悲鳴=ひどい揺れ、恐怖語る乗客―空港緊迫・広島(時事通信) - goo ニュース
ひどい揺れと機内に充満する煙に、「ファイア、ファイア」と悲鳴が上がった。14日夜、広島空港に着陸したアシアナ機が滑走路を外れて停止。20人以上の負傷者を出した機体の周りに警察や空港関係の車両が集まり、緊急車両の赤色灯が滑走路を照らすなど緊迫した雰囲気となった。
友人との韓国旅行の帰途、同機に搭乗した広島県廿日市市の会社員森山孝代さん(58)は「死ぬかと思いました」と当時の様子を振り返った。着陸15分ぐらい前から気流が不安定で、機体の揺れがひどくなり、客席からも不安がる声が上がったという。
その後「着陸態勢に入る」というアナウンスがあったが、着陸すると突然、機内に煙が充満。外国人乗客が「ファイア、ファイア」と叫び始めた。同機が滑走路に降りた時には「衝撃があったとは思うが、恐怖で覚えていない」と緊張した様子で話した。
婚約者と旅行していた広島市中区の女性(29)によると、大きな衝撃があった直後、機内食を運ぶワゴンが2台飛び出てきて、前方に座っていた女性客を直撃。顔などが血だらけになっていた。「避難誘導もなく、機内はパニックになっていた」とぶぜんとした様子で話した。
シンガポール人男性は機体から脱出後、持っていた携帯電話で事故の様子を撮影。1分程度の動画には、滑走路に緊急車両が集まる様子や非常用シューターが出た事故機が写っていた。家族の名前を呼ぶ女性の声や、サイレンのけたたましい音が周囲に響いていた。
一方、当時空港ターミナルにいた客は事故に気付いた様子はなく、空港内店舗も通常営業。約30分後の午後8時半ごろ、滑走路閉鎖のアナウンスが流れ、初めて気付いた人もいた。閉店作業をしていたレストラン副店長(41)は「滑走路を外れる事故が起きるとは。(20人以上けが人が出ていると聞いて)驚いている」と話した。
まずケガをされた乗客の皆さんの一刻も早いご回復を願います。
事故を起こしたのはOZ162(アシアナ航空:162便)のエアバスA320-232(HL7762)。日本も生産に参加しているIAE-V2527-A5エンジン装備型で07年8月に初飛行し同年10月12日に引渡されている。
今日のワイドショーやニュースショーでの扱いは異様だった。
当時の空港の天候などを紹介する事無く、先日のジャーマンウイングス機の事故(事件?)もA320だったためかパイロットの国籍に言及し、操縦ミスを前提に話を進めていた。韓国の航空会社だったからか、乗客の「避難誘導が無かった」と言う証言をクローズアップしていた。ワイドショーのトップネタが終わる9時頃のNHKニュースで「事故直前に広島空港周辺の天候が急変していた」と伝えていた。この情報がネットニュースでも伝えられた。
精密誘導なく、高度低下か=事故調査本格化―アシアナ機逸脱・広島空港
アシアナ航空162便が広島空港(広島県三原市)に着陸する際、滑走路からそれて停止した事故で、運輸安全委員会は15日、航空事故調査官を現地に派遣し、事故原因の調査を本格化させた。精密に誘導できる計器着陸装置(ILS)が使えず、高度が下がり過ぎて滑走路手前の誘導用無線アンテナに接触した可能性もある。広島県警は業務上過失致傷容疑で現場検証を始めた。今後、機長らから事情を聴く方針。
滑走路は閉鎖が続いており、日本航空が18便、全日空が22便の欠航を決めた。少なくとも5000人に影響する見込み。
国土交通省などによると、広島空港には国内最高水準のILSがあり、西側から進入するときは正しい高度や方位が表示される。一方、同機が進入した東側は方位だけが指示され、高度はパイロットが高度計で判断する必要がある。
着陸方向は風向きで決まることが多いが、広島空港事務所の担当者は、東側から進入した理由を「把握していない」と話した。
同機は滑走路中央付近で南側にそれ、進行方向の逆を向いて停止。機体後部が破損して左翼が折れ、左エンジンと水平尾翼などが壊れた。滑走路の東端から約320メートルの緑地帯にある地上約6.4メートルの無線アンテナが壊れており、着陸前に接触したとみられる。
アシアナ航空は15日、「事故により乗客と国民に心配をかけたことをおわびする」と謝罪のコメントを発表。事故に対応するため、社員37人と韓国国土交通省の調査チーム8人を乗せた特別機を派遣した。韓国人機長は総飛行時間8233時間のベテランで、副機長は1583時間だった。
広島空港は93年に開港。滑走路は3,000mのRWY10と28の1本。09年に最新のILS(電波誘導式着陸装置)のCatⅢb(今回機体をぶつけた)をRWY10方向のみに設置していた。広島空港は山に囲まれ、標高330mと比較的高い場所にあり、霧が発生しやすく欠航や遅延が多かったためILSを設置した経緯がある。なお日本では滑走路の両端にILSがある空港は少ない。
着陸10分前、突然大揺れ「吐きそうになった」
損傷したエンジン、機体後部に開いた穴――。
広島空港(広島県三原市)で発生したアシアナ機の事故は、一夜明けた15日、国や広島県警による原因調査が本格化した。大惨事につながりかねなかった「その時」を、乗客らの証言から再現した。
韓国・ 仁川 ( インチョン ) 空港を14日午後6時49分に出発した機体に異変が起きたのは、着陸約10分前の午後7時55分頃だった。
突然、左右の翼が大きく揺れ、3回ほど急降下と急上昇を繰り返した。「吐きそうになるほどだった」。広島市佐伯区の女性会社員(52)は振り返る。
まもなく「ドーン」と突き上げるような激しい衝撃が起きた。着陸誘導用の無線アンテナに衝突したとみられる。機内上部の荷物入れの扉が開き、荷物が次々と落下。窓の外では、エンジンがオレンジ色の光を発していた。
そして、着陸時とみられる2回目の衝撃音が響いた。広島県 廿日市 ( はつかいち ) 市の女性(58)は「雷が直撃したかと思った」。機内では、「頭を抱えろ」と男性が叫んだ。
その後も揺れが続く中、機内は真っ暗に。前方から煙が上がり、焦げた臭いが機内に充満。窓の外では、翼の先端部分が折れ曲がっていた。乗務員が韓国語のような言葉で何かを叫んでいたが、なかなか非常口は開かない。頭から血を流す人、泣きわめく子供たち。パニック状態に陥る乗客もいた。
乗務員が誘導する様子は見られず、やがて開いたシューターを使い、乗客が助け合って脱出した。
この乗客証言でワイドショーやニュースショーでは「操縦ミス」や「機体異常」ばかりを言及していたが、アプローチ(着陸進入)中マイクロバーストに遭遇した可能性が高いと見る。マイクロバーストは小さい規模のウインドシアと呼ばれる気象現象だが、風速30m/s近くの下方気流が発生する。朝のワイドショーでは当初、「大きなジェット旅客機では大きな影響は無い」とする評論家が多かった。彼らの肩書きの多くはJALの元機長だが、彼らが操縦していたのは恐らくB-747だ。A320とは機体の大きさが違う。実際にダウンバーストによる墜落事故は75年のイースタン航空や82年のパンナムはA320に近い大きさのB-727であり、日本でも93年4月に花巻空港で発生したJAS451便の着陸失敗事故もDC-9でこちらもA320と同クラスの機体だ。
広島空港のRWY28での着陸方法は空港直上を進路105度、高度4000ft(約1220m)以上で通過し尾道上空で270度に旋回、高度3300ft(1000m)にして大峰山(標高1040m)の南を通過後には高度を2380ft(750m)以上まで降下。空港から1.9マイル(3.0km)地点で目視降下点。ここで滑走路が目視できなければ、ゴーアラウンド(着陸やり直し)となる。OZ162がどこでダウンバーストに巻き込まれたか?がポイントになる。
広島空港の発着スケジュールを見ていたら、事故機の直前に着陸した便があった。羽田発のNH685(全日空)だ。定刻スケジュールで見ると20:00着のOZ162の5分前だから、ほぼ直前を飛んでいたのであろう。NH685は目視着陸で問題なく着陸し、その直後に空港周辺の天候が急変したと推測できる。
また発着スケジュールによると事故機の後続には20:10に上海発のMU293(中国東方航空)、20:15に台北発のCI112(中華航空)が控えており、20:35に新千歳発のNH1272、20:40は羽田発のJL267(日本航空)と続き、21:00に羽田発のNH687が最終である。
OZ162がゴーアラウンドを選択すると、尾道上空の4000ftまで上昇しアプローチし直しとなり、後続のMU293やCI112よりも後の着陸となる可能性が出る。また空港周辺の天候が悪化すれば、RWY28が使用禁止となりRWY10へ変更されれば、さらに遅延運行となってしまう。日本は交通機関の定時運行に厳しい。鉄道では10分程度の遅れでも車掌がお詫びのアナウンスがあるし、飛行機でも到着が30分遅れてもCAに怒鳴り散らす乗客もいる。さらに航空燃料の高騰で航空会社は乗務員に省エネ運行を厳しく指示している。仮に事故原因がパイロットの操縦ミスとしてもそれらの外的要因が影響を与えていなかっただろうか?
広島空港は事故調査のため15・16日の2日間閉鎖され17日に再開したものの、しばらくはILSが使えないため有視界によるアプローチのみとなっている。実際に19・20日は天候不良でほぼ全便欠航である。
「ILSが使えない」は事故当時のRWY28と同じ条件だが、先行したNH便も含めて広島空港の管制塔はなぜRWY28アプローチの許可を出したのだろうか?
4月6日に徳島空港で滑走路内に保安車輌がいる事を発見したJL機が忘れたゴーアラウンドするトラブルがあった。空港を管理する海自の管制官が着陸許可を出したのが原因で、教育航空隊の司令官が責任を取る形で4月10日付けで依願退職した。このトラブルをマスコミは大きく取り上げ、TVでは「一歩間違えれば・・・」などと煽ったが、実際にはアプローチ中にパイロットが車輌を発見しており冷静にゴーアラウンド。パイロットは「訓練通りの手順だった」答えていた。今回の事故の要因にも管制塔が絡んでいた可能性はないのだろうか?
事故報道が続いたA320、韓国の航空会社、セウォル号事故から1年。これらの関連性が薄いフラグメントを取り上げ、勝手な推論で騒ぎ立てるマスコミにはウンザリさせられる。