長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

398. 宮城県ガン類取材 その二・伊豆沼の塒入り

2020-02-01 18:22:49 | 野鳥・自然
昨年の暮れ、12/13。2泊3日で宮城県にガン類取材に行った2日目。朝、南三陸町の宿を出て小さな漁港の内湾でカモ科のコクガンを撮影取材した後、一旦町内の宿に帰り朝食を済ませてから同じ町内のK観光ホテルへと向かった。実は2021年の冬にこのホテルでガン類保護のシンポジウムがあり、その会場の隣で僕の『野鳥版画』作品の展示を行うことになっている。詳細は後日追ってブログでご紹介するとして、その会場の下見に行ってきたのだ。ホテルは美しい三陸海岸の崖地に建っていて大きな窓からの景色は「ベルビュー!」であった。まさに絶景である。ホテルの担当者の方々との打ち合わせと会場下見を終えると午後13:00を過ぎていた。

まだ早い。時間がある。実はこの日の午後の予定はハッキリと立てていなかった。連れ合いといろいろ意見を出し合っている中で「せっかくここまで来たのだからお隣の若柳町にある伊豆沼まで足を延ばそう」ということに決定し車で向かった。途中、登米市内に入るとタカ科のノスリが電柱にとまっていたり、河川にはオオハクチョウが7羽、中洲で羽を休めていたりした。みやぎ県北道辺りに来ると上空をガン類が釣り鐘上の編隊を組んで飛んで行くのがいくつも観察できた。

14:00ジャスト。「伊豆沼・内沼サンクチュアリ・センター」に到着。スマホで事前に連絡してあったので研究員のS氏が出迎えてくれた。S氏とは一昨年の11月末にこの周辺のガン類の取材旅行に来て以来の再開である。ガン・カモ類の研究者でもあり千葉の高校の後輩でもあるS氏に宮城県内のガン類の情報をいろいろと伺う。興味のある内容ばかりなので、つい聞き入ってしまう。冬の日入りは早い。お名残り惜しいが14:48センターを出発した。

「さて、この先どうしようか?」連れ合いが訊いた。「日入りまで時間が迫っているが、今シーズン、1羽だけ出現しているという珍鳥のアオガンやハクガンの群れを探してみよう。それでも時間があったら伊豆沼のガン類の塒入りを観て帰ろう」ということで決定した。センターから沼沿いの狭い仕事道を進み一昨年も訪れた左手に広い干拓地、右手に伊豆沼がよく見える高い土手のポイントに到着した。ここから望遠鏡で珍鳥アオガンやハクガンの群れがよく入っているという場所辺りを高倍率の望遠鏡をセットして舐めるように探してみた。ちょうどその場所は「野焼き」の最中で人が何人も入っていたりしたのでガン類の群れが少ない。けっこう粘って探してみたが結局、見つからなかった。

そうこうしているうちに日も傾きガンたちの塒入りの時間となった。沼の周囲からガンたちが鳴き交わしながら塒となる沼の枯蓮地帯に入ってくる。土手の上はこの時間になるととても寒く露出した顔が痛いほどだが夕暮れ色に染まった水辺の広い風景は例えようもなく美しい。その自然の舞台に好きな野鳥であるガン類の声や姿が加わるのだから文句の言いようがない。多くはマガンだが比較的近い水面に数十羽のオオハクチョウと10羽のヒシクイの姿も観察できた。あっという間に時間が過ぎる。16:29、周囲も暗くなったので観察を終了する。元来た夜のルートを宿がある南三陸町まで戻った。この次の日、地元のガン類研究者のI氏の案内で伊豆沼周辺の観察ポイントを回ることになっていたが、連れ合いの実家で急用ができ中止となってしまった。

冬の伊豆沼へは、またゆっくりと余裕をもって訪れてみたい。

※画像は夕刻の伊豆沼の風景、マガンの塒入り、オオハクチョウ、ヒシクイ、珍鳥アオガンの図鑑コピー。