長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

290. 絵本の制作が佳境に入る。

2017-05-11 19:27:29 | 書籍・出版
そろそろ初夏を迎える。新緑が美しい季節。こんな時期の天気の良い日は思いっきり屋外に出てアウト・ドアーを楽しみたいものである。ところが最近の僕は毎日工房に閉じ籠って机に向かい絵の仕事をしている。と、言うのも一昨年、依頼のあった絵本の仕事が佳境を迎えているからである。原画の入稿が来月の中旬と迫ってきている。

僕のようにフリーランスで絵画や版画の制作をしていると、画廊やデパートなどでの作品の発表意外にも、いろんな仕事をこなさなければ生活が成り立たない。これまでも絵と版画にかかわる仕事に関してはは大抵のことはやってきた。
その中で出版に係わるものも、雑誌の単発のイラスト、絵や版画と文章による連載、作家の文章への挿画、書籍のカヴァーデザイン、そして今回のような絵本制作と多種多様な内容である。自分でもよくこなしてきたと最近では感心している。

その中で、特に絵本の制作というのは長いスパンの仕事となる。編集部の企画から始まって、それを受けての絵コンテ制作、打ち合わせ、さらに仕上がりに近い形でのラフ・スケッチの制作、修正内容等、編集部とのやりとりが頻繁になり、ようやく原画制作のGOサインが出るのである。ここからは辛抱強く各ページを追って丁寧に絵を仕上げて行くことになる。
この仕事を一度でも受けたことのあるエカキならば大体想像がつくと思うが、いったいどの程度の仕事量かというと、最低でも30ページ前後の絵を描かなければならないので「絵画や版画などの新作個展を画廊で一回、開くぐらいの内容」となるだろうか。エカキが新作個展を開くには1年半から2年ぐらいは作品を描き貯めることになるので、手間暇としてはそのぐらいはかかっているだろう。

今回の絵本は「人間の生活圏の極く近くで生きるスズメたちの家族」がテーマとなっている。文章は鳥類の研究者でスズメが御専門のM氏によるものだ。昨年末頃、A社編集部を通して途中までの絵の画像をM氏に中間報告として見せてもらったところ「大変好評をいただいて仕上がりをとても楽しみにしてくださっている」という答えが返ってきたので少し安心した。

今週に入ってようやく全ページの絵に着彩の手が入った。あとは入稿〆切までそれぞれのページの絵にどこまで完成度を上げていかれるかが勝負である。まだ少し独房生活が続きそうだ。好きなアウト・ドアーに出かけるのは我慢である。

絵本の出版は来年の4月となる予定である。宣伝期間などのため早い入稿になっているのだ。またその時にはブロガーのみなさんやSNSの友人、知人のみなさんにお知らせすることにしよう。

画像はトップが最終ページを制作中の仕事机のようす。下が向かって左から提出した2回目の絵コンテの一部、修正の入ったラフ・スケッチ2カット、本画の中の1ページ、仕上がってきた原画の一部を並べたところ、水彩と合わせて原画制作に使用している色鉛筆。